Dalvik仮想マシン
Dalvik仮想マシン(ダルビックかそうマシン)は、Androidプラットフォームで採用されていたレジスタベースの仮想マシン[1]。ダン・ボーンスタインおよびGoogle社のエンジニアによって設計・開発されていた。Android 5.0よりAndroid Runtime(ART)に置き換えられた。
概要
Dalvikは低メモリ環境に対して最適化されており、オペレーティングシステムによるプロセス間の分離、メモリ管理、スレッドのサポートを用いて複数のVMインスタンスが同時に動作できるよう設計されている。DalvikはJava仮想マシンとされることもあるが、動作するバイトコードがJavaバイトコードではないため、これは明らかに正確ではない。また、Java互換性テストを通過していないので、法的にもJavaを名乗れない。Android SDKに含まれる dx と呼ばれるツールが正規のJavaコンパイラでコンパイルされたJavaクラスファイルを別のファイル形式('.dex'形式)に変換する[2]。
Dalvik仮想マシンは、開発者のボーンスタインの先祖が居住していた、アイスランドのエイヤフィヨルズル (Eyjafjörður) にあるダルビック (Dalvík) という漁村にちなんで命名された[3][4]。
アーキテクチャ
低メモリシステムに最適化されているため、Dalvik VMには通常のJava VMとは異なる特徴がある[5]:
- Dalvik開発のために用いられたJava仮想マシンは、より少ないメモリを使用するようスリム化された。標準Cライブラリは再実装され、C++実装は例外処理をサポートしなくなった。
- Dalvik VMの定数プールは、インタプリタを簡略化するため32bitのインデックスのみ使用するよう改変された。
Android 2.1までのDalvik VMはジャストインタイムコンパイルをサポートしていなかったが、2.2からは搭載されている。
新たな .dex フォーマットがより簡潔なアーキテクチャを可能にしたため、より制限も多くなった。動的プログラミング言語をDalvik VM上で実行させたり、JITコンパイルを行うことも簡単ではない。
Dalvikは携帯電話メーカーがコアのVMの改変をソースコードの公開なしに行うことができるよう、OpenJDK (GPLリンク例外を用いている) ではなくApache Harmony (Apache Licenseで提供されている) のサブセットを用いている。
参考文献
- ↑ “What is Android?”. code.google.com. . 2008閲覧.
- ↑ “What is Android?: Android Runtime”. Google (2007年11月12日). . 2007閲覧. “The Dalvik VM executes files in the Dalvik Executable (.dex) format which is optimized for minimal memory footprint. The VM is register-based, and runs classes compiled by a Java language compiler that have been transformed into the .dex format by the included "dx" tool.”
- ↑ Journal entry
- ↑ “Google Calling: Inside Android, the gPhone SDK”. onlamp.com. . 2008閲覧.
- ↑ Rose, John (2008年5月31日). “with Android and Dalvik at Google I/O”. . 2017閲覧.
外部リンク
- Dalvik: how Google routed around Sun's IP-based licensing restrictions on Java ME
- Google and Sun may butt heads over Android
- Dalvik Executable format
- The town of Dalvik celebrates its namesake