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'''栄養学'''(えいようがく、{{Lang-en|nutrition science}})とは、[[食事]]や[[食品]]、その成分である[[栄養素]]がどのように[[生物]]の中で利用されたり影響しているかを[[研究]]する、[[栄養]]に関する[[学問]]である。[[1910年代]]、日本での栄養学の創設期には、食品に含まれる栄養成分の分析や、「何を、いつ、どのくらい」食べたらいいのかを研究した。次第に[[白米]]の栄養素が乏しいということで、[[玄米]]かこれを部分的に精米した[[米#加工による分類|分搗き米や胚芽米]]かといった激しい主食論争が交わされた。[[1980年]]頃から、食事と[[生活習慣病]]が大きく関係することが分かり、[[食生活指針]]が作られ関連を研究する疫学研究が盛んになった。また[[1980年代]]以降、食品成分の健康に対する作用が解明されることが増え、[[健康食品]]として食品の機能に関して認識されていくこととなった。
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'''栄養学'''(えいようがく、{{Lang-en|nutrition science}}
  
[[炭水化物]]、[[たんぱく質]]、[[脂質]]で三大[[栄養素]]と呼ばれる。炭水化物が減少し、脂質が増えるという比率の変化は、食の西洋化(また欧米化)と呼ばれ健康への影響が調査されてきた<ref name="Kagawa1978"/><ref name="Kobayashi1992"/>(厳密には脂肪の種類が重要<ref name="日経2003"/>)。日本でも反省され1980年代には[[日本型食生活]]が提唱された。沖縄は、以前は世界に名だたる長寿地域でその食事要因なども調査されてきたが、全国に先駆けた食事の西欧化により、その長寿が危機に瀕している<ref name="ref2">{{Cite episode| title=沖縄 長寿崩壊の危機 日本に迫る“短命化社会”| url=http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3320/1.html| series=クローズアップ現代| serieslink=クローズアップ現代+| network=NHK| airdate=2013年3月5日| number=3320| transcripturl=2016-07-01 }}</ref>。このような傾向を日本の他の地域も後追いするといわれている<ref name="ref2"/>。[[ビタミン]]、[[ミネラル]]を加えて五大栄養素である。さらに微量な栄養素や[[腸内細菌]]の影響も調査される。
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栄養について科学的に研究する学問。栄養生理学・栄養化学・栄養病理学などに分けられる。
  
同じ栄養学が、古くは精白を奨励し21世紀近くには問題にし、動物性食品を古くは奨励し後に大きな問題の源としたのである。過去に[[食物繊維]]は栄養素の利用効率を下げると考えられ穀物の精白が推奨されたが<ref name="日本食物繊維学会"/>、白米など精白による栄養損失も問題となり日本の栄養学創設者[[佐伯矩]]は[[七分搗き米]]を、女子栄養大学創設者の[[香川綾]]は[[胚芽米]]を推奨し21世紀でも重視されている<ref name="胚芽米2013"/><ref name="胚芽米2010"/><ref name="佐伯式"/>。1970年代には食物繊維の重要性が知られ、1990年代に目標摂取量が策定され、穀物からの摂取量減少が目標達成を阻んでいる<ref name="日本食物繊維学会"/>。欧米の食生活指針は[[全粒穀物]]を推奨した。砂糖をエネルギー比10%未満にするという2003年の[[世界保健機関]](WHO)の勧告は<ref name="who2003report"/>、2014年に5%未満とする草案となった<ref name="who2014sugar"/>。1957年の国際的なタンパク質の品質の評価基準[[プロテインスコア]]では鶏卵100点を頂点とし木綿豆腐は67点だった<ref name="isbn9241209356"/>、1973年に[[アミノ酸スコア]]として改訂され、1985年の改定、1990年の確認を経て、大豆も100点と高いものとなり<ref name="女子栄養大学食品成分表2000"/>、動物性食品を減らす動きや、穀物と豆という組み合わせは良質なタンパク質の品質になることが確認されてきた<ref name="isbn9251030979"/>。脂肪も必須でないと考えられた時代から1980年前後には[[必須脂肪酸]]が特定され<ref name="pmid4274059"/>、特に[[ω-3脂肪酸]]は亜麻仁や魚に多く、大豆や菜種油に比較的多く含まれる<ref name="pmid25328170"/>。1977年のアメリカの食事目標でも[[動物性脂肪]]削減は主な焦点となり<ref name="DGUS2JP">宮崎基嘉(国立健康栄養研究所基礎栄養部長)「米国の食事目標に学ぶもの」『米国の食事目標(第2版)-米国上院:栄養・人間ニーズ特別委員会の提言』 食品産業センター、1980年3月。''Dietary Goals for the United States (second edition)''</ref>、2003年[[トランス脂肪酸]]による心血管系リスク増加の防止をWHOが勧告した<ref name="who2003report"/>。
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== 日本における栄養学の歴史 ==
 
[[1871年]](明治4年)に、ドイツ医学で教えた[[ドイツ]]人[[テオドール・ホフマン|ホフマン]]によって栄養についての知識が日本に伝えられた。しかし、そのときは[[医学]]のなかの一分野にすぎず、一つの学問として体系化されたものではなかった。
 
 
 
=== 栄養学の創設 ===
 
[[佐伯矩]]は、栄養学を学問として独立させたため「栄養学の創始者」といわれる。矩は、[[京都帝国大学]]で[[医化学]]を学んでいたころ、すでに「米と塩を以って生活できるか否かについての研究」と栄養に目が向いていた<ref>荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。28頁。</ref>。[[内務省 (日本)|内務省]][[東京大学医科学研究所|伝染病研究所]]に入り[[北里柴三郎]]の門下として[[細菌学]]を研究した。ここでの研究によって[[1904年]](明治37年)には、大根に含まれる消化酵素を発見したことも成果の一つとなっている<ref name="eiyougakusi29">荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。29頁。</ref>。[[1905年]](明治38年)には、北里柴三郎らの推薦で特別研究員として[[アメリカ合衆国|アメリカ]]の[[イェール大学]]に招聘される<ref>荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。30頁。</ref>。[[1911年]](明治44年)ごろ、また[[ヨーロッパ]]を遊学した<ref>[[佐伯芳子]] 『栄養学者佐伯矩伝』 玄同社、1986年。ISBN 978-4-905935-19-3。佐伯矩略歴</ref>。
 
 
 
栄養学が芽生えたのは、[[1914年]](大正3年)。佐伯によって営養(栄養)研究所が創設され、[[医師]]10名、高等師範1名に栄養に関する講義が行われた。[[1918年]](大正7年)当時、教科書や政府の刊行物では営養と表記していたものを栄養に統一するように文部省に建言した<ref>佐伯芳子 『栄養学者佐伯矩伝』 玄同社、1986年。ISBN 978-4-905935-19-3。22頁。</ref>。栄えるという字には健康を増進する意味があるからである<ref name="shoku100saiki">[[渡邊昌]]「対談 食と健康 温故知新 佐伯芳子」『食生活』100(10)、2006.10.1、pp6-8</ref>。また[[完全食]]や[[偏食]]といった言葉も作り出している。[[1920年]](大正9年)には、内務省の栄養研究所(現在の[[国立健康・栄養研究所]])が設立され、佐伯は初代所長となる。[[1924年]](大正13年)、佐伯は私費を投じて栄養学校を設立。翌年入学した第一期生は、1年間の学業を修め、佐伯によってつけられた「[[栄養士]]」という呼称で世に出た。1934年(昭和9年)[[日本医学会]]の分科会として、[[栄養学会]]が正式に独立を認められた。
 
 
 
