農林水産省

提供: miniwiki
2018/8/2/ (木) 01:54時点におけるja>ササニシキによる版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索

農林水産省(のうりんすいさんしょう、略称:農水省(のうすいしょう)、英語: Ministry of Agriculture, Forestry and Fisheries、略称:MAFF)は、日本の行政機関の一つである。

食料の安定供給の確保、農林水産業の発展、農林漁業者の福祉の増進、農山漁村及び中山間地域等の振興、農業の多面にわたる機能の発揮、森林の保続培養及び森林生産力の増進並びに水産資源の適切な保存及び管理を図ること」を任務とする(農林水産省設置法第3条)。

概要

国家行政組織法第3条第2項及び農林水産省設置法第2条第1項に基づき、国の行政機関である省として設置されている。任務は、農林水産省設置法により、「農林水産省は、食料の安定供給の確保、農林水産業の発展、農林漁業者の福祉の増進、農山漁村及び中山間地域等の振興、農業の多面にわたる機能の発揮、森林の保続培養及び森林生産力の増進並びに水産資源の適切な保存及び管理を図ることを任務とする」(第3条)と規定されている。農業畜産業林業水産業をはじめ、食料の安全・安定供給、農村の振興などを所管する。広義の「食」の安全については、農水省消費・安全局も関与しているが、狭義の「食品」の安全については、厚生労働省(医薬食品局)が所管している。競馬の監督官庁でもあり、競走名に「農林水産省賞典」がつく中央競馬重賞競走がある。地方競馬の場合は農林水産大臣賞典となる。国営競馬時代には競馬部が競馬を主催したこともある。

農林水産大臣を長とし、内部部局として大臣官房、消費・安全局、食料産業局、生産局、経営局及び農村振興局並びに政策統括官を置くほか、審議会等として農業資材審議会、食料・農業・農村政策審議会、獣医事審議会、農林漁業保険審査会及び農林物資規格調査会を、施設等機関として植物防疫所、動物検疫所及び那覇植物防疫事務所並びに動物医薬品検査所、農林水産研修所及び農林水産政策研究所 を、特別の機関として農林水産技術会議を、地方支分部局として沖縄を除いた全国を分轄する形で、7つの地方農政局と北海道農政事務所を設置する。地方農政局と北海道農政事務所の下にはそれらの一部事務を分掌する出先機関として計81人の地方参事官(旧・地域センター)、農業水利や土地改良をつかさどる事務所および計45の事業所が置かれている。

設置当初は、農林省(のうりんしょう)という名称だったが、200海里水域問題など種々の問題で水産行政の重要性が高まりつつあったため、1978年7月5日に現在の省名に改められた。

省内では文章作成に一太郎Microsoft Wordが混在して使用されていたが、働き方改革の一つとしてMicrosoft Wordへの一本化が打ち出された[1]

沿革

[2][3]

  • 1881年4月7日 - 農商務省が設置される。
  • 1925年4月1日 - 農商務省が分割されて、農林省(第1次)と商工省(第1次)になる。
  • 1943年11月1日 - 農林省(第1次)が廃止され、商工省の一部事務を引き継いで農商省が設置される。なお、同時に商工省を廃止して、軍需省が設置される。
  • 1945年8月26日 - 農商省が農林省(第2次)となり(法令上は農商省を改称)、軍需省が商工省(第2次)となる(法令上は軍需省を改称)。
外局の馬政局は農林省畜産局馬産課設置に伴い、廃止。
  • 1948年7月1日 - 水産庁が設置される。
  • 1949年6月1日 - 農林省官制(昭和18年勅令第821号)等に基づく農林省が廃止され、農林省設置法(昭和24年法律第153号)に基づく農林省となる。食糧庁林野庁が設置される。
  • 1978年7月5日 - 農林省が農林水産省に改称される。
  • 2001年1月6日 - 中央省庁再編により、農林水産省設置法(昭和24年法律第153号)に基づく農林水産省が廃止され、農林水産省設置法(平成11年法律第98号)に基づく農林水産省となる。これまでの1官房5局(経済局、構造改善局、農産園芸局、畜産局及び食品流通局)から1官房4局(総合食料局、生産局、経営局及び農村振興局)に再編する。
  • 2003年7月1日 - 食糧庁が廃止される。消費・安全局を新設する。
  • 2011年9月1日 - 総合食料局を廃止して、食料産業局を新設するなどの組織再編を行う。

