積分因子
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テンプレート:Differential equations 積分因子 (せきぶんいんし、英: integrating factor) とは微分方程式の解法に用いられる関数である。常微分方程式の解法で最もよく用いられ、積分因子を掛けることにより不完全微分から完全微分(積分するとスカラー場を与える)を得ることができる。特に熱力学の分野で用いられ、そこではエントロピーを完全微分にするために温度が積分因子となる。
2変数の方程式の場合には積分因子は必ず存在する[1]。
積分因子を用いた常微分方程式の解法の例
次のような1階の線形常微分方程式を考える。
- [math]y'+P(x)y = Q(x)\quad\quad\quad (1)[/math]
この方程式に対し、適当な積分因子[math]M(x)[/math]を (1) 式の両辺に掛け、左辺に積の微分の公式を適用できるようにすると、
- [math]M(x)y' + M(x)P(x)y = M(x)Q(x)\quad\quad\quad (2)[/math]
- [math](M(x)y)' = M(x)Q(x)\quad\quad\quad (3)[/math]
となるから、(3) 式を積分して
- [math]y M(x) = \int Q(x) M(x)\,dx[/math]
となり、これよりもとの微分方程式の解として
- [math]y = \frac{\int Q(x) M(x)\, dx}{M(x)}\,[/math]
が得られる。
次に積分因子[math]M(x)[/math]を具体的に求める。(2), (3) 式それぞれの左辺が等しくなるように[math]M(x)[/math]をとっていることから、
- [math]M'(x) y + M(x) y' = M(x) y' + M(x) P(x) y \quad\quad\quad[/math]
となり、[math]M(x)[/math]がつぎの微分方程式
- [math]M'(x) = M(x)P(x) \quad\quad\quad (4)\,[/math]
を満たすことがわかる。この式を変形すると、
- [math]\frac{M'(x)}{M(x)} = P(x) \quad\quad\quad (5)\,[/math]
- [math](\ln M(x))' = P(x)[/math]
したがって
- [math]M(x) = \exp\left(\int P(x)\,dx\right)[/math]
となる。
脚注
- ↑ 和達三樹; 十河清; 出口哲生 『ゼロからの熱力学と統計力学』 岩波書店、2005年、26頁。ISBN 4-00-006700-1。
外部リンク
- Joakim Munkhammar. “Integrating Factor”. MathWorld(英語). Template:Cite webの呼び出しエラー:引数 accessdate は必須です。