佐伯矩は海外でも精力的に講義を行い、その業績によって[[1937年]](昭和12年)には、[[国際連盟]]主催の国際衛生会議において、参加各国が国家事業として栄養研究所を設立し、栄養士の育成を行い、分搗きの米を用いることの決議がなされた<ref>佐伯芳子 『栄養学者佐伯矩伝』 玄同社、1986年。ISBN 978-4-905935-19-3。124、128頁。</ref>。ビタミンの国際単位も国連への矩の提案である<ref name="shoku100saiki" />。
 
 
 
=== 栄養士と養成施設 ===
 
1924年(大正13年)、矩の栄養学校(現在の[[佐伯栄養専門学校]])ができる。1933年(昭和8年)、[[香川綾]]の家庭食養研究会ができ、1939年(昭和14年)に女子栄養学園となる。1939年(昭和14年)、[[陸軍]]の糧友会が[[東京栄養食糧専門学校|食糧学校]]を設立した<ref name="seikatsu9">『生活学』 第9冊、日本生活学会編、ドメス出版1983年12月。188-189頁。</ref>。1947年(昭和22年)に栄養士法ができ、上記の栄養学校、食糧学校、女子栄養学園で栄養学を学んだものに与えられていた栄養士という称号が公的なものとなった<ref name="seikatsu9" />。1962年、[[管理栄養士]]が制度となる。
 
 
 
=== 主食論争 ===
 
{{See also|日本の脚気史}}
 
明治時代から[[食養会]]の関係者は[[玄米]]をすすめていた。当時の栄養学は、玄米に多い食物繊維は未消化で排泄されるので栄養吸収の効率が悪いと考えたが、真っ白に精白した米は栄養素が少なすぎるという低栄養が問題であり、当時多発したビタミンB1不足による[[脚気]]の予防のためにもその中間を提唱していた。
 
 
 
1918年(大正7年)、矩は新聞社を16社呼び、胚芽米をすすめ米のとぎ洗いも問題だと伝えた<ref>[[佐伯芳子]]『栄養学者佐伯矩伝』 玄同社、1986年。ISBN 978-4-905935-19-3。22-23頁。</ref>。しかし、精米技術が追いつかず、胚芽米の推奨はやめてどちらかというと胚芽米を嫌っているようでもあった<ref name="shokushakai486">高木和男 『食と栄養学の社会史2』 科学資料研究センター、1978年。486頁。</ref>。1921年(大正10年)、玄米をすすめてきた医師の[[二木謙三]]が玄米をすすめる内容の著書を発行している<ref>二木謙三『食物と健康』 修養団出版部、1921年8月。</ref>。1922年(大正11年)、矩は七分搗き米をすすめる<ref>荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。38頁。</ref>。1927年から陸軍の糧友会は胚芽米を普及させようとしていった<ref name="ryoyuigi">丸本彰造 『胚芽米普及の真意義に就て』 糧友会、1938年。</ref>。理由は、白米はビタミンBが少ないという栄養上の問題があり体力を奪い大和民族の発展を阻止するが、胚芽米は栄養があり味もよく消化がいいということである<ref name="ryoyuigi" />。1928年、香川綾も胚芽米をすすめた<ref>島薗順雄 『栄養学の歴史』朝倉書店、1989年。ISBN 978-4-254-61582-1。</ref>。同1928年(昭和3年)ごろ、陸軍は脚気予防のために胚芽米に精米できる精米機が登場したため、胚芽米を採用した<ref name="shokushakai">高木和男 『食と栄養学の社会史2』 科学資料研究センター、1978年。485-486頁。</ref>。正確に七分搗き米に精米できる精米機はまだなかった<ref name="shokushakai" />。矩は、七分搗き米を普及するべく「標準米」として提唱している<ref>佐伯矩 『栄養之合理化』 愛知標準精米普及期成会、1930年。</ref>。東京市は胚芽米の普及をすすめ、栄養研究所や栄養士と対立する<ref name="shokushakai486" />。
 
 
 
1938年(昭和13年)、[[農相]]によって胚芽米でなく七分搗き米を奨励すべきだという発言が報道されたのに対し、糧友会は『胚芽米普及の真意義に就て』を書き、栄養がある七分搗き米を食べている人にまですすめるわけではないと弁明している<ref name="ryoyuigi" />。
 
1939年、農務省から米穀搗精等制限令<ref>米穀搗精等制限令(昭和14年勅令第789号)</ref>が出て、胚芽を含んだ七分搗き米が奨励された。1941年(昭和16年)、玄米の普及の請願も出ていたが、厚生省、文部省、農林省の大臣が答弁し米は七分搗きが適当であり玄米は最適ではないとした<ref name="eiyougakusi157">荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。157頁。</ref>。1942年(昭和17年)以降、[[大政翼賛会]]では国民を玄米に復帰させるとして議題となり、時の首相であった[[東條英機]]が玄米を[[常食]]していることも伝わり世論は玄米に傾いた<ref name="eiyougakusi157" />。[[東京大学医科学研究所|伝染病研究所]]の研究者らが玄米食について研究し12月の「医界週報」での報告では、炊飯に要する燃料は増加したが、玄米食によって小食になったうえ下痢も減り仕事の耐久力が上がり、医療費は1/17に減ったと伝えたので、栄養学者も認めざるをえなくなった<ref>荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。160-161頁。</ref>。1943年(昭和18年)、当初反対していた厚相も首相に従い玄米をすすめていった<ref>荻原弘道 『日本栄養学史』 国民栄養協会、1960年。158頁。</ref>。[[1945年]](昭和20年)8月15日 玄米をすすめる「[[食生活指針]]<ref>『復刻昭和二十年八月食生活指針』 農山漁村文化協会、2002年3月。ISBN 978-4540011894。</ref>」ができた。
 
 
 
1975年(昭和50年)、謎の神経炎が発生する<ref>高橋和郎 「[http://ci.nii.ac.jp/naid/40002994995/ 心拡大,高度浮腫を伴った急性多発性神経炎]」『日本内科学会雑誌』Vol.64, No.10, 1975年10月、pp. p1140~1152</ref>。1976年、翌年、謎の神経炎がビタミンB1欠乏症である脚気だと分かる<ref>高橋和郎、北川達也「[http://ci.nii.ac.jp/naid/40002994942/ 心拡大,高度浮腫を伴った急性多発性神経炎-続-その疫学ならびに成因としてのビタミンB1欠乏症]」『日本内科学会雑誌』Vol.65, No.3 (1976/03), pp. p256~262</ref>。砂糖の多い清涼飲料水やインスタントラーメンといったビタミンの少ない[[ジャンクフード]]ばかりを食べるような食事によってビタミンが欠乏したことが分かった<ref>住田実 『現代によみがえった「江戸の病」の食生活』東山書房、1995年12月。ISBN 978-4-8278-1038-7。</ref>。香川綾が再び胚芽米の普及にのりだす<ref>香川綾・監『新しい胚芽米健康法』女子栄養大学出版部、1978年4月</ref>。
 
 
 
2010年代でも白米より栄養に富む胚芽米は、香川綾の創設した[[女子栄養大学]]の食堂で採用されているし<ref name="胚芽米2013">柴田真希、五明紀春(監修)、女子栄養大学(協力)『女子栄養大学の雑穀レシピ』PHP研究所、2013年、13頁。ISBN 978-4569809403。</ref><ref name="胚芽米2010">女子栄養大学『女子栄養大学の学生食堂』PHP研究所、2010年、9頁。ISBN 978-4569794525。 また、お手持ちの『食品成分表』が'''女子栄養大学出版部のものであれば'''、胚芽米の歴史等の小解説が付属している。</ref>、佐伯式における七分搗き米の奨励もしかりである<ref name="佐伯式">柳井一男、松井貞子 『新佐伯式フードガイド-新時代の食育と健康管理のために』 フットワーク出版、2006年5月。ISBN 9784876895465。</ref>。
 
 
 
