虚飾
バニティー(英語:Vanity)とは、一般的には自分自身の能力や他の人に与える魅力を過度に信じていること。実質を伴わない外見だけの飾り。虚飾・虚栄心の意味である。14世紀以前では、ナルシシズムの要素は無く、単に無価値(futility)を意味していた[1]。
哲学の分野では、バニティーは利己主義と傲慢という広い意味を持っている。フリードリヒ・ニーチェ等の哲学者がバニティーについて言葉を残している[2]。
今日の多くの宗教では、バニティーは自己崇拝として考えられており、自分のイメージのために、神の偉大さに自らの自己をなぞらえ、そしてこれより分離し、長い時間の中で神と神の恩寵から離れていく。キリスト教の教えでは、バニティーは七つの大罪の一つ傲慢の一例と考えられている。
象徴性
西洋美術では、虚栄心を多くの場合聖書の大淫婦バビロンや孔雀によって表される。ルネサンス期、虚栄心はソファの上に着席または横たわる裸の女性としてあらわされた。彼女は髪に櫛を身に着け鏡と共に描かれた。鏡は時々悪魔や天使によって保持されている。虚栄心のシンボルは宝石、金貨、財布、そして多くの場合、それらや自身の死が含まれる。
七つの大罪
vaingloryは、しばしば虚栄心の古代の同義語と見なされているが、こちらはもとは無駄な誇り、すなわち根拠のない自慢を意味していた[3]。
七つの大罪の前身とも言えるevil thoughts(枢要罪?)のひとつがVanagloria(vainglory)である。AD 590年、グレゴリウス1世により、枢要罪が八つから七つに改正され、「虚飾」が「傲慢」の一部として考えられた。また、同時に枢要罪の「怠惰」と、「憂鬱」も同一化され、「嫉妬」が追加されることで現在の七つの大罪となっている[4][5]。
関連用語
- グロリア(ラテン語:gloria)は、多くの場合栄光を意味するが、しばしば自慢などの否定的な意味合いで使われていた[6]。
- ヴァニタス - 人生の空しさを表した芸術のモチーフ
- 虚栄の焼却 - 15世紀ごろのフィレンツェで虚飾のドレス等が祭りでかがり火として燃やされた。
- ヒュブリス - 神に対する侮辱や無礼な行為などへと導く極度の自尊心や自信を意味する。
- バニティ・フェア
- 自我
出典
- ↑ オックスフォード英語辞典, on vanity
- ↑ Bartleby.com
- ↑ オックスフォード英語辞典, on vainglory
- ↑ DelCogliano, Mark (2014-11-18). Gregory the Great: Moral Reflections on the Book of Job, Volume 1. Cistercian Publications. ISBN 9780879071493.
- ↑ Tucker, Shawn R. (2015-02-24). The Virtues and Vices in the Arts: A Sourcebook. Cascade Books, an Imprint of Wipf and Stock Publishers.
- ↑ オックスフォード英語辞典, on glory