瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件

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日本総領事館脱北者駆け込み事件で日本総領事館に駆け込んだ少女と日本人拉致事件で拉致された横田めぐみの家族をホワイトハウスに招き会見するジョージ・W・ブッシュ米大統領(2006年4月28日)

瀋陽総領事館北朝鮮人亡命者駆け込み事件(しんようそうりょうじかんきたちょうせんじんぼうめいしゃかけこみじけん)は、中華人民共和国瀋陽市に置かれている在瀋陽日本国総領事館朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)からの亡命者(金高哲一家など5人)が侵入・救助を謀った事件。

概要

2002年5月8日、金高哲一家など5人の亡命者は日本国総領事館に駆け込みを画策、失敗し中国人民武装警察部隊に取り押さえられた。その際、総領事館の敷地内に無断で足を踏み入れていたこと、逮捕された亡命者が北朝鮮へと送還される可能性があったこと、日本国内の中華人民共和国大使館および駐中特命全権大使阿南惟茂の事件への対応(事件発生直前、亡命者が大使館に入ってきた場合は追い返すよう指示を出していた[1])を巡り批判、問題が発生した。

「拉致被害者、北朝鮮脱出者の人権と救命のための市民連帯」などを始めとするNGOによって、事件の始終がビデオカメラで撮影された。

日本総領事館の敷地に入った中国武装警察官に対し、応対に出た副領事の宮下謙が、亡命者の取り押さえおよび敷地立ち入りへの抗議を行わず、武装警官の帽子を拾うなど友好的な態度に出た映像が、日本のテレビ局により報道され、日本と大韓民国における批判を呼んだ。

事件が発生した翌日の5月9日夜、抗議に訪れた阿南大使に対し、中国外務省の外務次官補・劉古昌は問題の武装警官が日本総領事館立ち入り許可を得ていないとの前提で対応していたことが後に判明した。劉外務次官補は、火災など緊急の場合においては同意を必要としない、との領事関係に関するウィーン条約第31条第2項を論拠に挙げている。

その後中国政府は「同意は存在した」と主張を変更。訪中した、現地調査チームトップの外務省小野正昭官房領事移住部長が、羅田広中華人民共和国外交部領事司司長と面会し、日本側職員は中国人民武装警察部隊の警官が瀋陽総領事館に入り亡命者を連行することに同意していないとの日本側調査内容を説明したのに対し、羅司長は、中国側の調査結果と食い違うとし、副領事の同意を得ていたなどとする反論を行った。日本側外務省が情報を小出しにして事態の沈静化を図る。

事件前日の5月7日に、中国北方航空6136便放火墜落事件が発生しており、領事はこの墜落事件に遭遇した日本人のために大連市に出張しており、不在であったことも背景として挙げられる。

その後韓国への亡命が認められた金高哲は、日本での講演に際して、北朝鮮における体制、事件の際の領事館の対応、日本の一部マスメディアなどを批判している。

北朝鮮と同盟関係にある中華人民共和国は、この事態を重く見て、今後同様なことが起こらないよう、領事館の廻りを中国人民解放軍により厳重警備し、城壁・堀を構築するなど対応を強めている。

責任者

脚注

関連項目

外部リンク