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[[File:Great Lakes from space.jpg|thumb|300px|right|人工衛星から撮影した五大湖]]
 
[[File:Great Lakes.png|thumb|300px|五大湖略図]]
 
[[File:Great Lakes 2.PNG|thumb|300px|各湖の水深分布]]
 
[[File:Great Lakes bathymetry map.png|400px|thumb|各湖の水深図
 
<ref name="GLBathEr">[http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/greatlakes/greatlakes.html National Geophysical Data Center], 1999. Bathymetry of Lake Erie and Lake Saint Clair. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5KS6PHK [access date: 2015-03-23].</ref>
 
<ref name="GLBathHur">[http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/greatlakes/greatlakes.html National Geophysical Data Center], 1999. Bathymetry of Lake Huron. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5G15XS5 [access date: 2015-03-23].</ref>
 
<ref name="GLBathMich">[http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/greatlakes/greatlakes.html National Geophysical Data Center], 1996. Bathymetry of Lake Michigan. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V5B85627 [access date: 2015-03-23].</ref>
 
<ref name="GLBathOnt">[http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/greatlakes/greatlakes.html National Geophysical Data Center], 1999. Bathymetry of Lake Ontario. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V56H4FBH [access date: 2015-03-23].</ref>
 
<ref name="GLBathSup">[http://www.ngdc.noaa.gov/mgg/greatlakes/greatlakes.html National Geophysical Data Center], 1999. Bathymetry of Lake Superior. National Geophysical Data Center, NOAA. [access date: 2015-03-23]</ref>
 
<ref name="GLOBE">National Geophysical Data Center, 1999. Global Land One-kilometer Base Elevation (GLOBE) v.1. Hastings, D. and P.K. Dunbar. National Geophysical Data Center, NOAA. doi:10.7289/V52R3PMS [access date: 2015-03-16].</ref>]]
 
'''五大湖'''(ごだいこ、{{lang-en-short|Great Lakes}})は、[[アメリカ合衆国]]及び[[カナダ]]の国境付近に連なる5つの[[湖]]の総称。そのうち4つの湖上を両国の国境線が通る。水系は接続しており、上流から順に[[スペリオル湖]]、[[ミシガン湖]]、[[ヒューロン湖]]、[[エリー湖]]、[[オンタリオ湖]]の5つの湖からなる。[[塩湖]]以外では世界最大級の面積である。また、'''五大湖・セントローレンス川水系'''は世界最大級の淡水水系である。'''「内陸の海」'''、'''「アメリカの北海岸」'''、'''「北米の[[地中海]]」'''などと称されることがある。
 
  
== 構成する5つの湖 ==
+
'''五大湖'''(ごだいこ、{{lang-en-short|Great Lakes}})
* [[スペリオル湖]]:五大湖のうち面積が最大で[[チェコ]]の国土よりも広く、[[北海道本島]]の面積より大きい。水深も最も深く、水量が最も多い。スペリオルは[[ラテン語]]で「高次の」の意。しかし周辺[[人口]]は希薄である。
 
* [[ミシガン湖]]:五大湖のうち唯一[[アメリカ合衆国]]領内にのみ位置する。スペリオル湖に次いで水量が多い。湖岸にはいくつかの工業都市が発達し、周辺人口は多い。
 
* [[ヒューロン湖]]:スペリオル湖に次いで広い。しばしば前述のミシガン湖と一体とされることがあり、その場合は面積ではスペリオル湖をしのぐが、水量では及ばない。周辺人口が五大湖中最も希薄である。
 
* [[エリー湖]]:最も浅く、最も水量が少ない。ミシガン湖と同様、湖岸の工業都市が発達している。
 
* [[オンタリオ湖]]:もっとも[[面積]]が狭いが、平均水深ではスペリオル湖に次いで深い。湖面の標高が最も低く、五大湖のうち唯一海抜100mに満たない。
 
  
このほか、ヒューロン湖とエリー湖の間に位置し五大湖水系と一体化している[[セントクレア湖 (北米)|セントクレア湖]]や、[[ニピゴン湖]] • [[ニピシング湖]] •[[シムコー湖]] • [[ウィネベーゴ湖]]といった小さな湖が五大湖周辺には点在しており、水系の一部をなしている。
+
アメリカ合衆国北東部にある世界最大の淡水湖群。西からスペリオル湖,ミシガン湖,ヒューロン湖,エリー湖,オンタリオ湖が並ぶ。これらは,アメリカ合衆国とカナダの国境をなす。総面積約 24万4106km2,スペリオル湖西端からオンタリオ湖東端までの直線距離は,1870km。セントローレンス水路によって大西洋に通じる。冬季は結氷によってほとんど航行不能となるが,夏季には,鉄鉱石,穀物,石炭,石灰石,鉄鋼,木材,石油などの重要な輸送路となる。湖岸には,ダルース,ミルウォーキー,シカゴ,ゲーリ,デトロイト,クリーブランド,バッファロー,ロチェスター (以上合衆国) ,ウィンザー,トロント (以上カナダ) などの工業都市が発達。エリー湖,オンタリオ湖の間にあるナイアガラ瀑布,スペリオル湖のアイルロイヤルなどの自然保護地域も多い。
 
