美ヶ原

提供: miniwiki
2018/6/23/ (土) 15:05時点におけるja>Cuilaによる版
(差分) ← 古い版 | 最新版 (差分) | 新しい版 → (差分)
移動先:案内検索


美ヶ原(うつくしがはら)は、八ヶ岳中信高原国定公園北西部にあり、長野県松本市上田市小県郡長和町にまたがる高原日本百名山の一つ。

概要

フォッサマグナ西縁近くに噴出した第四紀火山である。

ファイル:Ogahana.jpg
松本市内からの王ヶ鼻

かつては楯状火山とその溶岩台地と考えられてきたが、現在は安山岩質の組成を持つ火山の浸食地形と解釈されるようになった。最高峰は、王ヶ頭(2,034m)。他に、王ヶ鼻(2,008m)、茶臼山(2,006m)、牛伏山(1,990m)、鹿伏山(1,977m)、武石峰(1,973m)といったピークがある。山頂付近は平坦な台地状の地形で、美ヶ原牧場と呼ばれる放牧地となっている。

ファイル:Utsukushigahara 20140929.jpg
南東の蓼科山山麓からの美ヶ原(奥)

長野県のほぼ中央に位置し、県内の広範囲を見渡すことができる。このことから各種、放送通信の要衝となっている。

開発史

古来、松本周辺の人々によって東山または王ヶ鼻と呼称されてきた。

「美ヶ原」という呼称について、文献上の初見は『信府統記』であるとされる[1]。定着したのは、1921年大正10年)に木暮理太郎が、日本山岳会の会報『山岳』に登山の記録を載せてからである。

山頂付近は、平安時代より放牧地として利用されてきた。江戸時代には、御嶽山が展望できることから、御嶽教山岳信仰の山ともなった。王が鼻に並ぶ神像群はいずれも御嶽山の方角を向いており、御嶽教の信仰の対象である。

  • 1909年明治42年) - 美ヶ原牧場が開かれ、本格的な牧場として利用が始まった。
  • 1930年昭和5年) - 頂上に山本小屋が開業し、多くの登山者が訪れるようになった。
  • 1954年(昭和29年) - 美ヶ原のシンボルとなっている「美しの塔」が、遭難防止のための道標および避難所として建設された。
  • 1957年(昭和32年) - 山頂までの林道が開通し、頂上付近までバスが運行されNHKとSBCのアンテナが王ヶ頭に建設された。
  • 1981年(昭和56年) - ビーナスラインが開通し美ヶ原高原美術館が開館して、車で手軽に行ける観光地となった。

観光

  • 高原散策(美ヶ原自然保護センター-王ヶ頭-塩くれ場-高原美術館)
散策路は、高原上の牧場の中を通る未舗装の車道であるが、一般車の通行は規制されている。徒歩2時間程度のコースである。初夏のレンゲツツジ、晩夏のマツムシソウを代表として、様々な種類の花が6〜9月頃には沿道に咲きみだれる。
ファイル:Pcs34560 IMG3316.JPG
霧に包まれた「美しの塔」
  • 美しの塔
美ヶ原高原にある塔。1954年(昭和29年)に霧鐘塔(霧で視界が悪い時に登山者のために鳴らす鐘の塔)として建てられた。現在の塔は1984年(昭和59年)に再建されたもので、高原のシンボルとなっている。美ヶ原産の鉄平石でできた高さ6メートルの塔で中は避難場所となっている。塔には尾崎喜八の詩集『高原詩抄』に掲載された詩「美ヶ原溶岩台地」が刻まれている。毎年4月25日に塔の前で開山祭が行われる。

登山

周辺にある小屋

  • 王ガ山荘
  • 王ヶ頭ホテル
  • 美ヶ原桜清水コテージ
  • 山荘ピリカ
  • 美ヶ原高原三城YH
  • 美ヶ原ハイランドロッジ
  • 美ヶ原高原ホテル
  • 山本小屋