所掌事務

上述の農林水産省設置法第3条に示された任務を達成するため、農林水産省設置法第4条は計87号に及ぶ事務を列記し、所掌させている。具体的には以下などに関することがある。

組織

ファイル:Norinsuisansho1.jpg
農林水産省庁舎・正面

農林水産省の内部組織は一般的に、法律の農林水産省設置法、政令の農林水産省組織令および省令の農林水産省組織規則が階層的に規定している。

幹部

内部部局

ファイル:Norinsuisansho2.jpg
農林水産省庁舎(中央合同庁舎第1号館)
  • 大臣官房
    • 秘書課
    • 文書課
    • 予算課
    • 政策課
    • 広報評価課
    • 地方課
    • 国際部
      • 国際政策課
      • 国際経済課
      • 国際地域課
    • 統計部
      • 管理課
      • 経営・構造統計課
      • 生産流通消費統計課
    • 検査・監察部
      • 調整・監察課
      • 検査課
  • 消費・安全局:食料品に係る消費者保護、農林水産物の生産過程のリスク管理。
    • 総務課
    • 消費者行政課
    • 食品安全政策課
    • 農産安全管理課
    • 畜水産安全管理課
    • 植物防疫課
    • 動物衛生課
  • 食料産業局: 農山漁村・農林漁業の6次産業化等。
    • 総務課
    • 企画課
    • 食文化・市場開拓課
    • 輸出促進課
    • 産業連携課
    • 知的財産課
    • バイオマス循環資源課
    • 食品流通課
    • 食品製造課
  • 生産局:農畜産物の生産・管理。
    • 総務課
    • 園芸作物課
    • 地域対策官
    • 技術普及課
    • 農業環境対策課
    • 畜産部
      • 畜産企画課
      • 畜産振興課
      • 飼料課
      • 牛乳乳製品課
      • 食肉鶏卵課
      • 競馬監督課
  • 経営局:農業経営安定化、農協、農業構造改善、農業者年金など。
    • 総務課
    • 経営政策課
    • 農地政策課
    • 就農・女性課
    • 協同組織課
    • 金融調整課
    • 保険課
    • 保険監理官
  • 農村振興局:農山漁村・都市農業の振興、農村景観や土地・水の農業利用の確保、都市農村間の交流(グリーン・ツーリズム)、農業関連資本整備など。
    • 総務課
    • 農村政策部
      • 農村計画課
      • 地域振興課
      • 都市農村交流課
      • 農村環境課
    • 整備部
      • 設計課
      • 土地改良企画課
      • 水資源課
      • 農地資源課
      • 地域整備課
      • 防災課
  • 政策統括官
  • 参事官
  • 農産部:重要な政策の企画及び立案
    • 農産企画課
    • 穀物課
    • 貿易業務課
    • 地域作物課

審議会等

  • 農業資材審議会(法律第6条第1項)
  • 食料・農業・農村政策審議会(食料・農業・農村基本法、法律第6条第2項)
  • 獣医事審議会(獣医師法、法律第6条第2項)
  • 農漁業保険審査会(農業災害補償法、法律第6条第2項)
  • 農林物資規格調査会(政令第85条)
  • 国立研究開発法人審議会(政令第85条)

施設等機関

農林水産省の施設等機関には以下の6区分がある。

  • 植物防疫所(法律第8条第1項)
    • 支所・出張所(法律第9条第2項)
    • 横浜植物防疫所(省令第65条)
    • 名古屋植物防疫所(省令第65条)
    • 神戸植物防疫所(省令第65条)
    • 門司植物防疫所(省令第65条)
  • 那覇植物防疫事務所(法律第8条第2項)
    • 出張所(法律第10条第2項)
  • 動物検疫所
    • 支所・出張所(法律第11条第2項)
  • 動物医薬品検査所(政令第87条)
  • 農林水産研修所(政令第87条)
  • 農林水産政策研究所 (政令第87条)