 
{{lang|en|Huron, Ontario, Michigan, Erie, Superior}}の頭文字を並べると{{lang|en|HOMES}}となり記憶術として用いられる。他には西から東へ並べた例として''{{lang|en|Sister Mary Hates Ecumenical Overtures}}''や''{{lang|en|She Made Harry Eat Onions}}''というのがある。
 
日本では上流から順に頭文字をとり「すみひえお」と覚える人もいる。
 
 
 
=== 一覧 ===
 
* デフォルトでは上流から順に配列、さらに比較対象の参考として[[琵琶湖]]を併置した。'''位置'''の列のソートボタンで元の順序に戻る。
 
* [[セントクレア湖 (北米)|セントクレア湖]]は小さすぎて位置の欄の図が分かりにくいが、ヒューロン湖とエリー湖の間に位置する([[:File:Lake-St-Clair.svg|拡大図]])。
 
* '''透明度'''は最小値ではなく最大値をソート対象にしている。
 
{| class="sortable wikitable" style="font-size:95%; text-align:right; margin-top:5px; margin-right:0px;"
 
|- style="line-height:1.15em; white-space:nowrap;"
 
!位置!!{{Nowrap|五大湖+1(+1)}}!!英綴!!面積!!周囲長!!{{Nowrap|水面標高}}!!貯水量!!{{Nowrap|最大水深}}!!透明度!!成因
 
|-
 
! style="border-top:hidden; font-size:50%; line-height:0.7em;" |&nbsp;!! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" | !! style="border-top:hidden;" |
 
|-
 
| style="padding:0px;" |{{Display none|1}}[[File:Lake-Superior.svg|60px]]|| style="text-align:left;" |[[スペリオル湖]]|| style="text-align:left;" |Lake Superior||82200km<sup>2</sup>||4393km||183m||12232km<sup>3</sup>||406m||{{Display none|15/}}0〜15m|| style="text-align:left;" |{{Nowrap|[[氷河湖]]}}
 
|-
 
| style="padding:0px;" |{{Display none|2}}[[File:Lake-Michigan.svg|60px]]|| style="text-align:left;" |[[ミシガン湖]]|| style="text-align:left;" |Lake Michigan||58016km<sup>2</sup>||2656km||177m||{{Display none|0}}4871km<sup>3</sup>||281m||{{Display none|12/}}2〜12m|| style="text-align:left;" |氷河湖
 
|-
 
| style="padding:0px;" |{{Display none|3}}[[File:Lake-Huron.svg|60px]]|| style="text-align:left;" |[[ヒューロン湖]]|| style="text-align:left;" |Lake Huron||59570km<sup>2</sup>||5088km||177m||{{Display none|0}}3535km<sup>3</sup>||228m|| style="white-space:nowrap;" |{{Display none|14/}}12〜14m|| style="text-align:left;" |氷河湖
 
|- style="background-color:#e6e6e6;"
 
| style="padding:0px;" |{{Display none|4}}[[File:Lake-St-Clair.svg|60px]]|| style="text-align:left; white-space:nowrap;" |[[セントクレア湖 (北米)|セントクレア湖]]|| style="text-align:left; white-space:nowrap;" |Lake Saint Clair||{{Display none|0}}1114km<sup>2</sup>||{{Display none|0}}272km||175m||{{Display none|0000}}3.4km<sup>3</sup>||{{Display none|00}}8.2m|| ||
 
|-
 
| style="padding:0px;" |{{Display none|5}}[[File:Lake-Erie.svg|60px]]|| style="text-align:left;" |[[エリー湖]]|| style="text-align:left;" |Lake Erie||25821km<sup>2</sup>||1369km||174m||{{Display none|00}}458km<sup>3</sup>||{{Display none|0}}64m||{{Display none|04/}}2〜4m|| style="text-align:left;" |氷河湖
 
|-
 
| style="padding:0px;" |{{Display none|6}}[[File:Lake-Ontario.svg|60px]]|| style="text-align:left;" |[[オンタリオ湖]]|| style="text-align:left;" |Lake Ontario||19009km<sup>2</sup>||1161km||{{Display none|0}}75m||{{Display none|0}}1368km<sup>3</sup>||244m||{{Display none|06/}}2〜6m|| style="text-align:left;" |氷河湖
 
|- style="background-color:#e6e6e6;"
 
| style="padding:0px; text-align:center; background-color:#FBF9D4" |{{Display none|7}}-|| style="line-height:2.35em; text-align:left;" |[[琵琶湖]](参考)|| style="text-align:center;" |-||{{Display none|00}}670<!--670.33-->km<sup>2</sup>||{{Display none|0}}241km||{{Display none|0}}84<!--84.371-->m||{{Display none|000}}27.5km<sup>3</sup>||103<!--103.58-->m||{{Display none|06/}}6m|| style="text-align:left;" |{{Nowrap|[[構造湖]]}}
 
|}
 
 
 
=== 水系と水路 ===
 
五大湖の湖水は最終的には北東側のセントローレンス湾に注ぎ、セントローレンス川水系に属する。
 
 
 
