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ワンウェブ社(英: OneWeb LLC)はアメリカ合衆国バージニア州アーリントン郡 に本社を置く、LEO(低軌道)衛星コンステレーションを用いた衛星通信を行う予定の衛星通信会社である。創業者はグレッグ・ワイラー。当初はWorldVu Satellites Ltd.として設立されGoogle傘下に属しており、本部はチャンネル諸島セント・ヘリアに登録されていた。
概要
低軌道衛星を用いて通信速度下り200Mbps、上り50Mbps、レイテンシ20〜30ms程度の衛星通信サービスの提供を計画している。[1] 一週間に15基の衛星を製造できるとされている[2] 質量150kgの小型衛星648基と予備250基をエアバス・ディフェンス・アンド・スペースと合弁子会社OneWeb Satellitesにて製造。145キログラムの重量と10Gbpsの伝送速度を持つとされる衛星を高度1200kmの18本の軌道に36機ずつ分散して配置することで全世界に高速インターネットを提供可能とされている。[3][4](詳細はOneWeb satellite constellationを参考のこと)
目標
2018年初頭までにプロトタイプ衛星12基を生産し、アリアンスペースによって10基をクールー宇宙センターやバイコヌール宇宙基地から打ち上げ、順調に行けば2年かけて残りを打ち上げる予定。合弁子会社OneWeb Satellitesのフロリダ工場は2017年末に建設完了予定。OneWebのサービスインは2019年を予定し、[5] 2022年までにすべての学校をオンライン化、2027年までにデジタルデバイド問題を解決する目標を建てている。[6] 2017年6月22日にはFCCより条件付きで事業計画が認可された。通信に用いる帯域はKuバンドの10.7~12.7 GHz(下り・宇宙→地球)、14.0~14.5 GHz(上り・地球→宇宙)、17.8~18.6 GHz(下り・宇宙→地球)、18.8~19.3 GHz(下り・宇宙→地球)、Kaバンドの27.5~29.1 GHz(上り・地球→宇宙)、29.5~30 GHz(上り・地球→宇宙)の6帯域。
打ち上げ
前述の通りアリアンスペースによる最初の10基の打ち上げ予定は2018年初頭とされていたが2018年12月18日から2019年2月19日に延期された。アリアンスペースとは672基を21回のソユーズロケットによる打ち上げ(オプションで5回のソユーズと3回のアリアン6による打ち上げ)契約が交わされている[7]。ヴァージン・ギャラクティックとは228基を39回のLauncherOneによる打ち上げが行われる契約が[8] 、ブルーオリジンとは5回打ち上げる契約が交わされている[9]。
EarthNow
EarthNow社はベンチャーキャピタルIntellectual Venturesからスピンアウトして2017年に設立された衛星画像を手掛けるベンチャー企業で多数の衛星コンステレーションから地球のリアルタイムな観測映像を撮影し、配信するサービスを提供するプロジェクトを推進している。同社のサービスはワンウェブと親和性が高く、グレッグ・ワイラーや大株主のソフトバンク社やエアバス社そしてビル・ゲイツ等が2018年1月に出資していることがわかった。当初は政府や企業向けにサービス向けにハリケーンや台風の観測・気象予測や違法漁業の摘発、山火事や火山噴火の早期発見、野生動物の観察などに活用する用途を想定しているが、将来的には端末のアプリで数百万の顧客がリアルタイムで地球を見ることができることを目指している。創業者ラッセル・ハニガンCEOは「地球をライブかつ無修正で見て理解できるようになれば、われわれ皆が唯一の故郷をよりありがたく感じ、大切にするようになるはずだ」とコメントしている。サービスにはエアバス社がOneWeb向けに製造している人工衛星のアップグレード版を打ち上げる計画だがサービス開始時期は未定。[10][11]
沿革
- 2012年1月 - グレッグ・ワイラー(Greg Wyler)によりWorldVu Satellites Limitedとして設立される。
- 2014年5月 - L5(WorldVu)がかつてSkyBridgeに割り当てられたKuバンド/Kaバンド帯域を確保。[12][13]
- 2014年9月1日 - Googleから離脱。[14]
- 2015年1月15日 - OneWebに社名変更。Qualcomm VenturesとVirgin Groupから資金調達。[15][16] また打ち上げに関してアリアンスペース、ヴァージン・ギャラクティックと契約。[17]
- 2015年6月15日 - エアバス・ディフェンス・アンド・スペースと合弁でフロリダ州ココアにOneWeb Satellites設立。[18][19]
- 2015年6月25日 - ヴァージン・グループ、クアルコム、エアバス、バーティーエンタープライズ、インテルサット、コカコーラから5億ドル調達。[20]
- 2016年12月19日 - ソフトバンクグループが10億ドル出資し筆頭株主になる。[21]
- 2017年2月23日 - グレッグ・ワイラーが当初の衛星を売却し、4倍の2000機による衛星計画を披露。内訳は高度1万~2万kmのMEO(中軌道)にVバンド衛星1,280基、高度2000kmのLEOにKuバンド衛星720基。[22][23]
- 2017年2月28日 - インテルサットとワンウェブが条件付き合併に合意。ソフトバンクは合併を条件に17億ドル出資し合併後の新会社の39.9%株主となる予定であった。[24]
- 2017年6月1日 - インテルサット債権者との合併交渉決裂。[25]
- 2017年6月22日 - FCCにより米国内での衛星コンステレーションが承認される。[26]
- 2017年6月27日 - エアバスがフランス・トゥールーズ工場で衛星900機の量産開始。フロリダにも生産拠点が置かれる予定。[27]
関連項目
脚注
- ↑ “「全地球で200Mbpsの通信網」にソフトバンクが惚れたワケ──2019年にも実現、1100億円出資”. engadget (2017年2月9日). . 2017閲覧.
