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{{ Infobox 航空機
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'''日本国政府専用機'''(にほんこくせいふせんようき)
| 名称=日本国政府専用機
 
| 画像=ファイル:Government aircraft of Japan at Hunter Army Airfield.jpg
 
| キャプション=日本国政府専用機<br/><small>訪米した小泉総理を迎える儀典官と儀仗兵 [[ジョージア州]][[サバンナ (ジョージア州)|サバンナ]]のハンター陸軍飛行場にて(2004年6月8日)</small>
 
| 用途=日本国政府専用機
 
| 製造者=[[ボーイング]]社
 
| 運用者={{JPN}}([[防衛省]][[航空自衛隊]])
 
| 初飛行年月日=
 
| 生産数=2機
 
| 生産開始年月日=
 
| 運用開始年月日=[[1993年]]
 
| 退役年月日=[[2019年]](予定)
 
| 運用状況=
 
| ユニットコスト=
 
}}
 
'''日本国政府専用機'''(にほんこくせいふせんようき)は、[[日本国政府]]が所有・運航を行い、政府[[要人]]の輸送、[[在留邦人脱出|在外の自国民保護]]などのために使用される[[航空機]]([[政府専用機]])である。[[防衛省]][[航空自衛隊]]が管理および運用を行なっている。
 
  
== 概要 ==
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[[日本国政府]]が所有・運航を行い、政府[[要人]]の輸送、[[在留邦人脱出|在外の自国民保護]]などのために使用される[[航空機]][[政府専用機]])。
[[ファイル:Japanese-Airforce-002-02.jpg|thumb|250px|羽田空港を離陸する政府専用機]]
 
日本は1992年より、「日本国政府専用機」として[[ボーイング747-400]] 2機を所有、同機種は2018年頃まで運用する予定である<ref name=bloomberg120316>2012年3月16日、[[藤村修]][[内閣官房長官]]が2018年頃まで維持できると発言。[http://www.bloomberg.co.jp/news/123-M0YW7Q6S972801.html bloomberg.co.jp 同日付] 2012年3月28日閲覧</ref>。
 
  
要人が政府専用機を使用する際は、通常任務機と副務機が共に飛行し(通常約30分の間隔をとって副務機が任務機の後を追う)、任務機が故障した場合には直ちに副務機が使用できるという体制をとっている。
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[[防衛省]][[航空自衛隊]]が管理および運用を行なっている。
 
 
[[天皇]]・[[皇后]]の外国訪問と[[内閣総理大臣]]の[[外遊]]が重なった場合には、政府専用機は天皇・皇后の搭乗機として優先使用される原則となっている。たとえば、2012年5月に天皇・皇后のイギリス訪問で政府専用機が使用中のため、[[アメリカ合衆国]]での[[主要国首脳会議]]([[第38回主要国首脳会議|キャンプ・デービッドサミット]])に出席するために訪米した[[野田佳彦]]内閣総理大臣(当時)は、[[全日本空輸]]の特別機を使用した。
 
 
 
一方で、下記のように2機の政府専用機が予備機なしで別々の場所に向かったケースもある。
 
* [[皇太子徳仁親王]]と[[皇太子徳仁親王妃雅子|雅子妃]]が[[オランダ]]の[[ウィレム=アレクサンダー (オランダ王)|ウィレム=アレクサンダー国王]]即位式に出席。同日、[[安倍晋三]]内閣総理大臣が [[ロシア連邦]] - [[サウジアラビア]] - [[アラブ首長国連邦]] - [[トルコ]] 歴訪に出発。(どちらも2013年4月28日出発)
 
* 徳仁親王が「日本と[[スペイン]]の交流400周年」記念で2013年6月10日-16日までスペインを公式訪問。それと一部の日程が重なる形で、安倍首相が [[ポーランド]](東欧4カ国との首脳会談) - [[イギリス]](G8サミット) - [[アイルランド]] を歴訪(2013年6月15日-20日)。
 
 
 
[[ファイル:Japan air.JPG|thumb|250px|[[東京国際空港]]で並ぶ2機の政府専用機]]
 
両機は[[総理府]]の予算で購入され、[[航空自衛隊]]に運用を委託する形で使用を開始した。のちに航空自衛隊機として[[防衛庁]]へ転籍し、乗組員は操縦士<ref group="脚注">自衛隊機は日本の[[航空法]]の適用を受けず([[自衛隊法]][http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO165.html#1000000000000000000000000000000000000000000000010700000000000000000000000000000 第107条])、パイロットの養成は自衛隊が国土交通省の指定養成所となっているため教育訓練において、航空法での[[航空従事者]]技能証明である[[事業用操縦士]]の国家試験を受験して事業用操縦士免許を取得する。本機パイロットはさらに1年に及ぶ部外委託教育により、航空法での航空従事者技能証明である事業用操縦士免許(ボーイング747-400型限定)を取得している。</ref>と[[航空士 (自衛隊)|航空士]]である航空整備員<ref group="脚注">自衛隊機は、検査(点検・整備)の場合も航空法の適用を受けず、自衛隊独自の検査の体制があるため、航空法での航空従事者技能証明である[[航空整備士]]免許を取得しなくても検査できるが、ここでの航空機整備幹部は2年半に及ぶ部外委託教育により、航空法での航空従事者技能証明である一等航空整備士を取得しており、航空整備員は部隊配属後に部外委託による教育を受ける。また資格者を[[技術曹]]として受け入れる制度もある。</ref>、[[航法士]]<ref group="脚注">部外委託も含む10ヶ月の訓練により、国家資格である[[運航管理者]]を取得している</ref>、機上無線員<ref group="脚注">部外委託も含む10ヶ月の訓練により、国家資格([[無線従事者]])である[[航空無線通信士]]を取得している。なお当機の航空機局を含む自衛隊のレーダー及び移動体の無線設備は[[電波法]]の適用を受けない(自衛隊法[http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S29/S29HO165.html#1000000000000000000000000000000000000000000000011200000000000000000000000000000 第112条])ため、本来は[[航空通信士]]の搭乗を要しないが、必ず資格者が搭乗している。また資格者を[[技術曹]]として受け入れる制度もある。</ref>、[[日本航空]]で訓練を受けた特別空中輸送員([[客室乗務員]])<ref group="脚注">航空自衛隊に客室乗務員業務のノウハウはなかったので、担当の自衛官は運航ハンドリングを委託している日本航空に約3か月間出向してサービス技能の研修を受ける。</ref><ref>{{PDFlink|[http://www.mod.go.jp/j/yosan/genkiwaku/pdf/2011/007.pdf 「政府専用機維持経費」防衛省]}}</ref>の他、運航をバックアップする運行管理者<ref group="脚注">部外委託も含む10ヶ月の訓練により、国家資格である[[運航管理者]]を取得している。</ref>まで、すべて「航空自衛隊[[特別航空輸送隊]]第701飛行隊」、通称「特輸隊」と呼ばれる組織に所属する[[航空自衛官]]である。また自衛隊機であるため[[機体記号]]は数字のみで構成されている。
 
