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{{出典の明記|date=2015-12-06}}
 
[[File:JapaneseOakCharcoal KuroSumi.jpg|thumb|楢などの黒炭]]
 
[[画像:Japanese Binchōtan (Japanese high-grade charcoal produced from ubame oak).jpg|thumb|right|200px|白炭([[備長炭]])]]
 
[[画像:Ogatan(JapaneseBriquetteCharcoal).jpg|thumb|200px|オガ炭]]
 
[[画像:Activated_Carbon.jpg|thumb|200px|[[活性炭]]]]
 
'''木炭'''(もくたん)は、[[木材]]を蒸し焼きにし[[炭化]]させて作る[[炭]]である。[[冬]]の[[季語]]。<ref name="kojien">[[広辞苑]]第5版</ref>
 
  
== 概要 ==
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'''木炭'''(もくたん)
材料の[[木材]]から[[揮発]]成分を抜いたものであり、[[木材]]と違い[[炎]]が出ないか、もしくは少ない。[[炭化]]させる[[素材]]はもちろん、炭化[[温度]]や[[焼成]]時間などの方法によっても生成する木炭の性状はさまざまで[[価格]]も異なる。
 
  
例えば黒炭だけでも窯の作り、温度、窯閉めまでの時間などで品質が大きく異なる。また炭化不十分の場合、[[煙]]や[[水分]]が発生し爆跳しやすい炭となる。また木炭の製造時には[[木酢液]]、[[タール#木タール|木タール]]が発生し木酢液を[[蒸留]]・[[精製]]すると[[メタノール]]や[[酢酸]]、さらに、[[テレピン油]]や[[日局クレオソート|木クレオソート]]といった副生成物が得られる。
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木材の炭化によって得られる固体生成物。[[黒炭]] (中温炭化) [[白炭]] (高温炭化) に大別されるが,ほかにのこ屑を原料とするのこ屑炭 (素灰) ,特殊な製炭法による研磨用炭,画用木炭 (お花炭,飾り岩) などがある。生産地として有名なのは岩手,北海道,和歌山,長崎,高知で,全国の生産量の5割を占めている。種類は,原材の種類 (なら炭,かし炭,雑炭など) と形状 (丸,割,込) とにより区別され,日本農林規格 (JAS) によって特選,堅1級,1級,堅2級,2級に品位づけられている。主要な用途は燃料で,かつては農民の格好の副業として活況を呈したが,1950年代後半以降,ガス,石油などの燃料資源の確保によって衰退した。しかし,近年では地球にやさしい燃料として,また,緑を多く荒さないことからも見直しの気運が生じており,日本のすぐれた製炭技術を学ぼうとするインド,ブータン,その他東南アジアの人々が増加している。それによって椰子の殻などが良質の炭となって生かされている。燃料以外にも土壌改良,飼料,水や空気の浄化などに利用が考えられている。
 
 
木炭が[[酸素]]の少ない[[灰]]の中でも燃えるのは、[[炭酸カリウム]]が含まれているからである。この炭酸カリウムは植物中のカリウムに由来するものである。[[水溶性]]なので木炭を長く流水に浸したものは炭酸カリウムが溶け出してしまい、[[着火]]性が極端に悪くなる。
 
 
 
日本では[[ナラ]]、[[ブナ]]、[[カシ]]、[[クヌギ]]などの木材を炭化した物が主に使われてきたが近年では[[竹]]を炭化した[[竹炭]]も注目されている。また、輸入炭には[[マングローブ]]炭なども存在する。
 
 
 
[[オガ炭]]は比較的安価で扱いやすく備長炭のような特性であるため炭火焼の飲食店で多用されているものの、一般への知名度が低く、形状の印象から[[練炭]]と誤解されている場合もあるが、日本にオガ炭の様な形状の練炭は無い。オガ炭を含めた成形木炭は[[中国語]]では「機製炭(机制炭)」と呼ばれ日本の提携会社や技術指導により現地の大規模工場で製造されている。
 