この水系には、いわゆる五大湖のほかにもいくつかの湖がある。最上流のスペリオル湖から[[セントマリー川]]を経てヒューロン湖へ注ぐ。ヒューロン湖とミシガン湖は、幅約8kmの[[マキナック海峡|マキノー海峡]]<ref>厳密には“湖峡”であるが、{{lang-en-short|''straits''}} にあたる日本訳語が“海峡”以外にない。</ref>によりつながっており、2つの湖水面は同じ標高(177m)である。ヒューロン湖には淡水湖にある島としては世界最大の[[マニトゥーリン島]]などが湖の中央に連なり、北部は[[ジョージア湾|ジョージアン湾]]と呼ばれている。ヒューロン湖から[[セントクレア川]]が[[セントクレア湖 (北米)|セントクレア湖]]、[[デトロイト川]]を経て、エリー湖につながる。エリー湖からは高低差の大きな[[ナイアガラ川]]が[[ナイアガラの滝]]を挟んでオンタリオ湖へ流れる。オンタリオ湖から流れるセントローレンス川は、途中いくつかの[[ダム]]、[[閘門]]とダム湖を経由し、セントローレンス湾へ注いでいる。
 
 
 
これらの水系をつなぎ大西洋までつながる航路として[[五大湖水路]]が形成されている。もっとも、標高差のある場所では、ナイアガラ滝は[[ウェランド運河]]が、セントマリー川は途中で[[スーセントメリー運河]]が迂回している。しかし、厳冬期は厳しい冷え込みでしばしば凍結してしまうことがある。
 
 
 
== 成因 ==
 
[[ファイル:Pleistocene north ice map.jpg|thumb|600px|right|[[更新世]]期の氷床最大域]]
 
[[ファイル:Glacial lakes.jpg|thumb|400px|right|五大湖の成因の歴史]]
 
およそ19億年前に形成されたと考えられる[[北アメリカ・クラトン|北米クラトン]]が、11-12億年前に中央部で分離を始めて[[地溝帯]]を形成した({{仮リンク|中央大陸リフト|en|Midcontinent Rift System}})。このときの地溝帯の一部が現在のスペリオル湖北部に相当する。同じ頃に現在のヒューロン湖の北東側に[[隕石]]が衝突し、巨大な隕石孔と同心円構造を形成した([[サドベリー構造体|サドベリー盆地]])が、その後の周辺の地殻変動のためにその痕跡構造は楕円形に歪んでいる<ref>現在発見されている隕石孔としては[[南アフリカ]]の[[フレデフォート・ドーム|フレデフォード隕石孔]]に次ぐ世界第2位の大きさがある。衝突により五大湖に匹敵する大きさのクレーター湖が出現したと考えられるが、痕跡はいまでは地下構造のみが残る。このときの隕石を起源とする[[ニッケル]]の[[鉱床]]が形成された。</ref>。続いて5億7000万年前頃に、現在の[[アパラチア山脈]]の北側に沿う形で北東から南西に延びる地溝帯({{仮リンク|セントローレンスリフト|en|Saint Lawrence rift system}})が形成されはじめた。時期的には[[ロディニア大陸]]が分裂した時期と一致し、{{仮リンク|イアペタス海|en|Iapetus Ocean}}の拡大に伴っての活動と考えられる。この活動によって現在のオンタリオ湖から、エリー湖、[[セントローレンス川]]、[[セントローレンス湾]]へと続く地溝帯が形成された。
 
 
 
7万年前に始まった[[最終氷期]]では、現在の[[ハドソン湾]]を中心とした当時の世界最大級の{{仮リンク|ローレンタイド氷床|en|Laurentide ice sheet}}が卓越し、現在の五大湖付近までを厚い[[氷河]]が覆い、同時に基岩を侵食していた。1万年前に氷期は終了し、侵食跡にはいくつかの大きな氷河跡湖({{仮リンク|アルゴンキン湖|en|Algonquin Lake}} - 現在のヒューロン湖の一部、{{仮リンク|イロコイ湖|en|Iroquois Lake}} - 現在のオンタリオ湖など)が残り、氷床に遮られた流れは現在の[[モホーク川]]、[[ハドソン川]]を経由して現在の[[ニューヨーク湾]]に注いでいたと考えられている。さらに氷床が後退してローレンス湾が開いたことにより、現在の五大湖と水系の流路がほぼ定まった。
 
 
 
氷床の後退により地殻の上昇が起きたが、各湖ごとに上昇率が異なり現在のような高低差が生じたと考えられている。
 
 
 
== 接する州 ==
 
; アメリカ
 
* [[ミネソタ州]]
 
* [[ウィスコンシン州]]
 
* [[イリノイ州]]
 
* [[インディアナ州]]
 
* [[ミシガン州]]
 
* [[オハイオ州]]
 
* [[ペンシルベニア州]]
 
* [[ニューヨーク州]]
 
; カナダ
 
* [[オンタリオ州]] - カナダで唯一五大湖に接している。
 
 
 
== 湖岸の主要都市 ==
 
[[File:Skyline of Toronto viewed from Harbour.jpg|thumb|right|[[トロント]]はオンタリオ湖沿岸に位置し、五大湖メガロポリスの東部にあたる]]
 
[[File:2009-09-18 3060x2040 chicago skyline.jpg|thumb|right|[[シカゴ]]はミシガン湖南端にあり、五大湖メガロポリスの東部に位置する。また、ミシシッピ川水系にいたる水路の起点でもある]]
 