 
 
政府専用機には1機につき7人の整備員要員が同乗しており、国外でも自力で機体整備ができるよう、各機には予備のパーツから照明灯や窓磨きにいたるまで、あらゆる状況を想定した備品が搭載されており、基本に随伴機を必要としない。
 
 
 
日本国政府専用機は2機体制であるが、本来、要人輸送機は最低でも「正(要人搭乗・主務機)」、「副(随行・副務機)」、「予備(正・副が出発したあと基地で待機・非常時の代替機)」の、3機以上の体制で運用されるのが望ましいといわれている。もし1機が故障していると使用できるのが1機のみになり予備機がなくなってしまうほか、国外寄港地で正・副の2機とも故障した場合は代替機がなくなり、危機管理上の問題を呈すとみなされているからである。なお1999年2月に[[ヨルダン国王]]の[[フセイン1世]]が死去した際には、フセイン1世が行政府の長を兼ねていたことから、[[国葬]]には皇太子・同妃と[[小渕恵三]]内閣総理大臣夫妻が共に参列することになり、両者が2機に分乗したため、双方が主務機扱いとなった。このため両機は予備機なしで0泊3日の往復飛行をこなすこととなった。
 
 
 
しかし、当初の2機購入の数年後に[[防衛省|防衛庁]]が上記の理由で3機目の予算も原案に組み込んだところ、[[大蔵省]]の査定で却下された。そもそも政府専用機の導入は、当時日米間の最大懸念だったアメリカの巨額の対日貿易赤字を減らすための国策的要素が強いものだっただけに、やがて[[バブル景気]]が[[バブル崩壊|弾けて]]日本経済が長期にわたる不況に陥ると、3機目の購入に数百億円もの税金を充てるのは難しい状況となった。なお、[[イラク戦争]]以後、自衛隊の国外派遣などで政府専用機を活用する機会が増えたことに伴い、政府は3機目の購入を再び模索、防衛庁はこれをうけて[[空中給油機]]としての併用が可能な[[ボーイング767]]を視野に入れた検討を始めた。しかし、同じころ政府が導入を決定した[[ミサイル防衛]]関連予算が膨大なものとなったことから、このときも結局導入を断念している。
 
 
 
同じボーイング747シリーズを使用していることもあり、[[アメリカ合衆国大統領]]専用機の[[VC-25]]<!--([[エアフォースワン]])--><!-- 左記CO コールサインに過ぎず -->と比べられることも多い日本の政府専用機だが、両者の大きな違いはその用途にある。VC-25は「政府」専用機ではなく、事実上の「大統領の[[ビジネスジェット]]」で、大統領個人が「良識の範囲内」で公私にわたって自由に使用することが認められており、国内遊説や選挙戦はもとより、休暇時の保養地への移動にも使われ、国賓公賓を同乗させたりもしている。一方、日本の政府専用機は[[内閣総理大臣専用車]]や[[御料車]]と同様にあくまで国有資産であり、その用途は公用に限られる(内廷や首相の所有物ではない)。しかも通常は外遊時にのみ使用され、国内での移動に利用されることはほとんどない。国内での利用は、2000年の[[第26回主要国首脳会議|九州・沖縄サミット]]の際の[[森喜朗]]首相の沖縄入り、2004年の日韓首脳会談の際の小泉純一郎首相の鹿児島入り、2008年の[[第34回主要国首脳会議|北海道洞爺湖サミット]]の際の[[福田康夫]]首相の北海道入り、2009年5月の太平洋・島サミットの際の[[麻生太郎]]首相の北海道入りなどこれまでに数回しかなく、しかもそのほとんどが国内遠隔地における外国首脳との会談がらみとなっている。したがって年間の飛行回数や飛行時間は、米国大統領専用機にくらべると格段に少なく、導入当初は「虎の子」「宝の持ち腐れ」などといった批判を浴びることも少なくなかった。
 
 
 
== 導入への過程 ==
 
{{出典の明記|section=1|date=2011年2月}}
 
[[第二次世界大戦]]終結後、[[皇族]]や首相、[[閣僚]]の国外公式訪問や国内移動の際に、半官半民の経営体制である日本航空の特別機が頻繁に使用されることになり、[[1954年]]8月には、[[北海道]]で開かれた[[国民体育大会]]開会式から帰京する[[昭和天皇]]と[[香淳皇后]]のために、初の皇族向け特別機の[[ダグラス DC-4]]が[[千歳基地|千歳空港]]-羽田空港間で運航された<ref group="脚注">なお往路は[[お召し列車]]と[[青函連絡船]]を利用しており、この際に青函連絡船でお召し船となったのが[[洞爺丸]]である</ref>。
 
 
 
[[ファイル:Noboru Takeshita full.jpg|thumb|250px|[[1989年]]の[[竹下登]][[首相]]の訪米時に政府特別機として[[チャーター便|チャーター]]された日本航空のマクドネル・ダグラスDC-10]]
 
その後も、特に国外公式訪問の際の特別機として、当時日本の航空会社で唯一国際線を運航していた日本航空の機材が利用されるケースが多かった<ref group="脚注">[[全日本空輸]](ANA)の国際線運行開始は[[1986年]]。</ref>ものの、[[1970年代]]に入り[[アメリカ合衆国]]連邦政府から対日貿易赤字の縮小を求められ、その過程で、アメリカ製の航空機を政府専用機として購入することで、[[アメリカ合衆国連邦政府]]の態度を和らげる一助にすることなどを背景に、アメリカ製の[[ボーイング707]]・[[ボーイング747-SP|747-SP]]や、[[マクドネル・ダグラス DC-10|DC-10]]などを中心に導入が検討されはじめた。
 
 
 
