「焼夷弾」の版間の差分

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{{出典の明記|date=2016-10-24}}
 
[[File:Napalm.jpg|thumb|240px|[[ベトナム戦争]]においてアメリカ軍が使用したナパーム弾の爆発([[1965年]])]]
 
  
'''焼夷弾'''(しょういだん、{{lang-en|incendiary bomb、incendiary ammunition}})は、[[焼夷剤]](発火性の薬剤)を装填した、[[爆弾]]・[[砲弾]]・[[弾丸|銃弾]]である。
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'''焼夷弾'''(しょういだん、{{lang-en|incendiary bomb、incendiary ammunition}}
  
攻撃対象を焼き払うために使用する。そのため、発生する爆風や飛散する破片で対象物を破壊する通常の爆弾と違い、焼夷弾は中に入っているもの(焼夷剤)が燃焼することで対象物を[[火災]]に追い込む。
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人馬を焼殺し,市街,森林,兵器などを焼き払うために焼夷剤を弾体に詰めた弾。火炎瓶([[モロトフ爆弾]])も含まれる。ローマ人は,壺の中にピッチ,硫黄などを混ぜて入れ,敵船や砦に向かって投げた。最も有名な初期の焼夷弾は,「[[ギリシアの炎]]」と呼ばれたもので,678年にビザンチンの技師カリニコスによって発明されたといわれる。壺に入れて投げるか,またはサイホンを使って敵に浴びせかけた。焼夷剤が大きく進歩したのは,20世紀初めにガソリンにゴム,合成樹脂,石鹸などを添加して濃化,あるいはゼリー化することが発見されてからである。焼夷剤の種類によって,テルミット系,黄リン系,油脂系に大別される。[[ナパーム弾]]は,油脂焼夷弾の代表的なものである。日本では昔から[[棒火矢]]があり,旧陸軍が初めて使用したのは,1930年の[[霧社事件]]の際,砲撃に用いたテルミット系の焼夷弾である。国際連合会議で採択された,特定通常兵器使用禁止制限条約 Convention on Certain Conventional Weapons; CCWの第3議定書(1983発効)によって,文民および民用物に対する使用が禁止された。
  
このような燃焼を利用する銃砲弾がすべて焼夷弾ということではなく、同様の機構を持ちながらも目的の異なる、[[照明弾]]・[[曳光弾]]・[[発煙弾]]・[[催涙剤|ガス弾]]などもある。
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{{テンプレート:20180815sk}}
 
 
== 種類 ==
 
=== 焼夷剤の種類 ===
 
焼夷剤の種類で分類される。
 
 
 
; [[テルミット焼夷弾]]
 
: [[テルミット法|テルミット反応]]を使う。
 
: [[エレクトロン焼夷弾]]は、テルミットの燃焼によりさらに[[エレクトロン (合金)|エレクトロン]]([[マグネシウム]]合金)に点火する。[[第二次世界大戦]]の[[ドイツ本土空襲|対独爆撃]]に多用された([[日本]]へも若干用いられた)。
 
; 油脂焼夷弾
 
: [[油脂]]を使う。化学的な意味での「油脂」だけでなく、[[ナフサ]]・[[重油]]などの[[石油製品]](主成分は[[炭化水素]])もこれに含まれる。
 
: [[ナパーム弾]]は、[[ナフサ]]に各種薬剤を混ぜた「ナパーム剤」を使う。第二次大戦の[[日本本土空襲|対日爆撃]]でM69などが、[[ベトナム戦争]]の[[ベトナム戦争#北爆|北爆]]でナパームBが多用された。
 
; 黄燐焼夷弾
 
: [[黄燐]](白燐)の[[自然発火]]を使う。
 
 
 
主剤ではないが、エレクトロン焼夷弾や油脂焼夷弾の点火剤に[[マグネシウム]]が使われることもある。
 
 
 
=== その他の種類 ===
 
; [[火炎瓶]]
 
: [[ガラス瓶]]などに油脂を詰めて製造される簡易な焼夷弾。軍用としては主に[[第二次世界大戦]]期に[[対戦車兵器]]として使用された。製造が容易なことから、[[暴動]]の際にもしばしば使用される。
 
; [[焼玉式焼夷弾]]
 
: 近世・近代に使われた[[砲弾]]で、焼夷剤を使うのではなく、砲弾を赤熱させることで焼夷効果を起こす。
 
; [[徹甲焼夷弾]] {{weight|normal|({{en|armor piercing incendiary}}; API)}}
 
: [[徹甲弾]]({{en|armor piercing}}; AP)と焼夷弾の機能を併せ持つ砲弾・[[弾丸|銃弾]]。敵の[[装甲]]を貫いて、内部で燃焼し焼夷効果をもたらす。さらに[[榴弾]]の機能を加えた[[HEIAP|徹甲炸裂焼夷弾]]({{en|high explosive incendiary/armor piercing ammunition}}; HEIAP)もある。
 