[[File:DowntownDetroit.jpg|thumb|[[デトロイト]]はデトロイト川沿いに位置し、五大湖メガロポリスの中央部に位置する]]
 
五大湖周辺は北アメリカ有数の工業地帯であり、湖岸には五大湖・[[セントローレンス水路]]の[[港湾都市]]が多数発達している。また、全般的に夏に冷涼であることから、避暑地・保養都市も点在する。五大湖沿岸はアメリカ合衆国最大の都市的地域のひとつとなっており、オンタリオ湖南岸の[[ロチェスター]]から、エリー湖南岸の[[バッファロー (ニューヨーク州)|バッファロー]]、[[エリー (ペンシルベニア州)|エリー]]、[[クリーブランド (オハイオ州)|クリーブランド]]、[[トレド (オハイオ州)|トレド]]、そして[[デトロイト]]と、10万以上の都市が連続して存在する。ミシガン湖の南西岸には五大湖岸最大の都市である[[シカゴ]]が存在し、[[ゲーリー (インディアナ州)|ゲーリー]]などのシカゴ都市圏に含まれる都市や、シカゴ都市圏と半ば連続した都市圏を形成する[[ミルウォーキー]]といった大都市が集中している。五大湖岸の重要性はカナダにおいてはさらに高く、エリー湖北岸からオンタリオ湖北岸を通りセントローレンス川の河口までの線は、カナダの人口の実に半分以上が集中する一大産業地帯となっている。カナダの五大湖岸最大の都市はトロントであるが、トロントは同時にカナダ最大の都市であもある。オンタリオ湖北東端にある[[キングストン (オンタリオ州)|キングストン]]から[[オシャワ]]、[[トロント]]、[[ハミルトン (オンタリオ州)|ハミルトン]]、エリー湖西端にありデトロイトと隣接する[[ウィンザー (オンタリオ州)|ウィンザー]]などの都市がこの地域に点在している。また、この二つの大都市列は湖を挟んで隣接しており、アメリカ・カナダ両国間に移動の障害が存在しないことから、事実上大都市圏として一体化しており<ref>「ベラン世界地理体系18 カナダ」p143 田辺裕・竹内信夫監訳 朝倉書店 2009年7月15日初版第1刷</ref><ref>「ベラン世界地理体系17 アメリカ」p108 田辺裕・竹内信夫監訳 朝倉書店 2008年6月30日初版第1刷</ref>、五大湖メガロポリスと呼ばれる人口集中地帯を形成している。
 
 
 
一方、人口の集中するエリー湖、オンタリオ湖、ミシガン湖南部と異なり、ヒューロン湖、スペリオル湖、ミシガン湖北部には目立った都市は数えるほどしかなく、人口密度も非常に低い。
 
 
 
五大湖岸に存在する100万都市はシカゴとトロントの2つであり、このほかデトロイト、ミルウォーキー、クリーブランド、バッファローはかなりの大きさの都市圏を持つ。
 
 
 
以下に列挙するのは五大湖岸にある著名な都市である。
 
 
 
; スペリオル湖
 
* [[ダルース (ミネソタ州)|ダルース]]([[ミネソタ州]]) - 五大湖の西端に位置し、五大湖・セントローレンス水路における水上交通の起点となる港湾都市で、[[メサビ鉄山]]からの[[鉄鉱石]]の積出港。隣接する[[ウィスコンシン州]][[スペリオル (ウィスコンシン州)|スペリオル]]市とともにスペリオル湖岸最大の都市圏(人口約27万人)を形成する。
 
* [[サンダーベイ (オンタリオ州)|サンダーベイ]]([[オンタリオ州]]) - 市域人口ではダルースをしのぎ、スペリオル湖岸で最大である。
 
* [[スーセントマリー|スー・セント・マリー]]([[オンタリオ州]]および[[ミシガン州]]にある双子都市) - [[スーセントマリー運河|スー・セント・マリー運河]]の[[閘門]]で知られる。
 
* [[マーケット (ミシガン州)|マーケット]]([[ミシガン州]]) - ミシガン州北西部、[[アッパー半島]]の最大都市。もとは鉄鉱石の鉱業都市・[[港湾都市]]であったが、近年では避暑や[[スキー]]など[[リゾート]]地としても賑わう。
 
 
 
; ミシガン湖
 
* [[シカゴ]]([[イリノイ州]]) - ミシガン湖南端に位置する。五大湖水運の南端にあたり、ミシシッピ川水系運輸との結節点である。[[アメリカ合衆国|アメリカ]]第3の都市で五大湖周辺では最大の都市。
 
* [[ミルウォーキー]]([[ウィスコンシン州]]) - 醸造業で知られる。ミシガン湖畔ではシカゴに次ぐ大都市である。
 
* [[グリーンベイ (ウィスコンシン州)|グリーンベイ]]([[ウィスコンシン州]])
 
* [[ゲーリー (インディアナ州)|ゲーリー]]([[インディアナ州]])
 
* [[トラバースシティ (ミシガン州)|トラバースシティ]]([[ミシガン州]]) - [[ミシガン州]]北部の保養都市。
 
 
 
