等比数列

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等比数列(とうひすうれつ、または幾何数列(きかすうれつ)、: geometric progression, geometric sequence)は、数列で、隣り合う二項のが項番号によらず一定であるようなものである。その比のことを公比(こうひ、: common ratio)という。例えば 4,12,36,108,… という数列 (an)テンプレート:SubSup は初項が 4 であり公比が 3 の等比数列である。公比 rr = an+1/an という形で表され、0以外の全ての数を取りうる(r = 1 の場合は公差が 0 の等差数列でもある)。等比数列の各項は初項 a と公比 r を用いて以下のように表せる。

[math]a, ar, ar^2, ar^3, ar^4, \ldots[/math]

すなわち n 番目の項 an(一般項)は以下の式で求まる。

[math]a_n = a r^{n-1}[/math]

一般に第 nan と第 mam の関係は [math]a_n = a_m r^{n-m}[/math] である。

数学的性質

等比数列を漸化式で表すと、

[math]a_{1} = a, \quad a_{n+1} = r a_{n} \quad (n \ge 1)[/math]

となる。公比が負の場合は符号が一項ずつ入れ替わる数列となる。例えば 3,−6,12,−24,… という数列は公比 −2 の等比数列であり、一般項は

[math]a_n = 3 \cdot (-2)^{n-1} = (-1)^{n-1} \, 3 \cdot 2^{n-1}[/math]

となる。公比が正であれば全ての項は初項と同じ符号を持つ。

公比 rr > 1 ならば等比数列は初項の符号によって正もしくは負の無限大発散する。
また −1< r < 1 の場合は0に収束する。
r = −1 では a と −a の値のみを交互にとる(振動)。
r < −1 では振動する(発散する。正もしくは負の無限大に発散するということではない)。

形式的に等比数列の一般項の対数をとると

[math]\log a_n = \log a +(n-1) \log r[/math]

となり、数列 (log an) は初項 log a 、公差 log r の等差数列になる。

等比数列の連続する3項を小さい順から a, b, c とすると、常に b2 = ac が成り立つ[1]

等比級数(幾何級数)

等比級数は等比数列の項の総和のことをいい、初項から第 n 項までの和は以下の式で定義される。

[math]\sum_{k=1}^{n} ar^{k-1} = ar^0+ar^1+ar^2+ar^3+\dotsb+ar^{n-1}[/math]

ここで

[math]\begin{align}(1-r)\sum_{k=1}^{n} r^{k-1} &= (1-r)(r^0+r^1+r^2+r^3+\dotsb+r^{n-1}) \\ &= (r^0+r^1+r^2+r^3+\dotsb+r^{n-1})-(r^1+r^2+r^3+r^4+\dotsb+r^{n-1}+r^n) \\ &= 1-r^n \end{align}[/math]

であるので

[math]\sum_{k=1}^{n} ar^{k-1} = \frac{a(1-r^{n})}{1-r} \quad (r \ne 1)[/math]

r = 1 では

[math]\sum_{k=1}^{n} a = na[/math]

である。第 m 項から第 n 項までの和は

[math]\sum_{k=m}^n ar^{k-1}=\sum_{k=1}^n ar^{k-1} - \sum_{k=1}^{m-1} ar^{k-1} = \frac{a(r^{m-1}-r^{n})}{1-r}[/math]
ファイル:Geometric progression convergence diagram.svg
1+1/2+1/4+1/8+… という幾何級数が2に収束することを幾何学的に示した図。2はa=1、r=1/2のときの a/(1-r) に等しい。

無限級数

初項から全ての項の和を無限級数という。−1< r < 1 すなわち |r| < 1 では n→∞ の極限で以下の式で求められる値に収束する。

[math]\sum_{k=0}^{\infty} ar^{k} = \lim_{n\to\infty}\sum_{k=0}^{n} ar^{k} = \lim_{n\to\infty} \frac{a(1-r^{n+1})}{1-r} = \lim_{n\to\infty}\frac{a}{1-r} - \lim_{n\to\infty}{\frac{ar^{n+1}}{1-r}} = \frac{a}{1-r}[/math]

a ≠ 0かつ |r| ≧ 1 ではこの級数は収束しない。

a = 1 の場合の式を r で項別微分すると

[math]\frac{d}{dr}\sum_{k=0}^\infty r^k = \sum_{k=1}^\infty kr^{k-1}= \frac{1}{(1-r)^2}[/math]

となり、

[math]\sum_{k=0}^{\infty} k r^k = \sum_{k=0}^{\infty} k r^{k-1} r = \frac{r}{\left(1-r\right)^2}[/math]

が導かれる。

脚注

  1. r > 0 のとき b比例中項と呼ばれる。a:b = b:c = r

関連項目

外部リンク