「自動車馬力規制」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2011年6月}}
 
'''自動車馬力規制'''(じどうしゃばりききせい)とは、[[日本]]国内の[[自動車メーカー]]が正規に販売する[[自動車]]に対し、[[業界団体]]などの取り決めにより[[エンジン]]の[[出力]]を一定の範囲に定めた[[規制]]を指す。法律によるものではない。単に'''[[馬力]]規制'''(ばりききせい)と呼ばれることが多い。
 
  
== 概要 ==
 
[[日本]]国内の場合、旧[[運輸省]]による「過度の[[馬力]]は[[スピード違反]]や[[交通事故]]の増加を招く」という指摘から、[[オートバイメーカー]]も加入している[[日本自動車工業会]]においての申し合わせにより、[[行政指導]]による公的[[規制]]がかけられた。これにより、ある特定の出力を超える性能の[[エンジン]]を搭載した車両を生産してはならず、[[車両]]の[[認可]]も行われないことが定められた。現在は[[軽自動車]]以外の規制は撤廃されている。
 
 
== オートバイ ==
 
[[オートバイ]]では、[[1980年]]頃より[[レーサーレプリカ]]ブーム時代に交通事故が多発したこと、[[原動機付自転車]]が本来の使用目的に比べて高性能であったこと、[[ナナハン]]をはじめとする高性能車が一般乗用車の最高速度を超える性能を有していたことなどの様々な理由により、[[排気量]]に応じて馬力の自主規制が行われるようになった。具体的には50ccが7.2馬力、125ccが22馬力、250ccが45馬力、400ccが59馬力、750ccが77馬力、1000cc超が100馬力で、誤差10%以内とされ、中間排気量の車両は上下の排気量に比例して数値が設定された。これらは1989年に明文化されたのち1992年に数値が引き下げられて250ccが40馬力、400ccが53馬力となったほか、測定誤差も認められなくなった。
 
 
しかし大型自動二輪免許の取得の易化による[[大型自動二輪車]]の人気が上昇したことと、規制を受けない[[逆輸入車]]が簡単に購入できることなどから、業界において日本国内市場だけを規制する意義を疑問視する論調が現れた。それを受け、2007年7月に日本自動車工業会と[[国土交通省]]はオートバイの馬力規制の廃止を決定した。
 
 
これにより性能向上が期待されたが、馬力規制の廃止以降も小・中排気量モデルを見る限り、当時厳格だった[[オートバイ#オートバイを取り巻く法規と社会背景|加速騒音規制]]や、同時期に強化された[[自動車排出ガス規制]]の影響を受け、エンジン出力の向上が行われていない。これは最高出力を高くしやすい、高回転仕様エンジンや[[2ストローク機関|2ストロークエンジン]]が騒音・排ガス規制に対応できなくなったことも理由の1つで、過去に45馬力を発揮した250ccクラスの[[直列4気筒]]エンジン搭載車や2ストロークエンジン搭載車が販売されなくなった。
 
 
一方、大排気量車については技術の向上により低回転でも一定の出力を発揮できる余裕があったことから、排ガスや騒音の規制による影響は少なく、[[2008年]]5月に発売された[[ヤマハ・VMAX]]は1679ccで151馬力/7500rpmの出力となっている。その後[[2014年]]と[[2016年]]に施行された平成26年・平成28年騒音規制により騒音基準が欧州規制と共通化されたことから、欧州仕様が存在する車両については日本でもほぼ同じエンジンスペックで発売できるようになった。[[2017年]][[7月]]現在、日本メーカーの正規販売車で最も出力の高い車両は[[2014年]][[2月]]に発売された[[スズキ・GSX1300Rハヤブサ|スズキ・隼]]の197馬力/9500rpm(1339cc)と、[[2017年]][[7月]]に発売された[[スズキ・GSX-R1000|スズキ・GSX-R1000R]]の197馬力/13200rpm(999cc)になる。
 
 
== 自動車 ==
 
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日本の[[小型自動車]]を含む[[普通自動車]]では、1970年代には[[オイルショック]]・排ガス規制といった問題に、各メーカーとも忙殺される状況であり、エンジン馬力向上を図る事は不可能な状況であった。
 