; ヒューロン湖
 
: ヒューロン湖岸は人口の密度が低く、目立った保養・観光都市もない。人口数千人〜3万人ほどの小都市・町村がほとんどである。
 
* [[サーニア (オンタリオ州)|サーニア]]([[オンタリオ州]]) - ヒューロン湖南端に位置する。ヒューロン湖周辺では最大の都市であるがそれでもその人口は7万人ほどに過ぎない。
 
 
 
; エリー湖
 
* [[デトロイト]]([[ミシガン州]]) - 世界の自動車産業の中心を長く担ってきた工業都市である。
 
* [[ウィンザー (オンタリオ州)|ウィンザー]]([[オンタリオ州]]) - デトロイトの対岸に位置する国境の町。
 
* [[トレド (オハイオ州)|トリード]]([[オハイオ州]])
 
* [[サンダスキー]]([[オハイオ州]]) - 数多くのテーマパークを抱えるエリー湖岸きってのリゾート地。
 
* [[クリーブランド (オハイオ州)|クリーブランド]]([[オハイオ州]])
 
* [[エリー (ペンシルベニア州)|エリー]]([[ペンシルベニア州]])
 
* [[バッファロー (ニューヨーク州)|バッファロー]]([[ニューヨーク州]])
 
 
 
; オンタリオ湖
 
* [[トロント]]([[オンタリオ州]]) - カナダ最大の都市。
 
* [[ハミルトン (オンタリオ州)|ハミルトン]]([[オンタリオ州]])
 
* [[キングストン (オンタリオ州)|キングストン]]([[オンタリオ州]])
 
* [[セントキャサリンズ]]([[オンタリオ州]])
 
* [[ロチェスター (ニューヨーク州)|ロチェスター]]([[ニューヨーク州]]) - 光学・イメージ産業の中心地。[[ロチェスター大学]]や[[ロチェスター工科大学]]を抱える文教都市でもある。
 
 
 
== 周辺の気候 ==
 
[[File:Snowsquall 1999-12-22.png|thumb|right|250px|湖水効果雪をとらえた衛星画像。筋状の雲が湖から湧き出るようにして発生し、東風によって運ばれて五大湖東岸に大雪を降らせている]]
 
[[File:USA-Lake-Effect-Snow-Areas.svg|thumb|250px|right|スノーベルト]]
 
北緯42-50度と全般的に緯度が高く、かつ内陸であるため、[[冬]]は非常に寒い。[[夏]]も、湖の水が冷却水の役割を果たしている影響もあって、気温の高くなる地域でも体感的には涼しく感じ、わりあい凌ぎ易い。[[ケッペンの気候区分]]では五大湖・セントローレンス水系の全域が'''Df'''([[亜寒帯湿潤気候|冷帯湿潤気候]])に属する。スペリオル湖北岸や[[セントローレンス川]]の河口付近では平均気温[[摂氏]]10度以上の月が3ヶ月しかなく、かなり冷涼である。あまりに寒いため、五大湖はその大きさにもかかわらず、ほとんどの部分が冬季には結氷する。そのため五大湖を経由する河川運輸は冬には停止される。湖岸域の氷の厚い部分の氷上での天然のアイス[[スケート]]は冬の風物詩である。
 
 
 
また、[[シカゴ]]の別名を[[w:Windy City, Origin of Name (Chicago)|Windy City]]ということからもわかるように、五大湖周辺は(特に冬場の)風が強いことでも有名である。また、冬季には北からの寒気団が温かい湖面を通過する際に大気の湿度が増し、とりわけ風下にあたる東岸の[[ミシガン州]]・[[オンタリオ州]]・[[ニューヨーク州]]では[[ブリザード]]が吹き荒れ、大量の降雪が見られる。これは[[シベリア気団]]が[[日本海]]を通過する際に湿度を増し、日本の[[北陸地方]]に大雪を降らせるのに似ている<ref>「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p17 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店</ref>。この現象は五大湖で起こるものが最もよく知られていることから、[[湖水効果雪]]との呼び名がある。また、この五大湖南岸にひろがる豪雪地帯はスノーベルトと呼ばれる。
 
 
 
