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{{参照方法|date=2017年8月28日 (月) 05:01 (UTC)}}
 
'''延喜式'''(えんぎしき)は、[[平安時代]]中期に編纂された[[格式]]([[律令]]の施行細則)で、[[三代格式]]の一つである。
 
  
== 概要 ==
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'''延喜式'''(えんぎしき)
三代格式のうちほぼ完全な形で残っているのは延喜式だけであり、細かな事柄まで規定されているため、[[古代]]史[[研究]]のうえで重視されている。
 
  
== 成立 ==
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平安時代の法令集。 50巻。三代式の一つ。延喜5 (905) 年,左大臣[[藤原忠平]]らが醍醐天皇の命令により編集。延長5 (927) 年完成。『弘仁式』『貞観式』をはじめ,古代政府の根本法令を補う形でその後発布された施行細則を集大成したもの。実際に頒布されたのは,40年後の康保4 (967) 年。これらは当時の法令の編集が,行政上の必要からなされるよりも,その時代の文化的事業として編集され,一つの記念事業としての意味が強かったからであろうと思われる。内容は律令制社会の全般に及んでいる。たとえば巻9, 10の神名式は,一名『延喜神名帳』ともいわれ,全国の神社が国郡ごとに連記されているので,当時の地方行政区画を知ることもできる。また,巻 23の民部式ほかからは当時の各国の特産物を,巻 26の主税式からは諸国の国力を相対的に知ることができる。巻 37の典薬式には,諸国に産出する薬草が詳記されていて便利である。『延喜式』は,写本として平安時代のものが現存していて,物名,神名などにかたかなの和訓がつけられており,古代国語史料としても欠かすことはできない。『弘仁式』『貞観式』はごく一部分しか残っていないが,『延喜式』は全巻が散逸することなく伝わっているため,古代政治を把握するうえで貴重な史料となっている。『[[国史大系]]』所収。 ([[延喜格]] , [[弘仁格式]] , [[貞観格式]] )  
[[905年]]([[延喜]]5年)、[[醍醐天皇]]の命により[[藤原時平]]らが[[編纂]]を始め、時平の死後は[[藤原忠平]]が編纂に当たった。『[[弘仁式]]』『[[貞観式]]』とその後の式を取捨[[編集]]し、[[927年]]([[延長 (元号)|延長]]5年)に完成した<ref name="yougo" >{{Cite book|和書|author=日本史用語研究会|authorlink=|title=必携日本史用語|origdate=2009-2-2|accessdate=|edition=四訂版|publisher=[[実教出版]]|series=|isbn=9784407316599}}</ref>。その後改訂を重ね、[[967年]]([[康保]]4年)より施行された。
 
  
== 構成 ==
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{{テンプレート:20180815sk}}
全50巻、約3300条からなる。律令[[官制]]に従い、以下のような[[構成]]。
 
;巻1 - 巻10
 
:[[神祇官]]関係の[[格式|式]]。この部分を神祇式という。巻ごとによる記載内容の趣旨は以下となる。
 
*巻1と巻2 - 定例祭 (通称:四時祭、四時祭式など)
 
*巻3 - [[臨時祭]] (通称:四角祭・四角祭式、四境祭・四境祭式、四角四堺祭など)
 
*巻4 - [[伊勢神宮|大神宮]]
 
*巻5 - [[斎宮]]
 
*巻6 - [[斎院]]
 
*巻7 - [[踐祚]][[大嘗祭]]
 
*巻8 - [[祝詞]]
 
*巻9と巻10 - 神名帳 (通称:[[延喜式神名帳]])
 
;巻11 - 巻40
 
:[[太政官]][[日本の官制#八省|八省]]関係の式
 
;巻41 - 巻49
 
:その他の[[官司]]関係の式
 
;巻50
 
:雑式
 
 
 
== 内容 ==
 
=== 神祇官関係の式 ===
 
巻8に[[祝詞]]を掲載。巻9・10は[[延喜式神名帳|神名帳]]([[神社]]の一覧表)となっていて、[[祈年祭]]で[[奉幣]]を受ける2861社の[[神社]]が記載されている。延喜式神名帳に[[記載]]があるのは当時[[朝廷]]から重要視された神社であり、一般に[[式内社]]と言って[[社格]]の一つとされたが、現在では消滅したり不明となっている神社も多い。
 