<!--また、[[ベトナム戦争]]や[[イラン・イラク戦争]]など、国外[[有事]]の際し[[在留邦人脱出|在外日本人救援]]特別機として、日本航空の機材を使用することを打診した際に、乗務員の安全面などから[[日本航空の労働組合|同社の労働組合]]が運航に反対するなどの問題があった。さらに自衛隊員の国外派遣に際して、同社の一部の労働組合から様々な反対があるなど、(事実確認不可)-->有事の際の国外移動を一民間会社に任せることへの問題が噴出し、この様な問題がない政府専用機の導入への検討が進められた。
 
 
 
その上、[[1951年]]の設立から長らく半官半民という経営体系であった同社が、[[1985年]]9月に、当時の[[中曽根康弘]]首相が進めた、国営企業や特殊法人の民営化推進政策を受けて、完全民営化の方針を打ち出したことなど様々な理由から、[[1980年代]]半ばになり、急速に政府専用機の導入が推し進められることとなった。
 
 
 
最終的に、日本から無給油で[[ヨーロッパ]]や[[北アメリカ]]の主要都市に飛ぶことができる当時唯一の機材であったことから、アメリカの[[ボーイング]]社が当時開発していた、ボーイング747-400の導入が[[1987年]]に[[閣議]]決定され、予備機を含め2機が導入されることとなった。
 
 
 
== 代替機の検討 ==
 
各国での政府専用機に相当する航空機の採用状況をみると、[[ボーイング747-400]]や[[エアバスA340]]など、非常に高価なワイドボディ新型機を新規に購入した例は、航空機製造国以外では極僅かな国家のみであり、日本や[[ブルネイ]]、[[カタール]]などに限定される。
 
 
 
実際、航空機製造国(アメリカや[[欧州連合|EU]]や[[ロシア]]、[[フランス]]や[[ドイツ]]など)は、自国製の新造機を[[政府専用機]]としている。しかしそれに対し航空機製造国以外(その他多くの国)は[[ボーイング737|ボーイング・ビジネス・ジェット]]や[[エアバスA320|エアバス・コーポレート・ジェット]]などの中型機を導入したり、民間から[[ボーイング757]]や[[ボーイング727]]などの中古の中・小型機またはボーイング747-SPなどの中古のワイドボディ機を買い上げて改造したりする例が多い。
 
 
 
その一方、2000年頃からは政府専用機にも小型化の傾向が見られている。その理由は、短い滑走路を持つ地方の空港からでも容易に離着陸できるなど、小振りの機種が汎用性においてより優れた選択肢となったためである。その背景には、中・小型機の航続距離、双発機([[ボーイング737]]、[[ボーイング777]]、[[エアバスA330]]、[[ボーイング787]]など)の燃費や[[ETOPS]]などが飛躍的に向上した事実がある<ref group="脚注">2007年5月8日、[[麻生太郎|麻生]]外相が閣僚懇談会で、緊急時の機動性などを理由に小型の政府専用機導入を提案したことが報じられた。ロシアの[[ボリス・エリツィン|エリツィン前大統領]]の葬儀に日本の首脳特使が派遣できなかった事態を踏まえたもの。小型の政府専用機候補として[[C-40 (航空機)|ボーイング C-40 (737-700)]]、[[エアバスA320]]、[[ガルフストリーム IV]]などが候補としてあげられている</ref>。
 
 
 
実際の大型機の運用においても、運用自体が中途半端なものとなり、警備上の問題や経済性の低さなどが生じることも指摘されるようになっている。この指摘の根拠には、ボーイング747が安全な離着陸を行うためには最短でも2,500から2,750m以上の滑走路が必要であり、そのような条件を満たす滑走路を持つ空港が、大都市の国際空港や[[空軍]]基地に限られてしまうことが挙げられている<ref group="脚注">実際にアメリカ大統領が同国内の地方都市を訪れる際に、VC-25では乗り入れができないためVC-137BやC-9を使用することも多い。なお、日本政府がボーイング747-400の導入を閣議決定した選定理由の一つには、1987年当時、日本外交の中心だった[[アメリカ合衆国東海岸|アメリカ東海岸]]や欧州へノンストップで飛行できる機種が他にはなかったためでもあった。なお、[[日本航空]]がかつてボーイング747を世界一多く保有していた理由の一つもこれと同じである。</ref><ref group="脚注">[[2002年]]4月の小泉純一郎内閣総理大臣の[[東ティモール]]訪問の際、首都[[ディリ]]の[[プレジデンテ・ニコラウ・ロバト国際空港]]の滑走路が短かったため、政府専用機での直接訪問が出来ず、[[ジャカルタ]]までの運航となった。</ref><ref group="脚注">[[2009年]]2月、[[麻生太郎]][[内閣総理大臣]]と[[ドミートリー・メドヴェージェフ]][[ロシア連邦大統領]]との日露首脳会談が、[[ロシア|ロシア連邦]][[サハリン州]][[ユジノサハリンスク]]で開催された。麻生総理は、当初政府専用機で現地入りする予定であった。しかし[[ホムトヴォ空港]]の滑走路幅が狭く、着陸が不可能であるとして、政府専用機での現地入りを取りやめた。[http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/145373.html]{{リンク切れ|date=2017年10月 |bot=InternetArchiveBot }}</ref>。その点、[[ボーイング737#737NG(Next-Generation)737-600/-700/-800/-900(第3世代)|ボーイング737-600]]以降の新型機種などでは、2,000mの滑走路もあれば余裕を持って離着陸できるため、運用できる空港が非常に多くなる。
 
 
 
なお、[[2008年]](平成20年)[[10月17日]]付の[[産経新聞]]は、[[三菱重工業]]が開発中の日本製小型[[旅客機]]「[[MRJ]]」を10機発注する予想を報じた。MRJはボーイング737よりさらに小型で燃料効率がよいとされ、また開発に関して国が補助金を出していることから販売を促進する目的も兼ねている。ただし、MRJは[[太平洋]]無着陸横断飛行などの長距離洋上飛行ができない。したがって、仮にMRJが政府専用機として使用されるとしても、日本国内及び近距離の外国渡航用といった、補助的な役割に留まるものと考えられている。
 
 
 
2010年、[[日本航空]]の経営再建のため、同社のボーイング747が全機退役するのに伴い、整備面での問題が浮上した。2019年以降は同社で整備を受けられなくなるため、後継機の選択を実施しなければならなくなった(下記「運航及び整備の委託」の項を参照)。
 
 
 
