裏送り

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裏送り(うらおくり)とは、テレビラジオ番組において、例えばキー局から全国の系列ローカル局に一斉に送られているネット番組とは異なる番組を特定の系列ローカル局が放送する場合、キー局が別の回線、すなわち臨時NTT回線人工衛星回線などにより、当該別番組を同時刻に当該ローカル局に送ること、つまり「現在放送されているで他の局と映像や音声のやりとりを行う」ことである。

概説

裏送りの事例を挙げると以下の通りになる。

  • ニッポン放送が毎年12月24・25日に放送する「ラジオ・チャリティー・ミュージックソン」において、本来全国ネット番組の時間帯(一例として月曜日から金曜日での開催・放送の場合、24日22:00-24:00・25日1:00-3:00)において、ミュージックソン非参加局のうち、「ミュージックソンスペシャル」(ニッポン放送と同時ネット)を放送しないネット局向けにも番組を制作している。
  • 全国ネットの番組を放送中、制作局は別番組を放送する(例として朝日放送テレビが毎年8月の全国高等学校野球選手権大会を中継するため、生放送で制作を行っている毎週土曜日放送の『朝だ!生です旅サラダ』はネット局向けに収録したもの〈撮って出し〉を放送する。毎週日曜日放送の「プリキュアシリーズ」はネット局向けに先行して放送する)。
  • プロ野球中継を制作局向けとビジターチーム本拠地のネット局向けに別々で制作する。特に首都圏以外のラジオの野球中継では、地元チームの試合をほぼ全試合放送するため、ビジターの試合は開催地のネット局の制作で中継を行うことが多い(例としてニッポン放送は巨人対阪神戦を放送しているが、同時にニッポン放送がヤクルト対広島戦を制作し中国放送に配信するなど)。また、ホームチーム本拠地の制作局がNRN/JRNクロスネットの1局(TBCRCCSBS[1])しかなく、対巨人戦や予備からの昇格で全国中継を行う場合と、ビジターチーム本拠地のネット局がシングルネットで2局以上ある場合(STV/HBC[2]SF/CBCMBS/ABC[3]KBC/RKB)は二重に制作を行い、片方を担当外ネット局向けとするか、聴取率調査期間などを中心に自局ローカル・NRNネット局・JRNネット局の三重制作を行うことがある。この場合、自局で流れない中継についてはビジターチーム側のネット局から制作を受託する扱いとなるため、ネット局側の番組の体裁に合わせて制作されることが多い。テレビの場合は、1960年代初期にはクロスネットや系列外ネットの都合で、ホームチーム側の地元局が自局で流れない中継を制作した例があるが[4]、2017年現在では、ビジター側の地元放送局が直接乗り込むか、オフチューブであっても球団から提供の公式映像を中心に使用し、ホームチーム側の地元の系列局か外部の技術会社の協力で独自映像を挿入することが多く(例としてヤクルト対広島戦をテレビ新広島が放送する場合、フジテレビ及びヤクルト球団公式映像制作会社の技術協力による自主制作となる)、ホームチーム側の放送局の制作受託による純粋な裏送りとなる例はほとんど見られない。
  • ネット番組制作局が野球中継延長で開始の時刻を過ぎる場合、野球中継をしないか早くに終了したネット局向けに定時で放送開始する(ラジオの生放送番組でこれに該当する例が多い)。
  • 全国ネット番組(またはローカル生放送番組)で、非放送の系列局から中継を出す(クロスネット局テレビ大分テレビ宮崎福井放送〉でこのパターンがある)。
  • プロ野球の中継権を持ちながら、編成上制作できないので系列外の放送局で放送する(三重テレビナイターの中日ドラゴンズ主催試合など)。
  • (特にラジオ局にて)制作キー局が放送しない番組(素材)を完パケ等の形で地方局に送出する。

ただし、当該系列ローカル局では送られてきた番組を同時刻に放送せず、一度収録して別の時間帯に放送することもある。すなわち、特定の系列局がその番組編成上、特定の番組をキー局とは異なる時間に放送したいといった場合に用いられる番組素材送りの手法のひとつである[5]

脚注

  1. 静岡県内の球場(浜松球場・草薙球場)で開催の試合を中継する場合のみ
  2. HBCラジオはNRN/JRNクロスネットだが、野球中継に関しては一部の例外を除いてJRNのシングルネット扱いとなる
  3. MBS・ABC共にNRN/JRNクロスネットだが、普段は曜日によってネット分けしている。過去にはNRNについては土・日曜に限り単独加盟のOBCも該当した。
  4. 一例として、1963年6月20日には中国放送が自社ではTBS系のネット番組を放送し、広島対巨人戦を日本テレビ系向けにRCCのスタッフで裏送りしたことがあった(当時は4局地域を中心に同一カードの並列放送が行われていたため、広島県では当該日に広島テレビがフジテレビ系向けの中継を放送。出典:同日の読売新聞岡山版・中国新聞、テレビ・ラジオ欄)。
  5. 『放送ハンドブック:文化をになう民放の業務知識』 日本民間放送連盟編、東洋経済新報社、1992-03-16(原著1991-05-23)、第4刷 p350-351。ISBN 4492760857。

関連項目