 
しかし1980年代に入って、排ガス対策や燃費向上もようやく一段落し、各自動車メーカーも、趣味性の高い自動車、馬力を向上させる事で商品価値を高めた自動車を、開発・生産する余裕が生じたが、当時は[[暴走族]]の存在などの問題があり、各メーカーともに、運輸省の動向を探りながらの馬力競争となった。
 
 
なお、[[1985年]]以前は日本製自動車の馬力表示は、[[グロス]]値表記であったのに対し、海外製自動車は[[ネット]]値表記であり、非関税障壁として問題となった。そこで日本製自動車も全てネット表示されることとなり、見かけ上の馬力表示が低下したため、実質としての馬力競争が加速された。
 
 
そのような趨勢の中、[[1989年]]に発売された[[日産・フェアレディZ]](Z32型)・[[日産・スカイラインGT-R]](BNR32型)・[[インフィニティ・Q|インフィニティ・Q45]](G50型)は、日本の自動車メーカーとして最初に300馬力に達した。しかしここに至って、運輸省も行政指導に乗り出し、日産はやむなく280馬力に抑える事とした(フェアレディZ・インフィニティ・Q45は輸出されており、輸出仕様は300馬力のままであった)。
 
 
[[1980年代]]後半、交通事故死者が急増して「第2次[[交通戦争]]」と呼ばれる社会問題に発展した。これまで自動車の馬力競争を静観していた運輸省も、上記の日産の300馬力カー発表をきっかけとして、自工会に馬力規制を要請した。自工会は、すでに販売されている製品の馬力を下回る数値を定めることは仕様変更を余儀なくされることを理由に、日産が行った自主規制の280馬力を規制上限とした<ref>{{Cite web|date=2004-08-06|url=http://response.jp/article/2004/08/06/62774.html|title=280馬力規制ついに撤廃…“行政指導”の裏事情を探る
 
|work=レスポンスjp|pages=1|publisher=株式会社イード|language=日本語|accessdate=2011-07-22|quote=なぜ280馬力なの?}}</ref>。これ以降は280馬力以上のエンジンを搭載した国産車は型式認定されなくなった。ただし、[[ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル|ニスモ]]や[[スバルテクニカインターナショナル|STI]]といった[[日本自動車工業会]]に加盟していないメーカーからは、[[ニッサン・モータースポーツ・インターナショナル#NISMO 400R|ニスモ400R]]([[日産・スカイライン|日産・スカイラインGT-R(R33型)]]改造車、最大出力400馬力)や[[スバル・インプレッサ]]S202 STi version(320馬力)といった、最高出力が280馬力以上の車が発売されていた。これらは改造車としての販売扱いだったため規制の適用外であった。同様に、日本国外への輸出車・日本国外からの[[輸入車]]にも規制が適用されなかった。
 
 
輸入車は規制が適用されないため日本メーカーにとっては国内での販売戦略で不利となったことなどから、各方面から異論が上がった<ref>{{Cite web|date=2004-08-06|url=http://response.jp/article/2004/08/06/62774.html|title=280馬力規制ついに撤廃…“行政指導”の裏事情を探る
 
|work=レスポンスjp|pages=2|publisher=株式会社イード|language=日本語|accessdate=2011-07-22|quote=「ダブルスタンダードは良くない」(ホンダ首脳)との意見も出てきた。}}</ref>。
 
 
また、輸出車には自主規制はなかったことから、日本のメーカーは同一車種でも日本国内向けと輸出仕様の両方を開発、製造しなければならない事も問題となった。各国の法規の問題から(特に自動車の右側通行と左側通行)、それぞれの国で仕様が異なるのは馬力に限った話はなく、さらにメーカーも各国のニーズにあわせるためにそれぞれの国の事情に合致した仕様の自動車を開発・製造している。しかしながらエンジン出力に関しては「280馬力」が絶対遵守事項になったことから、不自然なディチューンを行わざるを得なくなった。実際、{{要出典範囲|date=2012年9月|280馬力という規制値が達成できず、それよりも高出力でありながら、カタログスペック上は280馬力として発売される自動車の例が多かった}}。
 
