原子力潜水艦

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原子力潜水艦(げんしりょくせんすいかん)

核推進潜水艦とも呼ばれる。原子動力機関を備えた潜水艦。一般に軽水炉を使用し,炉内で発生した熱によって加熱された1次冷却水は熱交換器で2次冷却水を蒸気とし,タービンを回して推進器を駆動する。従来型潜水艦は,水上ではディーゼルエンジン,水中では電池を動力としていたので,推進機関関係に大きな重量容積を要したばかりでなく,電池の容量の制限のため水中行動力はきわめて劣弱であった (たとえば 20knで 30分,3knで 48時間程度の航続時間) 。原子力機関は空気を必要とせず,水上水中一元機関で,水中でも大馬力を発生しうるので,高速でも大きな抵抗となる造波抵抗を生じない水中で高速の発揮が可能となる。また核燃料は戦略的な意味からは,ほとんど無限の航続力を提供する (たとえば水中 30knで数万時間の航続時間をもっているが,人間の耐久力上,一般に約2ヵ月連続潜航を限度としている) 。原子力潜水艦は水上になんらの目標を暴露することなく,隠密性と大きな航続力とを同時に併有することができるようになった。この特性を利用して,弾道ミサイルを搭載する原子力潜水艦は非脆弱な戦略ミサイル体系となっており,また魚雷および巡航ミサイル装備の原子力潜水艦は,単独で大きな戦果をあげる対艦船攻撃体系となっている。アメリカ,旧ソ連をはじめイギリス,フランスなどで数多く造られ,中国も数隻保有している。最初の原子力潜水艦は1955年1月に就航したアメリカの『ノーチラス』。中距離弾道ミサイルを搭載するポセイドン潜水艦,長距離弾道ミサイル「トライデント」を搭載し 80年代に就航したトライデント潜水艦と,対原子力潜水艦および水上艦艇攻撃用の攻撃 (戦術) 型潜水艦とがある。ロシア海軍には水中排水量2万 6500tという世界最大のタイフーン級弾道ミサイル原子力潜水艦もある (タイフーン級潜水艦 ) 。



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