命題関数
命題関数 ( めいだいかんすう、英:propositional function ) とは、数理論理学において、終集合が真な命題と偽な命題とだけから成る集合に等しいような写像である。
定義
命題関数を定義する為に次の 2 つの記号を用いる。
- 真な命題を表わす記号 : [math]\curlyvee[/math]
- 偽な命題を表わす記号 : [math]\curlywedge[/math]
L0 を [math]\curlyvee[/math] と [math]\curlywedge[/math] とだけから成る集合とする。また、D を固定された空でない 1 つの集合とする。そのとき、n 個の D の直積 [math]\prod_{i=1}^n D[/math] から L0 への写像を n 変数の命題関数という。命題関数をまた述語、性質、条件ともいう。n 変数の命題関数をまた n 項関係ともいう。集合 D を議論領域といい、D の各元を対象という。
例
議論領域 D は自然数全体から成る集合に等しいとする。また、集合 L0 において、真理関数 ¬、∨ が定義されているとする。
D から L0 への写像 F を次の等式で定義すれば、F は 1 変数の命題関数となる。 テンプレート:Indent2
D×D から L0 への写像 G を次の等式で定義すれば、G は 2 変数の命題関数となる。 テンプレート:Indent2 2 項関係 R(n,m) をしばしば nRm と書く。従って、上の G(n,m) を nGm と書いても良い。
D×D の各元 (n,m) に対して L0 の元 (¬G(n,m))∨G(n,m) を対応させれば、2 変数の 1 つの命題関数が得られる。
限定作用素
F(x) を 1 変数の命題関数とするとき、命題 ∀xF(x) と ∃xF(x) とは以下の等式で定義される。
∀x 、∃x をそれぞれ全称作用素、存在作用素といい、それらをまとめて限定作用素という。∀、∃ をそれぞれ全称記号、存在記号という。命題 ∀xF(x) は 「 全ての対象 x に対して F(x) が成り立つ 」 を意味し、命題 ∃xF(x) は 「 F(x) を満たす対象 x が ( 少なくとも 1 つ ) 存在する 」 を意味する。
例
議論領域 D は整数全体から成る集合に等しいとする。
1 変数の命題関数 F(n) を次の等式で定義する。 テンプレート:Indent2 F(1) = [math]\curlyvee[/math] は正しくないので、F(n) = [math]\curlyvee[/math] は恒等式でない。よって、∀nF(n) = [math]\curlywedge[/math] である。また、F(2) = [math]\curlywedge[/math] は正しくないので、F(n) = [math]\curlywedge[/math] は恒等式でない。よって、∃nF(n) = [math]\curlyvee[/math] である。
関連項目
参考文献
- 前原昭二、復刊 数理論理学序説、共立出版株式会社、2010。