指定金融機関

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指定金融機関(していきんゆうきかん)とは、日本において地方公共団体が、公金の収納、支払の事務を取り扱わせるために指定する金融機関。議会の議決を経て1つの金融機関が指定される(地方自治法第235条、同施行令第168条)。

概要

都道府県は指定金融機関を必ず指定しなければならず(施行令第168条第1項)、市町村特別区を含む)は必要に応じて指定することができる(施行令第168条第2項)。指定金融機関は銀行であることが多いが、地方の市町村では古くから当地に存在する信用金庫農業協同組合(信連ないしは地域農協の信用事業部門。いわゆるJAバンク)を指定することもある。1つの地方公共団体が指定する指定金融機関は1つに限られるが、複数の金融機関を1年ないし2年交替で輪番指定する場合がある。

指定金融機関となった金融機関は、別途、地方公共団体の長が指定する金融機関を指定代理金融機関に指名することができる(施行令第168条第3項)。さらに、当該地方公共団体に支店を持つ金融機関(ゆうちょ銀行および代理店業務を行う郵便局の貯金窓口含む)などを収納代理金融機関として収納業務のみを行わせることができる(施行令第168条第4項)。一方、指定金融機関を指定しなかった市町村は、収納事務取扱金融機関を指定することで住民サービスを低下させないようにするケースが多い(施行令第168条第5項)。

殆どの場合、指定金融機関は公金の取り纏め口座を置く営業店(「県庁前支店」など(都道府県)庁の語句が含まれる支店、または近隣本支店の出張所)を都道府県庁舎周辺に設置している。 市区町村では、出納業務のみ扱う周辺店舗を母店とする出納派出所と店舗外ATMのみ設置するというパターンが多い。

地方独立行政法人(および、国立大学法人公立大学法人)の出納業務を手掛ける金融機関を「指定金融機関」と称するが、本稿で説明する指定金融機関とは法的根拠は異なる。

手数料問題

かつては、地方公共団体の指定金融機関になることは、地域における信用力を補完し、またコストをかけずとも、巨額の公金を預金として確保できることなどから、各金融機関とも指定獲得競争を展開した。岐阜県のように指定金融機関を巡って地域銀行間が競争をする事例もある。また、福岡県では麻生渡知事が指定金融機関である福岡銀行から政治献金を受けて問題になったことがある。

しかし、1990年代以降の金融自由化の流れの中、公金の預金は複数の金融機関による金利競争が常態化し、指定金融機関業務はかつてほどの利益的な旨みをもたらさず、収納業務等でコストばかり掛かるとして、各銀行で業務見直しが進められている。

都道府県の9割・全地方公共団体の6割にて指定金融機関を受託している地方銀行は、収納代行・出納事務で全64行合計で年間1000億円の支出を余儀なくされており完全な赤字である。これは、地方公共団体が金融機関に支払う各種の手数料が、無料か安価なものになっていることに原因がある。

例えば、指定金融機関が納付書や口座振替による収納を行っても、地方公共団体が支払う手数料は無料か1枚(件)当たり10円以下というのが一般的で、収納手数料部分だけを見れば明らかに採算割れの状態にある。また、この手数料額は、郵便局(民営化によりゆうちょ銀行)、コンビニエンスストア収納やPay-easyと比べても著しく安価で、不均衡も生じている。

このため、全国地方銀行協会は、地方公共団体5団体に対して手数料等の見直し(値上げ)を毎年度要求している。

もっとも、収納業務(基本的に指定金融機関は地方公共団体の庁舎に行員等を派遣しなければならない)等で、地方公共団体より手数料を徴求する動きはあるものの、実際に銀行が都道府県及び政令指定都市レベルの指定金融機関返上を行った事例はない(平成の大合併において、旧市町村の指定金融機関がその獲得に動かず、新設合併の結果、設定されずに事実上返上となった事例は多々ある)。