 
 
== 歴史 ==
 
[[画像:Japanese Charcoal Kiln.jpg|thumb|200px|炭焼き窯 [[北海道]][[札幌市]][[厚別区]] 「[[北海道開拓の村]]」に復元されたもの]]
 
考古学研究の成果によって、日本列島においては新石器時代の頃から木炭が用いられていたと推定されている。
 
 
 
古代においては木材を積み重ねて火をつけた後に土をかけて蒸し焼きにする伏炭法で作られた柔らかい'''和炭'''(にこずみ)、土や石で築いた炭窯で焼いたり硬質の木材(クヌギ・ナラ・カシ)を伏炭法で焼いた'''荒炭'''(あらずみ)、和炭・荒炭を二度焼きした'''炒炭'''(いりずみ)の3つがあり和炭は製鉄・冶金用、荒炭・炒炭は暖房・炊事用に用いられた。その他に防腐・防湿や飲料水の濾過など広範の用途に用いられていた。
 
 
 
[[平安時代]]には山林部を中心に炭焼きが広く行われて商品化された他、[[荘園]]などの[[年貢]]としても徴収された。炒炭は平安時代に登場した比較的新しい炭で火付が悪いが長く燃焼するのが特徴であった。荒炭は元々炭焼きの最後の段階で釜口を大きく開けて空気を入れ高温にしてから外に出し灰をかけて消す窯外消火法による[[白炭]]が主流であったが、長持ちはするものの硬質で火付が悪いものであった。
 
 
 
[[室町時代]]後期から[[江戸時代]]にかけて窯が冷えてから外に出す窯内消火法による軟質で火付が良い[[黒炭]]が生み出された。ただし、白炭・黒炭の区別が確立したのは[[近代]]以後であると言われている<ref>田村憲美『歴史学事典』第14巻「木炭」(弘文堂)</ref>。
 
 
 
[[日中戦争]]が拡大局面になると、木炭の生産と流通が停滞し、市民生活に支障を来すようになった。[[1939年]]からは農林省、文部省、[[日本青年団協議会|大日本青年団]]により木炭増産報国運動が行われ、青年団や学生が製炭現場に赴く[[勤労動員]]が行われるようになった<ref>[http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/rn/senji2/rnsenji2-203.html 日本労働年鑑 特集版 太平洋戦争下の労働運動 第五編 言論統制と文化運動 第三章 教育運動] 法政大学大原社会問題研究所 2017年10月7日閲覧</ref>。同年12月29日からは木炭配給統制規則が制定され、木炭にも[[公定価格]]が設定、やがて[[配給制]]の物品の一つとなった。木炭の流通統制は、戦後[[1950年]]3月まで続いた<ref>[http://www.city.sukumo.kochi.jp/sbc/history/sisi/110601.html 宿毛市史【近代、現代編-林業-木炭】] 宿毛市 2017年10月7日閲覧</ref>。
 
 
 
日本の木炭生産量は、1950年に年間約200万トンを記録していたが、その後はエネルギー利用の変化により、1970年には約28万トン、1980年には約7万トンと急激に減少した<ref>[http://www.rinya.maff.go.jp/j/tokuyou/tokusan/megurujoukyou/pdf/3mokutan.pdf 木炭関係資料p2  1木炭の消費・生産等の推移  (1)戦後の消費量、生産量、輸入量の推移](林野庁ホームページ)2016年8月29日閲覧</ref>。当時の様子としては、「炭焼きが終わる日が来るなんて考えられなかった。」「あっという間の出来事。どれだけ炭を焼いても追いつかなかった時代が嘘のように思えた。」といった証言が残されている<ref>{{Cite book |和書 |author= 北日本新聞社 |year=2005 |title= 沈黙の森 生活から炭が消えた 喜多重時 |page=p47 |publisher=北日本新聞社 }}</ref>。
 
 
 