特別の機関

  • 農林水産技術会議(法律第12条)
    • 事務局(法律第15条)
    • 研究調整課(技術会議事務局組織規則第1条)
    • 研究企画課
    • 研究推進課
    • 国際研究官

地方支分部局

農林水産省の地方支分部局は地方農政局北海道農政事務所の2区分がある。

  • 地方農政局(法律第17条)
    • 事務所・事業所(法律第19条)
  • 北海道農政事務所(法律第17条)

地方農政局

外局

  • 林野庁(国家行政組織法第3条第2項、法律第23条)
    • 林政部
    • 森林整備部
    • 国有林野部
    • 林政審議会
    • 森林技術総合研修所
    • 森林管理局
  • 水産庁(国家行政組織法第3条第2項、法律第23条)
    • 漁政部
    • 資源管理部
    • 増殖推進部
    • 漁港漁場整備部
    • 水産政策審議会
    • 広域漁業調整委員会
    • 漁業調整事務所

所管法人

農林水産省が主管する独立行政法人は2017年4月1日現在、農林水産消費安全技術センター家畜改良センター農業・食品産業技術総合研究機構森林研究・整備機構水産研究・教育機構国際農林水産業研究センター農畜産業振興機構農業者年金基金及び農林漁業信用基金の9法人である。また、独立行政法人農林漁業信用基金財務省と、独立行政法人水資源機構厚生労働省経済産業省及び国土交通省と、土木研究所国土交通省と、北方領土問題対策協会内閣府と共管している[4]農林水産消費安全技術センター行政執行法人であり、職員は国家公務員の身分を有する。

主管する特殊法人は2018年4月1日現在日本中央競馬会のみである[5]。ほかに、財務省の主管する日本政策金融公庫も農林漁業金融の関係で共管している。

特別の法律により設立される民間法人(特別民間法人)には2018年4月1日現在農林中央金庫および全国漁業共済組合連合会の2法人である[6]

認可法人農水産業協同組合貯金保険機構を主管する。

地方共同法人として地方競馬全国協会を所管する。

特別の法律により設立される法人は全国土地改良事業団体連合会及び全国食肉業務用卸協同組合連合会の2法人を所管し、日本商品先物取引協会経済産業省と共管する。

財政

2018年度(平成30年度)一般会計における当初予算(歳出)は2兆1303億5399万7千円である[7]。組織別の内訳は農林水産本省が1兆5367億29,5万3千円(全体比約72.1%)、本省検査指導機関が 157億7492万4千円(0.1%)、農林水産技術会議が661億6677万9千円(3.1%)、地方農政局が822億3300万1千円(3.9%)、北海道農政事務所が47億4322万4千円(0.2%)、林野庁が2858億7798万8千円(13.4%)、水産省が1388億2902万8千円(6.5%)となっている。本省予算のうち主なものは農林水産基盤整備事業費4382億8600万円、食料安定供給関係費9924億2738万2千円である。

歳入予算の合計は4349億6981万8千円である。大半は雑収入であり、3999億5089万8千円となっており、その主要なものは日本中央競馬会納付金が3082億4001万4千円、土地改良事業費負担金が479億6396万5千円となっている。雑収入以外では、平成25年の国有林野事業の一般会計への移行により発生した立木竹の売払による国有林野事業収入が、291億7342万8千円などがある。

農林水産省は、食料安定供給特別会計国有林野事業債務管理特別会計(林野庁)の2つの特別会計を所管する。また国会、裁判所、会計検査院、内閣、内閣府、復興庁、総務省、法務省、外務省、財務省、文部科学省、厚生労働省、農林水産省、経済産業省、国土交通省、環境省及び防衛省所管[8]東日本大震災復興特別会計を共管する。