== 周辺の経済 ==
 
五大湖とそれを互いに接続し、あるいは[[大西洋]]へとつなぐ[[五大湖水路]]・[[セントローレンス海路]]は[[ミシシッピ川]]と並び、[[北アメリカ]]の重要な水路のひとつである。他にもいくつかの[[運河]]が五大湖から各地域へと通じている。中でも代表的なのは、[[1825年]]に建設された[[エリー運河]]と[[1848年]]に完成した[[イリノイ・ミシガン運河]]である。前者はエリー湖と[[ハドソン川]]を結び、この運河を経由することで、五大湖周辺と[[ニューヨーク]]が船で行き来できることになる。後者は[[シカゴ]]から[[ミシシッピ川]]へと通じ、[[セントルイス]]・[[メンフィス (テネシー州)|メンフィス]]・[[ニューオーリンズ]]などミシシッピ川岸の主要都市へと船を進めることができる。このほか、カナダにおいては隣接するアメリカを警戒して、アメリカ領内に接せずに五大湖水路を構築する試みが19世紀に行われ、オンタリオ湖北東岸のキングストンからカナダの首都[[オタワ]]にまで通じ、[[オタワ川]]からセントローレンス川を通って大西洋に到達できる[[リドー運河]]([[1832年]]完成)<ref>「舟運都市 水辺からの都市再生」p31 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行</ref>や、ヒューロン湖のジョージア湾にあるポート・セバーンから直接オンタリオ湖北岸のトレントンにまで通じる<ref>「舟運都市 水辺からの都市再生」p27 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行</ref>[[トレント・セバーン水路]]などが建設されたが、20世紀後半からは重要性が低下し、現在ではもっぱら観光用に使用されている。しかし、現代において最も使用される五大湖から海への水路はセントローレンス海路であり、この水路を通れる最大限のサイズである全長740[[フィート]](226m)、幅78フィート(24m)、喫水26フィート(7.92m)の船舶は[[シーウェイマックス]]と呼ばれ、五大湖を航行する船の標準となっている。一方で、主に五大湖内のみを航行する船においてはシーウェイマックスに大きさをそろえる必要は必ずしもないため、これより大きな船も建造されることがある。また、セントローレンス海路は深さや[[閘門]]のサイズの関係で世界中の洋上用船舶のわずか10パーセントのみしか海路全体を航行できないとされ、五大湖と海をつなぐ水路のネックとなっている。五大湖水路で最もよく輸送される品目は、周辺で生産される[[穀物]]と鉄鉱石である。穀物はセントローレンス海路を使用して海外へと輸出されることが多く、逆に鉄鉱石は五大湖北端の鉱山地域で積みこまれて、五大湖南部の製鉄所地域で使用されることが多く<ref>「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p29 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店</ref>、五大湖内で輸送が完結する傾向があることが特徴である。
 
 
 
五大湖は周辺の州の水道水源ともなっている。周辺の州政府は共同でこの貴重な水資源を管理している。また、周辺の地域は[[鉄鉱石]]・[[石炭]]・[[石灰石]]といった天然資源も豊富である。
 
 
 
このように、早くから水路交通を開拓し、また豊富な水資源や天然資源を有することで、五大湖周辺、特にアメリカ合衆国側には[[工業都市]]が発達し、北アメリカ有数の工業地帯へと成長した。[[メサビ鉄山]]などスペリオル湖周辺には鉄山が点在し、[[ダルース (ミネソタ州)|ダルース]]で積みこまれた鉄鉱石は下流の[[ゲーリー (インディアナ州)|ゲーリー]]や[[クリーブランド (オハイオ州)|クリーブランド]]へと運ばれ、南の[[アパラチア山脈]]方面から採掘される[[石炭]]と合わせることで、[[鉄鋼]]産業の成長を促した<ref>「世界地誌シリーズ4 アメリカ」p46 矢ヶ崎典隆編 2011年4月25日初版第1刷 朝倉書店</ref>。[[デトロイト]]には[[自動車]]産業が発達した。[[1950年代]]に至るまで、「コーンベルト」・「フロストベルト」と呼ばれる周辺一帯は隆盛を極めた。しかし、現在では「[[サンベルト]]」と呼ばれる南部の新興工業地帯に人口・産業が流出し、[[デトロイト]]や[[ゲーリー (インディアナ州)|ゲーリー]]、[[バッファロー (ニューヨーク州)|バッファロー]]など[[犯罪]]・[[貧困]]・[[環境汚染]]といった都市問題を抱える工業都市も少なくない。
 
 
 
重工業と並んで五大湖周辺の経済を支えているのは観光業である。冷涼であるため、湖内に点在する無数の島々にある[[コテージ]]やキャンプ場をはじめとする[[避暑地]]が点在し、クルージングや[[ヨット]]、キャンプなどの[[バカンス]]を楽しむ観光客が多い。また、[[カワカマス目]]([[ノーザンパイク]]や[[マスキー]])や[[サケ類]]が豊富であり[[釣り]]のメッカでもある。趣味的・娯楽的な釣りと合わせて漁業も発達し、[[サケ|鮭]]・[[マス]]や白身魚などの漁業収入は地域一帯で年間40億[[アメリカ合衆国ドル|米ドル]]に達する。
 
 
 
