国道317号
国道317号(こくどう317ごう)は、愛媛県松山市から同県今治市を経由して広島県尾道市に至る一般国道である。
Contents
概要
四国側の松山市から瀬戸内海の島々を渡り、本州側の尾道市へ達する路線である。海上区間を含む一般道路の現道のほかに、本州四国連絡道路3路線のうちの1路線、尾道・今治ルートとして整備された並行する自動車専用道路である西瀬戸自動車道(しまなみ海道)は、国道317号の有料バイパス扱いである[1]。来島海峡に架かる来島海峡大橋は、世界初の3連吊り橋として知られる[2]。
路線データ
一般国道の路線を指定する政令[3][注釈 1]に基づく起終点および経過地は次のとおり。
- 起点:松山市(二番町4丁目7番2[4]=国道11号、国道33号、国道56号終点、国道379号、国道440号、国道494号起点)
- 終点:尾道市(尾道大橋入口交差点=国道2号交点)
- 重要な経過地:今治市、愛媛県越智郡吉海町[注釈 2]、同郡宮窪町[注釈 2]、同郡伯方町[注釈 2]、同郡上浦町[注釈 2]、広島県豊田郡瀬戸田町[注釈 3]、因島市[注釈 3]、同県御調郡向島町[注釈 4]
- 総延長 : 189.5 km(広島県 62.9 km、愛媛県 126.6 km)重用延長、未供用延長(海上区間)を含む。[5][注釈 5]
- 重用延長 : 0.1 km(広島県 0.0 km、愛媛県 0.1 km)[5][注釈 5]
- 未供用延長 : 17.0 km(広島県 1.9 km、愛媛県 15.1 km)[5][注釈 5]
- 実延長 : 172.5 km(広島県 61.1 km、愛媛県 111.4 km)[5][注釈 5]
- 指定区間[4]
歴史
- 1970年(昭和45年)4月1日
- 一般国道317号(今治市 - 尾道市)として指定施行。
- 1982年(昭和57年)4月1日
- 起点側の今治市 - 松山市の区間を編入し、一般国道317号(松山市 - 尾道市)として指定施行[6]。この時点では未開通区間が存在した。
- 1996年(平成8年)
- 水ケ峠トンネル開通。これにより全通。
- 2002年度(平成14年度)
- 尾道市因島中庄町のバイパス工事事業を開始[7]。
- 2016年(平成28年)3月
- 尾道市因島中庄町のバイパス工事事業が本格化[7]。
- 2019年度(平成31年度)
- 尾道市因島中庄町のバイパス工事事業が着工予定[7]。
路線状況
起点の松山市役所前には、四角柱型の国道7路線の起終点も兼ねた起点標が建つ[8]。四国側にある今治市の山間部分は、ブラインドカーブも多くうねった片側一車線とは別に緩いカーブの片側一車線の新線が完成し、安全性が向上した。同様の改良手法は、国道56号や国道378号でも採られている。
なお、旧国道11号の一部となっている。
バイパス
- 藤野バイパス
- 松山市王谷町-藤野町間延長600mのバイパスで交通事故減少と時間短縮を目的に、平成14年から工事を着手し、2006(平成18)年11月22日に開通した[9]。
- 今治玉川バイパス
今治市玉川町龍岡下から鈍川温泉入口交差点(愛媛県道154号東予玉川線との交点)間の山間部では2005年まで、急なカーブなどの線形不良区間が続いていたが、2002年から改良工事に着手し2005年に完成した。現在その区間の松山方面には登坂車線が設けられている。また松山から今治方面に向かう際、直線の急な下り坂となっているが、下り坂直後に信号があるため注意が必要である。
重複区間
- 国道11号:愛媛県松山市二番町(起点)- 愛媛県松山市勝山町(勝山交差点)
海上区間
一般道路部の海上区間は今治港 - 下田水港や井口港 - 垂水港など7区間あるが、西瀬戸自動車道(しまなみ海道)の開通によって、海上区間は事実上解消されている[10]。国道30号の瀬戸大橋ルートとは異なり、しまなみ海道は全区間を徒歩で歩くこともできることが道路の特徴であるが、国道317号としての機能は自動車専用部のみで、歩行者用道路部は県道の指定となっている[10]。
- 愛媛県今治市(今治港) - 同(下田水港)
- 愛媛県今治市宮窪町宮窪 - 同市伯方町木浦
- 愛媛県今治市伯方町伊方 - 同市上浦町瀬戸
- 愛媛県今治市(井口港) - 広島県尾道市(垂水港)
- 広島県尾道市因島洲江町 - 同市因島田熊町