2013年8月には、前述の通り2018年度末をもって現用の2機を退役させる方針が明らかにされている。新たな政府専用機の候補としては複数の報道により[[ボーイング777]]・[[ボーイング787|787]]、[[エアバスA350 XWB]]が挙がっており、2019年の導入に向け機種を選定するとしている<ref name=bloomberg120316 /><ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1903B_Z10C13A7PP8000/ 政府専用機「777」軸に後継検討 燃費の良さ重視] - 日本経済新聞(電子版、2013年7月19日付、同年8月27日閲覧)</ref><ref>[http://mainichi.jp/select/news/20130811k0000m010109000c.html 政府専用機:年内にも2代目機種選定] {{webarchive|url=https://web.archive.org/web/20130927134807/http://mainichi.jp/select/news/20130811k0000m010109000c.html |date=2013年9月27日 }} - 毎日jp. (毎日新聞、2013年8月11日付、同月29日閲覧)</ref>。2014年4月になって飛行性能に加えて日米同盟の関係強化に向けた姿勢などを重視し、導入後の[[メンテナンス]]委託先も確保しやすいことからボーイング777を導入する方向で最終調整していることが報道された。なお、選定候補に挙がっていたボーイング787は機内空間の狭さ、エアバスA350は現行機がボーイング製という継続性と[[日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約|日米安保同盟]]という外交的政治判断によって、[[エアバス]]は選定から外れている<ref>[http://flyteam.jp/aircraft/boeing/b777/news/article/34509 次期政府専用機、ボーイング777が濃厚に!?]</ref>。
 
 
 
2014年8月12日、[[日本国政府]]はボーイング747-400の後継機として、ボーイング777-300ERを選定し、機体整備は[[全日本空輸]]に委託されることを明らかにした<ref>[http://www.nikkei.com/article/DGXLASFS12H0G_S4A810C1000000/ 政府専用機の後継、B777に決定 整備は全日空に] 日本経済新聞 2014年8月12日</ref><ref name=jiki />。
 
 
 
2018年8月1日、航空幕僚監部は政府専用機の運用終了を前に、この機材の処分に関する情報提供の募集を開始した<ref>[https://flyteam.jp/news/article/98016 特性を考慮した適切な747政府専用機の処分、空自が情報提供を募集 | FlyTeam ニュース]</ref>。
 
 
 
== 沿革 ==
 
* [[1987年]]([[昭和]]62年):政府専用機2機の導入を閣議決定(予算は両機で計360億円)<ref>{{PDFlink|[http://www.mod.go.jp/j/yosan/genkiwaku/pdf/2011/007.pdf 「政府専用機維持経費」防衛省]}}</ref>
 
* [[1991年]]([[平成]]3年)
 
** 9月 : 1番機 [[ボーイング747-400]] JA8091 受領
 
** 11月 : 2番機 ボーイング747-400 JA8092 受領
 
* [[1992年]](平成4年)4月 : [[総理府]]から[[防衛庁]](のちの[[防衛省]])に移管、[[運輸省]](のちの[[国土交通省]])における[[民間機]]としての登録を抹消し、[[航空自衛隊]]の機体識別番号が与えられる<ref name=NUMBER/>、同月 初の国外飛行([[アメリカ合衆国]][[ワシントンD.C.]]に試験飛行)
 
* [[1993年]](平成5年)
 
** 2月 : 要人が初使用([[渡辺美智雄]] [[副総理]]兼[[外務大臣 (日本)|外務大臣]]が訪米)
 
** 4月 : [[内閣総理大臣]]が初使用([[宮澤喜一]]が訪米)
 
** 6月 : [[特別航空輸送隊]]を編成
 
** 9月 : [[皇室]]が初使用([[明仁|今上天皇]]と[[皇后美智子|美智子皇后]]が訪欧)
 
* [[1995年]](平成7年)8月 : [[日本航空]]が[[東京国際空港|羽田空港]]における地上ハンドリングを受託
 
* [[2002年]](平成14年)4月 : 要人輸送100回到達
 
* [[2005年]](平成17年)4月 : 政府が3番機の導入を断念
 
* [[2006年]](平成18年)9月 : 国外寄港地200か所到達
 
* [[2007年]](平成19年)4月 : 大規模改装工事終了(通信機能の強化、座席のグレードアップ、会議室及び随行員室の内装変更など)
 
* [[2013年]](平成25年)1月22日 : [[アルジェリア人質事件]]発生に伴い、[[自衛隊法]]84条に基づく「[[在留邦人脱出|在外邦人の緊急輸送]]」任務実施のため、同任務としては初めて政府専用機を[[アルジェリア]]に派遣
 
* [[2014年]](平成26年)
 
** 8月12日 : 後継機が[[ボーイング777#777-300ER(773B)|ボーイング777-300ER]]型機に正式決定<ref name=jiki>[http://www.cas.go.jp/jp/houdou/pdf/140812senyouki.pdf 新たな政府専用機の機種決定について-政府専用機検討委員会]</ref>
 
** 9月3日 : [[Flightradar24]]による飛行情報が表示されていたが、防衛省の要請により8月中に表示されなくなったと報道<ref>読売新聞2014年9月3日13S版1面・35面。8月上旬、読売新聞が防衛省に指摘後の措置と報道</ref>
 
* [[2015年]](平成27年)
 
** 4月28日 : 後継機のデザインを発表<ref>[http://www.mod.go.jp/j/press/news/2015/04/28b.html 新たな政府専用機の外装デザインについて] - 防衛省</ref>。垂直尾翼は従来と同じく[[日本の国旗|日章旗]]であるが、側面には赤い曲線が描かれる。
 
* [[2016年]](平成28年)
 
** 7月3日 : [[ダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件|ダッカのレストラン襲撃による人質テロ事件]]発生に伴い、[[自衛隊法]]84条に基づく「在外邦人の緊急輸送」任務実施のため、政府専用機を[[バングラデシュ]]に派遣
 
** 7月29日:後継機ボーイング777-300ER型初号機初飛行<ref>[https://www.youtube.com/watch?v=MqMM_pbXhVo] Japanese Air Force One Boeing 777 1st Flight Replacement of 747 Aborts Landing. Filmed: July 29, 2016 KMWH Moses Lake, WA USA</ref>
 
* [[2018年]](平成30年)
 
** 8月 : 1番機[[ボーイング777#777-300ER(773B)|ボーイング777-300ER]]受領予定
 
** 12月 : 2番機[[ボーイング777#777-300ER(773B)|ボーイング777-300ER]]受領予定
 
* [[2019年]](平成31年)
 