== 歴史 ==
 
この地域に最も早く訪れたヨーロッパ人は[[フランス人]]である。[[1608年]]、セントローレンス川河口の[[ケベックシティ]]に[[サミュエル・ド・シャンプラン]]によって定住植民地が建設されると、シャンプランはここを拠点としてセントローレンス川をさかのぼり、オンタリオ湖とヒューロン湖東岸を自ら探検するとともに、ミシガン湖以外の五大湖のあらましを現地のインディアンから聞き取って明らかにした。このほかにも、スペリオル湖を「発見」したエチエンヌ・ブルレなど数人の[[探検家]]や毛皮商人、[[宣教師]]によって、[[1634年]]には最後のミシガン湖の存在も明らかになり<ref>「世界探検全史 下巻 道の発見者たち」p111 フェリペ・フェルナンデス-アルメスト著 関口篤訳 青土社 2009年10月15日第1刷発行</ref>、[[1670年代]]までには五大湖沿岸はヨーロッパ人にすべて知られるようになっていた。この沿岸を拠点としてフランス人はなおも奥地の探検を進め、[[1673年]]には[[ルイ・ジョリエ]]が五大湖から[[ミシシッピ川]]に到達し、[[1681年]]には[[ロベール=カブリエ・ド・ラ・サール]]がミシシッピを通って[[メキシコ湾]]にまで到達した。これにより北アメリカ大陸中央部を南北に貫く幹線水路が開通し、五大湖水系とミシシッピ川水系を拠点としてフランスは広大な[[ヌーベルフランス]]植民地を建設した。しかし、ヌーベルフランスは面的には広い地域だったものの人口は非常に少なく、五大湖周辺にもいくつかの交易の拠点が置かれているのみであり、都市といえるほどの都市は存在していなかった。ただし、フランスが建設した砦のいくつかは現在でも地名として残っており、デトロイトなどの[[フランス語]]由来の地名や、シカゴの読み方(英語読みならチカゴになる<ref>「アリステア・クックのアメリカ史(上)」p82 アリステア・クック著 [[鈴木健次]]・櫻井元雄訳 NHKブックス 1994年12月25日第1刷発行</ref>)などにその名残を残している。
 
 
 
フランスは五大湖水系およびミシシッピ川水系全域の領有権を主張しており、北アメリカ大陸内陸部に広大な植民地を築くことで、北アメリカ大陸東岸のイギリス植民地の発展方向をふさぐ形となっていた。このため両国間には小競り合いが絶えず、北米植民地戦争と呼ばれる戦争を断続的に100年以上続けたが、結局最後の[[北米植民地戦争]]である[[フレンチ・インディアン戦争]]においてフランスは大敗し、[[1763年]]の[[パリ条約 (1763年)|パリ条約]]でフランスは五大湖地域全域をイギリスへと割譲することとなった。その後、[[1775年]]に始まった[[アメリカ独立戦争]]においてイギリスは敗北し、[[1783年]][[9月3日]]の[[パリ条約 (1783年)|パリ条約]]によって五大湖の南岸地区は新しく独立したアメリカ合衆国へと割譲された。一方、五大湖北岸のカナダはイギリス領にとどまり、以後ミシガン湖を除く4つの湖はアメリカとカナダの国境線をなすこととなった。
 
 
 
アメリカ合衆国独立時において、[[13植民地]]の領域は五大湖に到達していなかった。これは五大湖地域がイギリスに割譲された際、[[1763年宣言]]によって[[アパラチア山脈]]以西の植民が禁止されていたからである。しかしすでに独立戦争時から、いくつかの植民地は五大湖地域への領土要求を本格化させ、植民地間で領土要求が重複する地域も存在した。この状況を調整するため連邦政府による調停が行われ、結果オンタリオ湖南岸とエリー湖東端はニューヨーク州に、エリー湖南東部はペンシルベニア州に属することとなり、残りの五大湖沿岸地域は[[1787年]][[7月13日]]に[[連合会議]]で可決された[[北西部条例 (アメリカ)|北西部条例]]によって、[[北西部領土 (アメリカ合衆国)|北西部領土]]として連邦政府の管轄下に入ることとなった。ただし、エリー湖南岸に関しては[[コネチカット州]]が[[コネチカット西部保留地]]として領有権を保持し、[[1800年]]にこれを放棄するまでコネチカット州の統治が続いた。この北西部領土の地域には開拓者が東部から押し寄せるようになり、五大湖沿岸地域は[[1803年]]のオハイオ州を皮切りに次々と州へ昇格していった。インディアナ州が[[1816年]]、イリノイ州が[[1818年]]、ミシガン州が[[1837年]]、ウィスコンシン州が[[1848年]]、そして最後のミネソタ州が[[1858年]]に州に昇格し、五大湖沿岸のアメリカ領部分はこれですべて州に組織されることとなった。一方北岸のカナダにおいては、[[1791年]]に植民地が改組され、五大湖沿岸地域は[[アッパー・カナダ]]植民地となった。植民地の首都は当初[[ナイアガラオンザレイク|ニューアーク]](現在のナイアガラ・オン・ザ・レイク)におかれていたが、1796年に[[トロント|ヨーク]](現在のトロント)へと移された。その後、[[1841年]]にいったん[[ローワー・カナダ]]と統合されてカナダ植民地となったのち、[[1867年]]に再度この地域は分離されて[[オンタリオ州]]が成立した。
 
 
 
