宮川 (三重県)
宮川(みやがわ)は、三重県南部を流れる一級河川。延長91kmは、三重県のみを流れる河川としては最も長い。 国土交通省の一級河川水質調査(BODを基準としている。2012年に順位付け廃止)で、過去11回(2006年からは6年連続)1位となっており、清流で知られる[1]。神宮式年遷宮のお白石持行事に使用する石は、この宮川の河原から採集する。
地理
三重県多気郡大台町と奈良県との県境の大台ヶ原山に源を発する[2]。上流域は近畿の秘境とも日本三大渓谷の一つとも謳われる大杉谷である。大内山川などの支流と合流しながら北東に流れ、伊勢市で伊勢湾に注ぐ。流域には多目的ダムの宮川ダムと三瀬谷ダムの他に11のダムがある。
上中流域には河岸段丘が発達しており、特に大台町神瀬付近から対岸方向を観察すると分かりやすい[3]。この段丘面を利用した伊勢茶の栽培が盛んである[4]。
河口域にはデルタ地帯を形成しており、最も大きい三角州は人の住む伊勢市大湊町となっている。
治水
世界的にも多雨で知られる大杉谷を源流とする宮川は毎年のように氾濫し、大水害をたびたび引き起こした。宮川下流周辺に伊勢神宮があるため、神宮を重視した豊臣秀吉と後の江戸幕府の山田奉行所により治水工事が行なわれ、洪水の被害は激減した。しかし増水に耐えられる橋が下流域に架けられたのは明治期になってからである。江戸時代には神宮のある右岸を偏重する治水工事が行なわれたため、左岸の洪水被害は拡大したという。
1957年に宮川ダム、1966年に三瀬谷ダムが作られてからは宮川下流域で大規模な水害が発生することは永らくなかったが、2004年の台風21号による増水で支流の横輪川が氾濫するなどで、伊勢市において床上浸水203棟、床下浸水97棟の被害となった。この台風21号は上流の旧宮川村においては、土石流などで死者6名他の被害者を出す大災害を引き起こし、大台町との合併による村の消滅を決定的にした。
自然
- 豊富な魚種
- 宮川流域には三重県のレッドデータブックに記載された種のうち7種をはじめとする90種以上の魚類が確認されている。流域には3つの漁業組合があり、アユ・アメゴ・ウナギなどに漁業権の対象となっている。
主な支流
- 勢田川(せたがわ)
- 伊勢市の中心部を流れる勢田川は河口で五十鈴川と繋がっているが、宮川とは三角州の大湊で接しているに過ぎない。しかし治水目的の勢田川の改修が伊勢市には財政上困難であったため、一級河川に指定する目的で宮川水系であるとされ、河口に水門を設けるなどの大改修が昭和50年以降に行なわれた。
- 宮川右岸の伊勢市内の生活排水の大部分は意図的に勢田川に流されている。勢田川は大正時代までは人が泳げるほどの綺麗な川であったというが、人口が増加したことと下水道整備の遅れもあって徐々に汚染が進み、1980年ころには三重県でもっとも汚い川となった。観光地の中心を流れる川がこのような状況では問題であるため、2003年に汚泥の浚渫(しゅんせつ)を行なった他、宮川の水を定期的に流すなどの方法で水質改善を行っている。多くの伊勢市民に待ち望まれていた下水道も2006年より順次供用される。
- 大内山川(おおうちやまがわ)
- 宮川最大の支流。漁業協同組合があり、鮎が獲れる。
- 注連指川(しめさすがわ)
- 一之瀬川(いちのせがわ)
- 横輪川(よこわがわ)
主な橋梁
- 大台町
- 新大杉橋、大杉谷橋、宮川大橋
- 大台町・大紀町境界
- 大台町・度会町境界
- 田口大橋
- 度会町
- 中川大橋、鮠川大橋、久具都比売橋、内城田大橋
- 伊勢市・度会町境界
- 南伊勢大橋:伊勢市と度会町を往来する際、利用頻度の高い橋。
- 伊勢市・玉城町境界
- 伊勢市
- 度会橋:三重県道37号鳥羽松阪線(旧国道23号線)にある、伊勢を代表する橋。4車線
- 宮川橋:度会橋のそばにある橋。バス路線になっている。
- 豊浜大橋:2車線、歩道なし。
- 宮川大橋:国道23号(南勢バイパス)にある。4車線。なお同名の橋が大台町にも存在する。当河川で最も河口に近い橋。
流域の自治体
三重県
流域の公園
脚注
参考文献
- 大喜多甫文(1985)"宮川上・中流の風土と産業"三重地理学会 編『三重県の地理散歩』(荘人社、昭和60年1月20日、193p. ISBN 4-915597-02-4 ):102-106.
外部リンク
- 宮川(百科事典 日本の川) - 国土交通省中部地方整備局 中部の河川
- 神々が宿る清流禊ぎの川、宮川 - 国土交通省