九重山

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九重(くじゅう)連山
300px
牧ノ戸峠展望台から見た九重(くじゅう)連山。右が三俣山
所在地 大分県
位置 北緯33度05分09秒
東経131度14分56秒
最高峰 中岳 (1,791m)
種類 主に溶岩ドームからなる火山群
九重山の位置
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九重山(くじゅうさん)または九重連山(くじゅうれんざん)は、大分県玖珠郡九重町から竹田市久住町北部にかけて広がる火山群の総称である。最高峰は九州本土最高峰でもある中岳 (1,791m) 。日本百名山の一つに数えられ、一帯は阿蘇くじゅう国立公園に指定されている。

名称: 九重と久住

この地域の名称としては、「九重」(くじゅう、ここのえ)と「久住」(くじゅう)の2通りの表記及び読みが用いられてきた。

その起源は、延暦年間(800年頃)にこの地に九重山白水寺と久住山猪鹿寺の2つの寺院が開かれたことにさかのぼる。近代に入ると、山群の北麓に九重町(ここのえまち)、南麓に久住町(くじゅうまち、現・竹田市久住町)が誕生したことから、それぞれの表記が特定の地域に結びつくことになり、地域全体を指す時にどちらの表記を用いるかという問題が大きくなった。

現在では、火山群や周辺地域全体を指す場合に「九重山」や「九重連山」を用い、その主峰である単独の山を指す場合に「久住山」を用いるのが一般的である。

また、近年では、混乱を避けるためにひらがなの「くじゅう」を用いることも多い。例えば、「阿蘇国立公園」にこの地域の名称を加えて改名する際には、「九重」と「久住」のどちらかにするかで長らく論争が続いたが、「阿蘇くじゅう国立公園」とすることで決着した。また、坊ガツルタデ原ラムサール条約への登録名も「くじゅう坊ガツル・タデ原湿原」とされている。

主要峰

10数個の火山体が東西13km、南北10kmの範囲に集まっている。標高にして1,700m前後のものが多い。西部には久住山をはじめとする久住山系の山々が連なり、広い坊がツルの草原をはさんだ東側の対面に大船山を中心とする大船山系の山々が並ぶ。

火山活動

九重火山は、約20万年前に形成された宮城火砕流堆積物より上位の活動と定義される、安山岩デイサイトを主体とする火山群である[1]。宮城火砕流堆積物より下位の周辺の活動としては、30万~60万年前に野稲火山群、40万~100万年前に涌蓋火山群、60万~90万年前に時山火山群、80万~100万年前に猪牟田カルデラが存在する。これらの火山も以前は九重火山として含まれていた[2]

活動の初期に比較的大きな火砕流を3回噴出[3]しているが、カルデラを形成した形跡は無い。約5.4万年前にも飯田火砕流、九重第1降下軽石などを噴出する大きな噴火(7.2 DRE km3)が発生した[4]。現在見られる山々のうち西側の久住山・星生山・三俣山などがある久住山系は13万年前から活動していたが、東の大船山系はそれより新しく2万5千年前から噴火を始めた。九重連山で最も東側にある黒岳は約1600年前の噴火によって形成されたもので、噴出量が1 DRE km3を越えるイベントの中では最新の山体である。山中には現在も噴気による立ち入り禁止箇所がある。

火山噴火予知連絡会によって火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山に選定された[5]

この一帯は地熱地帯で、筋湯温泉の近くには火山の熱エネルギーを利用して地熱発電する八丁原発電所大岳発電所がある。

植生

坊がつる賛(讃)歌』に詠われたミヤマキリシマは、初夏に大船山や平治岳の斜面を赤く染める。そのほかにもイワカガミツクシシャクナゲ、ツクシドウダン、コケモモマツムシソウリンドウなどが山中のあちこちに次々に咲く。

登山口

阿蘇市別府市を結ぶやまなみハイウェイ沿線にある長者原(バス停:くじゅう登山口)や牧ノ戸峠が登山口となる。九重山の北側に位置する長者原からは坊ガツル経由で大船山、久住山等へ、西側に位置する牧ノ戸峠からは久住山等への登山道が整備されている。

周辺

九重山の北や南は緩やかに波打つ広大な草原となっており、酪農が盛ん。またこの特徴を利用した観光牧場も多い。

温泉

九重山中にある法華院温泉は、標高1,303mの高さにある一軒宿、交通手段は徒歩のみ。[6]九重山の中腹を通るやまなみハイウェイ沿いには、寒の地獄温泉星生温泉などの一軒宿が点在する。少し離れた筋湯温泉は『打たせ湯』で有名だが、立派な宿泊施設が立ち並ぶ。

関連画像

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由布岳の山頂から見た九重連山。大船山系と九重山系の間の谷に、ラムサール条約登録湿地である坊ガツルが広がる。長者原から牧ノ戸峠にかけては、やまなみハイウェイの名で親しまれている大分県道11号線が走る。写真左奥の祖母山系は大分・宮崎県境に連なる山塊である。

脚注

  1. 鎌田 (1997)による
  2. 納富 (1920)による
  3. 地層下位から宮城火砕流、下坂田火砕流、豊後渡火砕流
  4. 九重火山 産業技術総合研究所, 2015年2月11日閲覧 (PDF)
  5. 火山防災のために監視・観測体制の充実等の必要がある火山”. 気象庁. . 2016閲覧.
  6. ただし、荷物の輸送には軽トラック大船林道経由で使用される。

関連項目

外部リンク