「系統学」の版間の差分

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'''系統学'''(けいとうがく、[[英語]]:phylogenetics)とは、[[生物]]の[[種 (分類学)|種]]の系統的な発生、つまり生物の進化による系統分化の歴史を研究する学問。種や系統群の分化と[[進化]]を研究目的とする。
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'''系統学'''(けいとうがく、[[英語]]:phylogenetics)
  
研究技術として、[[比較解剖学]]、[[比較発生学]]などによって得られた形態などの情報を、[[統計学]]を駆使した[[分岐学]]などを用いて解析する。[[生化学]]的手法も古くから[[植物]]の[[色素]]などの[[代謝産物]]の比較研究が系統解析の手法として用いられてきたが、これに加えて[[1980年代]]以降は、[[デオキシリボ核酸|DNA]]や[[リボ核酸|RNA]]といった情報高分子の塩基配列の解析などによる[[分子系統学]]も発達してきた。
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生物相互の進化的由来,すなわち系統関係を研究する生物学の一分野。由来が近縁である生物は,形態や性状や個体発生の過程にも共通点の多いことが期待されるから,分類学と系統学は密接な関係にあり,分類関係を系統学的に整理しようとする学問である systematicsは,系統学とも分類学とも訳されることがある。系統関係は系統樹の形にまとめて示されることが多いが,これは E.ヘッケルに始る (1866) 。ヘッケルはまた,系統学をさすのに最も普通に用いられる phylogenyという語の造語者でもあったが,この語は最初,個体発生 ontogenyに対して,進化的経歴を意味する系統発生をさすために提唱され,やがて,系統発生の研究であるところの系統学自体も,この語で呼ばれるにいたった。
 
 
== 系統学と分類学との関係 ==
 
[[File:Haeckel arbol bn.png|thumb|right|250px|ヘッケルの系統樹(1866年)]]
 
[[File:Phylogenetic-Groups.svg|thumb|right|280px|[[分類群]]は、[[単系統群]]であることも、[[側系統群]]や[[多系統群]]であることもある。]]
 
{{See also|分類学}}
 
分類学は多種多様な生物を把握しやすいように(場合によっては造物主によるデザインを研究するという自然哲学的目的から)分類体系を作るのが初期の目的であった。[[進化論]]が提唱されて以降は、これに進化の様子を表現する目的(つまり系統学的な目的)が加わったのであるが、従来の分類を主目的とする考え方がすぐに消滅したわけではない。系統([[系統樹]]の枝で示される)のみでなく、進化の段階([[ヘッケル]]流の系統樹では進化したものが上に描かれる)でも分ける考え方が続いた(例として[[爬虫類]]の1分派である[[鳥類]]を爬虫類から分ける考え方など)。
 
 
 
20世紀半ばに、従来の分類学の考え方に恣意的あるいは不正確な点が多いとして、それに代わる[[表形分類学]]と[[分岐学]](分岐論)の2つの考え方が提唱された。
 
 
 
[[表形分類学]](phenetics)とは、生物の多くの[[形質]]を同時に比較し、近いもの・遠いものを定量的に明らかにする考え方である。これは分類を客観的に行うことに主眼を置き、進化系統は必ずしも考慮していない。この考え方は現在はあまり重視されないが、分子系統学は塩基配列などの表形分類的な比較から始まっている(現在は分岐論的あるいは種々の統計学的方法も用いている)。
 
 
 
一方、[[分岐学]](cladistics)とは、進化に伴う分岐パターンを正確に明らかにしようとする考え方で、(分岐分類学という言い方もされるが)どちらかといえば系統学の方法論である。これは生物の多くの形質を同時に比較する点では表形分類学と共通するが、想定されるいろいろな進化の道筋から、分岐回数がなるべく少ないものを正しいと考える([[最節約]]の原理)のが特徴である。この考え方はその後次第に分類学にも取り入れられ、[[恐竜]]など[[化石]]生物の研究で主流となっている。現在では特に分子系統学に基づく分類においても重要な考え方である。
 
 
 
==生物学以外の系統学==
 
[[比較言語学]]においても、生物学と同じように、系統学的手法で[[語族]]や[[語派]]が確立される。ただし言語は[[混合言語|混合]]等の過程を経て複雑に形成されることが多いため、生物種間のような純粋な系統樹を作成できる場合は多くない。比較的系統を追いやすい語族として[[インドヨーロッパ語族]]や[[オーストロネシア語族]]があげられる。
 
 
 
またヒト集団の[[社会制度]]や[[習俗]]、[[写本]]の系統等を広く扱う[[文化系統学]]も存在する。
 
  
 
== 関連項目 ==
 
== 関連項目 ==
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* [[言語年代学]]
 
* [[言語年代学]]
 
* [[言語系統論]]
 
* [[言語系統論]]
* [[日本語系統論]]
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* [[日本人の起源]]
 
  
  
 
{{生物学}}
 
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{{Biosci-stub}}
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2018/9/20/ (木) 14:38時点における最新版

系統学(けいとうがく、英語:phylogenetics)

生物相互の進化的由来,すなわち系統関係を研究する生物学の一分野。由来が近縁である生物は,形態や性状や個体発生の過程にも共通点の多いことが期待されるから,分類学と系統学は密接な関係にあり,分類関係を系統学的に整理しようとする学問である systematicsは,系統学とも分類学とも訳されることがある。系統関係は系統樹の形にまとめて示されることが多いが,これは E.ヘッケルに始る (1866) 。ヘッケルはまた,系統学をさすのに最も普通に用いられる phylogenyという語の造語者でもあったが,この語は最初,個体発生 ontogenyに対して,進化的経歴を意味する系統発生をさすために提唱され,やがて,系統発生の研究であるところの系統学自体も,この語で呼ばれるにいたった。

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