=== 戦後 ===
 
終戦直後の食糧難は深刻を極め、大量の[[餓死#日本における餓死|餓死者]]が発生する事態となっていた。そのようななか、1946年(昭和21年)から[[ララ物資]]として、[[小麦粉]](メリケン粉)や砂糖、[[脱脂粉乳]]や缶詰めといった救援物資が送られ、1947年(昭和22年)からは[[ガリオア資金|ガリオア]]・[[エロア資金|エロア]]の資金援助で小麦粉などの食糧が大量に輸入された。1954年(昭和29年)には[[学校給食法]]ができる。同年、農業貿易開発援助法(PL480:Public Law 480)によってアメリカの[[農産物]]による食糧援助が始まる。そして、1952年(昭和27年)に施行されていた[[栄養改善法]]により[[厚生省]]が栄養改善運動をはじめ、米偏重の是正が叫ばれ、欧米風の食事スタイルが普及し米の消費量は年々減少していく<ref>原田 信男 『コメを選んだ日本の歴史』 文藝春秋、2006年。ISBN 4-16-660505-4。223頁。</ref>。
 
 
 
1955年(昭和30年)に日本食生活協会が設立され、アメリカから資金援助を受け、[[キッチンカー]](栄養指導車)を走らせ、栄養士が欧米風の料理の実演をした<ref>[http://www.shokuseikatsu.or.jp/about/enkaku.php 日本食生活協会について:沿革] (財団法人日本食生活協会)</ref>。学校給食はパンと脱脂粉乳が中心となり、フライパン運動や、栄養三色運動<ref>[http://www.fukyukai.jp/ 栄養改善普及会]</ref>によって、米を[[主食]]とし[[魚]]と[[野菜]]を組み合わせた日本の伝統的食生活に代わり、小麦を使った食品や畜産食品などの[[おかず]]の多い欧米風の食事スタイルが急速に普及していった。戦争で食糧難になる前の1930年代の1日1人あたりの消費量は、米は350グラム以上、小麦は50グラム以下であったが、1950年(昭和25年)には小麦は75グラム以上に増え以降80グラム前後で推移し、米は2010年(平成22年)には150グラム強に減っている<ref>[http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/0280.html 図録▽食生活の変化(1910年代以降の品目別純食料・たんぱく質供給量)] (社会実情データ図録)</ref>。
 
 
 
=== 食育への流れ ===
 
{{main|食育}}
 
しかし、日本の伝統的食生活は、フランスの農学者、{{仮リンク|ジョセフ・クラッツマン|fr|Joseph Klatzmann}}をして、タンパク質・脂質・炭水化物のカロリー比率が理想的と言わしめたものである<ref>藤岡 幹恭 他 『農業と食料のしくみ』 日本実業出版社、2007年。ISBN 978-4-534-04286-6。14-16頁。</ref>。アメリカ化された食生活はアメリカ自身も困っていた、[[地中海食|キース博士の研究]]の発端となった食生活をそのまま取り入れてしまったものである<ref name="矩伝">佐伯芳子 『栄養学者佐伯矩伝』 玄同社、1986年。ISBN 978-4-905935-19-3。105頁。</ref>。
 
 
 
このため方針の転換がなされ、1983年(昭和58年)には[[農林水産省]]から、「私達の望ましい食生活-日本型食生活のあり方を求めて」により、米や野菜を中心として[[動物性脂肪]]や砂糖や塩分のとりすぎを避けるという[[日本型食生活]]が提案された。1985年(昭和60年)には、それまで欧米風の食生活の普及を推し進めていた厚生省も、「健康づくりのための食生活指針<ref>『健康づくりのための食生活指針-解説と指導要領』厚生省保健医療局健康増進栄養課、第一出版、1986年5月。ISBN 978-4-8041-0327-3</ref>」を策定する。
 
 
 
1993年(平成5年)、厚生省によって食生活の教育が重要であるという提起として『食育時代の食を考える』が出版され、冒頭は、厚生大臣であった[[小泉純一郎]]が厚生省としては食が一番大事じゃないかと述べていたというところからはじまる<ref>厚生省保健医療局健康増進栄養課 『食育時代の食を考える』 中央法規出版、1993年11月。ISBN 978-4-8058-1165-8。</ref>。2000年(平成12年)厚生省、農林水産省、[[文部省]]が「食生活指針<ref>『食生活指針』 2版、国立健康・栄養研究所監修
 
、第一出版、2003年9月。ISBN 978-4-8041-1076-9。</ref><ref>[http://www1.mhlw.go.jp/houdou/1203/h0323-1_11.html 「食生活指針」の策定について] (厚生労働省)</ref>」を策定する。厚生省による「[[健康日本21]]<ref>「[http://www1.mhlw.go.jp/topics/kenko21_11/pdf/all.pdf 21世紀における国民健康づくり運動(健康日本21)について 報告書」] (厚生労働省)</ref><ref>[http://www.kenkounippon21.gr.jp/ 健康日本21]</ref>」(21世紀における国民健康づくり運動)もはじまる。2005年(平成17年) 食育基本法<ref>[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H17/H17HO063.html 食育基本法] (法令データ提供システム)</ref>が施行される。
 
 
 
[[厚生労働省]]と農林水産省が食品を単位としたイラストの食事指針である「[[食事バランスガイド]]<ref>『[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji2.pdf 食事バランスガイド  厚生労働省・農林水産省決定 フードガイド(仮称)検討会報告書]』(PDF) 第一出版、2005年12月。ISBN 4-8041-1117-4。</ref><ref>[http://www.maff.go.jp/j/balance_guide/ 食事バランスガイド] (農林水産省)</ref>」を策定する。
 
 
 
===西洋化の影響===
 
述べたとおり、日本の食生活は西洋化の影響を受けてきた<ref name="Kagawa1978">{{cite journal |last1=Kagawa |first1=Yasuo |title=Impact of westernization on the nutrition of Japanese: Changes in physique, cancer, longevity and centenarians |journal=Preventive Medicine |volume=7 |issue=2 |year=1978 |pages=205–217 |pmid=674107 |doi=10.1016/0091-7435(78)90246-3}}</ref>。1950年から1975年の間に劇的に変化し、牛乳15倍、肉、鶏肉や卵は7.5倍、脂肪は6倍となり、一方で米の消費量は0.7倍に減少した<ref name="Kagawa1978"/>。この西欧化は、若い世代、金銭に余裕がある人々、農家でなく、都市に居住している人々に顕著である<ref name="Kagawa1978"/>。日本の栄養の傾向は、1945年には炭水化物の比率は約80%を占め脂質は10%に満たなかったが、2000年には糖質は60%へと減り、脂質は25%へと増加している<ref name="Kobayashi1992">{{cite journal|last1=Kobayashi|first1=S.|title=Trends in national nutritional survey of Japan|journal=Nutrition and Health|volume=8|issue=2-3|year=1992|pages=91–96|issn=0260-1060|doi=10.1177/026010609200800304}}</ref>。
 
 
 
沖縄は、2000年代初頭には世界に名だたる長寿地域であったが、2010年代には65歳以下の若い世代の男女の死亡が増加し、NHKは「長寿崩壊の危機」として特集した<ref name="ref2"/>。沖縄は(アメリカによる占領の歴史によって)全国に先駆けて食事が西欧化してきており、脂肪の摂取比率が若い世代ほど全国平均より多く、肥満者も多くなり、[[心筋梗塞]]や[[脳梗塞]]などいわゆる[[生活習慣病]]の増加が、65歳以下の死亡を早めていった<ref name="ref2">{{Cite episode| title=沖縄 長寿崩壊の危機 日本に迫る“短命化社会”| url=http://www.nhk.or.jp/gendai/articles/3320/1.html| series=クローズアップ現代| serieslink=クローズアップ現代+| network=NHK| airdate=2013年3月5日| number=3320| transcripturl=2016-07-01 }}</ref>。このような傾向を日本の他の地域も後追いするといわれている<ref name="ref2"/>。
 
 
 