 
 
== 被害 ==
 
; 火災
 
: 焼夷効果により[[火災]]が発生する。焼夷弾の大量使用により大火災が発生すると、[[酸欠]]や[[一酸化炭素中毒]]による[[窒息死]]も多発する。
 
; 焼夷剤による化学的な被害
 
: 焼夷剤の燃焼ガスや、燃え残った焼夷剤そのものが、化学的な被害をもたらす。特に黄燐焼夷弾は、気化したリンや、燃焼ガスの[[五酸化二リン]]が、広範囲に広がり[[皮膚]]や[[呼吸器]]を侵食する。
 
 
 
<gallery>
 
Nihonbashi-1.jpg|[[日本橋 (東京都中央区)|日本橋]]の欄干の焼夷弾跡(2010年12月10日撮影)
 
Nihonbashi-2.jpg|同左(2010年12月10日撮影)
 
</gallery>
 
 
 
== 不発弾事故 ==
 
黄燐焼夷弾の[[不発弾]]が地中に埋まり、それを含んだ土や岩が掘り起こされたりなどして空気に触れ発火する、という事故が[[沖縄県|沖縄]]や[[フィリピン]]で起こり、新種の鉱物か、と騒がれたことがある。
 
 
 
[[2008年]][[9月24日]]に、 [[青森県]][[青森市]]栄町二丁目の住宅新築工事現場で、[[ショベルカー]]で掘削作業をしていたところ、M47六角焼夷弾を発見、破片に残っていた[[黄燐]]が酸化し一時は炎や煙が上がったが、[[陸上自衛隊]][[第9師団 (陸上自衛隊)|第9師団]]が出動、同日15時ごろ回収された。
 
 
 
== 規制 ==
 
[[特定通常兵器使用禁止制限条約]]の附属議定書3において、[[文民]]や人口密集地付近の目標に対して使用することは禁止された。ただし、[[イスラエル]]、[[大韓民国|韓国]]、[[トルコ]]などは未締約である<ref>[http://www.unog.ch/__80256ee600585943.nsf/(httpPages)/3ce7cfc0aa4a7548c12571c00039cb0c?OpenDocument&ExpandSection=1#_Section1 Where global solutions are shaped for you | Disarmament | States parties and signatories]</ref>。
 
 
 
== 第二次世界大戦に投入された焼夷弾 ==
 
=== 主な焼夷弾 ===
 
; M47A2
 
: 4ポンド(約 1.8kg)の[[ナパーム弾]]。外形は六角柱。6発ずつ束ねてT19集束機に搭載された。
 
; M50
 
: 4ポンド(約 1.8kg)の[[テルミット法|テルミット]]・[[マグネシウム]]弾。外形は六角柱。110発を束ね、M17[[クラスター爆弾|集束]]焼夷弾(公称重量500ポンド)として投下された。
 
; [[M69焼夷弾|M69]]
 
: 6ポンド(約 2.7kg)のナパーム弾。外形は六角柱。E28・E36・E46・E48集束焼夷弾(いずれも公称重量500ポンド)として投下された。
 
; M76
 
: 公称重量500ポンド、実重量約480ポンド(約 218kg)の、大型のナパーム・マグネシウム弾。
 
 
 
=== M69 ===
 
{{main|M69焼夷弾}}
 
[[File:M69 6-pound Napalm Incendiary Bomb, Niigata Prefectural Museum of History.jpg|thumb|長岡空襲で使用されたM69子弾。[[新潟県立歴史博物館]]の展示。]]
 
木造の日本家屋を効率よく焼き払うため、[[第二次世界大戦]]時に[[アメリカ軍|米軍]]が開発した焼夷弾。M69焼夷弾1発あたりの大きさは、直径8cm・全長50cm・重量2.4kg程度。
 
 
 
38発のM69焼夷弾を子弾として内蔵する[[クラスター爆弾]]「E46集束焼夷弾」などとして投下された。投下後上空700m程度でこれらが分離し、一斉に地上へ降り注ぐ。
 
 
 
==== モロトフのパン籠 ====
 
E46には「[[ヴャチェスラフ・モロトフ|モロトフ]]のパン籠」という異名がついた。この異名はもともと[[冬戦争]](第一次ソ芬戦争)時のモロトフの発言に基づき、構造がパン籠を連想させる収束焼夷弾コンテナに[[フィンランド]]国民が名付けたものである。[[日本]]では特にこの爆弾の異名として用いられることが多い。
 