 
自主規制導入の大義名分であった交通事故死者数についても2000年代に入ってからは減少が続き、規制の意義自体が薄れたこともきっかけとなり、日本自動車工業会は[[2004年]][[6月30日]]、普通自動車の280馬力規制撤廃を国土交通省に申し出た。
 
 
以後、最初に最高出力が280馬力を超えたのは[[ホンダ・レジェンド]]で、モデルチェンジに伴い排気量3,500cc、最大出力300馬力のエンジンが搭載されていた<ref>{{Cite web|date=2004-08-06|url=http://response.jp/article/2004/08/06/62774_3.html|title=280馬力規制ついに撤廃…“行政指導”の裏事情を探る
 
|work=レスポンスjp|pages=3|publisher=株式会社イード|language=日本語|accessdate=2011-07-22|quote=解禁第1号はホンダ『レジェンド』}}</ref>。現在は[[トヨタ自動車|トヨタ]]([[レクサス]]含む)や[[日産自動車|日産]]、[[富士重工業|スバル]]の車種にも300馬力を上回るエンジンが搭載されているものがあり、[[2016年]]現在では[[日産・GT-R]]の570馬力を発揮し自動車メーカーの量産車では最大の出力である。
 
ただし、前輪駆動の市販車は280ps未満が多い。
 
 
なお、馬力規制はなくなったものの、日産は国土交通省からの指導により、GT-Rについて改造を行った場合にメーカーによる保証を一切受け付けないこととしている。
 
 
== 軽自動車 ==
 
[[軽自動車]]においては、[[1987年]]2月に発売された[[スズキ・アルト|スズキ・アルトワークス]]が550ccで64馬力を達成し、これを機にメーカー間のパワー競争が激化した。以後、協定により64馬力が上限とされた。この規制は[[2016年]]現在も引き続き行なわれている。
 
 
[[2014年]]4月1日、[[英国]]の[[ケータハム]]が[[スズキ・K型エンジン|スズキの軽自動車向け]][[ターボチャージャー|ターボ]]エンジンを搭載するセブン160を、[[軽自動車]]として日本国内で発売。2013年11月の時点では規制に合わせて64馬力に落とした「セブン130」の受注を受けていたが、本国仕様と同じく80馬力の仕様「セブン160」に改めた上で再発表した<ref>{{Cite web |author=笠原一輝 |date=2014-03-10 |url=http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/20140310_638916.html |title=ケータハムカーズ、スズキ製エンジン搭載の軽規格スポーツカー「セブン 160」4月1日発売 |publisher=[[Impress Watch|Car Watch]] |accessdate=2014-10-22}}</ref>。軽自動車で唯一の規制対象外(国外からの輸入車で唯一の軽自動車)となっている。
 
 
==日本国外の場合==
 
自動車においては、国外で馬力規制を実施している地域は無い。オートバイにおいては、欧州では排気量だけでなく出力においても免許区分が行われている関係から、A1クラスでの125ccの11[[キロワット|kW]](≒15ps)規制、旧Aクラスでの全排気量25kW(≒34ps)規制、現A2クラス<ref>『Directive 2006/126/EC』により[[2013年]][[1月19日]]より適用。</ref>の全排気量35kW(≒48ps)規制を受けている車両が存在する。また、フランスではオートバイの出力の上限が106ps、ドイツでは100psとなっている。
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
<div class="references-small"><references /></div>
 
 
== 関連項目 ==
 
*[[スピードリミッター]]
 
*[[自動車排出ガス規制]]
 
*[[自動車騒音規制]]
 
*[[工業製品の自主規制]]
 
 
{{自動車}}
 
{{Car-stub}}
 
{{DEFAULTSORT:しとうしやはりききせい}}
 
[[Category:自動車]]
 
[[Category:オートバイ]]
 
[[Category:交通機関の規制]]
 
[[Category:科学技術の倫理]]
 

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