2010年前後には、老化のプロセスや生活習慣病の発症は酸化ストレスだけでなく、糖化ストレスが考えられるようになってきた<ref>{{Cite book |和書 |author=太田博明監修 |year=2013 |title=AGEsと老化 |publisher=メディカルレビュー |isbn=978-4-7792-1005-1 }} [http://www.m-review.co.jp/book/detail/978-4-7792-1005-1 目次]</ref>。脂肪とタンパク質の多い動物性食品を加熱することによって[[終末糖化産物]](AGE)の多い食品となるが、西洋食による健康への悪影響の新たな説をもたらしている<ref name="pmid20497781">{{cite journal |vauthors=Uribarri J, Woodruff S, Goodman S, Cai W, Chen X, Pyzik R, Yong A, Striker GE, Vlassara H |title=Advanced glycation end products in foods and a practical guide to their reduction in the diet |journal=J Am Diet Assoc |volume=110 |issue=6 |pages=911–16.e12 |year=2010 |pmid=20497781 |pmc=3704564 |doi=10.1016/j.jada.2010.03.018 |url=http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3704564/}}</ref>。低温で短時間の調理ではAGEは減少するし、酢やレモンをかけることでも低減する<ref name="pmid20497781"/>。野菜、果物、全粒穀物、牛乳といった食品ではAGEは比較的少ない<ref name="pmid20497781"/>。適した調理法による料理は、[[地中海食|地中海]]、アジアほかの地域の料理として紹介されている<ref name="pmid20497781"/>。
 
 
 
== 国際的な歴史 ==
 
*1970年代後半から食事と[[生活習慣病]]が大きく関係しているとアメリカで報告され、[[食生活指針]]の策定が行われるようになり、食事と疾患に関する栄養疫学が活発に行われるようになる。
 
*1995年、WHOとFAOの会議で食物ベースの食生活指針の作成が求められた。
 
 
 
=== 生活習慣病と疫学研究 ===
 
1977年、「米国の食事目標<ref>『米国の食事改善目標』 日本CI協会、1978年10月。{{lang|en|Dietary Goals for the United States}}</ref>」が報告される。報告書にはハーバード大学公衆衛生大学院の栄養学の教授である[[マーク・ヘグステッド]]も非常に関わった。この報告によって食事と肥満をはじめとして心臓疾患といった[[生活習慣病]]の関係が大きいことが分かり、食生活指針の策定につながっていった。まだ、この時点では科学的な証拠がはっきりしていない結論もあったため、疫学研究が盛んに行われるようになる。こうしたコホート研究といったものには、数年から十年以上の研究期間を要するので早急には結果が出ない。1980年より、米国農務省(USDA)と米国保健福祉省(HHS)によって「アメリカ人のための食生活指針」<ref>{{lang-en-short|Dietary guidelines for Americans}}</ref>という、生活習慣病を予防するための食生活指針が発表される。以降、5年ごとに改訂される。
 
 
 
ハーバード大学公衆衛生大学院による、女性看護師の疫学研究(NHS<ref>[http://www.channing.harvard.edu/nhs/ The Nurses' Health Study (NHS)]{{en icon}}(ハーバード大学医学部チャニング研究所)</ref>)、男性医療従事者の疫学研究(HPFS<ref>[http://www.hsph.harvard.edu/hpfs/ Health Professionals Follow-Up Study (HPFS)]{{en icon}}(ハーバード大学医学部チャニング研究所)</ref>)といった大規模なコホート研究が行われるようになる。この研究を指揮している人物は[[ウォルター・ウィレット]]である。
 
 
 
1982年、[[アメリカ国立癌研究所]]が[[米国科学アカデミー|全米科学アカデミー]]の下位組織のNRC<ref>{{lang-en-short|National Research Council}}</ref>に食事とがんに関する科学的な分析を依頼し、その報告として「食生活、栄養とがん<ref>全米科学アカデミー食物、栄養とがんに関する特別委員会 『がん予防と食生活』 厚生省公衆衛生局栄養課監訳、日本栄養食品協会、1984年6月。原著 [http://www.nap.edu/catalog.php?record_id=371 {{lang|en|Diet, nutrition, and cancer}}]、1982
 
</ref>」としてまとめられ、1977年の報告を支持した。1983から1990年にかけて「中国プロジェクト」<ref name="chinaproject">[http://www.nutrition.cornell.edu/ChinaProject/ {{lang|en|Welcome to the China-Cornell-Oxford Project}}] (英語)</ref>が行われ、アメリカ国立癌研究所と[[アメリカがん研究協会]]も資金提供し、アメリカの[[コーネル大学]]、イギリスの[[オックスフォード大学]]、中国のがん研究機関やほかのいくつかの国の研究機関が関与した。マーク・ヘグステッドは、中国プロジェクトに対してアメリカでは食事の内容が均質的なのでこのような重要な研究はできないと評した<ref name="chinanytimes">[http://query.nytimes.com/gst/fullpage.html?res=9C0CE4DB1430F93BA35756C0A966958260 {{lang|en|Huge Study Of Diet Indicts Fat And Meat}}](ニューヨーク・タイムズ誌、1990年5月8日)</ref>。中国プロジェクトは中国では乳製品をまったく摂取しないが骨粗鬆症は非常に珍しく、また中国では植物から鉄分が摂取されており、鉄欠乏性貧血は肉の摂取と関係ないことを示した<ref name="chinanytimes" />。中国プロジェクトを指揮した、[[コリン・キャンベル (栄養学者)|コリン・キャンベル]]は、研究結果を受けてもっとも安全な食事は完全菜食であると述べ完全菜食になり、5人の子供も完全菜食で育てた<ref name="エリック">エリック・マーカス 『もう肉も卵も牛乳もいらない!』早川書房、2004年6月。ISBN 978-4152085733。56-57、66-67頁。原著''Vegan''</ref>。
 
 
 
コリン・キャンベルは、[[コーネル大学]]で栄養学を教え、[[菜食主義]]の栄養学も教えているが、1980年代以降、菜食に関する科学的な研究が蓄積されているのに肉と乳製品の摂取が必要だという視点を変えようとしない、今では科学的な研究の結果があるのに教育を受けた時代の常識を信じ込んでしまっていると指摘している<ref name="エリック"/>。なお、菜食の議論については、[[菜食主義]]の記事を参照されたい。
 
 
 
1989年、NRCは『食事と健康-成人病予防のための食事と健康の科学<ref>{{lang|en|National Research Council}}『食事と健康-成人病予防のための食事と健康の科学』 厚生省生活衛生局監修、日本食品衛生協会、1992年3月。原著[http://www.nap.edu/catalog.php?record_id=1222 {{lang|en|Diet and Health}}]、1989</ref>』という報告書をまとめあげる。1990年、日本でも、厚生労働省によって数万人以上を対象とした多目的コホート研究(JPHC Study<ref>[http://epi.ncc.go.jp/jphc/ {{lang-en-short|Japan Public Health Center-based prospective Study}}]</ref>)がはじまる。
 
[[ファイル:Healthy eating pyramid.jpg|thumb|[[ヘルシーフードピラミッド|健康な食事ピラミッド]]({{lang|en|healthy eating pyramid}}) ハーバード大学]]
 