== 分類 ==
 
=== 日本の木炭 ===
 
[[file:Ogatan_solid.JPG|thumb|200px|穴が無いタイプのオガ炭]]
 
[[画像:ShichirinMokutan.JPG|thumb|200px|黒炭と七輪(岩手ナラ炭)]]
 
[[file:Japanese_RoundStove_Charcoal.JPG|thumb|200px|着火剤が塗布され、簡単に着火できる成形木炭]]
 
日本の木炭は400℃あたりの温度で炭化をすすめた後、精錬工程として細かな「ネラシ」が入るのが特徴である。白炭は空気を入れて未炭化成分を焼き飛ばすネラシを行い、黒炭は密閉した炉内で時間をかけて炭化を上げるネラシを行う。
 
 
 
* [[白炭]]…[[カシ]]系の硬い木材が使われる。叩くと[[鉄琴]]のような金属音がするのが特徴。まず炭窯の焚き口で燃料となる薪を燃やし窯全体の温度を上げ、その後焚き口を閉じて窯内部を400℃あたりで5日間ほど熟成し(この間、ほとんど酸素が供給されなくてもカシの可燃成分がガスとして徐々に出て窯内を高温に維持する。窯の煙からは酢酸を含んだ強い刺激臭が出るがその臭いや色が工程を見極める要素の一つでもある)、その後炭窯の焚き口を徐々に開いて未炭化成分を焼き飛ばし、炭の温度を1000℃ - 1200℃まで上昇させたのち、炭を数時間かけて窯の外に掻き出して、随時速やかに「消し粉」(土と灰を混ぜて水を含ませたもの)をかけ、1日かけて冷やす。これにより硬く焼き締められ、炭素純度が高く、灰により白っぽい外見となる。これら一連の作業には、伝統的な手作業による技法の場合およそ2週間を要する。これらの作業工程によって燃焼臭が非常に少なく、長時間安定した火力が持続する白炭が出来上がる。白炭はその特性から飲食店など業務用途で需要が高く、また白身魚など素材本来の香りが重視される調理にも向く。
 
** [[備長炭]]…紀伊国田辺の商人備中屋長左衛門(備長)が販売したことが名前の由来である。
 
* [[黒炭]]…[[ナラ]]系の木材が多く使われる。400℃あたりで熟成させた後、炭窯の煙道を閉じ、徐々に700℃あたりまで温度上昇させ、次に焚き口と煙の出口も閉じて炭窯全体を密閉し、酸欠状態で時間をかけて鎮火、自然冷却を行い完成する。白炭よりも炭素以外の成分が多く残っていることから火力と、燻製のような芳香がはっきりあり、比較的着火しやすく燃焼時間も1〜2時間以内程度なので、バーベキュー(パーティー)など肉料理に向く。
 
* [[成形木炭]]
 
** [[オガ炭]]…オガクズを加熱圧縮して製造された成型薪「[[オガライト]]」を炭化させたもの。形状と性質が製品ごとに均質であり、白炭に似た特性でありながら比較的安価で、爆跳の危険性も少なく、飲食業で多用されている。密閉した炭窯を1200℃近くまで上げ熟成させたあと、仕上げの最後に、一気に空気を入れて(または炉外に出して)未炭化成分を焼き飛ばし、急冷させ焼き締める(ネラす)。製法としては白炭に近く、性質も白炭に似る。オガ炭の多くは、コストの関係から日本企業の中国や東南アジアの現地法人などで製造されており、それらの大規模生産工場では一連の作業をオートメーション化している場合も多い。
 
* [[竹炭]]
 
* [[活性炭]]
 
 
 
=== 外国産炭 ===
 
* (欧米の)バーベキュー炭
 
* [[マングローブ]]炭…格安のバーベキュー炭に多く、安価である。
 
* [[ヤシ|ヤシガラ]]炭…ヤシ殻を木炭化したもの。ヤシ殻は生のままでは強固な繊維質が多いため、乾燥後に木炭化したあと粉砕し、粉炭をタピオカ澱粉などで各種形状に固めて燃料として販売されている(「ラウンドストーブ」など)。オガ炭のような穴の空いた棒状に成形されたものは「オガ炭」という名称で販売されている場合もある。
 