**3月 : [[ボーイング747-400]] JA8091・JA8092退役予定
 
**4月 : 後継機ボーイング777-300ER型機運用開始予定
 
 
 
== 諸元 ==
 
[[ファイル:Government aircraft of Japan flying.jpg|thumb|250px|[[苫小牧市]]上空を飛行中の政府専用機(2005年4月)]]
 
 
 
=== 名称 ===
 
* 政府による正式呼称: 「日本国政府専用機」
 
* 航空自衛隊における正式名称: 「特別輸送機」
 
* 英語表記: 「Japanese Air Force One/Two」
 
 
 
=== コールサイン ===
 
* Japanese Air Force 001/002:  主務機/予備機。通常の任務飛行中に用いる。"Japanese Air Force"は"JF"と略して表記されることもあるが、JFが航空会社コードとして割り当てられている訳ではない<ref group="脚注">公式に「JF」をコードとして利用しているのはタイの[[ジェットアジア・エアウェイズ]]である。</ref>。2015年1月25日-26日の、皇太子徳仁親王と福田康夫政府特派大使のアブドッラー・サウジアラビア王国国王崩御の弔問でのサウジアラビアへの任務飛行では、単独で「002」を用いた。
 
* Japanese Air Force 701:  アルジェリアへの派遣([[アルジェリア人質事件]]の邦人救出)で任務飛行中に用いた(20-1102機、往路復路とも共通、2013年1月)。
 
* Japanese Air Force 901: 2013年4月28日-5月3日[[皇太子徳仁親王]]夫妻がオランダの[[ウィレム=アレクサンダー (オランダ王)|ウィレム・アレクサンダー]]国王即位式出席でオランダへの任務飛行中と、2013年6月10日-16日皇太子徳仁親王が日西交流400周年記念による公式訪問でのスペインへの任務飛行中に用いた(両方共、20-1101機、往路復路とも共通)。
 
* Japan/Japanese Air Force 1101: 1993年2月11日-14日、渡辺美智雄外相のワシントンDCへの任務飛行中に使用(これが初の任務飛行、20-1101機、往路ではJapan Air Forceで復路ではJapanese Air Force)<ref>粟野純一 「VHF帯エアーバンド 政府専用機フライトを追う!!」『ラジオライフ』1993年5月号、184-185頁。</ref>。
 
* Cygnus 01/02<ref group="脚注">“Cygnus”(シグナス、意味は「[[はくちょう座]]」)は[[特別航空輸送隊]]所属機のコールサイン</ref>:  訓練および回送の際に使用される。"CYGNS"とも表記されることがある。
 
* PLANETA<ref group="脚注">"planeta" [[スペイン語]]や[[ポルトガル語]]で「[[惑星]]」を意味する</ref> : 訓練飛行時に使用されたことがある<ref>[http://ntv.rgr.jp/rjtt/jf/ 政府専用機が羽田空港に来た(CYGNS01、CYGNS02、JF001、JF1)]</ref>。
 
 
 
=== 機体 ===
 
* 機種: [[ボーイング747-400|ボーイング747-47C]]<ref group="脚注">ボーイングのコードは 747-47Cで、末尾の「-7C」が「日本国政府」を表す[[カスタマーコード]]。自衛隊では B-747-400で、「B-」が「ボーイング」を表す(軍用の[[輸送機]]は通常「C-」、要人輸送にも使う多用途支援機は通常「U-」ではじまる)。</ref>
 
* エンジン: [[GE・アビエーション|ゼネラル・エレクトリック]] [[ゼネラル・エレクトリック CF6|CF6-80C2B1F]]<ref>日本航空・全日空と同じ仕様</ref>
 
* 所属: [[航空自衛隊]] [[航空支援集団]] [[特別航空輸送隊]]
 
* 機体番号: 20-1101、20-1102<ref name=NUMBER>納入時は政府保有民間機として[[機体記号]] JA8091 と JA8092 で登録訓練運用されていたが、自衛隊への移管時に軍用機扱いとなり、20-1101と20-1102の機体記号識別番号が与えられた。</ref>
 
* 機数: 2機(通常2機を同時にペアとして運用)
 
 
 
{| class=" wikitable" style="text-align:center;"
 
|+ 政府専用機 <ref>[https://www.planespotters.net/airline/Japan-Air-Self-Defence-Force 航空自衛隊保有旅客機]</ref>
 
! 機種 !! 製造番号 !! 機体番号 !! 受領日 !! 登録日 !! エンジン !! 所属 !! 備考
 
|-
 
|rowspan="2"| ボーイング747-47C
 
| 24730 / 816
 
| 20-1101
 
| 1991/09/17
 
| 1992/04/01
 
|rowspan="2"| GE CF6-80C2B1F
 
|rowspan="2"| 航空自衛隊 航空支援集団<br />特別航空輸送隊
 
| 元JA8091
 
|-
 
| 24731 / 839
 
| 20-1102
 
| 1991/11/18
 
| 1992/04/01
 
| 元JA8092
 
|}
 
 
 
=== 外装 ===
 
[[ファイル:Koizumi arriving at Andrews AFB 28 June 2006.jpg|thumb|250px|訪米した小泉総理を迎える儀典官と[[儀仗兵]] ワシントンD.C.郊外[[アンドルーズ空軍基地]]にて(2006年6月28日)]]
 
[[ファイル:20-1102 Airstair.jpg|thumb|right|前方貨物室に設置された[[エアステア]]]]
 
* 胴体: 白地に、金のアンダーライン付き赤の帯。前方の左側には「'''日本国 <small><sup>{{flagicon|Japan}}</sup></small> JAPAN'''」、右側には「'''JAPAN <small><sup>{{flagicon|Japan}}</sup></small> 日本国'''」の文字(左右対称にするため)、後方の両側には小さく「航空自衛隊」の文字
 
* 主翼: 左翼の上に「'''JAPAN'''」の文字。両翼の上下計4か所に航空自衛隊の[[国籍マーク|国籍標章]] <small><sup>[[Image:Roundel of Japan.svg|13px]] </sup></small><ref group="脚注">[[国籍マーク|国籍標章]]は左右主翼の上下と垂直尾翼の両側の計6か所につけられており、どこから見ても日本国政府専用機だということが一目で分るよう配慮されているが、これを見た[[細川護煕|細川]]総理は「[[細川宗孝#細川の「七つ紋」 |どこかの七つ紋]]みたいだね」と漏らしたという。</ref>。
 