- ↑ “OneWeb(ワンウェブ)とはいかなる企業か?ソフトバンクが衛星通信事業に出資のワケ”. ビジネス+IT (2017年2月3日). . 2017閲覧.
- ↑ “ソフトバンクが10億ドル出資する宇宙企業「OneWeb」ってなんだ!?”. ハーバービジネスオンライン (2016年12月24日). . 2017閲覧.
- ↑ “ネット人口倍増へ、孫正義氏衛星に1400億投資”. 日経ビジネスオンライン (2016年12月22日). . 2017閲覧.
- ↑ “Bridging the digital divide with OneWeb”. airbus (2017年6月20日). . 2017閲覧.
- ↑ “700個の人工衛星によるインターネット「OneWeb」 FCCが認可”. http://sorae.jp+(2017年6月27日). . 2017閲覧.
- ↑ “OneWeb, Arianespace target December-February for first Soyuz launch”. spacenews (2018年8月27日). . 2018閲覧.
- ↑ “OneWeb Contract A Milestone For Virgin Galactic’s Smallsat Launch Effort”. spacenews (2015年6月25日). . 2018閲覧.
- ↑ “Blue Origin signs OneWeb as second customer for New Glenn reusable rocket”. spacenews (2017年3月8日). . 2018閲覧.
- ↑ “ソフトバンクやビル・ゲイツ氏、リアルタイム地球観測衛星のEarthNowに出資”. ITmedia エンタープライズ (2018年4月23日). . 2018閲覧.
- ↑ “リアルタイム地球観測のEarthNowにソフトバンクやビル・ゲイツ氏らが出資”. CNET Japan (2018年4月24日). . 2018閲覧.
- ↑ “Google-backed Global Broadband Venture Secures Spectrum for Satellite Network”. spacenews (2014年5月30日). . 2017閲覧.
- ↑ “Google Invests in Satellites to Spread Internet Access”. ウォールストリートジャーナル (2014年6月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “Google Satellite Employee Greg Wyler Leaves Company”. ウォールストリートジャーナル (2014年9月2日). . 2017閲覧.
- ↑ “Greg Wyler’s OneWeb Satellite-Internet Company Secures Funding”. ウォールストリートジャーナル (2015年1月14日). . 2017閲覧.
- ↑ “Qualcomm, Virgin Group Join OneWeb on Ambitious 648 SmallSat Constellation”. Via Satellite (2014年1月14日). . 2017閲覧.
- ↑ “OneWeb Wins $500 Million in Backing for Internet Satellite Network”. NBC NEWS (2015年6月25日). . 2017閲覧.
- ↑ “900機もの衛星で世界中でインターネットを可能にする計画をエアバスと英ヴァージン系スタートアップ「OneWeb」が実行へ”. Gigazine (2015年6月16日). . 2017閲覧.
- ↑ “OneWeb Taps Airbus To Build 900 Internet Smallsats”. spacenews (2015年6月15日). . 2017閲覧.
- ↑ “OneWeb secures $500m from Virgin, Qualcomm, Airbus and Bharti”. フィナンシャルタイムズ (2015年6月25日). . 2017閲覧.
- ↑ “ソフトバンク、衛星通信のワンウェブに10億ドル出資-筆頭株主に”. ウォールストリートジャーナル (2016年12月19日). . 2017閲覧.
- ↑ “OneWeb weighing 2,000 more satellites”. spacenews (2017年2月24日). . 2017閲覧.
- ↑ “1万機の衛星でインターネットをあまねく世界に! - スペースXが目論む次の一手”. マイナビ (2017年5月13日). . 2017閲覧.
- ↑ “ソフトバンク:ワンウェブとインテルサット合併へ-17億ドル出資”. Bloomberg (2017年2月28日). . 2017閲覧.
- ↑ “インテルサット債権者、ワンウェブとの合併計画を拒否-関係者”. Bloomberg (2017年6月1日). . 2017閲覧.
- ↑ “FCC Grants OneWeb US Access for Broadband Satellite Constellation”. FCC (2017年6月22日). . 2017閲覧.
- ↑ “まるでパン工場?エアバスが900機の衛星を量産開始”. sorae.jp (2017年6月28日). . 2017閲覧.