アルフレッド・マーシャル
マーシャル Marshall, Alfred
[生] 1842.7.26. ロンドン
[没] 1924.7.13. ケンブリッジ
イギリスの経済学者,ケンブリッジ学派の始祖。ケンブリッジのセント・ジョーンズ・カレッジで数学を専攻し,1865年第2位で卒業して同カレッジのフェローに選ばれた。
77~81年ブリストルのユニバーシティ・カレッジの学長兼経済学教授,83~85年オックスフォードのベリオル・カレッジのフェロー兼経済学講師を経て,85年ケンブリッジ大学教授。 90年王立経済学会の設立やその機関紙"Economic Journal"の発刊にも尽力し,91~94年王立労働委員会委員をつとめる。最初は分子物理学の研究を意図したが,グロート・クラブに加入した頃 (1867) から社会の貧困問題を契機に哲学,倫理学,心理学を研究し,70年代初めに経済学に定着。その後は理論面の研究を進める一方,新興国における保護主義の実情視察のため渡米,この頃からアメリカ,ドイツの台頭によってイギリスの産業上の主導権の急速な失墜に関心をもつようになった。
主著『経済学原理』 Principles of Economic (90) の公刊で経済学者として不動の地位を確立したが,その基礎となった処女作であり,夫人 M.P.マーシャルとの共著"The Economic of Industry" (79) も注目されている。彼の経済学はしばしば部分均衡理論として特徴づけられているが,これはその供給面の分析,特に時間要素の取扱いと密接な関連をもつ。
長期にわたる研究の成果である『産業貿易論』 Industry and Trade: A Study of Industrial Technique and Business Organization,and Their Influences on the Conditions of Various Classes and Nations (1919) と『貨幣・信用及び商業』 Money,Credit and Commerce (23) もマーシャル経済学の必読書。