「鬼界カルデラ」の版間の差分

提供: miniwiki
移動先:案内検索
(1版 をインポートしました)
 
1行目: 1行目:
[[ファイル:Kikai Caldera Relief Map, SRTM, Japanese.jpg|thumb|鬼界カルデラの位置]]
 
[[ファイル:2015 Satsuma-Iojima Iodake.jpg|thumb|[[硫黄島 (鹿児島県)|薩摩硫黄島]]硫黄岳。2015年5月。東方より。<br />ステレオ写真は[[:ファイル:Iodake stereo 150501 1031 & 150501 1033.jpg|こちら]]]]
 
'''鬼界カルデラ'''(きかいカルデラ)は、[[薩摩半島]]から約50km南の[[大隅海峡]]にある[[カルデラ]]<ref name="asahi20170331">[http://www.asahi.com/articles/ASK305H97K30PLBJ002.html 鬼界カルデラに特大の溶岩ドーム 超巨大噴火後に形成か] [[朝日新聞]]、2017年3月31日閲覧。</ref>。[[薩南諸島]]北部にある[[硫黄島 (鹿児島県)|薩摩硫黄島]]、[[竹島 (鹿児島県)|竹島]]がカルデラ北縁に相当する。薩摩硫黄島はランクAの[[活火山]]に指定されている。
 
  
== 地形 ==
+
'''鬼界カルデラ'''(きかいカルデラ)
カルデラは東西約21km、南北約18km楕円形であり、約7,300年前の噴火で形成された内側のカルデラと、それ以前に形成された外側のカルデラの二重となっている。カルデラ底部の水深は400-500m、海底には多数の[[海底火山]]があり起伏に富んだ地形になっている。カルデラ[[外輪山]]として竹島、硫黄島が海面上にある。硫黄島の[[硫黄島 (鹿児島県)#硫黄岳|硫黄岳]]、稲村岳、及び[[昭和硫黄島]]は[[カルデラ#後カルデラ火山|後カルデラ火山]]。外輪山の矢筈岳、硫黄島西部の平坦部は[[カルデラ#先カルデラ火山|先カルデラ火山]]。硫黄島から南東方向の中心部付近には海底の高まりがあり、後カルデラ火山活動によって形成された[[中央火口丘]]と推定される。このうち一つの浅瀬は海面上にあり、3つの岩礁からなっている。神戸大などの研究チームが2016年から2017年にかけて行った海底調査では直径約10km、高さ約600m、体積約40km<sup>3</sup>の溶岩ドームを確認した<ref name="asahi20170331" />
 
<ref>
 
{{Cite journal
 
|author = 巽好幸
 
|author2= 鈴木桂子
 
|author3= 松野哲男
 
|author4= 市原寛
 
|author5= 島伸和
 
|author6= 清杉康司
 
|author7= 中岡玲奈
 
|author8= 中東和夫
 
|author9= 滝沢秀明
 
|author10= 林和輝
 
|author11= 千葉達朗
 
|author12= 清水賢
 
|author13= 佐野守
 
|author14= 井和丸光
 
|author15= 両角春寿
 
|author16= 杉岡裕子
 
|author17= 山本揚二朗
 
|date = 2018-02-09
 
|title = Giant rhyolite lava dome formation after 7.3 ka supereruption at Kikai caldera, SW Japan
 
|journal = Nature Scientific Reports.
 
|publisher = Macmillan Publishers
 
|location =
 
|issn = ISSN
 
|doi =
 
|naid =
 
|pmid =
 
|id =
 
|url = https://www.nature.com/articles/s41598-018-21066-w?error=cookies_not_supported&code=eec1455d-a81e-42ff-a31b-8af1748bba90
 
|accessdate = 2018-02-09
 
|quote =
 
}}
 
</ref>。
 
  
== 主な噴出物 ==
+
鹿児島県口之三島(くちのみしま)の硫黄島(いおうじま)(鬼界ヶ島)北西部から竹島を北縁とする東西約23キロメートル、南北約16キロメートル、面積約233平方キロメートルのカルデラ。1943年(昭和18)に地質学者松本唯一(ただいち)が提唱した、九州中部~南部に連なる阿蘇型大カルデラ群(あそがただいかるでらぐん)の一つ。この地域の基盤岩を覆う火砕流堆積物(たいせきぶつ)の分布や、海底地形から推定したもので、更新世(洪積世)末期、大噴火後に山体が陥没してできたと考えられる。カルデラ内に稲村岳、硫黄岳、1935年誕生の新硫黄島がある。
* 約96万年前
 
