化学反応式
化学反応式(かがくはんのうしき、英語: chemical equation)とは、物質の化学変化、すなわち化学反応を表現する為の図表である。通常、化学反応式中で物質は化学式を用いて表され、物質の間での化学量論的な関係を表したり、反応機構や化学反応前後での物質の構造変化を表現したりする。
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概要
化学反応では反応前の化学物質を反応物 (reactant)、反応後の化学物質を生成物 (product)といい、以下の化学反応式で表される。テンプレート:Equation box 1 化学反応式の左辺を原系または反応系、右辺を生成系と呼ぶことがある。生成物は右側に書く。また反応物や生成物が複数ある場合には + で繋ぐ。
具体例
例えば反応物である
が化学反応して生成物である
ができあがる状況を示した化学反応式は
テンプレート:Equation box 1 と表記される。
様々な矢印
反応物から生成物をつくる化学反応の際には、逆に生成物から反応物をつくる化学反応も同時に起こっている。前者のほうが後者よりも反応速度が速い場合は、最終的に生成物のみができあがることになるが、両者の反応速度が釣り合っていると反応物と生成物が混在した状態で釣り合う事になる(これを化学平衡という)。
このような逆向きの化学反応がある事を強調したい場合は、化学反応式の矢印は「[math]\ce{->}[/math]」ではなく「[math]\ce{<=>}[/math]」にする。たとえば以下のように表記される:テンプレート:Equation box 1
また、反応によって気体が発生する場合、その気体の化学式の右側に↑を書いたり、また析出(沈殿)する物質の化学式の右側には↓を書いたりすることもある。化学反応式と関連するものに熱化学方程式やイオン反応式、半反応式などがある。
化学量論的反応式
量的関係を化学量論に基づいて化学反応式で表す場合、各物質は組成式で表すのが普通である。 反応式中の組成式には倍数比例の法則と定比例の法則に従うように係数が付与される。係数(化学量数または化学量論係数、stoichiometric number)には既約となる整数を用い(ただし1の場合は無表記)、後者の法則より右辺と左辺の各原子について種類と総数はそれぞれ等しくしなければならない。
例えば、炭素 (C) を用いて酸化銅(II)(CuO) を還元し、二酸化炭素 (CO2) と銅 (Cu) を生成する反応は
- <ce>{2CuO} + C -> {2Cu} + CO2 </ce>
と表される。
熱化学方程式
熱化学方程式(ねつかがくほうていしき、英語: thermochemical equation)とは、化学反応におけるエネルギー収支を化学方程式で表記したものである。エネルギー収支は右辺に式量当りの発生熱量を示す。したがって、発熱反応の場合は正の値、吸熱反応の場合は負の値で示される。
半反応式
半反応式は酸化還元反応で使用される化学反応式の形式である(電子 e− を含む式)。
酸化還元反応では酸化反応と還元反応とが共役している。したがって、酸化反応と還元反応とを強調したい場合は、それぞれの反応式に分割して示すことがある。これを半反応式と呼ぶ。その結果、半反応式では電子の当量が右辺と左辺とでつりあわない。つりあわない分が、酸化反応から還元反応に渡される電子の当量になっている。
関連項目
- 定比例の法則
- 倍数比例の法則
- 化学反応の一覧
- Stoichiometry Add-In for Microsoft Excel for calculation of molecular weights, reaction coëfficients and stoichiometry.