 
 
== 用途 ==
 
[[File:Wood-gas-powered automobiles-1.jpg|thumb|200px|[[木炭自動車]] 1937年型ビュイック(2010年11月27日撮影)]]
 
[[画像:Charcoal_sticks_051907.jpg|thumb|200px|木炭(デッサン用)]]
 
[[画像:Charcoal_pencils_051907.jpg|thumb|200px|チャコールペンシル]]
 
 
 
=== 燃料用 ===
 
主に燃料として使われている。日本では戦後、石油や都市ガスなどが普及するまでは産業分野や都心の一般家庭でも普通に用いられる燃料であった。一時期[[木炭自動車]]の燃料としても用いられた。また[[たたら吹き]]など古来の製鉄は木炭によってその純度の高さを保つことができたが、西洋式製鉄法の流入によって伝統業を除き[[石炭]]に取って代わられた。
 
 
 
現在は日常の家庭用燃料としての用途よりも、[[キャンプ]]や[[バーベキュー]]などの[[レジャー]]用、また[[焼き鳥]]や[[蒲焼]]、[[焼肉]]などで、「[[焼く (調理)|炭火焼き]]」をこだわりとする飲食店など[[業務用]]と使用される事が多い。
 
 
 
==== 火熾し(火おこし)方法 ====
 
[[画像:Japanese_Firestarter.jpg|thumb|200px|「文化たきつけ」などの名称で販売されている木質系着火材]]
 
[[画像:Chimney starter in Smokey Joe.jpg|thumb|200px|バーベキューグリルに乗せたチャコールスターター]]
 
[[画像:ShichirinChakkazai.JPG|thumb|200px|ピンクの小袋入りのメタノール系着火剤と七輪]]
 
[[画像:Japanese_Rentan_FireStarter.JPG|thumb|200px|練炭コンロにのせた火熾し器]]
 
[[File:Japanese_livecoals_stove.JPG|thumb|200px|飲食店用の火種コンロ。火熾ししやすく、また珪藻土製の蓋があり、火熾しされた状態の木炭を大量に長時間キープできる]]
 
 
 
木炭を着火するのは初心者には難しく、燃焼中の着火剤投入などで事故も起きているため、注意が必要である。いずれの場合でも木炭で調理が行えるようになるのは着火後10分から20分、場合によっては1時間ほど必要で、それを見越したスケジュールを組むのが望ましい。
 
 
 
; [[バーナー]]を使う方法
 
: [[カセットコンロ]]の[[ボンベ]]や[[灯油]]を燃料とする「カセットバーナー(トーチバーナー)」「草焼きバーナー」を使っての着火が初心者には確実である。[[岩谷産業|イワタニ]]からは木炭着火専用の機種も発売されている。特に着火しにくい備長炭やオガ炭で有効であるが、長時間炙ることでの燃料費もかかるためケースバイケースである。珪藻土製七輪などではバーナーの強い直火があたると劣化が進むため注意する。
 
; 着火処理をした木炭を使う方法
 
: 「Quick Grill Briquette」「ラウンドストーブ」などの商品名の加工成型木炭は表面に着火剤が塗られており、簡単に調理可能な状態の熾き火になる。これらの加工成型木炭を着火剤として利用すれば、備長炭やオガ炭などの着火しにくい木炭も比較的簡単に着火することができる。
 
; 木質系着火材を使う方法
 
: 圧縮成形した木質繊維にワックスを染み込ませたタイプの着火材は、突然爆発する危険性がほとんどなく、メタノール剤のものより安価で火力が強く、木炭への着火性はかなり高い。もともとは薪や石炭の煙突式ストーブで焚き付けするためのものであるので、北海道のメーカーのものが多い。ジェル状のアルコール系着火材よりも強火力で、木炭を着火させる能力が高いが、周りへ広がる炎と煙も強く、それらに充分に注意したほうが良い。
 