 
 
=== 太政官八省関係の式 ===
 
巻21は[[治部省]]関係であり、[[天皇陵|山陵]]について記する[[諸陵式]]が含まれる。
 
 
 
巻22の[[民部省]]上の中に、「凡諸国部内郡里等名 並用二字 必取嘉名」とあり、全国の[[地名]]が変更された。
 
 
 
巻23は[[民部省]]下である。
 
 
 
巻24の[[主計寮]]上には、全国への[[庸]]、[[租庸調|調]]、[[中男]]作物の割り当て等が書かれており、当時の全国の[[農産物]]、[[魚介類|漁獲物]]、[[特産品|特産物]]を伝える。
 
 
 
巻25は[[主計寮]]下である。
 
 
 
巻28は[[兵部省]]関連である。その中の[[延喜式兵部省諸国駅伝馬条|諸国駅伝馬条]]には[[五畿七道]]の402ヶ所の[[宿場|宿駅]]の名称と備えるべき[[駅馬]]や[[伝馬]]の数が記載されている{{sfn|武部健一|2015|p=46}}。
 
 
 
== 写本 ==
 
『延喜式』[[原本]]は現存せず、[[室町時代|室町]]・[[戦国時代 (日本)|戦国]]期の古[[写本]]もほとんど散逸した。最古の写本には[[九条家]]伝来品の[[東京国立博物館]]所蔵本([[平安時代]]、[[10世紀|10]]・[[11世紀]])や、[[大阪府]][[河内長野市]]天野町の[[金剛寺]]所蔵の三巻(巻第十二残巻、巻十四、巻十六、平安時代、12世紀前半)がある。
 
 
 
== 脚注 ==
 
<references />
 
 
 
== 参考文献 ==
 
* {{Cite book|和書|author=武部健一 |title=道路の日本史 |edition= |date=2015-05-25 |publisher=[[中央公論新社]] |series=中公新書 |isbn=978-4-12-102321-6 |ref=harv}}
 
* {{Cite book|和書|author=日本史用語研究会|authorlink=|title=必携日本史用語|origdate=2009-2-2|accessdate=|edition=四訂版|publisher=[[実教出版]]|series=|isbn=9784407316599}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
*[[延喜格]]
 
*[[三代格式]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
*[http://www.kogakkan-u.ac.jp/http/engishiki/index.php 延喜式検索システム]
 
 
 
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2018/12/26/ (水) 09:15時点における最新版

延喜式(えんぎしき)

平安時代の法令集。 50巻。三代式の一つ。延喜5 (905) 年,左大臣藤原忠平らが醍醐天皇の命令により編集。延長5 (927) 年完成。『弘仁式』『貞観式』をはじめ,古代政府の根本法令を補う形でその後発布された施行細則を集大成したもの。実際に頒布されたのは,40年後の康保4 (967) 年。これらは当時の法令の編集が,行政上の必要からなされるよりも,その時代の文化的事業として編集され,一つの記念事業としての意味が強かったからであろうと思われる。内容は律令制社会の全般に及んでいる。たとえば巻9, 10の神名式は,一名『延喜神名帳』ともいわれ,全国の神社が国郡ごとに連記されているので,当時の地方行政区画を知ることもできる。また,巻 23の民部式ほかからは当時の各国の特産物を,巻 26の主税式からは諸国の国力を相対的に知ることができる。巻 37の典薬式には,諸国に産出する薬草が詳記されていて便利である。『延喜式』は,写本として平安時代のものが現存していて,物名,神名などにかたかなの和訓がつけられており,古代国語史料としても欠かすことはできない。『弘仁式』『貞観式』はごく一部分しか残っていないが,『延喜式』は全巻が散逸することなく伝わっているため,古代政治を把握するうえで貴重な史料となっている。『国史大系』所収。 (延喜格 , 弘仁格式 , 貞観格式 )  



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