放送局送信所

松本市と上田市の境界に長野県内を放送範囲とする放送局の送信所が設置されている。

当初は信越放送が日本のテレビ局としては北海道放送(HBC)の札幌本局が手稲山に設置したのに続いてに続いて山頂設置(マウンテン・トップ方式)により開局。これに他局も追従することで全社局の送信所がここに揃った。

地上デジタルテレビジョン放送送信設備

ID 放送局名 コールサイン チャンネル 空中線電力 ERP 放送対象地域 放送区域内世帯数
1 NHK長野総合 JONK-DTV 17ch 1kW 7.8kW 長野県 40万0434世帯
2 NHK長野Eテレ JONB-DTV 13ch 全国放送
4 TSBテレビ信州 JONI-DTV 14ch 10kW 長野県
5 abn長野朝日放送 JOGH-DTV 18ch 9.7kW 40万0453世帯
6 SBC信越放送 JOSR-DTV 16ch 7.9kW 40万0434世帯
8 NBS長野放送 JOLH-DTV 15ch 8.7kW
  • NHK長野は2006年平成18年)4月1日民放は同年10月1日放送開始。
  • 送信所施設は各局とも既存のアナログ送信所を継続使用しているが、SBCデジタルテレビのみ既存のアナログ送信所を使用せず、NHKの送信所施設に相乗りしている。

地上アナログテレビジョン放送送信設備

  • 2011年7月24日の地上波アナログ放送終了をもって全局廃止となった。
ch 放送局名 コールサイン 空中線電力
(映像/音声)
ERP
(映像/音声)
放送対象地域 放送区域内世帯数 放送終了日
2 NHK長野総合 JONK-TV 1kW/250W 6.6kW/1.6kW 長野県 約50万世帯 2011年7月24日
9 NHK長野Eテレ JONB-TV 9.8kW/2.4kW 全国放送
11 SBC信越放送 JOSR-TV 12kW/3kW 長野県
20 abn長野朝日放送 JOGH-TV 10kW/2.5kW 100kW/26kW
30+ TSBテレビ信州 JONI-TV 100kW/25kW
38 NBS長野放送 JOLH-TV 92kW/23kW
  • NHKは、長野局美ヶ原送信所開局の前年に、長野市内をカバーするための善光寺平中継局を開局させた(東京JOAK-TVの中継局として)。また美ヶ原がある松本市だが、山陰になる部分も多く市内向けに別に中継局が開設されている。
  • テレビ信州は+10kHzのオフセットあり
  • 当送信所は、日本国内のテレビ送信施設としては、最も高い地点(2031m)にある。

FMラジオ放送送信設備

周波数
(MHz)
放送局名 コールサイン 空中線電力 実効輻射電力 放送対象地域 放送区域内世帯数
79.7 FM長野
長野エフエム放送
JOZU-FM 1kW 2.4kW 長野県 -
84.0 NHK
長野FM
JONK-FM 500W 2.7kW -
92.2 SBC
信越放送[2]
- 1kW[2][3][4] 2.4kw[4] -

放送局の送信施設のほか美ヶ原には、官庁、業務用無線の無線中継施設が設置されている。

アクセス

関連画像

隣接する山

脚注

  1. 美ヶ原観光連盟「美ヶ原の歴史」より(2011年8月15日付、2015年3月20日閲覧)。『信府統記 巻二』に「うつくしが原」と記されている。
  2. 2.0 2.1 SBCラジオのワイドFMがいよいよ始まります!:SBC信越放送:SBC信越放送、2018年1月17日閲覧。
  3. 総務省|信越総合通信局|信越放送株式会社のFM補完中継局に予備免許 ~長野県内の中波ラジオ放送の受信状況が改善~信越総合通信局、2018年1月17日閲覧。
  4. 4.0 4.1 無線局免許状情報(信越放送長野FM(総務省)
  5. 井出道貞著述『信濃奇勝録 巻之一』井出通、1887年4月25日。

参考文献

関連項目

外部リンク