2003年、[[世界保健機関]](WHO)と[[国連食糧農業機関]](FAO)は「食事、栄養と生活習慣病の予防<ref name="who2003report">{{lang|en|Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation ''[http://www.who.int/nutrition/topics/dietnutrition_and_chronicdiseases/en/ Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation]'' 2003}} , ({{lang|en|Diet, Nutrition and the Prevention of Chronic Diseases}})</ref> 」を公開する。ハムなどの保存肉とがんのリスクとの強い関連、動物性脂肪に多い飽和脂肪酸が2型糖尿病と心臓疾患の発症リスクを高めると報告されている<ref name="who2003report" />。2003年には、アメリカとカナダの栄養士会は合同で、専門家が質の高い256の論文から結論し、牛乳や卵も摂取しない完全な菜食においても栄養が摂取でき、また菜食者はがん、糖尿病、肥満、高血圧、心臓病といった主要な死因に関わるような生活習慣病のリスクが減る、認知症のリスクも減ると報告している<ref name="ada2003vegetarian">{{lang|en|Position of the American Dietetic Association and Dietitians of Canada}}「[http://www.adajournal.org/article/PIIS0002822303002943/fulltext {{lang|en|Vegetarian diets}}]」{{lang|en|Journal of the American Dietetic Association}} Vol.103 Issue.6, June 2003, pp748-765.</ref>。6つの前向きコホート研究をメタアナリシスし、20年以上の菜食者は平均余命が3.6年長いと報告された<ref>Pramil N Singh, Joan Sabaté ,Gary E Fraser [http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/78/3/526S {{lang|en|"Does low meat consumption increase life expectancy in humans?"}}] {{lang|en|American Journal of Clinical Nutrition}}、Vol.78 No.3, September 2003, pp526-532.</ref>。
 
 
 
2004年、NHSとHPFSで赤肉からの鉄分の摂取が2型糖尿病との相関関係を示したという大規模な統計結果が報告された<ref>Rui Jiang et al . 「[http://www.ajcn.org/cgi/content/abstract/79/1/70 {{lang|en|Dietary iron intake and blood donations in relation to risk of type 2 diabetes in men: a prospective cohort study}}]」、{{lang|en|American Journal of Clinical Nutrition}}、Vol.79 No.1, January 2004, pp70-75</ref><ref>Rui Jiang et al. 「[http://jama.ama-assn.org/cgi/content/abstract/291/6/711 {{lang|en|Body Iron Stores in Relation to Risk of Type 2 Diabetes in Apparently Healthy Women}}]」、JAMA. 2004;291, pp711-717.</ref>。
 
 
 
ウォルター・ウィレットは、大規模な前向きコホート研究でも乳製品をたくさん摂取すれば骨折のリスクが減るという結果はなく、逆に男性では前立腺がん、女性では卵巣がんのリスクが高まると述べている<ref name="日経2003"/>など、アメリカ、イギリス、スウェーデンでの7つの前向きコホート研究で、カルシウム摂取量が増加しても骨折率が低下していない<ref>ウォルター C. ウィレット 『太らない、病気にならない、おいしいダイエット-ハーバード大学公式ダイエットガイド』 光文社、2003年5月。239頁。ISBN 978-4334973964。原著「{{lang|en|Eat, Drink, and Be Healthy}}」、2001</ref>。これらの理由のため、カルシウムは様々な摂取源から摂取し、骨折を予防するためには他の有効性が確認された手段である運動やホルモン療法、ビタミンDやビタミンKの摂取を紹介し、もしカルシウムを多く摂取したいならサプリメントがあるとしている<ref>ウォルター C. ウィレット 『太らない、病気にならない、おいしいダイエット-ハーバード大学公式ダイエットガイド』 光文社、2003年5月。25、34、245-249頁。ISBN 978-4334973964。原著 ''Eat, Drink, and Be Healthy'', 2001</ref>。
 
 
 
;ヘルシーフードピラミッド
 
 
 
ウォルター・ウィレットは、米国農務省の作成する「アメリカ人のための食生活指針」は産業の影響が強く、そのような影響のない食事ガイドラインを作成すべきだとし<ref name="日経2003">{{Cite doi/10.1038/scientificamerican1206-12sp}} 出典個所は日本語123、125頁。</ref>。NHS<ref>Feskanich D, Willett WC, Stampfer MJ et al. 「{{lang|en|Milk, dietary calcium, and bone fractures in women: a 12-year prospective study}}」Am J Public Health 87(6), 1997 Jun, pp992-7. PMID 9224182</ref>、数百の疫学研究を反映した「[[ヘルシーフードピラミッド|健康な食事ピラミッド]]」を作成している<ref>[http://www.hsph.harvard.edu/nutritionsource/pyramids.html {{lang|en|Food Pyramids Nutrition Source}}] {{en icon}}({{lang|en|Harvard School of Public Health}})</ref>。健康に悪影響のある、精白された穀物や赤肉、砂糖をなるべく控えることが分かりやすく図示された指針である。
 
 
 
2010年版の「アメリカ人のための食生活指針2010年版」<ref>[http://www.cnpp.usda.gov/dietaryguidelines.htm {{lang|en|Dietary Guidelines for Americans}}]、2010年、米国農務省{{en icon}}</ref>が発表される。これは数百の疫学研究をもとに科学的根拠の強弱の概念を採用している。
 
 
 
=== 肥満抑制のためのジャンクフードの対策 ===
 
{{main|ジャンクフード}}
 
2011年の世界保健機関の報告では脂肪からのエネルギー摂取量や砂糖の摂取量を制限することや、野菜と果物だけでなく、全粒穀物や豆類、ナッツの摂取量を増やすことが推奨される<ref>[http://www.who.int/mediacentre/factsheets/fs311/en/ Obesity and overweight Fact sheet N°311], World Health Organization, Updated March 2011.</ref>。2011年4月28日、食品医薬品局(FDA)、疾病対策センター(CDC)、アメリカ農務省(USDA)、連邦取引委員会(FTC)の4機関は、肥満増加の対策として子供に販売する飲食品の指針として、
 
加工食品1食品あたりの上限を、飽和脂肪酸1グラム、トランス脂肪酸を0グラム、砂糖を13グラム、ナトリウム を210mgとした<ref>[http://www.ftc.gov/opa/2011/04/foodmarket.shtm Interagency Working Group Seeks Input on Proposed Voluntary Principles for Marketing Food to Children](FTC, April 28 2011)</ref>。
 
2011年5月18日、550超の団体が[[マクドナルド]]に対し、子供を対象とした飲食品に高カロリー、高脂肪、多い砂糖、高塩分のジャンクフードの販売中止、おまけをつけないことや、[[ロナルド・マクドナルド]]の引退を要請した<ref>Julie Jargon [http://jp.wsj.com/Business-Companies/node_237806 マクドナルドに「ジャンクフード販売」中止要請―ロナルドにも引退勧告](ウォール・ストリート・ジャーナル日本版、2011年5月18日 )</ref>。
 
 
 
フランス、デンマーク、ハンガリーでは、肥満の防止と税収を目的として[[肥満税]]が施行されている。
 
 
 
== 栄養素 ==
 
=== 三大栄養素 ===
 
====炭水化物====
 
{{Main|炭水化物}}
 
1グラムにつき4キロカロリーのエネルギーがある。炭水化物は糖類とも言われ、単糖類、多糖類に分けられる。炭水化物はもっとも多く必要とされる栄養素で、日本の食生活指針で炭水化物が多く含まれる食品が主食とされる<ref>『[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/pdf/eiyou-syokuji2.pdf 食事バランスガイド 厚生労働省・農林水産省決定 フードガイド(仮称)検討会報告書]』(PDF) 第一出版、2005年12月。ISBN 4-8041-1117-4。 </ref>。
 
2003年のWHO/FAOの報告では、2型糖尿病や肥満のリスクを減らすとして、食物繊維の摂取源として野菜や果物と共に全粒穀物も挙げられている<ref name="who2003report"/>。このように全粒穀物の健康に対する有益性が科学的に判明してきた結果、アメリカをはじめとして全粒穀物が国家的に作られた食生活指針において推奨されることが増えている。全粒穀物は[[血糖負荷]](GI)が低く血糖値を急激に上げにくいという特徴がある。
 
 
 
過去には[[食物繊維]]は役に立たないと考えられ、利用効率を下げると考えられために穀物の精白が推奨されていたが<ref name="日本食物繊維学会"/>、精白されると今度は栄養損失が問題となり栄養学者は[[七分搗き米]]や[[胚芽米]]を推奨した。
 