[[1817年]]には五大湖初の[[蒸気船]]であるオンタリオ号がオンタリオ湖において就航した<ref>「商業史」p197 石坂昭雄、壽永欣三郎、諸田實、山下幸夫著 有斐閣 1980年11月20日初版第1刷</ref>が、五大湖地域の開発を大きく進めることとなったのは、[[1825年]]の[[エリー運河]]の開通である。これにより、エリー湖から[[ハドソン川]]を通ってニューヨーク港にいたる航路が開通し、輸送に著しい改善がなされた。エリー湖からデトロイト川、セントクレア湖、セントクレア川、そしてヒューロン湖からミシガン湖にかけては高低差が少なく船舶がそのまま通航できたため、この時点でシカゴまで至る長大な水路が利用可能となった。同年セントローレンス川の急流である[[ラシーヌ瀬]]にラシーヌ運河が建設され、さらに[[1829年]]には[[ウェランド運河]]が開通し、ナイアガラの滝を避けてエリー湖とオンタリオ湖の間の通航ができるようになった。ただしウェランド運河は問題が多く、何度かルートが変更された。2015年現在使用されているウェランド運河は、[[1932年]]に建設された4代目のものである<ref>「舟運都市 水辺からの都市再生」p36 三浦裕二・陣内秀信・吉川勝秀編著 鹿島出版会 2008年2月20日発行</ref>。1848年には五大湖の南端にあたるシカゴからミシシッピ川の支流である[[イリノイ川]]を通って[[セントルイス]]にいたる[[イリノイ・ミシガン運河]]が完成し、五大湖水系とミシシッピ川水系が結びついたことによって北アメリカ大陸を東から南へ抜ける大水路が完成し、沿岸地域の発展はこれによってさらに弾みがついた。両水系の結節点となったシカゴは農産物の集散地や交通の要所として発展し、急速に大都市へと成長していった。[[1855年]]にはスーセントメリー運河が完成し、五大湖水路はさらにスペリオル湖にまで延長された。こうした輸送の改善を受け、19世紀後半より特にエリー湖・オンタリオ湖・ミシガン湖畔の[[工業化]]が急速に進んだ。
 
 
 
セントローレンス川の水路は船舶は通航できたものの大型船舶が通行できるようなものではなく、外洋船が通行できるように改修することが長年叫ばれていたが、実際に一部の外洋船がここを通って五大湖に通行できるようになったのは、現在使用されているセントローレンス海路が建設された[[1959年]]になってからだった。このセントローレンス海路の開通により、エリー運河は重要性を減じた。
 
 
 
== 環境汚染 ==
 
古くはこの地の[[ネイティブ・アメリカン]]が五大湖で釣りをし、食料となる魚を得ていた。しかし、漁業が発達するにつれて鮭や各種白身魚などの漁業資源の枯渇に直面するようになった。[[アメリカ合衆国]]と[[カナダ]]との連携もうまくいかず、[[1950年代]]までには、ヒューロン湖・ミシガン湖のマスは約99%減少した。原因は運河の完成によって流入した[[ヤツメウナギ]]であるとされていた<ref>倉田亮 『世界の湖と水環境』p67 成山堂書店、2001年、ISBN 4-425-85041-6</ref>。
 
 
 
[[1960年代]]に入ると、[[水質汚染]]などの環境問題がそこに追い討ちをかけた。原因としては、周辺の[[都市化]]による生活雑排水や工業排水の増加、さらには廃油や有害化学物質の流入などが挙げられる。特に有名なのは、エリー湖に注ぐ[[カヤホガ川]]の汚染である。川から出火するほど廃油汚染が酷く、[[ヒル (動物)|ヒル]]の類さえも棲まなかったほどであった。スペリオル湖やセントクレア川などでは、''{{lang|en|toxic blobs}}''と呼ばれる、[[コールタール]]や[[重金属]]を含む[[ヘドロ]]も発見された。
 
 
 
''{{lang|en|The Great Lakes: An Environmental Atlas and Resource Book}}''によると、「かつては大きな漁場であったが、今はいくつかの牙城が残るのみ」と言われている。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
<references/>
 
 
 
== 関連項目 ==
 
* [[五大湖地域]]
 
* [[国立湖岸]]
 
* [[レイチェル・カーソン]]
 
 
 
== 外部リンク ==
 
{{commons|Great Lakes}}
 
* [http://www.great-lakes.net/ Great Lakes Information Network(英語版)]
 
* [http://www.glc.org/ Great Lakes Commission(英語版)]
 
* EPA: [http://www.epa.gov/glnpo/ Great Lakes National Program Office(英語版)]
 
* カナダの環境&mdash;オンタリオ地方: [http://www.on.ec.gc.ca/greatlakes/default.asp?lang=En&n=7E5E6AF1-1 Our Great Lakes(英語版)]
 
* [http://www.midwestlakes.org/ Midwest Lakes Policy Center(英語版)]
 
* [http://www.ijc.org/ International Joint Commission(英語版)]
 
  
 
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[[Category:アメリカ合衆国の湖]]
 
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2018/10/10/ (水) 05:27時点における最新版

五大湖(ごだいこ、: Great Lakes

アメリカ合衆国北東部にある世界最大の淡水湖群。西からスペリオル湖,ミシガン湖,ヒューロン湖,エリー湖,オンタリオ湖が並ぶ。これらは,アメリカ合衆国とカナダの国境をなす。総面積約 24万4106km2,スペリオル湖西端からオンタリオ湖東端までの直線距離は,1870km。セントローレンス水路によって大西洋に通じる。冬季は結氷によってほとんど航行不能となるが,夏季には,鉄鉱石,穀物,石炭,石灰石,鉄鋼,木材,石油などの重要な輸送路となる。湖岸には,ダルース,ミルウォーキー,シカゴ,ゲーリ,デトロイト,クリーブランド,バッファロー,ロチェスター (以上合衆国) ,ウィンザー,トロント (以上カナダ) などの工業都市が発達。エリー湖,オンタリオ湖の間にあるナイアガラ瀑布,スペリオル湖のアイルロイヤルなどの自然保護地域も多い。




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