道路管理者

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道路管理者(どうろかんりしゃ)とは、道路法第3章第1節に規定された道路を管理する主体を指す(狭義の道路管理者)。他法令で「道路管理者」と呼ぶ場合には、その機能に着目して、狭義の道路管理者以外の実質上の道路の管理者を含む場合もある。

概要

道路法において都道府県道の管理はその路線の存在する都道府県が、市町村道の管理はその路線の存在する市町村が行うと定められている。

国道については新設及び改築、さらに政令(一般国道の指定区間を指定する政令)で指定された区間(指定区間という)の国道の管理を国土交通大臣が行い、その他の部分についてはその路線の当該都道府県の区域内に存在する部分について都道府県が管理することとされている。ただし、政令指定都市にある指定区間外の国道と都道府県道は当該の政令市が管理する。

高速自動車国道については高速自動車国道法第6条の規定により、日本道路公団(現在のNEXCO各社ほか)などではなく国土交通大臣が管理を行う。

道路管理者はその道路の路線が指定され、又は路線の認定・変更が公示された場合には速やかに道路の区域を決定・公示しなければならない。これは道路の供用を開始または廃止した場合も同様である。また、その管理する道路について台帳(道路台帳)を作成し保管する義務を負う。

道路管理者が設置する交通安全施設には、歩道横断歩道橋地下横断歩道道路照明防護柵道路標識道路情報装置など多岐にわたる[1]。道路標識については、案内標識・警戒標識および高さ・幅・重量制限の標識を設置する。

道路管理者は、危険防護施設を備えるだけでなく、防災点検を定期実施して、異常気象時に道路が危険な状態となることが予想されるときは、あらかじめ通行止めの処置をとる場合がある[2]。過去には「どのような場合でも道路は通行止めにしてはならない」という道路管理者の対応がなされてきたが、1968年(昭和43年)8月18日に襲った台風によって、岐阜県の飛騨川沿いを走る国道41号が各所で崩落する災害発生で、寸断された道路に立ち往生した観光バス2台が土砂崩壊に巻き込まれて川に転落する事故が発生し、104名の人命が失われた飛騨川事故の裁判では、責任を重く見て道路管理者に損害賠償を認める司法判断が下されたことによって、これまでの対応が180度方向転換するきっかけとなった[2]

脚注

  1. 武部健一 2015, p. 208.
  2. 2.0 2.1 武部健一 2015, pp. 209-210.

参考文献

  • 武部健一 『道路の日本史』 中央公論新社〈中公新書〉、2015-05-25、209-210。ISBN 978-4-12-102321-6。

関連項目