 
 
佐伯矩が述べるように、栄養学を創設したような頃から「淘洗は精白にも優る米食人の禍根である」<ref>佐伯矩 『栄養』栄養社。</ref>と、米を精白することと淘洗(とぎ洗い)するという処理は共に栄養を損失させるとして問題視されていた。矩によって、[[1937年]]の国連の会議で、精白度の低い分搗米を用いる要望が採択されている<ref>佐伯芳子 『栄養学者佐伯矩伝』玄同社、1986年。126-128頁。</ref>。食物繊維の重要性を報告していたバーキットは、1975年にトロウェルと一緒に『精製炭水化物と病気-食物繊維の影響』<ref>BURKITT D.P, TROWELL H.C ''Refined Carbohydrate Foods and Disease: Some Implications of Dietary Fibre'', 1975 . ISBN 978-0121447502 </ref>を出版し、精白していない[[全粒穀物]]の重要性を訴え、以降このことは科学的研究によって追認・支持されていく<ref>Marquart L, Jacobs DR Jr, Slavin JL. [http://www.jacn.org/cgi/content/full/19/suppl_3/289S "Whole Grains and Health: An Overview"] ''Journal of the American College of Nutrition'' Vol.19(90003), 2000, pp289-290. PMID 10875599</ref>。
 
 
 
ところが、1970年前後、バーキット (Denis Burkitt) の報告<ref>Burkitt DP. "Related disease--related cause?" [[ランセット|Lancet]]. 2(7632), 1969 Dec 6, pp1229-31. PMID 4187817</ref><ref>Burkitt DP. "Epidemiology of cancer of the colon and rectum" ''Cancer'' 28(1), 1971 Jul, pp3-13. PMID 5165022</ref>によって、食物繊維が少ないと腸内の疾患のリスクが上がるだろうという説が広く知られるようになっていった。1980年には日本にも食物繊維の研究会が開かれ広く浸透し、有用な[[腸内細菌]]を増やす[[プレバイオティクス]]として、また血清コレステロール低下作用、便秘改善など様々な健康への関与が知られている<ref name="日本食物繊維学会">{{Cite book|和書|author=日本食物繊維学会|title=食物繊維─基礎と応用|edition=第3版|publisher=第一出版|date=2008|isbn=978-4-8041-1191-9|page=iii, 1-3, 122, 228-229}}</ref>。しかし1985年には、がんの予防効果に関しては穀物の繊維や豆に含まれる[[フィチン酸]]の作用ではないかともいわれている<ref>Graf E, Eaton JW. "Dietary suppression of colonic cancer. Fiber or phytate?" Cancer. 56(4), 1985 Aug 15, pp717-8. PMID 2990653</ref>。日本で食物繊維の摂取量は、穀物からの食物繊維の摂取量低下に伴って減少してきており、摂取目標量より低い<ref name="日本食物繊維学会"/>。
 
 
 
砂糖は炭水化物以外の栄養素がほとんど含まれていないため、あまり多く摂取しないように言われている。また砂糖の主成分である[[蔗糖]]は糖類の中でもう蝕(虫歯)のリスクを最も高める。[[世界保健機関|WHO]]/[[FAO]]でもう蝕との関連が指摘され、砂糖の多い食品は肥満との関連も指摘され、また砂糖の摂取量は全エネルギーの10%未満にすべきだと報告している<ref name="who2003report" />。2014年には、これまでの砂糖の目標に加え、砂糖を5%以下にするという案を公開している<ref name="MoynihanKelly2013">{{cite journal|last1=Moynihan|first1=P. J.|last2=Kelly|first2=S. A. M.|title=Effect on Caries of Restricting Sugars Intake: Systematic Review to Inform WHO Guidelines|journal=[[ジャーナル・オブ・デンタル・リサーチ|Journal of Dental Research]] |volume=93|issue=1|year=2013|pages=8–18|issn=0022-0345|doi=10.1177/0022034513508954}}</ref><ref name="who2014sugar">[http://www.who.int/mediacentre/news/notes/2014/consultation-sugar-guideline/en/ WHO opens public consultation on draft sugars guideline] (世界保健機関)</ref>。砂糖では、2000キロカロリーの10%は50グラム、5%は25グラムである。
 
 
 
果物に含まれる[[果糖]]は中性脂肪を増やす効果が高いので、生活習慣病において摂取制限が指導される場合がある<ref name="guidelines">[http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu/pdf/03-c-10.pdf 生活習慣病予防のための各学会のガイドラインの整理] (PDF) (厚生労働省)</ref>。オリゴ糖などの腸内で分解されやすい糖類は、[[プレバイオティクス]]として知られ、有用な腸内細菌を増やす作用がある。
 
 
 
==== 脂質====
 
{{Main|脂肪}}
 
1グラムにつき9キロカロリーのエネルギーがある。脂質は、主に、[[飽和脂肪酸]]と[[不飽和脂肪酸]]に分けられる。さらに、不飽和脂肪酸は、[[一価不飽和脂肪酸]]と[[多価不飽和脂肪酸]]に分けられる。一価不飽和脂肪酸は{{読み仮名|ω-9|オメガ 9}}脂肪酸である。多価不飽和脂肪はさらにω-6脂肪酸、ω-3脂肪酸に分けられる。
 
つまり、下記のように大別される。
 
#飽和脂肪酸
 
#一価不飽和脂肪酸のω-9脂肪酸 オレイン酸など
 
#多価不飽和脂肪酸のω-6脂肪酸 リノール酸など
 
#多価不飽和脂肪酸のω-3脂肪酸 DHA、EPA、α-リノレン酸など
 
[[リノール酸]]と[[α-リノレン酸]]が[[必須脂肪酸]]である。
 
 
 
初期には、優れたエネルギー源だが必要不可欠ではないと考えられていたが、1930年代から1960年代にかけての研究は、1980年前後には必須脂肪酸の特定につながっていった<ref name="pmid4274059">{{cite journal |authors=Knauf PA, Proverbio F, Hoffman JF |title=Chemical characterization and pronase susceptibility of the Na:K pump-associated phosphoprotein of human red blood cells |journal=J. Gen. Physiol. |volume=63 |issue=3 |pages=305–23 |year=1974 |pmid=4274059 |pmc=2203555 |doi=10.1194/jlr.R055095 |url=http://www.jlr.org/content/56/1/11.full}}</ref>。
 
 
 
飽和脂肪酸は畜産動物の脂肪に多く、1980年頃から重要な死因に通じる生活習慣病に関わるとの合意が増え、1990年頃にはそれが科学的にもはっきりしてきたため動物性脂肪を控えるようにという食生活指導が増え、食生活指針が作成されてきた。欧米ではω-3脂肪酸は不足がちであることから積極的にとったほうがいいと認識され、日本では「日本人の食事摂取基準2005年版」から推奨目標量が追加された。
 
 
 
ω-3脂肪酸は亜麻仁や魚に豊富に含まれ、大豆や菜種油にも比較的ほかの食品より多く含まれる<ref name="pmid25328170">{{cite journal |authors=Kaur N, Chugh V, Gupta AK |title=Essential fatty acids as functional components of foods- a review |journal=J Food Sci Technol |volume=51 |issue=10 |pages=2289–303 |year=2014 |pmid=25328170 |pmc=4190204 |doi=10.1007/s13197-012-0677-0 |url=}}</ref>。脂質は、食品としては肉、魚、豆、ナッツ、種子に多く含まれ、これらは同時にタンパク質を多く含む食品である。
 
 
 
