通信社

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テンプレート:Journalism 通信社(つうしんしゃ)とは、報道機関民間企業の需要にこたえて一般向けニュース(ゼネラル・ニュース)や経済・金融情報(コマーシャル・ニュース)の収集、配信を行う組織である。

歴史

参照: 通信社の歴史

カテゴリ

ユネスコは通信社を

  1. 国内通信社(英:National News Agency)
  2. 国際通信社(英:World News Agency)
  3. 専門通信社

に類別している。 国際通信社は世界100カ国以上に支社局があり、24 時間活動し、1日数十万語を収集、数百万語を配信する、100カ国以上の新聞、放送、通信など数千の顧客に記事を配信する、英語、フランス語、ドイツ語、オランダ語、ロシア語、アラビア語など多言語で配信する組織と定義している[1]

通信社の存在基盤

外国のニュースなどを独自に購入したり外国に特派員を派遣する費用を負担できない新聞社を支えるものとして通信社は生まれ、多数の報道機関に採用されていくにつれ報道全体への影響力を増した。

この経済的理由から「需要側のマスコミと供給側の通信社」の関係が存在する。逆に言えば、通信社が内信・外信を維持していく為には報道機関の支えが必要である。多くの新聞社は費用を分担して運営する新聞組合主義の通信社に加盟しているが、特殊な分野では独立系通信社も存在する。マスコミは政治的、地理的な理由からも通信社と契約している。

ただし、報道機関は営利企業であり、資本の蓄積・拡大を宿命として抱え、ニュース情報も一元集中させようとする動きが、特に大新聞の過去の歴史上から見てとれる。つまり、新聞と通信社は互いに依存しながら潜在的に敵であるという複雑な関係にあり、これが新聞人や通信事業経営者を主役としたいくつかの事件を生んできた。中央紙と地方紙の販売部数競争においても地方紙の主要面を提供する通信社の役割は重要であるが、多くの新聞の紙面に「特色」が薄れた現在、また新たなドラマを生む土壌が醸成されつつある。

テレビ番組や新聞紙面の外信が通信社の配給ニュースから構成されることなどから、「ニュースの卸問屋」と呼ばれる場合がある。世界のニュースを収集するin-comingだけでなく、報道機関が取材したニュースを世界に発信するout-goingも果たすが、日本に限っていえば、国内の通信社でなく日本国外の通信社と新聞社が役割を担っている。著名人や有名人を招聘している外国人記者クラブはこの象徴といえる。

各国の主な通信社

国際通信社も含め、本社所在地にて分類。

アジア

南北アメリカ

ヨーロッパ

特徴

日本

日本の通信社は1940年代に国策通信社・同盟通信社がほぼアジアを制覇、日本国外にも「満州国通信社」「蒙疆通信社」を置き中国、ヨーロッパにも日本の目と耳となる特派員が情報網を形成している。

同盟は7大通信社の一角を占め、ロイター、AP通信とも互角に勝負ができる大通信社を形成したが、第二次世界大戦後、古野伊之助は同盟を分割。ここに政治や社会、国際ニュースを扱い、社団法人の形態を取る共同通信社と、経済ニュースと出版を手掛け株式会社の形態を取る時事通信社の2社が誕生した。

アメリカ合衆国

アメリカ合衆国では発生ものなどのストレートニュースは可能な限り通信社(ワイヤーサービスとも言う)に依存し、新聞社は分析や批評記事といったジャーナリズムに特化するという役割分担がなされている。アメリカ合衆国だけでなく、ヨーロッパやアジアでもそうである。世界では通信記者と新聞記者はカメラマンと記者くらい感覚の違う職業と捉えられている[2]

アメリカ合衆国では事件・事故の取材は通信社の役割のため、日本のように何十人もの新聞社記者が動員されるのはアメリカ同時多発テロ事件のような未曾有の事件・事故くらいである。よって、大人数の報道関係者が取材対象者・対象地域に押しかけて迷惑をかけるメディアスクラムは起こりにくい[2]

このため、アメリカ合衆国の新聞社は日本より少ない記者で連日、通常版で約100ページ、日曜版で300ページを超える新聞を制作することが可能なのである(『ニューヨーク・タイムズ』の場合)[2]

配信元の表示

欧米の主要紙の場合、文責を明確にするため配信記事には配信した通信社のクレジットが付されるのが一般的である。これに対して、日本では沖縄県を除き、配信記事であることを示すクレジットを表記することはまれである。その理由は、地方紙の場合クレジットの有無により購買数の増減が顕著に表れてしまう関係でクレジットが外されている場合がある。例えば、共同通信社の定款施行細則第10条によれば、共同通信社が配信した記事を社員(共同通信社は社団法人であるので、社員とは日経などの加盟社を指す)が新聞、有線・無線を通じて供給する場合には、『共同通信』のクレジットをつけないといけません。」 と規定がある。 しかし、現在の配信記事を提供されている地方紙に至っては、この規定は遵守されていない[3]。それにもかかわらず、配信元のクレジット表記がないため一般読者からするとあたかも配信先が独自に取材・制作した記事に見えてしまう。

これは日本独自の慣行であり、通信社側も黙認していることではあるが、クレジットが本来負っているはずの文責があいまいとなり、問題が生じたとき、たとえば通信社が誤報を配信したときの責任の所在が不明確になるという弊害がある。

2001年に発生した東京女子医大事件で起訴され最終的に無罪となった医師が、当時事件を報道した共同通信とその記事の配信を受けた地方3紙(秋田魁新報上毛新聞静岡新聞)に対する損害賠償請求訴訟で、この文責問題は一躍脚光を浴びることとなった[4]。とくに東京地裁の一審判決では、配信を受けた地方3紙がクレジットを付けず自社記事の体裁を取っていたこともあり賠償責任を認めた[5]

脚注

  1. 「ニュース・エージェンシー」里見脩 (中央公論新書、2000、2 - 3P)
  2. 2.0 2.1 2.2 上杉隆 『ジャーナリズム崩壊』 幻冬舎〈幻冬舎新書〉(原著2008-07-30)、初版、22-24。ISBN 9784344980884。アクセス日 2008-11-24
  3. 地方紙では全記事の5~6割が配信記事である。参考:平成21(受)2057  損害賠償請求事件 判決文 (PDF)”. 最高裁判所 (2011年4月28日). . 2011閲覧.
  4. 共同通信と3紙提訴 女子医大事件無罪の医師”. 共同通信 (2006年4月6日). . 2011閲覧.
  5. 配信を受けた側の賠償責任についてはその後の高裁、最高裁により否定されている判例検索システム>検索結果詳細画面”. 最高裁判所 (2011年4月28日). . 2011閲覧.

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