* 尾翼: [[垂直尾翼]]の左右両側に大きく航空自衛隊の国籍標章 <small><sup>[[Image:Roundel of Japan.svg|13px]] </sup></small>、その前方部に小さく機体番号。
 
* 貨物室: [[エアステア]]
 
 
 
=== 内装 ===
 
[[ファイル:20-1102 JpnFlag.jpg|thumb|国旗が取り付けられた専用機]]
 
[[ファイル:20-1101 L1door.jpg|thumb|L1ドアにある航空自衛隊マーク]]
 
 
 
内装<ref group="脚注">テレビ番組(「[http://www1.ntv.co.jp/zero/weekly-blog/2007/06/ NEWS ZERO]」など)や航空専門誌(「エアライン2014年5月号」)などで政府専用機が取材され、貴賓室などセキュリティ上重要な部分を除いて内装が度々公開されている。</ref>は要人や同行する記者、運航要員などの輸送用に設計されており、座席や壁面などは茶色やベージュを基調とした暖色系の色合いでまとめられている。
 
* 前方より、貴賓室、夫人室、秘書官室(11席)、会議室(4席)、事務室(2席)、随行員室(12席+21席)、一般客席(89席)がある。随行員室は2-3-2[[アブレスト]]、一般客室は2-4-2アブレストである。一般客席の中央部には記者会見席(3席)がある。秘書官室や随行員室ではライフラットの[[ビジネスクラス]]用シート<ref name="AIRLINE201405">[[エアライン (雑誌)|月刊エアライン]]2014年5月号 P.36-49</ref>が、一般客室ではレッグレスト付きのプレミアムエコノミーに相当する座席<ref name="AIRLINE201405" />が設置されている。いずれの座席も、ノートパソコン向けの電源コンセントを備えているが、エンターテイメント設備は設置されていない<ref name="AIRLINE201405" />。また、[[記者会見]]や清掃に備えて、壁面にもコンセントが設置されている<ref name="AIRLINE201405" />。
 
* 一般客席の同行記者等は、民間航空会社運航便と同程度の[[航空券]]運賃を支払った上で搭乗する<ref name="fujitv_real_scope">{{Cite web|url = http://tvtopic.goo.ne.jp/program/cx/35787/662755/ |title=「超潜入!リアルスコープハイパー」2013年8月17日|publisher = gooテレビ|date = 2013-08-17|accessdate=2016-10-13}}</ref>。機内サービスもあり、和食や洋食を選ぶことができる。[[ソフトドリンク]]のメニューには[[リポビタンD]]がある<ref name="Miyaneya-2017-04-21">[[情報ライブ ミヤネ屋]] 政府専用機に潜入!「空飛ぶ官邸」の秘密 ミヤネ屋 2017年4月21日</ref>。
 
* 2階部分は、通信室や運航要員の座席(25席)、休憩室が設けられている<ref>{{Cite book|和書|author=鈴木真二|year=2009|title=プロが教える飛行機のすべてがわかる本|pages=118-125|publisher=ナツメ社|isbn=978-4-8163-4639-2}}</ref>。運航要員用の座席はエコノミークラス用シートの3-3アブレストとなっているが、前方左側の4席のみは1階の一般客室と同様の座席が設置されているため2-3アブレストとなっている。運航要員のスペースを2階に確保することで、1階に搭乗している要人の間を通り抜けることなく業務遂行が可能となっている<ref name="AIRLINE201405" />。
 
* 上記のような構成であるため、乗客数は約140人と少なめになっている(通常の747-400は416〜524名)。
 
* [[旅客機のコックピット|コックピット]]: 他のボーイング747型機と同様に2階前方にある。室内は民間仕様とほぼ同じだが、[[敵味方識別装置]]などの軍用機器が追加されている。コックピット天井にある非常脱出ハッチの開口部には、(特別機として使用されるケースを想定した民間機体と同様に)器材を取り付けることにより、国旗を立てることができる。
 
 
 
=== 用途 ===
 
* [[皇室]]、[[内閣総理大臣]]、またはこれに準じる[[要人]]の輸送<ref group="脚注">なお、総理の外遊の際には報道各社の同行記者が同乗し、機内で[[記者会見]]が行われることもある。</ref>
 
* 緊急時における[[在外日本人]]の救援輸送
 
* [[国際緊急援助隊|国際緊急援助活動]]
 
* [[有事]]における[[自衛官]]の緊急輸送<ref group="脚注">特に、[[北部方面隊]][[普通科 (陸上自衛隊)|普通科]]に所属する軽武装の陸上[[自衛官]]の緊急輸送。</ref>
 
とされている。なお、この「要人」として法令で定められているのは下記の通りである。
 
# 天皇を始めとする皇族
 
# [[要人|国賓]]およびこれに準ずる賓客
 
# [[最高裁判所長官]]
 
# [[衆議院議長]]および[[参議院議長]]
 
# 内閣総理大臣
 
# [[国務大臣]]
 
ただし、実際には内閣総理大臣や天皇を始めとする皇族による使用がほとんどとなっており、その他の[[大臣|閣僚]](国務大臣)や三権の長は一般の定期便を利用している。また、[[国家安全保障会議 (日本)|国家安全保障会議]]の内規で同じ機体での移動は2人までとなっている。<ref>{{Cite web |url=http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/198646/2 |title=異例の“4閣僚”訪米 不測の事態の「危機管理」どうなる? |publisher=[[日刊ゲンダイ]] |accessdate=2017-02-14}}</ref>
 
 
 
皇族では、[[オランダ]]公式訪問のため2009年8月21日に出発した秋篠宮夫妻も、[[成田国際空港]]から[[民間機]]を利用した。また、2015年4月の天皇・皇后の[[パラオ]]訪問では民間([[全日本空輸]])のチャーター機が使用されたが、これは[[ロマン・トメトゥチェル国際空港]]の[[滑走路]]が2195mしかなく、政府専用機のボーイング747(必要着陸滑走路長は2500m)では発着ができないため<ref name="sankei_150408">[http://www.sankei.com/photo/story/news/150408/sty1504080023-n1.html 【大山文兄のV1ウオッチ#5】コールサインに秘められた謎解き] - 産経新聞コラム(2015年4月8日、[http://web.archive.org/web/20150430110843/http://www.sankei.com/photo/story/news/150408/sty1504080023-n1.html 2015年4月30日時点でのアーカイブ])</ref>である。
 
 
 