ISSFAL(International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids)<ref>[http://www.issfal.org.uk/ ISSFAL] '''(英語)''' (ISSFAL: International Society for the Study of Fatty Acids and Lipids)</ref>が国際的に脂質の摂取基準と摂取のバランスを公表している。2004年、ISSFALの不飽和脂肪酸の1日あたりの摂取量の勧告では、リノール酸の適正な摂取量は全カロリーに対する2%、α-リノレン酸の健康的な摂取量は0.7%とされ、冠動脈を健康に保つためにEPAとDHAを合計で最低500mgすすめている<ref>Cunnane S, Drevon CA, Harris W, et al. "Recommendations for intakes of polyunsaturated fatty acids in healthy adults" ISSFAL Newsletter 11(2), 2004, pp12-25</ref>。同じような報告は日本にもあり、必要量はリノール酸は2.4%、α-リノレン酸は0.5~1.0%であり、DHAとEPAは必要量は決められないが0.5%をすすめISSFALの報告より少し多い<ref>『第六次改定 日本人の栄養所要量―食事摂取基準』健康・栄養情報研究会編、第一出版、1999年。ISBN 9784804108940。53-54頁。</ref>。必要とされる必須脂肪はこのように全カロリーの3~4%程度と非常に少ない。
 
 
 
不飽和脂肪酸が変形した[[トランス脂肪酸]]が心臓疾患のリスクを上げることが分かり、2003年のWHO/FAOの報告で、トランス脂肪酸は心臓疾患のリスクを増加させるとされ、摂取量は全カロリーの1%未満を推奨している<ref name="who2003report" />。
 
 
 
2003年の世界保健機関による生活習慣病予防に関する報告書では1日のコレステロールの摂取目標を300mg未満としている<ref name="who2003report"/>。この動向は変化しており、2015年のアメリカの食生活指針では撤廃された。[[脂質]]を参照。
 
 
 
==== タンパク質====
 
1グラムにつき4キロカロリーのエネルギーがある。
 
タンパク質は基本的に20種類のアミノ酸で構成される。成人ではうち8種類が[[必須アミノ酸]]である。タンパク質を多く含み、アミノ酸スコアが優れているのは、肉、魚、豆となる。また量として多く食べる穀物もタンパク質の主要な摂取源となる。
 
 
 
1955年に、FAOの会議でタンパク質の品質の評価基準である[[プロテインスコア]]が決定されるが、動物性食品のスコアが高く、豆といったものは評価が低かった<ref name="女子栄養大学食品成分表2000">香川芳子監修『四訂食品成分表2000』女子栄養大学出版部、2000年。455-466頁。</ref>。しかし、後の1973年、科学的研究の進展に伴ってWHOとFAOの会議でタンパク質の品質の評価基準である[[アミノ酸スコア]]が決定されると<ref name="isbn9241209356"/>、豆のスコアがよくなった<ref name="女子栄養大学食品成分表2000"/>。1985年に[[アミノ酸スコア]]のスコアを求める基準が変更されると豆は動物性食品と同じようにスコアが高いものとなった<ref name="女子栄養大学食品成分表2000"/>。1989年の会議では、1985年の必要量のパターンが最も妥当であると再確認され、国際基準として推奨された<ref name="isbn9241209356">{{Cite isbn/9241209356}} 日本語:iii, 1-5頁</ref>。また動物性食品を減らすという国際的な動きや、多くの国における穀物と豆という組み合わせは良質なタンパク質の品質になるという報告がなされた<ref name="isbn9251030979">{{Cite isbn/9251030979}} 日本語:51頁</ref>。2002年にWHOは動物性たんぱく質による酸性の負荷は、[[骨粗鬆症]]の発症に関してカルシウム必要量を変動させる主な要因ではないかと報告している<ref name="who2002">joint FAO/WHO expert consultation. "[http://www.fao.org/docrep/004/Y2809E/y2809e0h.htm#bm17.9 Chapter 11 Calcium]", ''[http://www.fao.org/DOCREP/004/Y2809E/y2809e00.htm Human Vitamin and Mineral Requirements]'', 2002.</ref>。2007年にWHOは、タンパク質中の[[含硫アミノ酸]]、[[メチオニン]]、[[システイン]]の酸が骨をカルシウムを流出させるため骨の健康に影響を与えるため、カリウムを含む野菜や果物のアリカリ化の効果が少ないときカルシウムを損失させるため骨密度を低下させると報告した<ref name="who2007">{{Cite isbn/9241209356}} 日本語:172-173頁。</ref>。
 
 
 
2007年の世界がん研究基金とアメリカがん研究協会による、7000以上の研究を根拠にとしたがん予防法では<ref name="wcrf2007">{{cite book|author=World Cancer Research Fund and American Institute for Cancer Research|url=http://wcrf.org/int/research-we-fund/continuous-update-project-cup/second-expert-report |title=Food, Nutrition, Physical Activity, and the Prevention of Cancer: A Global Perspective|year= 2007|publisher=Amer. Inst. for Cancer Research|isbn= 978-0972252225}} 日本語要旨:[http://www.wcrf.org/sites/default/files/SER-SUMMARY-(Japanese).pdf 食べもの、栄養、運動とがん予防]、[[世界がん研究基金]]と[[米国がん研究機構]]</ref>、公衆の目標として赤肉(牛・豚・羊)の摂取量は調理されていないときの重量で週に300g以下を勧告している。この予防法ではハム、ベーコン、サラミ、燻製肉といった加工肉を避けるように勧告し、赤肉より鳥や魚を推奨し、植物性食品としては豆をすすめている<ref name="wcrf2007" />。
 
 
 
以上の三つの栄養素はバランスが重要視されている。これはPFCバランスと呼ばれ、タンパク質のProtein、脂質のFat、炭水化物のCarbohydrateの頭文字をとっている。PFCバランスはカロリーにおける比率をあらわしている。一般的に炭水化物の比率は60%前後とされ、脂質の比率が25~30%を超えると生活習慣病が増えるといわれ、食生活指針での指導の一項目となる。タンパク質が過剰な食事は、タンパク質由来の過剰な酸を中和するために骨を使用することになるので、長期的にこのような食事を続ければ骨が弱くなる可能性がある<ref>ウォルター C. ウィレット 『太らない、病気にならない、おいしいダイエット-ハーバード大学公式ダイエットガイド』 光文社、2003年5月。174-175頁。ISBN 978-4334973964。原著 ''Eat, Drink, and Be Healthy'', 2001</ref>。PFCバランスは比率上の推奨であって、上述の世界保健機関による勧告のように食品としては未精製の食品、栄養素としては飽和脂肪酸やトランス脂肪酸の低減が推奨される。
 
 
 
世界がん研究基金のがん予防法では、毎日同じぐらいの重さで食事をしているので、砂糖や油の多い食品は摂取カロリーが高くなることにつながり、肥満になればがんになるリスクを上げるとしている<ref name="wcrf2007" />。
 
 
 
=== 五大栄養素 ===
 
==== ミネラル ====
 
{{Main|ミネラル}}
 
人体に微量に必要な[[無機化合物]]の鉱物である。
 
*主要ミネラル - [[カルシウム]]、[[カリウム]]、[[マグネシウム]]、[[ナトリウム]]、[[リン]]、[[塩素]]
 
*微量ミネラル - [[鉄|鉄分]]、[[亜鉛]]、[[硫黄]]、[[銅]]、[[クロム]]、[[モリブデン]]、[[ヨウ素]]、[[マンガン]]、[[コバルト]]、[[セレン]]
 
*必須想定ミネラル -[[リチウム]](Li)・[[バナジウム]](V)・[[ニッケル]](Ni)・[[ホウ素]](B)・[[ゲルマニウム]](Ge)・[[臭素]](Br)
 
*有害ミネラル -[[ベリリウム]](Be)、[[ヒ素]](As)、[[金]](Au)、[[銀]](Ag)、[[白金]](Pt)、[[ウラン]](U)、[[プルトニウム]](Pu)、[[ポロニウム]](Po)、[[鉛]](Pb)、[[アルミニウム]](Al)、[[水銀]](Hg)、[[カドミウム]](Cd)
 