; チャコールスターターを使う方法
 
: 別名チャコスタ/ファイヤースターター/チムニースターターとも呼ばれる。欧米版の火熾し器であるが、日本のものより4倍から5倍は深い筒状になっている。近年はホームセンターでの取り扱いも多い。金属製の円筒、あるいは折り畳みできるように金属板を組み合わせた三角形や四角形の筒状になっており、日本の火熾し器のように筒ごと下から火で炙るか、この筒の中に木炭や薪、着火剤などを詰めて着火すると、[[煙突効果]]により比較的簡単に10分から30分ほどで、炭火で調理可能な状態にまで火熾しできる。火が熾ったら、バーベキューグリルや[[ダッチオーブン]]、七輪などに炭を移せば良い。バーベキューの機会が多い場合はチャコールスターターがあると便利である。
 
; ジェル状[[着火材|着火剤]]を使う方法
 
: ホームセンターへ行くと透明な薄いピンク色のビニール状の小袋に小分けされたゲル状の着火剤や、チューブ入りの着火剤、固形の着火材などが市販されている。小袋に小分けされた着火剤は七輪であれば1袋から2袋ほど、バーベキュー台では5cmから10cm間隔で並べ、袋へそのまま火をつければ、袋が燃え上がりつつ木炭へ着火が行われる。チューブ入りの着火剤の場合は、火のついていない木炭の上にゲル状の着火材を塗布したのち、着火する。'''火のついている状態では絶対に着火剤を継ぎ足してはならない'''。着火剤が爆発的な燃焼を起こし、周囲にゲル状着火剤の火が飛び散り燃え盛りながらへばりつく場合がある。このような危険性から、チューブ入りの着火剤は最近はホームセンターでの販売が行われていない場合が多く、袋入りにしてもチューブ入りにしても、メタノールをゲル化したこのような着火剤は着火後、火がついた状態で突然飛び散る場合があるため、木炭への着火が完全に済むまでは注意が必要である。
 
; [[火起こし|火熾し器]]を使う方法
 
: 火熾し器は小型の深底フライパン鍋のような形状をしており、鍋底が金網状になっている(練炭・豆炭の火熾しもできるようになっている場合が多い)。まず、火熾し器に適切な大きさに切った木炭を入れた後、屋外の安全な場所で既に熾っているたき火や、練炭コンロ、固形燃料のゴトクの上で火熾し器を掛け、木炭が赤熱するまで炙る。木炭の継続的な燃焼(熾きた状態)が認められるようになったら、赤熱した木炭を七輪やバーベキュー台などに移し、火種とする。なお、'''カセットガスコンロの場合では、カセットガスボンベが炭からの輻射熱によって爆発する危険性があるため、カセットガスコンロでの火熾しは絶対に行ってはならない'''<ref>[http://www.jgka.or.jp/consumer/gasu-riyou/anzen-gasu/cassette/index.html#04 社団法人日本ガス石油機器工業会]</ref>。火熾し器で炙る際には木炭が爆跳したり、炎や火の粉が細かく飛び散る場合も多いうえ、台所のガスレンジで熾す場合はレンジや換気扇の油汚れなどに引火の危険性もあるため、確実な安全性が保証できない場合は最初から屋内での火熾しは避けた方が良い。
 
