測量

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ファイル:Table of Surveying, Cyclopaedia, Volume 2.jpg
1728年刊 "Cyclopaedia" より、測量機器と測量手法の図

測量(そくりょう)は、地球表面上のの関係位置を決めるための技術作業の総称。地図の作成、土地位置・状態調査などを行う。

日本では高度の精度を必要としない測量は基本的に誰でも行うことができるが、国または地方公共団体の実施する基本測量公共測量等は測量法に従って登録された測量士又は測量士補でなければ技術者として従事することはできず、またこうした測量は測量法に従って登録された、営業所ごとに測量士が一人以上置かれた測量業者でなければ請け負うことはできない。一方、登記を目的とした測量は土地家屋調査士でなければ行うことはできない。

測量の歴史は古く、古代エジプトの時代から行われてきた。日本では1800年伊能忠敬が日本地図作成のため、蝦夷地(現在の北海道)で本格的な測量を行ったのが始まりとされる。

測量の種類

分類の仕方によっていくつかの種類にまとめることができる。

規模による分類
計算の仕方による分類
測量士補試験科目による分類

この他にも様々な測量がある。

測地測量(基準点測量)

国土など広地域を対象とする測量。基準点・水準点を求める。最終相対誤差は100万分の1程度。広大な面積を扱うため、地球表面が平面でない事を考慮して行う。

三角測量

位置、高さを求める測量。基準点と各測点を結んで測量区域を三角形の組み合わせで示し、三角法により三角形の内角辺長を用いて位置関係を求める。

片方の測点上にトランシットを設置、もう片方の測点では作業員が測点上に目標となる棒(スタッフ)を立てる。トランシットからスタッフを目視し、角度を調べる。測点間の距離は角度、一辺の長さを元に数値計算で算出する。

基準点-測点間の視界を確保する必要があるため、建築物など障害物の多い場所での三角測量は測点が多くなるなど手間が多くなる

多角測量

位置、高さを求める測量。トラバース測量とも呼ばれる。測点間の測定方法は三角測量と同一。基準点から測点A、測点Aから測点B、測点Bから測点Cという具合に測点を結んで測量区域を多角形で示し、多角形の各辺の長さ・角度で位置関係を求める。

描く多角形にはいくつかの種類があり、多角形の辺が最終的に基準点に戻ってきて閉じた状態になるものを「閉合トラバース」、戻ることなく開放された状態になるものを「開放トラバース」と呼び、三角点などの高い精度を持つ二つの基準点を結ぶものを「結合トラバース」と呼ぶ。

最も精度が高いのが結合トラバースだが、これには基準点に(ほとんど)誤差が無い事が前提となる。閉合トラバースは精度が高いので一般的によく使われるが、計測した距離に定誤差がある場合、その誤差を検知、解消出来ない。開放トラバースは計測した測点の誤差を検知、解消できないことから精度が低く、あまり使われない。

三辺測量

位置、高さを求める測量。三つの測点で描く三角形各辺の距離を調べ、測量する。かつては精度が悪いため使われなかったが、近年は光波測距儀などの高精度で距離を測れる機器が登場、それにより可能となった。

GNSS測量(旧 GPS測量)

GPSGLONASSガリレオなどのGNSS(全地球航法衛星システム、または汎地球航法衛星システム)を用いて、位置、高さを求める測量。基準点、測点の2ヶ所にGNSS観測機を設置、GPS衛星などから発信される電波を受信して測定する。

2011年4月に、従来の「GPS測量」から名称が変更された[1]。これは、アメリカのGPSだけでなく、ロシアのGLONASSなど複数のGNSSが運用されるようになったことから、それらを組み合わせて測量するようになったためである。

従来の測量に比べると人手・時間が少なくて済むが、機器のコストが高い、近くにトタン屋根や金属製の看板があると、電波が多重反射してしまうなどの問題がある。

水準測量

高さを求める測量。2測点間に「標尺」を設置、レベルと呼ばれる機器により測定する。これを繰り返して各測点の高さを算出する。明治16年以降、国は水準測量で土地の標高を決めてきたが、2018年に、人工衛星などを使ってより早くデータが得られる衛星測量に変えることを決定した[2]

地形測量(細部測量)

