技能士
技能士(ぎのうし)とは、技能検定に合格した人に与えられる国家資格[1]である。技能検定に合格しないと名乗ることはできない名称独占資格であり、合格せず名乗った場合は法律で罰せられる。
技能士は、職業能力開発促進法第50条に規定されている。労働技能の認定は厚生労働省が所管し、中央職業能力開発協会に委託されたものを各都道府県職業能力開発協会が試験実施すること(都道府県方式)が多いが、一部の職種では厚生労働大臣が指定している民間の指定試験機関により実施される(指定試験機関方式)。 等級として、特級、1級、2級、3級の区分がある職種と、単一等級のみで区分がない職種がある。また、外国人研修制度や技能実習制度の外国人の研修生や実習生に対しては、「基礎級」として、基礎1級、基礎2級、随時3級の区分がある。職種の中で作業や業務の内容によって分類されている職種もある。
技能士(ただし、民間の指定試験機関が実施する職種を除く)には、厚生労働大臣から級に応じて合格証書の交付と「技能士章」(旭日章の中央に“技”の一文字入りバッジ 特級:文字部分白抜きの金色、1級:全体が金色、2級:全体が銀色、3級:全体が銅色)が交付される[2]。
Contents
恩恵
1級、および、単一技能等級の技能検定合格者は、当該職種の職業訓練指導員免許を取得することができる[3]。2級の技能検定合格者は、職業訓練指導員試験の実技試験が免除される。
また、建設業については建設業法第7条第2号ハの知識及び技術又は技能を有するものと認められる者、解体業については解体工事業に係る登録等に関する省令第7条1項のホの技術管理者になることができる。ただし、技能士の資格と同じ名前の建設業に該当しない場合もあるので、建設業の業種と該当する技能士を確認のこと。
各法令に基づき、技能士に付与される資格がある。技能士によって受験資格が得られたり、一部免除が得られる資格[2]もあったり、国土交通省が発注する官庁営繕工事で指定する職種には一級技能士現場常駐制度[4]を設けて技能士の社会的地位を高めるようにしている。1級技能検定合格者や単一等級技能検定合格者は技能グランプリへの参加資格が得られる。
技能士一覧
都道府県職業能力開発協会により実施される職種
2017年4月現在、以下の111職種がある。
建設関係
- 造園技能士
- さく井技能士
- 建築板金技能士
- 冷凍空気調和機器施工技能士
- 石材施工技能士
- 建築大工技能士
- 枠組壁建築技能士
- かわらぶき技能士
- とび技能士
- 左官技能士
- 築炉技能士
- ブロック建築技能士
- エーエルシーパネル施工技能士
- タイル張り技能士
- 配管技能士
- 厨房設備施工技能士
- 型枠施工技能士
- 鉄筋施工技能士
- コンクリート圧送施工技能士
- 防水施工技能士
- 樹脂接着剤注入施工技能士
- 内装仕上げ施工技能士
- 熱絶縁施工技能士
- カーテンウォール施工技能士
- サッシ施工技能士
- 自動ドア施工技能士
- バルコニー施工技能士
- ガラス施工技能士
- ウェルポイント施工技能士
- 塗装技能士
- 路面標示施工技能士
- 広告美術仕上げ技能士
窯業・土石関係
金属加工関係
一般機械器具関係
電気・精密機械器具関係
食料品関係
衣服・繊維製品関係
木材・木製品・紙加工品関係
プラスチック製品関係
貴金属・装身具関係
印刷製本関係
その他
指定試験機関により実施される職種
2017年10月現在、以下の17種がある[5]。
職種等の見直し
受験者の減少や、業界団体の協力が得られない事などを理由に「技能検定の職種等の見直しに関する専門調査委員会」により定期的に見直しされ、職種の廃止や統合など定期的にされていく[8]。
- 廃止・統合された職種の技能士はCategory:廃止された技能士を参照。
脚注
- ↑ 国家資格一覧(中央教育審議会生涯学習分科会資料)
- ↑ 2.0 2.1 技能検定合格者の資格の活用について(厚生労働省)
- ↑ ただし、職業訓練指導員免許に技能検定の当該職種が存在しない場合は、職業訓練指導員免許を取得することはできない。
- ↑ 一級技能士現場常駐制度
- ↑ 指定試験機関一覧(厚生労働省)
- ↑ フィットネスクラブ・マネジメント技能検定(日本フィットネス産業協会)
- ↑ 接客販売技能検定(日本百貨店協会)
- ↑ 技能検定の職種等の見直しに関する専門調査委員会報告書(厚生労働省)