クロネッカーの極限公式
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数学において、古典的なクロネッカーの極限公式 (Kronecker limit formula) は、デデキントのエータ函数によって実解析的アイゼンシュタイン級数(もしくは、エプシュタインのゼータ函数)の s = 1 での定数項を記述する。命名はレオポルト・クロネッカー(Leopold Kronecker)にちなんでいる。クロネッカーの極限公式には、より込み入ったアイゼンシュタイン級数へ多くの一般化がある。
Contents
クロネッカーの第一極限公式
クロネッカーの第一極限公式は、
- [math]E(\tau,s) = {\pi\over s-1} + 2\pi(\gamma-\log(2)-\log(\sqrt{y}|\eta(\tau)|^2)) +O(s-1)[/math]
である。ここに、
- E(τ,s) は、Re(s) > 1 に対して
- [math]E(\tau,s) =\sum_{(m,n)\ne (0,0)}{y^s\over|m\tau+n|^{2s}}[/math]
で与えられ、解析接続によって他の複素数 s に対しても与えられる。
- γ はオイラー・マスケローニ定数である。
- τ = x + iy で y > 0 とする。
- [math]q=e^{2\pi i\tau}[/math] として [math]\eta(\tau) = q^{1/24}\prod_{n\ge 1}(1-q^n)[/math] はデデキントのエータ函数である。
従って、アイゼンシュタイン級数は s = 1 で留数 π の極を持ち、クロネッカーの第一極限公式は、この極でのローラン級数の定数項を与える。
クロネッカーの第二極限公式
クロネッカーの第二極限公式は、
- [math]E_{u,v}(\tau,1) = -2\pi\log|f(u-v\tau;\tau)q^{v^2/2}|,[/math]
である。ここに、
- u と v は実数で、ともに整数であることはない。
- q = e2π i τ かつ qa = e2π i aτ
- p = e2π i z かつ pa = e2π i az
- Re(s) > 1 に対し [math]E_{u,v}(\tau,s) =\sum_{(m,n)\ne (0,0)}e^{2\pi i (mu+n\tau)}{y^s\over|m\tau+n|^{2s}},[/math] 他の複素数 s に対しては解析接続によって定義される。
- [math]f(z,\tau) = q^{1/12}(p^{1/2}-p^{-1/2})\prod_{n\ge1}(1-q^np)(1-q^n/p)[/math]
参照項目
- ヘルグロッツ・ザギヤの函数(Herglotz–Zagier function)
参考文献
- Serge Lang, Elliptic functions, ISBN 0-387-96508-4
- C. L. Siegel, Lectures on advanced analytic number theory, Tata institute 1961.