- 広島県尾道市因島大浜町 - 同市向島町
- 広島県尾道市向東町 - 同市(尾道港)
道路施設
- 主なトンネル
- 湧ヶ淵トンネル(延長256m、幅不明、平成8年開通)
- 雄嶽隧道(延長99m、幅不明、昭和44年開通)
- 日浦トンネル(藤野バイパスの一部、延長266m、幅不明、平成18年開通)
- 水ヶ峠トンネル(延長2804m、幅9.3m、平成8年度完成)
- 青影トンネル
- 主な橋
- (三連吊り橋、第三は中央支間長1030m、第二は中央支間長1020m)
- 道の駅
- よしうみいきいき館(今治市吉海町名)
- 伯方S・Cパーク(今治市伯方町大字叶浦)
- 今治市多々羅しまなみ公園(今治市上浦町大字井口)
交通量
24時間交通量(台) 道路交通センサス
観測地点 | 平成22(2010)年度 |
---|---|
尾道市瀬戸田町萩 | 1635 |
尾道市因島洲江町江尻 | 2729 |
尾道市因島中庄町恵美須崎 | 14322 |
尾道市向島町富浜 | 8026 |
尾道市向東町三ツ石 | 23374 |
(出典:「平成22年度道路交通センサス」(国土交通省ホームページ)より一部データを抜粋して作成)
地理
四国・松山市には道後温泉があり、山を越えて瀬戸内海へ出ると国内有数のタオルの生産地で知られる今治市の市街地である[11]。今治から瀬戸内海に浮かぶ馬島、大島、見近島、伯方島、大三島、生口島、因島、向島と巡り渡って本州の尾道市を走る国道2号で終わり、国道路線の中でも最も多くの島を渡る国道である[12]。独特の風情ある風景の美しさではよく知られる瀬戸内海とその島々は、瀬戸内海国立公園内の観光地でもあり、島ごとに温泉や道の駅なども点在する[11]。
通過する自治体
交差する道路
脚注
注釈
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- ↑ 佐藤健太郎 2014, p. 125.
- ↑ 佐藤健太郎 2014, p. 33.
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令(昭和40年3月29日政令第58号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2012閲覧.
- ↑ 4.0 4.1 “一般国道の指定区間を指定する政令(昭和33年6月2日政令第164号)”. 法令データ提供システム. 総務省行政管理局. . 2012閲覧.
- ↑ 5.0 5.1 5.2 5.3 5.4 5.5 5.6 5.7 “表26 一般国道の路線別、都道府県別道路現況 (PDF)”. 道路統計年報2016. 国土交通省道路局. p. 17. . 2017閲覧.
- ↑ “一般国道の路線を指定する政令の一部を改正する政令(昭和56年4月30日政令第153号)”. 法庫. . 2012閲覧.
- ↑ 7.0 7.1 7.2 “因島のバイパス工事本格化”. 中国新聞. . 2016閲覧.
- ↑ 佐藤健太郎 2014, pp. 125-126.
- ↑ “平成18年11月22日、国道317号の藤野バイパス(日浦トンネル)が開通しました”. 愛媛県. . 2015閲覧.
- ↑ 10.0 10.1 松波成行 2008, p. 87.
- ↑ 11.0 11.1 佐藤健太郎, pp. 126-127.
- ↑ 佐藤健太郎, p. 156.
参考文献
- 佐藤健太郎 『ふしぎな国道』 講談社〈講談社現代新書〉、2014-10-20。ISBN 978-4-06-288282-8。
- 松波成行「国道317号」、『酷道をゆく』、イカロス出版、2008年3月20日、 87頁、 ISBN 978-4-86320-025-8。
関連項目
外部リンク
- 国土交通省四国地方整備局
- 松山河川国道事務所:松山市の指定区間(国道11号重用区間)を管理
- 愛媛県
- 愛媛県中予地方局建設部道路第二課:松山市の指定区間外を管理。
- 愛媛県東予地方局今治土木事務所:今治市の指定区間外を管理。
- 広島県
- 東部建設事務所三原支所:尾道市の指定区間外を管理。
- 本州四国連絡高速道路
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