 
 
フィンランドの都市への[[空襲|空爆]]を非難された[[ソビエト連邦|ソ連]]のモロトフ外相は「爆撃ではなく、人民にパンなどを投下している」と答えたと言われている。その痛烈な皮肉以外の何物でもない発言に対し、フィンランド国民はソ連の小型焼夷弾60発を収納するコンテナを"モロトフのパン籠"と呼ぶ事で応じた。また、フィンランド兵は"お返し"として対戦車用の[[火炎瓶]]を「モロトフに捧げるカクテル」と呼んだと言われており、その逸話から火炎瓶を"モロトフ・カクテル"と呼ぶ事もある。
 
 
 
==== 人体への直撃による被害 ====
 
焼夷弾は建造物などの目標を焼き払うための[[兵器]]であるが、M69は小型の子弾が分離し大量に降り注ぐため、人体への直撃による即死の事例が、多くの被災者の証言により伝えられている。
 
 
 
例えば戦争を題材にしたアニメ・映画では、落下した焼夷弾が家屋や地面に激突し大爆発を起こし燃え上がる描写が多く見られる。だが実際には避難民でごった返す大通りに大量に降り注ぎ子供を背負った母親や、上空を見上げた人間の頭部・首筋・背中に突き刺さり即死、そのまま燃え上がるという凄惨な状況が多数発生していた。
 
 
 
==== 「火の雨」に見える理由====
 
M69の発火は、対象への激突後である。しかし『[[火垂るの墓]]』をはじめとする戦時中を題材にした映画などでは、火のついた焼夷弾が「火の雨」となって落下する描写がある(多くの空襲被災者の証言にも見られる)。そのため、空中で発火して焼夷剤に引火させると誤解されていることがある。しかしこのときの火は、焼夷剤によるものではない。
 
 
 
M69には、目標(木造家屋の瓦屋根など)への貫通力を高めるため、姿勢を垂直に保つ目的のリボン(青く細長い布)が取り付けられている。上空での分離時に使用されている火薬によって、このリボンに着火し、それがあたかも火の帯のようになり一斉に降り注ぎ、火の雨が降るように見える。
 
 
 
=== M74 ===
 
従来型に[[黄燐]]を入れ威力を高めた新型焼夷弾。
 
 
 
M74六角焼夷弾38本を束ねた「E48集束焼夷弾」として投下された。[[青森大空襲]]([[1945年]][[7月28日]])が、その実験場となり83,000本ものM74六角焼夷弾が降り注ぎ東北地方最大の被害を青森市に与えた。[[米国戦略爆撃調査団]]は「M74は青森のような可燃性の都市に使用された場合有効な兵器である」と結論している。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
{{Commonscat|Incendiary_weapons}}
 
* [[日本本土空襲]]
 
* [[東京大空襲]]
 
* [[アントニン・レーモンド]]
 
* [[コウモリ爆弾]]
 
* [[ドラゴンブレス弾]]
 
 
 
{{Weapon-stub}}
 
 
{{DEFAULTSORT:しよういたん}}
 
{{DEFAULTSORT:しよういたん}}
 
[[category:砲弾]]
 
[[category:砲弾]]
 
[[category:燃焼]]
 
[[category:燃焼]]

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焼夷弾(しょういだん、英語: incendiary bomb、incendiary ammunition

人馬を焼殺し,市街,森林,兵器などを焼き払うために焼夷剤を弾体に詰めた弾。火炎瓶(モロトフ爆弾)も含まれる。ローマ人は,壺の中にピッチ,硫黄などを混ぜて入れ,敵船や砦に向かって投げた。最も有名な初期の焼夷弾は,「ギリシアの炎」と呼ばれたもので,678年にビザンチンの技師カリニコスによって発明されたといわれる。壺に入れて投げるか,またはサイホンを使って敵に浴びせかけた。焼夷剤が大きく進歩したのは,20世紀初めにガソリンにゴム,合成樹脂,石鹸などを添加して濃化,あるいはゼリー化することが発見されてからである。焼夷剤の種類によって,テルミット系,黄リン系,油脂系に大別される。ナパーム弾は,油脂焼夷弾の代表的なものである。日本では昔から棒火矢があり,旧陸軍が初めて使用したのは,1930年の霧社事件の際,砲撃に用いたテルミット系の焼夷弾である。国際連合会議で採択された,特定通常兵器使用禁止制限条約 Convention on Certain Conventional Weapons; CCWの第3議定書(1983発効)によって,文民および民用物に対する使用が禁止された。



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