「ケンタウルス族 (小惑星)」の版間の差分
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テンプレート:外縁天体の分類 テンプレート:小惑星の分類 ケンタウルス族(ケンタウルスぞく、Centaur)は、木星と海王星の間の軌道を公転する、氷で覆われた小惑星の分類名である。ケンタウルス族の名はギリシア神話に登場する半人半馬の一族・ケンタウロスに由来する。ケンタウルス族天体の命名の際にはケンタウロス族の名前を付ける慣習になっている。
最初に発見されたケンタウルス族天体であるキロンは近日点に近づいた際にコマが観測されたため、現在では公式には彗星 (95/P Chiron) と小惑星両方に分類されている。しかしキロンは典型的な彗星に比べてかなり大きいため、その分類についてはいまだに議論がある。他のケンタウルス族天体については、彗星のような活動が見られないか監視観測が続けられている。
2006年現在、ケンタウルス族として発見された後に彗星だと確認され、番号登録されたものはキロン以外には4つある(LINEAR彗星(仮符号(以下同):2000 B4)、NEAT彗星 (2001 T4)、CINEOS彗星 (テンプレート:Mp)、エケクルス(2000 EC98))。このうち、2000年に発見されたエケクルスは小惑星番号 (60558) を与えられていたが、2005年12月30日に急激に増光し、コマが観測されたことから彗星としても番号登録されると共に、小惑星として命名された。
ケンタウルス族は軌道が不安定で、巨大惑星の作用によっていずれは太陽系から飛び出すと考えられている。公転軌道の力学的な研究から、ケンタウルス族はおそらく太陽系外縁天体から木星族の短周期彗星へと軌道の状態が移り変わる途中の天体であろうとされている。これらの天体はエッジワース・カイパーベルトにあった頃に摂動を受けて間もなく海王星軌道を横切る軌道をとるようになり、海王星と重力的に相互作用をするようになったとみられる。こうしてケンタウルス族に分類されるようになったものの、これらの軌道はカオス的で、外惑星と何度か近接遭遇を繰り返すことにより短い時間スケールで軌道が変化する。ケンタウルス族の中にはこの軌道進化によって木星よりも内側まで入り込む軌道をとるようになり、近日点が太陽系の内側に移って、彗星的な活動性を見せる場合には木星族の彗星として再分類されるようになるものもあると考えられる(その例としてはヴィルト第2彗星がある)。それゆえ、ケンタウルス族は最終的には太陽や惑星と衝突するか、あるいは惑星、特に木星との近接遭遇によって星間空間に放出されると思われる。
今のところ、宇宙探査機によって接近撮影されたケンタウルス族天体はまだないが、2004年にカッシーニ探査機によって撮影された土星の衛星フェーベは土星に捕らえられたケンタウルス族である可能性がある。過去にはハッブル宇宙望遠鏡がケンタウルス族の一つであるアスボルスの表面の特性を調査している。2010年にはニュー・ホライズンズ探査機がケンタウルス族天体クラントルと遠距離のフライバイを行なう予定である。
Contents
主なケンタウルス族
主なケンタウルス族は以下の通り。
名称 | 発見年 | 発見者 |
---|---|---|
キロン (95P/2060 Chiron) | 1977年 | C. T. コワル |
フォルス (5145 Pholus) | 1992年 | スペースウォッチ(D. ラビノウィッツ) |
ネッスス (7066 Nessus) | 1993年 | スペースウォッチ(D. ラビノウィッツ) |
アスボルス (8405 Asbolus) | 1995年 | スペースウォッチ(J. V. スコッティ) |
ヒュロノメ (10370 Hylonome) | 1995年 | D. C. ジューイット他 |
カリクロー (10199 Chariklo) | 1997年 | スペースウォッチ |
ペリオン (49036 Pelion) | 1998年 | R. J. ホワイトリー他 |
オキロエ (52872 Okyrhoe) | 1998年 | スペースウォッチ(J. V. スコッティ他) |
キルラルス (52975 Cyllarus) | 1998年 | N. ダンズル |
エラトゥス (31824 Elatus) | 1999年 | カタリナ・スカイサーベイ |
テレウス (32532 Thereus) | 1999年 | NEAT(ジェット推進研究所) |
ビエノール (54598 Bienor) | 2000年 | 黄道深部サーベイ(セロ・トロロ汎米天文台) |
エケクルス (174P/60558 Echeclus) | 2000年 | スペースウォッチ(J. V. スコッティ他) |
アミクス (55576 Amycus) | 2002年 | NEAT |
クラントル (83982 Crantor) | 2002年 | NEAT |
軌道
既知のケンタウルス族の軌道を右図に示す。横軸が軌道長半径、縦軸が軌道傾斜角である。
有名な天体は、赤線(左・近日点から右・遠日点)により軌道の偏心性を示してある。
良く知られるケンタウルス族は土星と天王星の軌道の間に存在する。また、海王星と2:3の軌道共鳴の附近(2:3の天体は冥王星族。図中灰色)の軌道傾斜角5゜近辺の範囲に顕著な集合が存在する。
以下にケンタウルス族の軌道の範囲の例として、極端な軌道を持つ三天体(図中黄色)を挙げる。
- テンプレート:Mp:2005年までに発見された天体の中で(以下同)、最大の軌道傾斜角(i=39゜)と、ほぼ円の軌道(e<0.01)を持つ。
- アスボルス:最も扁平な軌道(e=0.62)を持つ。
- テンプレート:Mp:最小の軌道傾斜角(i<1.5゜)。