安楽死
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安楽死(あんらくし、英語:euthanasia)
オイタナジー Euthanasiaの訳語。古くから用いられて来たことばであり,多様な意味をもつ。(1) 積極的安楽死,(2) 間接的安楽死,(3) 消極的安楽死,の三つに分類されることもあり,(1)は苦痛を除く手段がない患者の命を薬剤投与などで意図的・積極的に縮める行為,(2)は苦痛緩和療法で麻薬などを与えた結果として死期を早める行為,(3)は苦痛を長引かせないよう医療行為を控えたり延命治療を中止したりして死期を早める行為,とされている。(3)は尊厳死と同義とする見解もある。国内外で社会的に問題となるのは,ほとんどが (1)の事例である。自殺幇助(自殺関与罪)あるいは殺人(殺人罪)との区別が難しい。自殺幇助を許容しているスイスなど (1)を違法としない国もあるが,日本国内で適法とされた例はなく,安楽死事件として取り上げられる場合が多い。1962年に名古屋高等裁判所(山内判決)が,1995年に横浜地方裁判所(東海大学安楽死判決)が (1)を適法とする要件を示した。よく引用されるのは後者で,要件として (a) 耐えがたい肉体的苦痛の存在,(b) 死期の切迫,(c) 患者の明確な意思表示の存在,(d) 苦痛除去・緩和の手段がない,の四つがあげられる。ただし,患者の苦痛を除去・緩和する技術の向上によって,これらの要件はすでに役割を終えたとの指摘もある。(死)