基本的人権

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human rights

人が生れながらにして,単に人間であるということに基づいて享有する普遍的権利をいう。 人権思想は自然法思想に発し,まず,

(1) 自由権的基本権 (思想,良心,学問,表現の自由など) を確立し,
(2) 政治的基本権 (選挙権,請願権など) を保障し,拡充し,次いで
(3) 社会経済的基本権 (生存権的勤労権,団結権など) という考え方が生じた。

今日この3種の基本権は各国の基本法 (憲法) にほとんど取入れられるにいたっている。

しかし 20世紀後半に入って戦争公害,無知などの脅威に対応して平和権,環境権,情報権 (知る権利) など「新しい人権」が主張されている。成文化されたのはイギリスの 1215年のマグナ・カルタにまでさかのぼるといわれるが,生れながらにして当然に人間としての権利を有するという天賦人権思想に立って国法上初めて確認章典したのは,1776年6月 12日のバージニア権利章典である。この宣言や 89年のフランス人権宣言に代表される近代的人権概念は,思想的にはいわゆる個人主義を基盤とするもので,日本国憲法が「個人の尊重」を力説する (13条) のは,苦い全体主義の反省の意味もこめて人権概念の原点を再確認するものである。

この人権概念によれば,自由権を中心とする前国家的,自然権的性格の権利のみが人権の名に値するということになるが,実際には国政への参加権 (参政権) および社会権的基本権も,人権と観念され,さらには実定憲法の保障する諸権利一般と同義に用いられることも少くない。人権は,永久不可侵性をその本質とするが,共同の社会生活を前提に成立するものであるところからくる制約,すなわち人権相互の調整という観点からする制約を免れない。

日本国憲法が「公共の福祉」に言及する (12,13条) のも,このような趣旨のものと解される。人権は本来対国家権力との関係で成立したものであるが,各種大規模組織,結社の存在する現代社会にあってはそれだけでは十分ではないとして,なんらかの形で人権保障の趣旨を私人相互間にも及ぼそうとする考え方が顕著になってきている (アメリカの「私的統治の理論」やドイツの「第三者効力論」は,この点にかかわり,日本の学説,判例にも影響を及ぼしている) 。