=== 運航及び整備の委託 ===
 
[[ファイル:Japan Airlines Cabin attentdants training facility Haneda 1.JPG|250px|thumb|特別空中輸送員の訓練が行われている日本航空客室乗務員訓練センター]]
 
政府専用機は航空自衛隊[[千歳基地]]に所属する自衛隊機であるが、通常は千歳基地と誘導路で繋がっている[[新千歳空港]]の専用[[格納庫|ハンガー]]に格納されている。
 
 
 
以前は一括して、[[日本航空]]とそのグループ企業が国際線運航とサービスの経験の豊富さから、政府専用機の国内外における運航ハンドリング及び機体整備を、2017年(平成29年)現在でも世界各地において行っているほか、機内サービスを行う特別空中輸送員の訓練も受託していた。
 
 
 
しかし、[[会社更生法]]適用による機材の効率化、老朽化および燃費効率の悪さを理由として、日本航空は2011年(平成23年)3月1日をもってボーイング747機を全機退役させた。この結果、同型向けの資材や人員を引き続き保持する見込みがなくなったことから、数年後には整備を受けられなくなる見通しとなった。このため2010年(平成22年)12月より、ボーイング747-400F(貨物)型機を運航し、同型機最終受領が遅く、当面の運用が見込まれる[[日本貨物航空]]に、本機に携わる航空自衛官の民間免許取得支援業務を委託した<ref>日本経済新聞 2010年12月8日</ref>。
 
 
 
== その他の要人輸送機 ==
 
政府専用機とほぼ同時期に購入した[[フランス]]製の[[アエロスパシアル]][[AS 332 (航空機)|AS332L]][[ヘリコプター]]([[陸上自衛隊]]が運用・のちに[[ユーロコプター  EC 225|ユーロコプター EC225LP]]へ更新)があり、近・中距離移動に用いられている。また航空自衛隊の多用途支援機の[[ガルフストリーム・エアロスペース]]U-4([[ガルフストリーム IV]])も日本国内の高速移動に使用されている。
 
 
 
なお、このU-4であるが、2008年8月には[[福田康夫]]首相(当時)が8日に[[北京オリンピック]]の開会式に出席のために[[中華人民共和国]]・[[北京市]]に赴き、その翌日の8月9日の[[長崎市への原子爆弾投下|長崎原爆の日]]の[[長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典|平和式典]]に出席する日程であったことから、深夜の日中両国間を移動する手段として使われたことがある<ref>朝日新聞2008年8月10日付けの「首相の1日」より</ref>。<!-- そのほか、自衛隊高級幹部の移動には[[日本航空機製造]][[YS-11]]や[[C-1 (輸送機)|C-1輸送機]]も使われている。-->
 
 
 
1994年2月の[[小笠原諸島|小笠原]][[行幸|行幸啓]]では、目的地に飛行場が無く船舶では時間がかかるため[[海上自衛隊]]の[[US-1|US-1A]]が使用された<ref>[http://www.mod.go.jp/msdf/iwakuni/about/gallery/gallery291213.html 第71航空隊 US-1A 90号除籍記念式典]</ref>。
 
 
 
== 逸話 ==
 
=== ヒッチハイク外交 ===
 
[[ファイル:Flugbereitschaft_A310_10%2B22_20060803_STR.jpg|thumb|left|250px|ドイツ政府要人専用機 “A310-304 VIP”]]
 
[[カナダ]]の保養地である[[カルガリー]]郊外の[[カナナスキス]]で行われた[[第28回主要国首脳会議]]を終えた[[2002年]](平成14年)[[6月28日]]に、[[ドイツ]]の[[ゲアハルト・シュレーダー]]首相と秘書官・警護員ら5人が[[小泉純一郎]]総理帰途の日本国政府専用機に同乗して来日した。翌々30日に[[横浜国際総合競技場]]で行われる[[2002 FIFAワールドカップ・決勝|2002 FIFAワールドカップの決勝]]・[[サッカーブラジル代表|ブラジル]]対[[サッカードイツ代表|ドイツ]]戦を控え、「この観戦に間に合うよう、ぜひ相乗りで行かせて欲しい」というドイツ側からの異例の要請を日本側が快諾したものである。約10時間の飛行中、機内ではくつろいだ雰囲気の中で日独首脳会談(「[[ヒッチハイク]]外交」[[外務省]])が行われたほか、両首脳は食事を共にしながら四方山話に花が咲いたという。小泉総理は総理執務室をシュレーダーに譲って、自らは官房副長官用の個室で休息した。
 
 
 
一国の首脳が他国の政府専用機に同乗して長時間に亘り移動する行為は、外交[[プロトコル]]上の変則であることは言うに及ばず、危機管理の面から見ても異例なこと<ref group="脚注">もし本国で緊急事態が発生した場合、迅速な情報収集に支障が出るばかりか、本国政府機関と首脳との交信が他国に筒抜けになってしまうため。</ref>であり、日本政府専用機ではこのシュレーダーの便乗が唯一の例、しかも例外中の例外となっている。
 
 
 
<!--
 
<ref group="脚注">ただし訪問中の親しい外国首脳を政府専用機に乗せて国内で短距離飛行を行うという例は少なくない。2006年6月30日、アメリカの[[ジョージ・ウォーカー・ブッシュ|ブッシュ]]大統領夫妻は退任を2か月半後に控えて最後の訪米となった小泉に念願の「[[グレースランド]]巡礼」をプレゼントしたが、その際[[ワシントンD.C.|ワシントン]]郊外の[[アンドルーズ空軍基地]]から[[テネシー州]][[メンフィス (テネシー州)|メンフィス]]までの1時間強の空の旅に、小泉を[[エアフォースワン]]に同乗させて親しくもてなしている</ref>。
 
--><!-- 同機は米国政府専用機では無い。同国大統領専用機であり在任期間中の私用が(公用に加え)認められている。 -->
 
 
 
ドイツ政府も元[[ドイツ民主共和国|東ドイツ]]の[[インターフルーク]]所有機であった[[エアバスA310|エアバスA310-300]]を政府要人専用機として保有しており、シュレーダーは同機でカルガリー入りしている。A310-300にはカナダ太平洋岸や[[アラスカ州|アラスカ]]などで1回の給油を行えば[[東京国際空港|羽田]]まで難なく飛ぶだけの[[航続距離]]があるはずだが、<!--[[ETOPS]]180の認定は受けているものの双発機で飛びなれない洋上を長距離飛行することに不安があったのか、次大会のホスト国でもあるドイツが決勝進出したことでよほど気が急いたのか、-->この相乗りの背景にある詳細な事情が説明されることは一切なかった。
 
