修二会

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東大寺二月堂の修二会(お松明)

修二会(しゅにえ)は、日本仏教寺院で行われる法会のひとつで、修二月会ともいう。また、修正会(しゅしょうえ)とも呼ばれる。

概要

古来は旧暦1月に行われる法会である。農耕を行う日本では年の初めに順調と豊作を祈る祈年祭(としごいまつり)が重要視され、神や祖霊の力で豊年を招き災いを遠ざけようとする。養老令にも記載され、8世紀には国の重要行事とされていたが、修二会は祈年祭に対応した仏教の行事として形成され定着した行事である。奈良時代に主要な寺で始まり、光明皇后の役所も兼ねた宮殿紫微中台でも行われ、平安時代984年には修二会が山里の村々の寺の重要な行事として、造花を飾り香を焚き仏前を飾り祈っていた『三宝絵詞』の記録がある。その後も日本全国の寺でさまざまな形式で修二会や修正会は行われているが、奈良古寺で行われるものが著名で、特に東大寺二月堂の修二会は「お水取り」の通称で知られる。また薬師寺の修二会は「花会式」の通称で知られる。他に法隆寺西円堂で行われるもの、長谷寺で行われるものがある。これら南都諸宗の修二会を下記で取り上げるが、これらの他にも真言宗や天台宗の古寺で行われている。これらの修二会は奈良時代半ばの8世紀に成立した悔過作法である。それぞれの本尊別に確立したもので、本尊の名前が付いているが、これは大乗仏教の側面を持ち本尊に対するこれら悔過・懺悔をすることは自己の修行だけでなく、いっさいの人々と社会に向けて、世の人たちの救済と利益(りやく)につながるものとされる。このため浄行する僧侶を選び、あらゆる人々が犯した罪を許してもらうため、心身を清め本尊に対して礼拝行を行い、1日6回本尊の周囲を巡る行道をして仏の徳をほめ讃えて礼拝する行を毎日繰り返す。苦行の面を持つ。[1]

薬師寺修二会(花会式)

通称「花会式(はなえしき)」と呼ばれる薬師寺の修二会は例年、3月30日から4月5日にかけて行われる薬師悔過法である。4月5日は結願法要として、「鬼追い式」が行われている。薬師寺の修二会は、花会式と称されるように、十種の造花が本尊薬師如来にささげられる。

これは嘉承2年(1107年)、堀河天皇の皇后が病気になり、その平癒を薬師寺の本尊に祈願したところ回復したので、これに感謝して修二会に梅、桃、桜など和紙の造花を十種類の造花を供えたのが始まりであるといわれている。

悔過法が終わった5日の夜8時に「鬼追い」がある。松明を持った黒、青、赤、白、黄の5匹のが堂外にあらわれ、大声で叫び堂をかけめぐる。やがて毘沙門天があらわれ鬼を退散させる。修二会の最後に鬼が現れるのは長谷寺のだだおしと共通している。

なお、修正会は1月1日から15日にかけて行われ、吉祥天女を本尊とする吉祥悔過を行う。

新薬師寺修二会(おたいまつ)

新薬師寺では、本尊薬師如来の縁日である4月8日に薬師悔過が行われる。夕方5時から東大寺の協力を得て11人の僧侶が「日中」の法要を行い、7時から大松明が11本境内を行道する。その後「初夜」の悔過行が行われる。

法隆寺修二会

毎年2月1日から3日にかけて西円堂で行われる。弘長元年(1261年)以来続く伝統行事。本尊の薬師如来座像の前で「薬師悔過」を行う。

なお結願の3日、午後7時ごろから追儺式が行われる。西円堂で黒鬼、青鬼、赤鬼が松明を投げ、毘沙門天が現れて鬼を追い払う。薬師寺の修二会と共通するものがある。

なお、毎年1月8日~14日法隆寺の金堂では修正会も行われている。この行事は神護景雲2年(768年)にはじめて行われて以来続いており、吉祥天に向かって懺悔する吉祥悔過である。7日間にわたり、晨朝、日中、日没、初夜、半夜、後夜の法要が行われ、国家安隠、万民豊楽、寺門興降の祈願を祈願する。

長谷寺修二会(だだおし)

長谷寺では毎年2月8日から14日まで7日間、本尊十一面観音に対する悔過法要が行われる。結願の2月14日、ほら貝や太鼓が響く中、松明をもって本堂の周囲を赤・青・緑のが走り回る「だだおし」が行われる。「だだおし」の「だだ」は東大寺で行われる「達陀(だったん)」と同語源であるという説がある。

参考文献

脚注

  1. 佐藤道子 2009, pp. 9-13、19-20、24、26.

外部リンク