プロクリス
プロクリス(古希: Πρόκρις, Procris)は、ギリシア神話の人物で、アテーナイ王エレクテウスの娘。デーイオーンの息子ケパロスと結婚した。彼女には少なくとも二人の姉妹、すなわちクレウーサとオーレイテュイアがいた。
ソフォクレスはプロクリスと題する悲劇を書いたが散逸している。
変身物語におけるプロクリス
オウィディウスの変身物語では、ケパロスがミーノース王に対抗するために集まったアイアコスの3人の息子たちペーレウス、テラモーン、ポーコスに次のような話をしている。
プロクリスの夫ケパロスが狩りの途中、暁の女神エーオースが彼を誘拐し我がものにしようとした。しかしケパロスは妻のプロクリスを恋しがった。不機嫌になった女神は、プロクリスが簡単に浮気をすることをケパロスに証明してやりたくなり、彼の姿を別人に変身させて妻の待つ家に送った。贈り物によって貞操を試した彼は、ついに妻の心が傾いたことを見るや自分が夫であることを明かし彼女を非難した。プロクリスは家を出てアルテミスのように狩猟生活を始めた。
後に二人は和解し、犬のライラプスと必中の槍を和解の印に持参した。しかし、ケパロスがそよ風に語る愛の言葉が不倫であると誤解したプロクリスは山に向かった。ケパロスはその落ち葉を踏む音を獣だと勘違いし、必中の槍を投げ、妻を殺した。
アポロドーロスにおけるプロクリス
アポロドーロスはオウィディウスの物語とは異なる話を紹介している。
プロクリスはプテレオーンという男と不倫をした結果ミーノースのもとに逃れたが、ミーノースもまたプロクリスに恋をした。しかしミーノースの妻パーシパエーが夫の身体にかけた魔法により関節が獣になり寝床を共にすると殺されるため、思いを遂げられなかった。ミーノースは彼女に槍とライラプスを渡し、さらにキルケーの根でパシパエーの魔法を無効にした上で思いを果たした。