遠アーベル幾何学
遠アーベル幾何学(Anabelian geometry)は数学の理論であり、代数多様体 V 上の代数的基本群(algebraic fundamental group) G や関連する幾何学的対象を記述する。また、V をどのように他の幾何学的対象 W へ写像することができるかを決定する。いずれもより詳細な意味は、G がアーベル群から非常に遠い場合を前提とするという意味である。単語としての遠アーベル(アーベルの前に、接頭語である an がついたもの)は、1980年代のアレクサンドル・グロタンディーク(Alexander Grothendieck)の有名な著作であるEsquisse d'un Programmeで導入された[1]
グロタンディークの仕事は、多くの年月の間未出版であり、伝統的で公式の学術チャンネルを通しては入手できなかったが、提示された理論の定式化と予想は多くの注目を集め、多くの数学者の点により言い換えられている。この分野の研究者は、期待された結果や関連する結果を得ており、21世紀にはそのような理論が有効となり始めると期待される。
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曲線上のグロタンディークの予想の定式化
「遠アーベル的問題」とは次のように定式化される。
「 | 多様体 X の同型類についてのどのくらいの情報が、エタール基本群(etale fundamental group)の知識には含まれているのであろうか?[2] | 」 |
具体例は、多様体が射影的と同様にアフィン的な場合である。有限生成な体 K (その上の素体)上に定義された滑らかで既約な場合を想定し、与えられた双曲線 C に対し、つまり、種数 g の射影代数曲線内の n 個の点の補空間に対し、
- 2 – 2g – n < 0
とする。グロタンディークは、射有限群である C の代数的基本群 G が C 自身を決定する(つまり G の同型類が C の同型類を決定する)と予想した。このことは望月新一により証明された[3] g = 0(射影直線)で n = 4 の場合の例が与えられ、このとき、C の同型類が K の中の削除される 4つの点の連比により決定される。(ほとんど、連比で 4つの点の順序であるが、点を取り去ると存在しない。)[4] K が局所体の場合の結果もある[5]。
関連項目
脚注
- ↑ Alexander Grothendieck, 1984. "Esquisse d'un Programme", (1984 manuscript), published in "Geometric Galois Actions", L. Schneps, P. Lochak, eds., London Math. Soc. Lecture Notes 242, Cambridge University Press, 1997, pp. 5–48; English transl., ibid., pp. 243–283.
- ↑ http://www.math.jussieu.fr/~leila/SchnepsLM.pdf, p. 2.
- ↑ S. Mochizuki, The profinite Grothendieck conjecture for hyperbolic curves over number fields, J. Math. Sci. Univ. Tokyo 3 (1996), 571–627.
- ↑ http://www.math.okayama-u.ac.jp/~h-naka/zoo/lion/INanabel.pdf, p. 2.
- ↑ http://www.math.uiuc.edu/documenta/vol-kato/mochizuki.dm.pdf
外部リンク
- Heidelberg Lectures on Fundamental Groups, section 5.