{{-}}
 
 
 
<!-- 出典がないためコメントアウト
 
=== 弱ったリクエスト ===
 
{{出典の明記|section=1|date=2011年2月}}
 
政府専用機の記念すべき「乗客」第一号となったのは1993年2月14日に訪米した[[渡辺美智雄]]外相兼副総理だった。ところが渡辺は風邪で体調を崩しており、腹の具合が悪かった。やがて機が巡航高度に達し、客室乗務担当の山川二等空曹が「大臣、お食事はいかがなさいますか」と訊ねると、もとより食欲などない渡辺の答えは「すり下ろしたリンゴと、[[卵酒]]をくれないか」と答えた。和食にするか洋食にするかを訊ねたつもりだった山川は、この思いがけないリクエストに弱ってしまった。幸いリンゴは積んでいたものの、[[おろし金]]などあるはずもなく、また訪問先での検疫事情が詳らかでなかった当時は生卵を積んでいなかったのである。しかし副総理からのリクエスト、それも体調の良くない者のたっての願いに、「あいにく……」とは言えない。そこで山川は一計を案じ、リンゴを包丁でスライスしてから丹念に叩いてペースト状にし、また和食の朝食用に積んであった[[温泉卵]]の黄身を解きほぐしてこれでなんとか卵酒を仕立て上げた。
 
 
 
その甲斐あってか渡辺の体調はワシントンに着く頃には大分回復し、[[ホワイトハウス]]における[[ビル・クリントン|クリントン]]大統領・[[ウォーレン・クリストファー|クリストファー]][[アメリカ合衆国国務長官|国務長官]]との会談を無事にこなすことができた。渡辺は日本の市場開放を再三にわたって強く求められてもなんら具体的な約束を与えず、発足したばかりのクリントン新政権に対する「とりあえずのご挨拶」という訪米目的は無事達成された。
 
 
 
山川は帰路、渡辺夫人から今度は思いがけない品を受け取っている。おろし金である。夫の我侭に何の問題もないかのように対応してくれた山川に対する感謝の意を込めて、夫人が大使館を通じてわざわざ調達した心づくしのプレゼントだった。-->
 
 
 
=== 副務機の活用 ===
 
前述の通り政府専用機は、通常は任務機と副務機の2機体制で運航している。基本的に副務機は任務機に何らかの問題が発生した場合に任務機に替わり乗客を輸送するためのものであり、通常乗客が搭乗した状態では運航されないが、ときには特殊な事情で副務機に乗客を搭乗させるケースがある。
 
 
 
[[2004年]]5月には、[[北朝鮮による日本人拉致問題]]に関連して、[[2002年]]に日本に帰国していた[[蓮池薫]]夫妻・地村保志夫妻の子供5人を日本に帰国させる際に、副務機を使用した事例がある<ref>[http://www.asahi.com/special/abductees/TKY200405220230.html 拉致被害者の家族5人帰国、曽我さんは第三国で再会案] - asahi.com</ref>。
 
 
 
[[2009年]]4月には、[[タイ王国|タイ]]中部の[[パタヤ]]で開かれる予定だった[[東南アジア諸国連合]](ASEAN)の会議に出席するため、[[麻生太郎]]首相が政府専用機でパタヤ入りしたが、反政府派による暴動のため会議が中止されたのみならず、タイ政府による非常事態宣言が出され安全確保に問題が生じる事態となったため、当初民間機で帰国する予定だった日本政府の関係職員らを急遽帰国させるために副務機が活用された。
 
 
 
2012年からの[[第2次安倍内閣]]の地球儀外交においては、経済ミッションのために、[[日本経済団体連合会]]会長を始めとする、企業関係者の移動に副務機が活用された<ref>[http://biz-journal.jp/2014/09/post_5881.html 丸紅、海外贈賄事件でODA排除措置中に、安倍“経済”外遊に同行 巨額罰金支払いも] ビジネスジャーナル 2014-9-1</ref>。
 
 
 
2016年9月には任務機が飛行中に[[バードストライク]]に見舞われ、キューバから日本へ帰国中の安倍晋三首相がサンフランシスコにて副務機に乗り替えて帰国した<ref>[http://www.asahi.com/articles/ASJ9S73N6J9SUTFK00F.html 政府専用機に鳥が衝突 安倍首相、予備機で帰国] 朝日新聞2016年9月24日22時02分</ref>。
 
 
 
== 注釈 ==
 
<references group="脚注"/>
 
 
 
== 出典 ==
 
{{reflist|2}}
 
* [http://www1.ntv.co.jp/zero/weekly-blog/2007/06/ 6月18日イチメン特別取材 政府専用機のヒミツ] - [[NEWS ZERO]] (日本テレビ、2007年6月18日付)
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[お召し列車]]
 
* [[内閣総理大臣専用車]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{Commonscat|Dedicated Japanese government aircraft}}
 
* [http://www.kantei.go.jp/ 総理官邸]
 
** [http://www.kantei.go.jp/jp/vt2/main/07/photo-senyoki01.html 政府専用機]
 
* [http://www.mod.go.jp/asdf/ 航空自衛隊]
 
** [http://www.mod.go.jp/asdf/equipment/yusouki/B-747/ B-747](主要装備)
 
** [http://www.mod.go.jp/asdf/sag/ 特別輸送航空隊ホームページ]
 
* [http://tsubotch.cocolog-nifty.com/skymonologue/2005/06/__2534.html 政府専用機に乗りました] - SKY MONOLOGUE([[坪田敦史]]によるブログ、2005年6月3日付) ※機内画像あり。
 
  
 +
{{テンプレート:20180815sk}}
 
{{デフォルトソート:にほんこくせいふせんようき}}
 
{{デフォルトソート:にほんこくせいふせんようき}}
 
[[Category:航空自衛隊の装備品]]
 
[[Category:航空自衛隊の装備品]]
 
[[Category:政府専用機]]
 
[[Category:政府専用機]]
[[Category:ボーイング747の軍用派生型機]]
 
<!--
 
[[Category:ボーイング777]]
 
次期政府専用機が就航するまでコメントアウト。
 
-->
 

2018/8/27/ (月) 23:08時点における最新版

日本国政府専用機(にほんこくせいふせんようき)

日本国政府が所有・運航を行い、政府要人の輸送、在外の自国民保護などのために使用される航空機政府専用機)。

防衛省航空自衛隊が管理および運用を行なっている。



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