陣定
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陣定(じんのさだめ)は、平安時代摂関期の朝議の形式のひとつ。左右近衛府の陣に公卿の座を設定し、大臣以下の公卿と四位の参議以上の議政官が出席して、外交・財政・叙位・受領任命・改元など、重要な政務が審議された。
近衛府の陣(主として左近衛府側)において招集されたので、会議の場を陣座(じんのざ)又は杖座(じょうざ)と呼称された。
概要
元々、陣は参内する公卿の待機場所として用いられたが、平安時代に朝廷の会議への天皇の臨席が減少すると、陣を公卿の会合の場所とすることも増加し、太政官で審議する会議も宜陽殿から西廂でつながっていた左近衛陣座に移された。『三代実録』の記事などから元慶年間に成立したとみられている[1]。
本来は非公式の会合であり、意思決定も統裁合議制に則って行われていたが、次第に実質上の政策決定機関となった。陣定は、上卿により主宰され、下位者から上位者の順序で発言がなされる。そして異論も併記された奏文が参議によりとりまとめられ、蔵人を通して天皇と摂政、または関白に奏聞され、決裁を受けた。当初は上位者から下位者の順序で発言する慣わしであったが、一旦上位者が発言すると下位者が委縮して異論を差し挟み難かったため、順序が入れ替えられたとされる。
脚注
- ↑ 川尻秋生「陣定の成立」吉村武彦 編『日本古代の国家と王権・社会』塙書房、2014年 ISBN 978-4-8273-1268-3