 
 
==== ビタミン ====
 
{{Main|ビタミン}}
 
微量ではあるが生理作用を円滑に行うために必須な有機化合物の総称で、炭水化物・タンパク質・脂質以外のもの。1910年、[[鈴木梅太郎]]によってはじめて抽出された。
 
 
 
*脂溶性ビタミン
 
**[[ビタミンA]] - [[β-カロテン|ベータ・カロテン]]
 
**[[ビタミンD]]
 
**[[ビタミンE]]
 
**[[ビタミンK]]
 
脂溶性ビタミンは身体に蓄積されるものがあるので過剰摂取に注意が必要となる。
 
 
 
*水溶性ビタミン
 
**[[ビタミンB群]] - [[ビタミンB1|ビタミンB<sub>1</sub>]]、[[ビタミンB2|B<sub>2</sub>]]、[[ビタミンB6|B<sub>6</sub>]]、[[ビタミンB12|B<sub>12</sub>]]、[[ナイアシン]]、[[パントテン酸]]、[[葉酸]]、[[ビオチン]]
 
**[[ビタミンC]]
 
水溶性ビタミンにはすぐに身体から排出されるために過剰摂取になりにくいものが多い。従って、むしろ積極的に摂取する必要がある。
 
 
 
=== 他の成分 ===
 
* [[フィトケミカル]]
 
1990年ごろから必須栄養素ではないが、健康を保つのに重要であることが分かった。特にがんとの関連が研究されている。
 
* [[酵素]]
 
佐伯矩が発見した消化酵素のジアスターゼを含む大根は、1905年出版の夏目漱石の『[[吾輩は猫である]]』にも登場し<ref>夏目漱石 『[{{NDLDC|888725/66}} 吾輩ハ猫デアル]』 上巻、大倉書店、1905年。119頁。</ref>、消化機能が広く知られ用いられるようになった<ref name="eiyougakusi29" />。
 
* [[発酵食品]] - [[乳酸菌]]、[[納豆菌]]、[[麹菌]]
 
発酵食品を発酵させている菌類で、腸内細菌の状態と健康に関係している。1907年には[[イリヤ・メチニコフ]]が、乳酸菌を摂取すると腸内に産生される有害物質の排泄物が減ることを根拠に、ヨーグルトや[[ケフィア]]、酢漬け、塩漬けを食べれば乳酸菌が摂取できて長寿になると主張した<ref>エリー・メチニコッフ 『不老長寿論』 大日本文明協会事務所、1912年。</ref>。
 
[[ビフィズス菌]]の含まれた製品には、腸内の有益な菌を増やし有害な菌を減らすという腸内環境を改善する効果が研究報告され、[[特定保健用食品]]として効能の表示が許可されているものも多い<ref>[https://hfnet.nibiohn.go.jp/ 「健康食品」の安全性・有効性情報] ([[独立行政法人]] [[国立健康・栄養研究所]])</ref>。
 
こうした有用な菌類の利用は[[プロバイオティクス]]と呼ばれ研究されている。人体に有益な菌類は体内で酵素やビタミンを作り出すというはたらきもある。人体に害のある腸内細菌は腸内で有害物質を産生し、がんや心臓病、アレルギーや痴呆症といった病気と関連する可能性が高いことが分かってきている<ref>辨野義己 [http://www.riken.go.jp/r-world/info/release/news/2004/feb/index.html#frol_01 腸内細菌の全体像をつかみ、予防医学に役立てる] (理研ニュース、February 2004)([[独立行政法人]] [[理化学研究所]])</ref>。
 
* [[水|水分]]
 
水はカロリーや添加物なく、体に必要な水分を供給し、よく消費される紅茶(茶)やコーヒーはがんや結石のリスク低下と関連しているようである<ref name="pmid20974411">{{cite journal |authors=Skerrett PJ, [[ウォルター・ウィレット|Willett WC]] |title=Essentials of healthy eating: a guide |journal=J Midwifery Womens Health |volume=55 |issue=6 |pages=492–501 |year=2010 |pmid=20974411 |pmc=3471136 |doi=10.1016/j.jmwh.2010.06.019 |url=https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC3471136/}}</ref>。問題のある飲料は、砂糖の多い[[清涼飲料水]]や[[酒]]である<ref name="pmid20974411"/>。
 
 
 
== 栄養素と摂取基準 ==
 
* [[日本人の食事摂取基準]]
 
人がどういった栄養素をどのくらい必要とするかを示している。
 
* [[日本食品標準成分表]]
 
どういった食品に、どのような栄養素が含まれているかを分析した結果をデータとしている。
 
 
 
== 食べる回数 ==
 
西洋では1800年ごろまで1日2食であった<ref>小田裕昭、加藤久典、関泰一郎『健康栄養学』 共立出版、2005年4月。ISBN 978-4320061538。</ref>。日本では20世紀前半に、[[国立健康・栄養研究所|国立栄養研究所]]での栄養学的な研究により1日3回と決定された<ref name="yosiko1986">佐伯芳子 『栄養学者佐伯矩伝』 玄同社、1986年。ISBN 978-4-905935-19-3。158頁。</ref>。それ以前の日本では1日2回の食事を[[朝餉]]と[[夕餉]]と呼んだ。従って、多くの地域で1日に3回の食事の食事をするようになったのは近世のことである<ref name="yosiko1986" />。
 
 
 
現代の[[日本]]では、[[朝食]]、[[昼食]]、[[夕食]]の3回の食事をとる習慣が一般的である{{要出典|date=2013年5月}}。
 
 
 
=== 毎回食完全 ===
 
矩は、ラットやヒトでの研究によって1日の栄養摂取量を1日3食で3等分で食べることがもっともいいと結論し、これを毎回食完全と呼び、食事の摂取として望ましいとされる<ref name="saikifoodguide">柳井一男、松井貞子 『新佐伯式フードガイド-新時代の食育と健康管理のために』 フットワーク出版、2006年5月。ISBN 9784876895465。30-31頁。</ref>。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{Reflist|2}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* 島薗順雄 『栄養学の歴史』 朝倉書店。1989年5月。ISBN 4254615825。 1930年代から1990年代。
 
* [[渡邊昌|渡辺昌]]『栄養学原論』南江堂。2009年1月。ISBN 978-4524253289。 元[[国立健康・栄養研究所]]理事長。略歴、[[国立がん研究センター]]疫学部長・情報研究部長、[[アメリカ国立癌研究所]]研究員。
 
* 吉田企世子・松田早苗監修『おいしく健康をつくるあたらしい栄養学』高橋書店、2010年12月。ISBN 978-4471033897。吉田企世子は、女子栄養大学で48年間勤務し名誉教授となる。日本栄養・食糧学会名誉会員。
 
* [[マリオン・ネスル]]『フード・ポリティクス―肥満社会と食品産業』、三宅真季子(翻訳)、鈴木眞理子(翻訳)。新曜社。2005年1月。ISBN 978-4788509313。アメリカの栄養政策史。
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[栄養素]]
 
* [[管理栄養士]] / [[栄養士]]
 
* [[食生活指針]] / [[食事バランスガイド]]
 
* [[健康食品]] / [[サプリメント]]
 
* [[国立健康・栄養研究所]] ([[佐伯矩]]が創設した)
 
* [[女子栄養大学]] ([[香川綾]]が創設した)
 
* [[食品添加物]] / [[農薬]]
 
* [[栄養学部]]
 
* [[栄養教諭]]
 
* [[食品科学]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www2.ttcn.ne.jp/~honkawa/0280.html 図録▽食生活の変化(1910年代以降の品目別純食料・たんぱく質供給量)] (社会実情データ図録)
 
 
 
{{生物学}}
 
  
 
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栄養学(えいようがく、英語: nutrition science

栄養について科学的に研究する学問。栄養生理学・栄養化学・栄養病理学などに分けられる。



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