アンチテーゼ
アンチテーゼ(ドイツ語: Antithese)とは、最初の命題の反対の命題で、直接的に対照をなすもの。正反対とも。反対の設定の中で、おのおのは表現の明確な対照によって、意味(定義、解釈、意味論など)の対照も引き出す。語源はギリシャ語の ἀντί(対する)+ θέσις(位置)。
弁証法のアンチテーゼ
弁証法のもっとも単純な説明は、テーゼ(命題、定立)、アンチテーゼ(反対命題、反定立)、ジンテーゼ(統合命題)である。たとえば、「地獄」は「天国」のアンチテーゼ、「無秩序」は「秩序」のアンチテーゼである。通常釣り合いの取れた、対照的概念の並列である。
修辞学のアンチテーゼ
修辞学では、アンチテーゼは一般的に対照法、対句法と訳される。言葉・節・文の中で、明白な対照によって、概念の対照を述べることを要件とする修辞技法である。文法的にもパラレルな構造を持っている。
- 黙っていないといけない時には君は喋り、
- 喋らないといけない時には君は黙る。
対照法は時には、構造も対照的に交錯することもある。(交錯配列法も参照)
- 黙っていないといけない時には君は喋る。
- 君が黙るのは喋らないといけない時。
対照法を豊かに使った作家には、イングランドでは、アレキサンダー・ポープ、サミュエル・ジョンソン、エドワード・ギボンらがいる。顕著な例としては、ジョン・リリーの『ユーフュイーズ』(Euphues)がある。しかし、フランスでは対照法はイングランド以上に一般的に使われた。一方ドイツでは一部の例外を除けばあまり使われなかった。
対照法の最も有名な例は、次のことわざだろう。
- Man proposes: God disposes(人が計画し、神が決める)
もし言葉が、頭韻法のようにビートが弱まるか、それに似た響きの上にあるのであれば、対照法の効果は増大し、普通の使い方よりも、要点をついた生き生きした表現になる。
フィクションのアンチテーゼ
フィクションでは、アンチテーゼは性格、道徳観などがまったく正反対のキャラクター同士を描写することに使うことができる。しかし、これは必ずしも両者が争っていることを意味しない。
キリスト教のアンチテーゼ
キリスト教のAntithesis of the LawについてはExpounding of the Lawを参照。
参考文献
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