; [[松かさ]]、木片、紙を使う方法
 
: 松かさ(松ぼっくり)は、[[松脂]]成分を多く含み、よく乾燥したものは着火剤、及び燃料として優秀である。屋外で松かさが入手できる場合は1個から数個の松かさであり、充分に木炭の着火剤となり得る。木片の場合は下部に敷き詰め、新聞紙や広告紙の場合は固く[[注連縄|綱紐]]状にし、その上に木炭を置いて着火させる。その際、木炭は温度低下を避けるため釜状に間隔をあけずに密集させ、燃焼時に釜の内部に熱が篭るようにすれば良い。七輪の場合は綱紐状の固く締めた紙をコンロ内側にバケツ状に敷き詰め、その内側に木炭が包まれている状態にする。この方法は[[YouTube]]などで複数紹介されているが、実際に行ってみると、着火剤などと比較して初心者での着火は非常に難しいうえ、紙の灰が大量に出て食材に付く場合がある。
 
=== 爆跳 ===
 
熱せられた木炭が突然爆ぜることを爆跳(ばくちょう)という。ひどい場合は木炭の爆発的破砕と「パーン」という鉄砲でも撃ったような大音量が周囲に響き渡るので注意が必要である。これは木炭の繊維質に閉じ込められた水分や揮発分が熱で膨張あるいはガス化し、その圧縮された水蒸気や可燃性揮発分の繊維質内での小爆発が発生原理である。備長炭の場合、硬質であるためむしろ危険で、金属音を伴って爆跳し、熱く熱せられた木炭片が目などに飛び込むと重傷となるため要注意である。爆跳の主な原因としては、木炭が吸湿した水分によるものがもっとも多く、木炭に[[乾燥剤]]を添え厚いビニール袋で外気が入らないよう密封し保存すると、ある程度は爆跳を防ぐことが出来る。店舗に長期間置かれた段ボールや紙袋入りの木炭は爆跳が起こり易いと言える。なるべくなら窯元からの直販で購入し、出荷後短期間のうちに使い切るのが好ましい。なお、オガ炭や加工ヤシガラ炭、ハイカロ炭のような成形木炭の場合は、原料の繊維質が細かく裁断されているため、爆跳はほとんど起こらない。
 
備長炭の場合、既に熾っている燃焼中の木炭の近くに(長七輪の場合は縁の上に備長炭を並べるなどして)置いて15-20分ほど予熱したのち、着火させる方法が有効である。
 
 
 
==== 燃焼ガス ====
 
木炭は、練炭とは異なり硫黄や鉱物臭はしないものの、同様に一酸化炭素など有害な燃焼ガスを多量に発生するので、室内での七輪や、囲炉裏など、煙突を伴わない屋内燃焼器具の使用は、とくに換気に気を付けなければならない<ref>[http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20080904_2.html 「いろり座卓使用時の一酸化炭素中毒に注意!」国民生活センター]</ref><ref>[http://www.touinshoku.or.jp/news/new23-6.html 東京都飲食業生活衛生同業組合「炭火焼飲食店における一酸化炭素中毒事故の防止について」] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20110324134818/http://www.touinshoku.or.jp/news/new23-6.html |date=2011年3月24日 }}</ref>。日常的に厨房で使用する場合は、ガスコンロと同様の位置に設置し換気扇を稼働させた方がよい(炭火焼き鳥店の多くはそのようになっている)。
 
 
 
==== 着火剤 ====
 
燃焼中に着火剤を投入すると、思わぬ火災となる危険性がある。また、バーベキューなど食品を直火で焼いて調理する場合に、安価で簡単に着火可能なワックス系を使用するとその匂いが食品に付着し味と香りを劣化させる可能性があり、紙を使用した場合はその燃えカスの紙片が食品に付着してしまう。特に、燃焼時の安全性を考慮していないインクで印刷された紙を使用すると、当然その影響を受けることになる。
 
 
 
=== 美術用 ===
 
[[美術]]の世界において、木炭は古くから世界中で[[デッサン]]や[[絵画]]の道具として使用されている。これに用いる木炭は[[鉛筆]]のような細い枝を炭化したものであり、木炭で描かれたデッサンを鉛筆デッサンに対して木炭デッサンと云う。木炭粉末と粘土を混合し芯にした鉛筆型のものをチャコールペンシルといい、これも木炭デッサンに用いる。一般的にチャコールペンシルを縮めて'''チャコペン'''<ref>裁縫道具のチャコペンとは別のものである。⇒[[チャコ]]参照</ref>といわれることが多く'''チャコール'''単体で呼ぶ場合は青みの掛かった黒の意もある。
 
