「アウトリュコス」の版間の差分
ja>おいしい豚肉 |
細 (1版 をインポートしました) |
(相違点なし)
|
2018/8/19/ (日) 18:37時点における最新版
アウトリュコス(古希: Αὐτόλυκος, Autolykos)は、ギリシア神話の人物である。盗みの名人として知られ、アルゴナウタイの一人に数えられる。
ダイダリオーンの娘キオネーとヘルメースの息子で、ピラムモーンとは父親の違う双子の兄弟だともいう[1][2]。アウトリュコスはアムピテアーを妻とし[3]、アンティクレイア[4][5]、ポリュメーデー[6]、アイシモスが生まれた。アンティクレイアはオデュッセウスの母、ポリュメーデーはイアーソーンの母(別説ではアルキメデーとされる)、アイシモスはシノーンの父となった。
父ヘルメースから盗みの技と巧妙な偽誓の術を学び、手で触れるものすべてを目に見えないようにすることができた。また、白い獣を黒く、黒い獣を白くする術を心得、角のある獣から角を取り去って、それを角のない獣に取り付けることもできた。カール・ケレーニイによれば、アウトリュコスとは「狼そのもの」の意である。
Contents
神話
シーシュポスとの知恵比べ
シーシュポスがコリントスにいたころ、アウトリュコスはその近くに住んでいて、シーシュポスの家畜をたびたび盗んでいた。アウトリュコスは盗んだ家畜の角を取り替えたり色を変えたりしたので、盗みが誰の仕業かわからなかった。しかし、シーシュポスの牛が減っていくたびにアウトリュコスの牛が増えていくので、シーシュポスは怪しんで、自分の家畜の蹄の内側にSSという頭文字を刻み込んでおいた。
ある夜、例によってアウトリュコスが盗みを働いた。翌朝、シーシュポスは自分の家畜小屋から道沿いに蹄の跡がつづいているのを見て、近くの人々を呼び出して証人とし、アウトリュコスの家畜小屋で家畜の蹄の内側を確認すると、果たしてSSの文字があった。空とぼけるアウトリュコスと証人たちが口論となっている間、シーシュポスはアウトリュコスの娘でラーエルテースの妻となっていたアンティクレイアと交わったという。これには別の説もあって、アウトリュコスはシーシュポスに降参して自宅に招き入れ、アンティクレイアを与えたので、アンティクレイアがラーエルテースと結婚したのはその後だったという。こうして生まれたのがオデュッセウスであり、オデュッセウスの抜け目のなさは、アウトリュコスとシーシュポスの二人から受け継いだのだといわれる。
ヘーラクレースとの関わり
アウトリュコスの名はヘーラクレースの神話にも見られる。アウトリュコスはヘーラクレースにレスリングを教えた。また、ヘーラクレースが「十二の功業」を果たした後、オイカリアの王エウリュトスの娘イオレーに求婚して断られたとき、アウトリュコスはエウリュトスの牛を盗み、これをヘーラクレースに売りつけたという。
エウリュトスは牛の盗難をヘーラクレースの仕業だと考えたが、エウリュトスの息子イーピトスは父に反対してヘーラクレースに会いに行き、ともに牛を探すよう誘った。しかし、ヘーラクレースは再び狂気に襲われ、イーピトスをティーリュンスの城壁から投げて殺してしまった。この罪を償うために、ヘーラクレースはオムパレーの奴隷として仕えることになった。この物語にも別の見方があり、そもそもヘーラクレースはエウリュトスへの意趣返しのためにアウトリュコスに頼んで牛を盗ませたともいう。
系図
脚注
参考図書
- アポロドーロス『ギリシア神話』高津春繁訳、岩波文庫(1953年)
- ホメロス『オデュッセイア(上・下)』松平千秋訳、岩波文庫(1994年)
- カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 神々の時代』植田兼義訳、中公文庫(1985年)
- カール・ケレーニイ『ギリシアの神話 英雄の時代』植田兼義訳、中公文庫(1985年)
- R・グレーヴス『ギリシア神話(上・下)』高杉一郎訳、紀伊国屋書店(1962年、1973年)
- B・エヴスリン『ギリシア神話小事典』小林稔訳、現代教養文庫(1979年) (ISBN 4-390-11000-4)
関連項目