測地測量で得た数値データや、写真を元に地図を作成する測量。

平板測量

狭い地域の等高線地図を作成するための測量。三脚の上に平板・図面を設置、アリダードを用いて測点を目視し、図面上に実際の地形を記述する。雨や風に弱いが、内業を行う必要がない。最近ではトータルステーションの普及により、あまり使われることがなく、測量士試験・測量士補試験では平成20年度より問題から削除されているが、高校等の実習で放射法などの基礎を学ぶために使用されることは多い。

写真測量

写真撮影によって記録された写真データに基づき地物の大きさ・形状・位置等、空間を測定する技術[3]

平面測量

狭い地域を対象とする測量。地球が球(曲平面)である事は考慮せず、土地を平面と仮定しておこなう。

応用測量

基準点測量、水準測量、地形測量及び写真測量などの基本となる測量方法を活用し、目的に応じて組み合わせて行う測量。公共事物の道路河川公園等の計画調査実施設計用地取得管理等に用いられる測量であり、目的に応じてそれぞれ路線測量、河川測量、境界測量を含む用地測量、その他の応用測量(主題図データ作成)に分類されるほか、工事のための測量も応用測量に含まれる。また応用測量は、基本測量成果、基準点測量、水準測量、地形測量の成果を使用して行われる。[4]

なお日本測量協会では毎年応用測量技術研究発表会を開催している。

工事測量

  • 丁張り(遣方)

測量機器

(survey(ing) equipment and instruments)

地図編集

測量としての地図編集とは、各種縮尺地図実測図、基図などの地図作成に必要な資料を編集し、必要に応じて現地調査を行い、目的の地図を編集して作成する作業を指す。

一般には既存の数値地形図データを基図として写真測量で作った実測図や基図、各種測量成果や空中写真等といったさまざまな参考資料を活用し、縮尺のより大きく新しい地図を作成したり編集して別の地図を作るという測量。

またここでの実測図とは写真測量または平板測量で測量して作製された地図を指し、その実測図や基図を編集して作った地図を編集図と呼んでいる。

各種ある国土地理院発行の地図は実測図や基図から編集図を作る測量を必要とし、またこれは国土地理院発行の地図から市販の道路地図などの特殊地図を作る作業も含まれている。

なお、基図とは編集の基になる地図のことを指す。[5]また、縮尺の大きい地図を編集して縮尺の小さい地図を作る場合、同じ面積を表現するのに使える紙面はごく少ないものになるため、そのまま縮小して同じ情報量を載せてしまうと地図が分かりにくいものになってしまうことから、取捨選択といった重要な情報に整理し、不必要な情報を捨て記号図形を簡略化する作業行為を経て制作している。

脚注

  1. [1] 2011年度施行改正公共測量作業規程の準則(基準点測量)解説、アイサンテクノロジー
  2. 標高の決め方 変わりますNHK, 2018年3月26日
  3. 長谷川昌弘ほか 『ジオインフォマティックス入門』 理工図書、2002年ISBN 4844606832 
  4. 公共測量作業規程の準則では第4編に応用測量があり、第339条の2により 「応用測量とは、道路、河川、公園等の計画、調査、実施設計、用地取得、管理等に用いられる測量をいう。」としている。応用測量の区分は第340条で、目的によって 一 路線測量、二 河川測量、三 用地測量、四 その他の応用測量 と区分されている。そして同条の2によると応用測量は建設事業に付随する測量ごとに、必要に応じて路線測量、河川測量及び用地測量並びにその他の 測量を行うものとするとしており、使用する成果を第341条で、基本測量成果に加え、基準点測量、水準測量、地形測量及び写真測量の成果を使用して行うものとしているがただし、基準点測量成果等が必要な場合には、当該測量を実施し、必要な成果を取得して行うものとするとしている。
  5. 縮尺が大きい順からみて編集として2万5千分の1地形図から5万分の1地形図を作る。このとき基になる2万5千分の1地形図は基図であり、5万分の1地形図は編集図ということになる。このようにして同じ要領で、5万分の1地形図から20万分の1地勢図を作る場合、5万分の1地形図を基図とし、20万分の1地勢図が編集図となる。

関連項目

外部リンク