 
 
花炭と呼ばれる花や木の実をそのまま炭化し、形を楽しむインテリアが500年以上前から日本に存在する。また、木炭に苔などを合わせたものが近年「炭アート」として販売されている。
 
 
 
[[漆器]]や[[金工]]などでは古くから研磨に使用される。研炭には朴炭、駿河炭、蝋色炭などの種類がある。
 
 
 
=== その他 ===
 
木炭は主に多孔質のものが多く、この[[細孔]]に微細な物を[[吸着]]することから脱臭材や濾過材として使われる事もある。特に[[活性炭]]はそれらの能力に優れている。土壌改良や調湿にも利用される。
 
 
 
「木炭は[[マイナスイオン]]を放出し、プラスイオンを吸収するので健康によい」との説に科学的な根拠は全くない。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{reflist}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[炭]]
 
* [[木炭自動車]]
 
* [[火鉢]]
 
* [[香炉]]
 
* [[七輪]]
 
* [[吸着]]
 
* [[木炭紙]]
 
* [[火起こし]] - 着火道具
 
* [[オガ炭]]
 
* [[成形木炭]]
 
* [[オガライト]]
 
* [[練炭]]
 
* [[豆炭]]
 
* [[焼き肉]]
 
* [[バーベキュー]]
 
* [[菊炭]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
* [http://www.rinya.maff.go.jp/ 林野庁]
 
* [http://www.zen-nen.or.jp/index.html 社団法人全国燃料協会]
 
* [http://www.zen-nen.or.jp/shinyoto.html 日本木炭新用途協議会会員]一覧
 
* [http://www17.plala.or.jp/ogatan/framepage2.htm 日本オガ炭生産者協議会]
 
* [http://www.nittokusin.jp/ 日本特用林産振興会]
 
* [http://wwwsoc.nii.ac.jp/wcrs/ 木質炭化学会]
 
* [http://www.ffpri.affrc.go.jp/index.html 森林総合研究所]
 
* [http://www.youtube.com/watch?v=YZ_4tmfIFAc 紀州備長炭] ? 和歌山県制作 紀州備長炭製造映像
 
  
 
{{林業}}
 
{{林業}}
 
{{炭素の同素体}}
 
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+
{{テンプレート:20180815sk}}  
{{Plant-stub}}
 
 
{{DEFAULTSORT:もくたん}}
 
{{DEFAULTSORT:もくたん}}
 
[[Category:炭]]
 
[[Category:炭]]

2018/10/20/ (土) 13:36時点における最新版

木炭(もくたん)

木材の炭化によって得られる固体生成物。黒炭 (中温炭化) と白炭 (高温炭化) に大別されるが,ほかにのこ屑を原料とするのこ屑炭 (素灰) ,特殊な製炭法による研磨用炭,画用木炭 (お花炭,飾り岩) などがある。生産地として有名なのは岩手,北海道,和歌山,長崎,高知で,全国の生産量の5割を占めている。種類は,原材の種類 (なら炭,かし炭,雑炭など) と形状 (丸,割,込) とにより区別され,日本農林規格 (JAS) によって特選,堅1級,1級,堅2級,2級に品位づけられている。主要な用途は燃料で,かつては農民の格好の副業として活況を呈したが,1950年代後半以降,ガス,石油などの燃料資源の確保によって衰退した。しかし,近年では地球にやさしい燃料として,また,緑を多く荒さないことからも見直しの気運が生じており,日本のすぐれた製炭技術を学ぼうとするインド,ブータン,その他東南アジアの人々が増加している。それによって椰子の殻などが良質の炭となって生かされている。燃料以外にも土壌改良,飼料,水や空気の浄化などに利用が考えられている。




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