ゆうちょ銀行と指定金融機関(収納代理金融機関)との手数料額の不均衡も、ゆうちょ銀行側の値下げ(2008年4月から)で決着したため、手数料額の絶対的な水準を巡る問題は今後に持ち越されることとなった。

指定金融機関の一覧

都道府県

県名 銀行名
北海道 北洋銀行
北海道拓殖銀行から移行)
青森県 青森銀行
岩手県 岩手銀行
宮城県 七十七銀行
秋田県 秋田銀行
山形県 山形銀行
福島県 東邦銀行
茨城県 常陽銀行
栃木県 足利銀行
群馬県 群馬銀行
埼玉県 埼玉りそな銀行
(旧・埼玉銀行あさひ銀行から移行[1]
千葉県 千葉銀行
東京都 みずほ銀行
(旧・富士銀行
神奈川県 横浜銀行
新潟県 第四銀行
富山県 北陸銀行
石川県 北國銀行
福井県 福井銀行
山梨県 山梨中央銀行
長野県 八十二銀行
岐阜県 大垣共立銀行[2]
静岡県 静岡銀行
愛知県 三菱UFJ銀行
(旧・東海銀行
三重県 百五銀行
滋賀県 滋賀銀行
京都府 京都銀行
大阪府 りそな銀行
(旧・大和銀行
兵庫県 三井住友銀行
(旧・神戸銀行太陽神戸銀行さくら銀行
奈良県 南都銀行
和歌山県 紀陽銀行
鳥取県 山陰合同銀行
島根県
岡山県 中国銀行
広島県 広島銀行
山口県 山口銀行
徳島県 阿波銀行
香川県 百十四銀行
愛媛県 伊予銀行
高知県 四国銀行
福岡県 福岡銀行
佐賀県 佐賀銀行
長崎県 十八銀行
親和銀行
熊本県 肥後銀行
大分県 大分銀行
宮崎県 宮崎銀行
鹿児島県 鹿児島銀行
沖縄県 沖縄銀行
琉球銀行
  • 長崎県・沖縄県は2行による輪番制である。輪番に当たらない年は、指定代理金融機関となる。

政令指定都市

市名 銀行名
札幌市 北洋銀行
(北海道拓殖銀行から移行)
仙台市 七十七銀行
さいたま市 埼玉りそな銀行
(旧・埼玉銀行→あさひ銀行から移行)
千葉市 千葉銀行
横浜市 横浜銀行
川崎市
相模原市
新潟市 第四銀行
静岡市 静岡銀行
西暦の奇数年度)
清水銀行
(西暦の偶数年度)
浜松市 静岡銀行
名古屋市 三菱UFJ銀行
(旧・東海銀行)
京都市 三菱UFJ銀行
(旧・三和銀行
大阪市 みずほ銀行
(旧・富士銀行)
三菱UFJ銀行
(旧・三和銀行)
三井住友銀行
(旧・住友銀行
りそな銀行
(旧・大和銀行)
堺市 三菱UFJ銀行
(旧・三和銀行)
神戸市 三井住友銀行
(旧・神戸銀行→太陽神戸銀行→さくら銀行)
岡山市 中国銀行
広島市 広島銀行
北九州市[3] みずほ銀行
(旧・富士銀行、2013年度までの西暦の奇数年度、2016年度)
福岡銀行
2014年度までの西暦の偶数年度、2018年度)
西日本シティ銀行
2015年度)
北九州銀行
2017年度)
福岡市 福岡銀行
熊本市 肥後銀行
  • 静岡市は2行、大阪市・北九州市は4行による輪番制である。輪番に当たらない年は、指定代理金融機関となる。

関連項目

註釈

  1. あさひ銀行大和銀行に吸収合併(同時に、大和銀行がりそな銀行に改称)された際に、あさひ銀行の埼玉県店舗を分割の上、継承させたことで指定を受けた。
  2. 2014年度以前は十六銀行が指定されていた。
  3. 2015年度から2018年度については、4行による輪番に変更され、2019年度以降は、今後検討されるとしている。


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