リン酸水素二ナトリウム

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リン酸二ナトリウム (Disodium phosphate:DSP)またはリン酸水素二ナトリウム (sodium hydrogen phosphate)は、化学式Na2HPO4で表される無機化合物である。3種類あるナトリウムのリン酸塩English版の中の1つである。この塩は、無水物と2、7、8、12の水和物が知られており、全て水溶性の白い粉末である。無水物は吸湿性がある[1]

酸・塩基としての性質 

リン酸水素二ナトリウムの溶液のpHは8.0から11.0の間であり、弱塩基である。

<ce>HPO4^{2-}\ + H2O\ \rightleftarrows \ H2PO4^-\ + OH^-</ce>

調製と反応

リン酸水酸化ナトリウム中和すると得られる。

<ce>H3PO4 + 2 NaOH -> HNa2PO4 + 2 H2O</ce>

工業的には次の2つのステップを経て合成される。まず リン酸水素カルシウムEnglish版硫酸水素ナトリウムを反応させ、リン酸二水素ナトリウムと硫酸カルシウムを作る[2]

<ce>CaHPO4\ + NaHSO4 -> NaH2PO4\ + CaSO4</ce>

次に、それを水酸化ナトリウムで部分的に中和する。

<ce>NaH2PO4\ + NaOH -> HNa2PO4\ + H2O</ce>

利用

リン酸水素二ナトリウムは食品中のリン酸ナトリウムと水の軟化剤を混合するために用いられる。食品内ではpH調整剤として用いられる。コンデンスミルクの調整時に、牛乳が凝固するのを防ぐ働きがある。また同様に、固化防止剤としても用いられる[3]。例えばプリンなどのデザートで調理時間を短くするために用いられるクリーム・オブ・ウィートEnglish版や、 ジェル-OEnglish版インスタント・プリンEnglish版増粘安定剤として用いられている。また、洗剤中の カルシウムが固まって目詰まりEnglish版するのを遅らせる効果もある[2]

リン酸水素二ナトリウムを加熱すると脱水縮合し、二リン酸ナトリウムEnglish版が得られる。

<ce>2HNa2PO4 -> Na4P2O7\ + H2O</ce>

リン酸水素ナトリウムとリン酸二水素ナトリウムは便秘を治したり、大腸内視鏡検査の前にをきれいにしたりするために経口腸管洗浄剤として用いられる[4]

脚注

  1. Physical data (pdf)
  2. 2.0 2.1 Klaus Schrödter, Gerhard Bettermann, Thomas Staffel, Friedrich Wahl, Thomas Klein, Thomas Hofmann "Phosphoric Acid and Phosphates" ウルマンの産業化学百科事典English版 2008年 ウィリー-VCHEnglish版 ヴァインハイム. doi:10.1002/14356007.a19_465.pub3
  3. MSDS
  4. Sodium Phosphate, Dibasic, Sodium Phosphate, Monobasic Oral solution - Krames Online