「アメリカ合衆国西海岸」の版間の差分
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アメリカ合衆国西海岸(アメリカがっしゅうこくにしかいがん、West Coast of the United States of America)とは、アメリカ合衆国の中で太平洋に面した地域である。
狭義にはカリフォルニア州、オレゴン州、およびワシントン州の3州を指す。より広義には、西海岸に隣接し、経済的にも文化的にもつながりの強いアリゾナ州やネバダ州も西海岸に含まれることもある[1]。さらに、本土48州ではないが、太平洋に面している州であるアラスカ州、および太平洋に囲まれているハワイ州が含められることもある。どこまでの範囲を含むかにもよるが、西海岸の人口は5000万人から6000万人にのぼる。ただし、そのうちの半分以上の約3500万人は、カリフォルニア州1州に集中している[2]。
古くは、アメリカ合衆国北部の住民からは単に「海岸」(The Coast)と呼ばれた。西海岸は保守的な東方に比べて左派の勢力が強く、このことと地図上で左側の海岸であることとをかけあわせて、「左海岸」(Left Coast)と揶揄されることもあった。「レッドウッド(セコイアの別名)・カーテンの向こう側」(Behind of Redwood curtain)という言い方もされる。
歴史
この地域の歴史はアメリカ合衆国の中でも新しく、西海岸の大部分の地域においては、住民が移入してくるようになったのは19世紀後半のゴールドラッシュの頃以降のことである。その後、この地域特有の乾燥を克服する灌漑技術の発展もあいまって、大規模な農地や、大規模な都市が発展していった。しかしその一方で、サンディエゴのオールド・タウンのような、スペイン植民地時代からの街もわずかながら存在している。
気候
西海岸は概ね温暖な気候で、夏は総じて乾燥している。特にカリフォルニア州南部では冬季でも月平均気温が摂氏10度を上回る。カリフォルニア州北部やオレゴン州、ワシントン州ではカリフォルニア州南部に比べて冷涼ではあるものの、緯度の割には温暖である。例えばワシントン州最大の都市シアトルは北緯47度36分に位置し、日本最北端の市である稚内市よりも緯度が高いが、1月の月平均気温は摂氏5度である[3]。ケッペンの気候区分では、沿岸部は概ね地中海性気候(Cs)に属する。内陸部は沿岸部に比べて乾燥度が強く、リバーサイドなどカリフォルニア州の内陸部では、ステップ気候(BS)や砂漠気候(BW)に属するところが多い。これに対し、スポケーンなどワシントン州やオレゴン州の内陸部では、緯度と標高の高さゆえに乾燥限界が低く、冬季の降雪もあるためステップ気候の要件を満たさず、世界的にも珍しい高地地中海性気候(Ds)に属するところがある。
これに対し、広義の西海岸に含まれる州の気候は、カリフォルニア・オレゴン・ワシントンの3州の気候とは大きく異なる。内陸州2州、ネバダ州とアリゾナ州は概ね砂漠気候に属し、ハワイ州は概ね熱帯のモンスーン気候(Am)やサバナ気候(ただしAwではなく夏季少雨型のAs)に属する。アラスカ州は概ね亜寒帯湿潤気候(Dfc)や寒帯のツンドラ気候(ET)に属し、ジュノーなど南東部や南海岸の一部で西岸海洋性気候(Cfc)に属する。
沿岸部の主な都市には、ロサンゼルスをはじめ、サンディエゴ、サンフランシスコ、シアトルなどが挙げられる。オレゴン州のポートランドは沿岸よりは少し内陸に入っているが、気候風土的には沿岸部とほぼ同じである。内陸部の主な都市としては、サクラメント、フレズノ、リバーサイド、スポケーンなどが挙げられる。アリゾナ州やネバダ州では、フェニックス、ツーソン、ラスベガスなどが代表的な都市として挙げられる。
註
- ↑ 例としては、アリゾナ大学およびアリゾナ州立大学がパシフィック12カンファレンスに所属していることなどが挙げられる。同カンファレンスの他の構成校は、2010年に加入したコロラド大学とユタ大学の2校を除いて、すべて狭義の「西海岸」に含まれる3州にキャンパスを置いている。
- ↑ Summed estimates for CA, OR, WA and CA, OR, WA, AZ, NV, AK, HI. American Community Survey. United States Census Bureau. 2005年.
- ↑ Historical Weather for Seattle, Washington, United States. Weatherbase.com