** 安房[[テフラ]](Anbo)<ref name="Ito">{{Cite journal |date= 2015  |url= https://www.jstage.jst.go.jp/article/geosocabst/2015/0/2015_107/_article/-char/ja/ |title= 屋久島に分布するテフラのU-Th-Pb年代測定から推定された鬼界カルデラの活動史 |author= 伊藤ほか |publisher=日本地質学会 |accessdate= 2017-05-08 |journal= 第122年学術大会(2015長野) セッションID: R3-O-4 | doi=0.14863/geosocabst.2015.0_107 }}</ref>
 
* 約63万年前
 
** 小瀬田[[火砕流]](Ksd):[[屋久島]]や[[種子島]]に層厚10m以上で分布する火砕流堆積物。分布範囲、[[ジルコン]]から鬼界カルデラが供給源と推定されている<ref name="Ito"/>。
 
* 約14万年前
 
** 小アビ山火砕流(Kab):硫黄島と竹島に分布している[[流紋岩]]質の[[火砕流]]堆積物。層厚は竹島で20-100m、硫黄島で数-50m。最下層に降下[[軽石]]層があり、下部の火砕流堆積物は強く[[溶結凝灰岩|溶結]]している。
 
* 約9万5000年前
 
** 長瀬火砕流:軽石を含む流紋岩質の火砕流堆積物。非溶結で大量の[[火山豆石]]を含む。
 
** 鬼界葛原(きかいとずらはら)火山灰(K-Tz):長瀬火砕流から巻き上げられた[[火山灰]](Co-ignimbrite ash)。九州地方から関東地方にかけて分布する[[テフラ#広域テフラ|広域テフラ]]で、長瀬火砕流と合わせた総体積は約150km<sup>3</sup>(138km<sup>3</sup> DRE)。
 
* 約16,000-9,000年前
 
** 籠港降下火山灰累層(K-Ko):[[玄武岩]]~[[安山岩]]質の溶岩からなる降下軽石・[[スコリア]]層群。[[ブルカノ式噴火]]によって形成されたと推定されている。硫黄島での全体の厚さは約40m。
 
* 約9,000-7,300年前
 
** 長浜溶岩流(NGH):硫黄島西部の平坦部を構成する流紋岩質の[[溶岩流]]で、海面からの層厚は80m以上にも及ぶ。下部は垂直で太い不規則な[[柱状節理]]が発達している。
 
* 約7,300年前(暦年補正)
 
** 船倉(幸屋)降下軽石(K-KyP):体積は約20km<sup>3</sup>(12.8km<sup>3</sup> DRE)。
 
** 船倉火砕流
 
** 竹島(幸屋)火砕流(K-Ky):体積は約50km<sup>3</sup>。
 
** [[鬼界アカホヤ火山灰]](K-Ah):体積は約100km<sup>3</sup>(竹島火砕流と合わせて84km<sup>3</sup> DRE)。
 
** 合計総体積約170km<sup>3</sup>(96.8km<sup>3</sup> DRE)<ref group="注">資料によっては6,300年前と記載しているものがある。これは、[[放射性炭素年代測定]]で暦年補正を行っていない場合の年数である。また、食料を求めて火山灰の無い地域へ移り住み絶滅を免れたとする説もある。西日本、特に九州の[[先史時代]]から[[縄文]]初期の文明も、この噴火で絶滅したと考えられている。</ref><ref>{{Cite web |url=http://www.kazan.or.jp/J/QA/br/qab-54.html |title=Question #5960 |work=火山についてのQ&A集 |publisher=特定非営利活動法人[[日本火山学会]] |accessdate=2007-05-18 }}<!--2015年9月5日にurlを差し替え--></ref><ref name="asahi20170331" />。
 
* 約7,300年以降(後カルデラ火山)
 
** 約6,000年前-現在
 
*** 硫黄岳火山:流紋岩質の溶岩ドーム群からなる[[複成火山]]。[[降下火砕物]]、火砕流などを噴出。
 
** 約3,900-3,200年前
 
*** 稲村岳火山:一見[[単成火山]]の[[スコリア丘]]のように見えるが、玄武岩質のスコリア・溶岩流からなる[[成層火山]]。
 
  
== 有史以降の火山活動 ==
+
{{テンプレート:20180815sk}}
* [[1934年]](昭和9年)-[[1935年]](昭和10年):硫黄島から約2km東方で海底噴火。
 
: 直径約300m、標高約50mの[[昭和硫黄島]]が形成された。
 
* [[1936年]](昭和11年):薩摩硫黄島の硫黄岳で噴煙を観測。
 
* [[1988年]](昭和63年):薩摩硫黄島の硫黄岳で噴煙を観測。
 
* [[1999年]](平成11年)-[[2004年]](平成16年):薩摩硫黄島の硫黄岳で断続的に噴火。
 
 
 