職員

一般職の在職者数は2017年7月1日現在で2万079人(うち女性3,047人)である[9]。機関別内訳は本省が15,249人(うち女性2,452人)、林野庁4,649人(うち女性481人)、水産庁861人(うち女性114人)となっている

かつて林野庁の国有林野事業に従事する職員の大半が適用されていた国有林野事業を行う国の経営する企業に勤務する職員の給与等に関する特例法は、国有林野事業改正に伴い平成25年4月から廃止されたため、現在では全員が一般職給与法が適用される。

行政機関職員定員令に定められた農林水産省の定員は特別職1人を含めて2万1,013人である[10]。本省および各外局別の定員は省令の農林水産省定員規則に定められており、本省1万5,303人、林野庁4,759人)、水産庁861人と規定している[11]

2018年度の予算定員は特別職が7人、一般職が2万652人の計2万659人である[7]。これとは別に特別会計の予算定員として食料安定供給特別会計が337人措置されている。国有林野事業債務管理特別会計は、会計整理のためとして定員の措置はされていない。一般会計予算定員の機関別内訳は以下の通りである。

  • 農林水産省本省 - 15,042人(うち、特別職7人)
  • 林野庁 - 4,749人
  • 水産庁 - 868人

農林水産省の一般職職員は非現業の国家公務員なので、労働基本権のうち争議権と団体協約締結権は国家公務員法により認められていない。団結権は認められており、職員は労働組合として、国公法の規定する「職員団体」を結成し、若しくは結成せず、又はこれに加入し、若しくは加入しないことができる(国公法第108条の2第3項)。従前は、林野庁の国有林野事業職員は、団体協約締結権も認められていた。これは国有林野事業職員が現業職員であるゆえに、非現業の職員と異なる公務員法によって規律されているためであったが、国有林野の改正により、労働組合法特労法の適用から国家公務員法の適用となったため、現在は団体協約締結権はなくなった。国有林野は、かつて5現業といわれたものの最後であった。

2018年3月31日現在、人事院に登録された職員団体の数は単一体2、支部197となっている[12]。組合員数は1万2558人、組織率は72.6%となっている。この組織率は12府省2院の中で最高である。2位の厚生労働省を5.1ポイント上回り、全体平均の44.3%より25.3ポイント高い。職員団体は全農林労働組合と全国林野関連労働組合(林野労組)である。全農林は国有林野事業を除いた省関係機関全体に組織を置き、林野労組は国有林野事業の職員および作業員から構成されている。加盟産別は、前者は国公関連労働組合連合会(略称:国公連合)、後者は全日本森林関連産業労働組合連合会(森林労連)で、どちらも連合の構成組織である。また全農林は国公連合を介して、林野労組は直接、連合系の官公労協議会である公務公共サービス労働組合協議会(公務労協)に加盟している。

広報

農林水産省が編集する白書には『食料・農業・農村白書』、『森林・林業白書』および『水産白書』があり、それぞれ、食料・農業・農村基本法森林・林業基本法および水産基本法の規定により、毎年、政府国会に提出する報告書および今後の施策文書を収録している。たとえば、『食料・農業・農村白書』は食料・農業・農村基本法第14条に定められた「食料、農業及び農村の動向並びに政府が食料、農業及び農村に関して講じた施策に関する報告」と「食料、農業及び農村の動向を考慮して講じようとする施策を明らかにした文書」が収録される。森林・林業白書と水産白書も同様である。また、これらの報告書・文書は対応する審議会の意見を聴いて作成しなければならず、食料・農業・農村は食料・農業・農村政策審議会が、森林・林業は林政審議会が、水産は水産政策審議会がの役割を担う。

定期刊行の広報誌としては、農林水産本省の「aff(あふ)」、林野庁の「林野」、水産庁の「漁政の窓」がそれぞれ月刊で刊行されている。

ウェブサイトURLドメイン名は「www.maff.go.jp」。ほかに林野庁は「www.rinya.maff.go.jp」、水産庁は「www.jfa.maff.go.jp」、農林水産技術会議は「www.s.affrc.go.jp/」と、独自のドメイン名を持つ。

脚注

関連項目

外部リンク