== 研究史 ==
 
昭和初期に付近の島々を調査した地質学者の松本唯一は、ここに巨大なカルデラが存在していることを指摘し[[鬼界ヶ島]]にちなんで'''鬼界火山'''と名付け<ref>「[[#鹿児島湾の特異性|鹿児島湾の特異性]]」『九州山岳 第2号』 {{要ページ番号|date=2015年9月}}</ref>、[[1943年]]に'''鬼界カルデラ'''として学会に提唱した。[[1976年]]には[[鬼界アカホヤ火山灰|アカホヤ]]と呼ばれていた地層がこのカルデラを起源としていることが確認された<ref>『[[鬼界カルデラ#火山灰は語る|火山灰は語る]]』 Ⅳ 富士テフラの間から発掘された九州の巨大噴火 163頁-208頁</ref>。[[2016年]]から[[2017年]]かけて行われた海底調査の結果、直径約10km、高さ約600m、体積約30平方kmにもなる巨大な[[溶岩ドーム]]が確認され、現在も活発な噴火活動が続いている。
 
 
 
== 日本ジオパーク ==
 
2015年9月4日に、[[三島村・鬼界カルデラジオパーク]]として「[[日本ジオパーク]]」に認定された<ref>{{Cite news |url=http://www.47news.jp/CN/201509/CN2015090401001963.html |title=日本ジオパークに栗駒など3地域 世界への白山手取川推薦見送り |newspaper=[[47NEWS]] |publisher=[[時事通信]] |date=2015-09-04 |accessdate=2015-09-05 }}</ref><ref>{{Cite news |url=http://www.yomiuri.co.jp/local/kagoshima/news/20150904-OYTNT50172.html |title=三島村・鬼界カルデラがジオパークに 認定の報に大きな拍手 |newspaper=[[読売新聞]] |date=2015-09-05 |accessdate=2015-09-05 }}</ref>。
 
 
 
== 出典 ==
 
<references group="注"/>
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[鬼界アカホヤ火山灰]]
 
* [[破局噴火]]
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book |和書 |author=[[町田洋 (火山学者)|町田洋]] |title=火山灰は語る - 火山と平野の自然史 |publisher=蒼樹書房 |year=1979 |isbn=978-4-7891-1017-4 |ref=火山灰は語る }}
 
* {{Cite book |和書 |author=松本唯一 |editor=新島章男編 |title=九州山岳 第2集 |publisher=朋文堂 |year=1942 |chapter=鹿児島湾の特異性 |id={{全国書誌番号|46049440}}、{{NCID|BA67622601}} |ref=鹿児島湾の特異性 }}
 
* {{Cite book |和書 |editor=[[NHKスペシャル]]「日本人」プロジェクト編 |title=日本人はるかな旅2 巨大噴火に消えた黒潮の民 |publisher=[[NHK出版]] |series=NHKスペシャル |date=2001-09 |isbn=978-4-14-080624-1 |ref=日本人はるかな旅2 }}
 
* {{Cite book |和書 |editor=[[貝塚爽平]]ほか編 |title=日本の地形7 九州・南西諸島 |publisher=[[東京大学出版会]] |date=2001-12 |isbn=978-4-13-064717-5 }}
 
* {{Cite book |和書 |author=町田洋 |author2=新井房夫 |title=新編火山灰アトラス - 日本列島とその周辺 |publisher=東京大学出版会 |date=2003-09 |isbn=978-4-13-060745-2 }}
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.data.jma.go.jp/svd/vois/data/fukuoka/508_Satsuma-Iojima/508_index.html 気象庁 薩摩硫黄島情報ページ]
 
* [https://gbank.gsj.jp/volcano/Act_Vol/satsumaioujima/vr/index.html 産業技術総合研究所 火山研究解説集:薩摩硫黄島]
 
* [http://mishima.link/ GO! MISHIMA 三島村・鬼界カルデラジオパーク]
 
 
 
{{大噴火}}
 
 
{{デフォルトソート:きかいかるてら}}
 
{{デフォルトソート:きかいかるてら}}
 
[[Category:海底火山]]
 
[[Category:海底火山]]

2019/6/27/ (木) 16:14時点における最新版

鬼界カルデラ(きかいカルデラ)

鹿児島県口之三島(くちのみしま)の硫黄島(いおうじま)(鬼界ヶ島)北西部から竹島を北縁とする東西約23キロメートル、南北約16キロメートル、面積約233平方キロメートルのカルデラ。1943年(昭和18)に地質学者松本唯一(ただいち)が提唱した、九州中部~南部に連なる阿蘇型大カルデラ群(あそがただいかるでらぐん)の一つ。この地域の基盤岩を覆う火砕流堆積物(たいせきぶつ)の分布や、海底地形から推定したもので、更新世(洪積世)末期、大噴火後に山体が陥没してできたと考えられる。カルデラ内に稲村岳、硫黄岳、1935年誕生の新硫黄島がある。



楽天市場検索: