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{{Infobox particle
 
|名前=中性子
 
|画像=[[Image:Stylised atom with three Bohr model orbits and stylised nucleus.png|200px]]
 
|説明=ナイーブな[[リチウム]]原子の[[原子模型]]。青い球体が{{Nowrap|'''中性子'''}}を表す。ただし、正確な縮尺ではなく、[[電子]]が定まった軌道を回っているわけでもない。
 
|組成={{粒子の記号|link=yes|u}}{{粒子の記号|link=yes|d}}d
 
|統計=[[フェルミ粒子]]
 
|グループ=[[バリオン]]
 
|反粒子=[[反中性子]]({{粒子の記号|link=yes|反n}})
 
|理論化=[[アーネスト・ラザフォード]] (1920)
 
|発見=[[ジェームズ・チャドウィック]] (1932)
 
|記号='''{{粒子の記号|n}}'''
 
|質量={{val|1.674927471|(21)|e=-27|ul=kg}}{{R|mn}}<br />{{val|939.5654133|(58)|ul=MeV/c2}}{{R|mnc2mev}}
 
|平均寿命={{val|886.7|1.9|u=秒}}{{sfnp|日本アイソトープ協会|1992|p=29}}(核子や中性子星以外)
 
|崩壊粒子=[[陽子]]
 
|電荷=0
 
|スピン={{frac|1|2}}
 
|ストレンジネス=0
 
|アイソスピン=&minus;{{frac|1|2}}
 
|超電荷={{frac|1|2}}
 
|パリティ=+1}}
 
'''中性子'''(ちゅうせいし、{{lang-la-short}}{{lang-nl-short}}{{lang-de-short}}{{lang-fr-short}}{{lang-en-short|neutron}})とは、[[原子核]]を構成する粒子のうち、無電荷の粒子の事で、[[バリオン]]の1種である。[[原子核反応|原子核反応式]]などにおいては記号 '''n''' で表される。[[質量数]]は[[統一原子質量単位|原子質量単位]]で約 {{val|1.00867|u=u}}、[[平均寿命#素粒子の平均寿命|平均寿命]]は約15分で[[ベータ崩壊|β崩壊]]を起こし[[陽子]]となる{{sfnp|日本アイソトープ協会|1992|p=29}}。原子核は、陽子と中性子と言う2種類の粒子によって構成されている為、この2つを総称して[[核子]]と呼ぶ<ref group="注">[[陽子]]1個で出来ている [[水素|{{SubSup||1|1}}H]] と陽子3個で出来ている [[リチウム3|{{SubSup||3|3}}Li]] の2つを例外として、2015年現在の時点で発見報告のある[[原子]]の内、最も重い [[オガネソン|{{SubSup||118|294}}Og]] までの全ての"''既知の''"原子核は陽子と中性子の2種類の核子から構成されている。</ref>。
 
{{main2|原子核内で核子同士をまとめておく力|パイ中間子}}
 
  
== 概要 ==
+
'''中性子'''(ちゅうせいし、{{lang-la-short}}{{lang-nl-short}}{{lang-de-short}}{{lang-fr-short}}{{lang-en-short|neutron}}
中性子の発見は1920年の[[アーネスト・ラザフォード]]による予想に始まり、その存在の実験的証明は1932年にケンブリッジ大学の物理学者[[ジェームズ・チャドウィック]]によってなされた<ref group="注">チャドウィックによる実験的確証を得るまでの経緯については、[[#atomica|チャドウィックによる中性子の発見]]が詳しい。</ref>。その実験とは、[[ベリリウム]]に高速の[[アルファ粒子|α粒子]]を当てる事で次の核反応
 
:<ce>{}_4^9{Be}+{}_2^4He->_{6}^{12}{C}+{}_0^1n</ce>
 
を起こし、ここで発生する粒子 n を[[パラフィン]]などで受け、原子核と衝突させる事でさらに陽子を飛び出させ、この荷電粒子である陽子を検出するというものであった{{sfnp|Murray|杉本|1955|p=29}}。チャドウィックは上記の核反応で発生する粒子(当時はまだベリリウム線と呼ばれていた)n が、陽子とほとんど同じ質量で中性(電荷を持たない)の新しい粒子からなる粒子線である事を確認し、これを'''中性子''' (neutron) と名付けた{{sfnp|武谷|1954|pp=93-95}}
 
{{main2|発見に関する詳しい歴史|#歴史}}
 
  
中性子は、[[電荷]]を持っていない事から<ref group="注">電荷を持たない為、直接的に観測する事が難しく、中性子の発見は電子や陽子と比べて遅れた。</ref>、他の電荷をもつ陽子などに比べて、入射した物質の原子核と容易に直接反応する事が出来る。[[電磁相互作用|電磁気力]]の影響を受けない[[中性子線]]は透過性が高く、原子核の[[核変換]]に使う粒子として重要である<ref group="注">尚、通常の状態では荷電していない原子は中性子と同じ様には利用する事が出来ない。何故ならば、正電荷を持つ原子核の周りに負電荷を持つ電子が広く分布している事から、原子は中性子よりも約1万倍も大きいものとして扱わなくてはならない為である。</ref>。
+
[[原子核]]を構成する中性の粒子。ニュートロンともいう。質量は 939.6MeVで,[[陽子]]の質量にほぼ等しく,[[電子]]の質量の約 1840倍である。スピン 1/2の[[フェルミオン]]で,中性であるにもかかわらず大きい[[磁気モーメント]](-1.913×μ<sub>N</sub>。μ<sub>N</sub>は[[核磁子]])をもつ。クォーク構造は udd。1932年ジェームズ・[[チャドウィック]]が発見した。ただちにウェルナー・カルル・[[ハイゼンベルク]]は中性子と陽子とが原子核の構成要素であると指摘して,従来の核理論の難点を解消し,核構造論の基礎を築いた。ハイゼンベルクは陽子と中性子とは,質量やそれらを結合させる[[核力]]がほぼ等しいので,[[核子]]という一つの粒子の違った荷電状態であるとみなした。この考え方は[[素粒子]]の分類に広く用いられている。中性子は電荷をもたないので核の中へ入りやすく,容易に核反応を起こすので原子核の研究に重要な役割を果たす。中性子はエネルギーによって分類されており,核分裂などの[[核反応]]で放出されるエネルギーが数百万eVのものを速い中性子,水素を含む物質中で減速された数千eVのものを遅い中性子,さらに減速されて物質中の熱運動の程度になった約 0.025eVのものを[[熱中性子]]という([[中性子の減速]])。速い中性子よりも遅い中性子のほうが核反応を起こしやすい。熱中性子線は,その波動性(ド・ブロイ波長〈[[ド・ブロイ波]]〉が 1Å程度)を利用して結晶や分子の構造解析や,中性子の大きい磁気モーメントを利用した磁性の研究など,広く物性研究に用いられる。中性子線はその透過性を利用して,X線やγ線と同様に,物体を透視する[[非破壊検査]]に用いられる。自由な中性子は不安定であって平均寿命 15分程度で崩壊し,電子と反電子[[ニュートリノ]]を放出して陽子に転換する。この過程が原子核内で起こるのが放射性元素の[[β崩壊]]である。
 
 
== 特徴 ==
 
原子核の外ではわずかな例外を除いて中性子は不安定であり、平均寿命 {{val|886.7|1.9|u=秒}}(約15分){{sfnp|日本アイソトープ協会|1992|p=29}}、[[半減期]]約10.3分{{R|化学小事典}}で陽子と[[電子]]および[[反電子ニュートリノ]]に崩壊し、それを反応式で表すと
 
:<math chem>\ce{n->p\ +{e}^-+\bar{\nu}_{e}}+0.78\,\mathrm{MeV}</math>
 
となる<ref group="注">同様な崩壊([[ベータ崩壊|β崩壊]])が何種類かの原子核においても起こる。核内の粒子(核子)は、中性子と陽子の間の[[共鳴]]状態であり、中性子と陽子は互いに[[パイ中間子|π中間子]]を放出・吸収して移り変わっている。これは、[[アイソスピン]]と言う考え方に基づいたもので、陽子と中性子は質量や核力がほぼ等しいので、ともにアイソスピンが &plusmn;{{sfrac|1|2}} の核子と言う1つの粒子の異なる荷電状態であり、+ の状態が陽子で &minus; の状態が中性子であるとする考え方の事である。</ref>。中性子は[[バリオン]]の一種であり、[[クォークモデル|ヴァレンス・クォーク模型]]の見方をとれば、2個の[[ダウンクォーク]]と1個の[[アップクォーク]]と言う3個の[[クォーク]]によって構成されている<ref name="nipponica">[[#Reference-Kotobank-中性子|日本大百科全書]]</ref>。中性子は全体として電荷を持たないが、内部では正負の電荷が分布しており、その広がりは約 {{1e-|16}} [[メートル|m]] である{{R|nipponica}}。
 
 
 
電荷を持たない中性子と原子との相互作用は、非常に短距離でのみ働く[[核力]]によるものがほぼ全てである<ref group="注">陽子、電子や[[アルファ粒子|α粒子]]などの荷電粒子や、[[ガンマ線|γ線]]のような[[電磁波]]は、物質中を通過する際に電磁気力によって通過する物質の原子を[[イオン化]]する為、[[エネルギー]]を失ってしまう。イオン化に費やされたエネルギーは即ち、[[荷電粒子]]の失ったエネルギーであり、その結果、荷電粒子は減速し、γ線は吸収されるが、中性子はその様な過程でエネルギーを失う事はない。</ref>。また、核力の到達範囲はせいぜい[[パイ中間子|π中間子]]の換算[[コンプトン波長]] {{math|{{sfrac|''h''|2''&pi;m''{{sub|&pi;}}''c''}}}} である約 {{val|1.4|e=-15|u=m}}{{R|物理小事典}} 〜 {{val|2.0|e=-15|u=m}}{{R|化学小事典}} 程度、即ち中性子の電荷分布の広がりである {{val|0.1|u=fm}}{{R|nipponica}} 程度しかない。従って、物質中を移動する自由な中性子は、原子核と「正面」衝突するまで直進する。原子核の[[反応断面積|断面積]]は非常に小さい為衝突はまれにしか起こらず、中性子は衝突までに長い行程を飛ぶ事になる。生成した中性子が他の原子核と衝突するまで移動する距離を[[平均自由行程]]({{lang-en-short|mean freepath}})という指標で表す<ref group="注">空気中で {{Val|220|u=m}}、[[軽水]]の場合は {{Val|0.17|u=㎝}}、[[重水]]では {{Val|1.54|u=㎝}}、[[ウラン]]では {{Val|0.035|u=㎝}} である。</ref>。
 
 
 
弾性衝突を起こすような場合、[[運動量保存則]]に従い、[[ビリヤード]]のボールが互いに衝突するように振る舞う。もし衝突された核が重い場合は核の加速は比較的少ない。中性子とほぼ等しい質量をもつ陽子(水素原子)と衝突した場合、陽子はもともとの中性子が持っていた運動量のほとんどを受け取りはじき出される。一方、中性子はほとんどの運動量を失うが、この衝突の結果生じる二次的に放射された粒子が電荷を持っている場合、電離作用がある為、検知する事が可能である。
 
 
 
電気的に中性である為、観測だけでなく中性子を制御するのも難しい。荷電粒子に対しては電磁場によって加速、減速、軌道修正などの操作や制御が可能であるが、中性子にはそれが使えない。自由中性子を制御し、減速、進路の変更、吸収などの結果を得るには進路に原子核を配置するしかない。この事は平均自由行程と併せて[[原子炉]]や[[核兵器]]を設計する際、非常に重要である。
 
 
 
=== 諸定数 ===
 
中性子の[[質量]]などは、[[物理定数]]の1種として[[科学技術データ委員会|CODATA]]より4年に1度のペースで[[アメリカ国立標準技術研究所|NIST]]のWebページを介して公開されている<ref>[[#nist|2014CODATA推奨値(一覧)]]</ref>。
 
;質量
 
中性子の質量 {{math|''m''{{sub|n}}}} は
 
:<math>\begin{align}m_\text{n}&=1.674\ 927\ 471(21)\times 10^{-27}\,\mbox{kg}\\
 
&=939.565\ 4133(58)\,\mbox{MeV}/c^2\end{align}</math>
 
であり<ref name="mn">[[#mn|CODATA Value]]</ref><ref name="mnc2mev">[[#mnc2mev|CODATA Value]]</ref>、統一原子質量単位で表すと {{val|1.00866491588|(49)|u=u}} となる<ref>[[#mnu|CODATA Value]]</ref>。
 
 
 
また、陽子の質量 {{math|''m''{{sub|p}}}} や[[電子]]の質量 {{math|''m''{{sub|e}}}} に対する比は
 
:<math>\begin{align}&\frac{m_\text{n}}{m_\text{p}}=1.001\ 378\ 418\ 98(51)\\
 
&\frac{m_\text{n}}{m_\text{e}}=1838.683\ 661\ 58(90)\end{align}</math>
 
である<ref>[[#mnsmp|CODATA Value]]</ref><ref>[[#mnsme|CODATA Value]]</ref>。
 
 
 
更に、中性子の質量 {{math|''m''{{sub|n}}}} は同じ核子である陽子の質量 {{math|''m''{{sub|p}}}} よりわずかに大きい程度で、その差は僅か
 
:<math>m_\text{n}-m_\text{p}=2.305\ 573\ 77(85)\times 10^{-30}\,\mbox{kg}</math>
 
である<ref>[[#mnmmp|CODATA Value]]</ref>。但し、中性子は陽子とは異なり、電気的に無電荷(中性)である為、陽子や電子が持っている様な[[質量電荷比#電荷質量比|比電荷]]と言う値を持たない。
 
;コンプトン波長
 
中性子の[[コンプトン波長]] {{math|''&lambda;''{{sub|n}}}} や換算コンプトン波長 {{math|{{sfrac|''&lambda;''{{sub|n}}|2''&pi;''}}}} は
 
:<math>\begin{align}&\lambda_\text{n}=\frac{h}{m_\text{n}c}=1.319\ 590\ 904\ 81(88)\times 10^{-15}\,\mbox{m}\\
 
&\frac{\lambda_\text{n}}{2\pi}=0.210\ 019\ 415\ 36(14)\times 10^{-15}\,\mbox{m}\end{align}</math>
 
である<ref>[[#ncomwl|CODATA Value]]</ref><ref>[[#ncomwlbar|CODATA Value]]</ref>
 
;磁気モーメント
 
中性子は電気的には無電荷で中性であるが、[[磁気モーメント]]を持っており、その値 {{math|''&mu;''{{sub|n}}}}
 
:<math>\mu_\text{n}=-0.966\ 236\ 50(23)\times 10^{-26}\,\mbox{J}\,\mbox{T}^{-1}</math>
 
である<ref>[[#munn|CODATA Value]]</ref>。電気的には中性である中性子が磁気モーメントを持つ理由は、中性子を構成する3個の各クォークの磁気モーメントの和として説明される<ref name="物理小事典">[[#jiten|物理小事典]]</ref>。
 
 
 
また、核磁子 {{math|''&mu;''{{sub|N}}}} に対する比([[異常磁気モーメント]])は
 
:<math>\frac{\mu_\text{n}}{\mu_\text{N}}=-1.913\ 042\ 73(45)</math>
 
である<ref>[[#munsmun|CODATA Value]]</ref>。
 
 
 
=== 中性子温度による分類 ===
 
中性子はその運動エネルギー(運動速度)に応じて大体<ref group="注">厳密な分類ではなく、ほぼその領域で分けられるという意味である。</ref>以下のように分類される{{sfnp|日本アイソトープ協会|1992|pp=29-30}}<ref name="化学小事典">[[#jiten2|化学小事典]]</ref>。
 
{|class="wikitable" style="text-align:left"
 
|+中性子の運動エネルギーによる分類
 
|-
 
!{{仮リンク|中性子温度|en|neutron temperature}}に応じた名称!!エネルギー ({{Mvar|E}}) の範囲([[電子ボルト]]
 
|-
 
|[[冷中性子]] (cold neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|''E'' &lt; {{Val|0.026|u=eV}}}}
 
|-
 
|[[熱中性子]] (thermal neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|0.001 &lt; ''E'' &lt; {{Val|0.01|u=eV}}}}
 
|-
 
|[[熱外中性子]] (epithermal neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|0.1 &lt; ''E'' &lt; {{Val|e=2|u=eV}}}}
 
|-
 
|[[低速中性子]] (slow neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|0.1 &lt; ''E'' &lt; {{Val|e=3|u=eV}}}}
 
|-
 
|[[中速中性子]] (intermediate neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|1 &lt; ''E'' &lt; {{Val|500|u=keV}}}}
 
|-
 
|[[高速中性子]] (fast neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|0.5 &lt; ''E'' &lt; {{Val|20|u=MeV}}}}
 
|-
 
|[[超高速中性子]] (ultrafast neutrons)
 
|style="text-align:center"|{{Math|{{Val|20|u=MeV}} &lt; ''E''}}
 
|}
 
 
 
== 歴史 ==
 
{{main|en:Discovery of the neutron}}
 
[[1914年]]に[[イギリス]]の[[アーネスト・ラザフォード|ラザフォード]]は、重い原子核では[[アルファ粒子|α線]]を接近させても[[クーロンの法則|クーロン力]]によって弾き返されてしまうが、軽い原子核では原子核かα粒子いずれかの破壊が起こるのではないかと考え、[[1917年]]から[[1919年]]にかけて、様々な条件下で空気に対してα線を当て、[[硫化亜鉛|ZnS]]の[[シンチレータ|シンチレーション]]を利用して破壊の影響で生ずる可能性のある[[粒子]]を発見しようと試みた結果、[[水素]]の原子核が発見された{{sfnp|Rutherford|1919}}。この水素の原子核は、α線が空気中の[[窒素]]の原子核に当たった際に
 
:<ce>_2^4He\ +_{7}^{14}N->_{8}^{17}O\ +_1^1H</ce>
 
と言う[[原子核反応|核反応]]によって生ずるものである。この結果を受けてラザフォードは、翌[[1920年]]に[[王立協会|ロンドン王立協会]]に於いて行なった講義の中で、原子核を構成する粒子には陽子の他に陽子とほとんど同じ質量で中性の粒子が存在すると予想した{{sfnp|Rutherford|1920}}{{R|atomica}}。
 
 
 
それから10年後の[[1930年]]に[[ドイツ]]の[[ヴァルター・ボーテ|W・ボーテ]]と[[ハーバート・ベッカー|H・ベッカー]]は、[[ポロニウム]]から放出されるα線を、[[リチウム]]、[[ベリリウム]]、[[ホウ素]]などの軽元素に当てると非常に強い透過力をもった[[放射線]](当時はまだベリリウム線と呼ばれていた)が放出される事を発見した{{sfnp|Bothe|Becker|1930a}}{{R|atomica}}。2人はベリリウム線の正体は[[ガンマ線|γ線]]であると推測し、そのエネルギーは普通のγ線の大体2倍程度であると結論付けた{{sfnp|Bothe|Becker|1930b}}{{R|atomica}}。
 
 
 
その翌年の[[1931年]]に、ジョリオ=キュリー夫妻([[イレーヌ・ジョリオ=キュリー|イレーヌ]]と夫の[[フレデリック・ジョリオ=キュリー|フレデリック]])は、[[パリ]]のラジウム研究所において、このベリリウム線を[[パラフィン]]や[[セロファン]]などの水素を含む物質にあてると、これから高速度の水素核すなわち陽子が飛び出す事を発見した{{sfnp|Curie|1931}}{{R|atomica}}。2人もやはりボーテとベッカーと同じくベリリウム線の正体は[[ガンマ線|γ線]]であると考えていたが{{sfnp|Curie|Joliot-Curie|1932}}{{R|nipponica|atomica}}、実験から様々な矛盾が出て来た{{refnest|group="注"|夫妻は陽子が飛び出して来る理由を、γ線が陽子に当たった際に発生する[[コンプトン効果]]であると考えた。そこで、飛び出して来る陽子のエネルギーからそのエネルギーを計算してみると、γ線の持つエネルギーが {{Val|50|u=MeV}} となった{{R|atomica}}。}}。その結果を受ける形で、同年、ケンブリッジ大学の Webster によって、ベリリウム線の放出がγ線の放出と全く異なる事が示された。
 
 
 
これらの実験結果を総合して、同年に同じくケンブリッジ大学の物理学者[[ジェームズ・チャドウィック]]は、それら矛盾はベリリウム線をγ線と仮定している事に起因している事に気付き、これが陽子とほとんど同じ質量で中性(電荷を持たない)の新しい素粒子からなる粒子線である事を実験的に確認し{{sfnp|Chadwick|1932a}}<ref name="atomica">[[#atomica|チャドウィックによる中性子の発見]]</ref>、これを'''中性子''' (neutron) と名付けた{{sfnp|Chadwick|1932b}}{{sfnp|武谷|1954|pp=93-95}}{{R|nipponica}}。
 
 
 
中性子の発見により、ソ連の{{仮リンク|ドミトリー・イワネンコ|en|Dmitri Ivanenko}}は直ちに原子核の構造についての従来の見解を改変し、「原子核の中には中性子と陽子だけが含まれており、電子は存在しない」という説を提唱した。[[ヴェルナー・ハイゼンベルク]]もこれを支持し、以後の原子核理論の方向性を決める事になったと言われる彼の3部作の論文『原子核の構造について1〜3(Über den Bau der Atomkerne Ⅰ-Ⅲ){{sfnp|Heisenberg|1932a}}{{sfnp|Heisenberg|1932b}}{{sfnp|Heisenberg|1933}}』の基本仮定として採用される事となった{{sfnp|湯川|坂田|武谷|1965|pp=44-45}}{{R|nipponica}}。
 
 
 
== 脚注 ==
 
{{脚注ヘルプ}}
 
=== 注釈 ===
 
{{Reflist|30em|group="注"}}
 
=== 出典 ===
 
{{Reflist|25em}}
 
 
 
== 関連文献 ==
 
=== 原論文 ===
 
;[[アーネスト・ラザフォード]]
 
* {{Cite journal|title=Collisions of alpha Particles with Light Atoms. IV. An Anomalous Effect in Nitrogen.|url=http://web.lemoyne.edu/~giunta/rutherford.html|first=E.|last=Rutherford|authorlink=アーネスト・ラザフォード|journal=F. R. S.|publisher=The London, Edinburgh and Dublin Philosophical Magazine and Journal of Science|series=6th series|volume=37|issue=581|date=1919|ref=harv}}
 
* {{Cite journal|title=Bakerian Lecture: Nuclear Constitution of Atoms|url=http://web.lemoyne.edu/~giunta/ruth1920.html|first=E.|last=Rutherford|authorlink=アーネスト・ラザフォード|journal=[[フィロソフィカル・トランザクションズ|Proc. Roy. Soc. A]]|volume=97|issue=686|pages=374-400|date=June 3, 1920|doi=10.1098/rspa.1920.0040|ref=harv}}
 
;[[ヴァルター・ボーテ]]及びH.ベッカー
 
* {{Cite journal|first=W.|last=Bothe|first2=H.|last2=Becker|authorlink1=ヴァルター・ボーテ|title=Künstliche Erregung von Kern-γ-Strahlen|journal=[[ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク|Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei]]|publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer-Verlag]]|year=1930|month=May|volume=66|issue=5-6|pages=289-306|oclc=884174965|issn=0044-3328|bibcode=1930ZPhy...66..289B|doi=10.1007/BF01390908|ref={{Sfnref|Bothe|Becker|1930a}}}}
 
* {{Cite journal|first=W.|last=Bothe|first2=H.|last2=Becker|authorlink1=ヴァルター・ボーテ|title=Eine γ-Strahlung des Poloniums|journal=[[ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク|Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei]]|publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer-Verlag]]|year=1930|month=May|volume=66|issue=5-6|pages=307-310|oclc=884174965|issn=0044-3328|doi=10.1007/BF01390909|ref={{Sfnref|Bothe|Becker|1930b}}}}
 
* {{Cite journal|title=Die in Bor und Beryllium erregten γ-Strahlen|year=1932|month=July|last1=Becker|first1=H.|last2=Bothe|first2=W.|authorlink2=ヴァルター・ボーテ|journal=[[ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク|Zeitschrift für Physik]]|publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer-Verlag]]|volume=76|issue=7–8|page=421-438|oclc=884174965|issn=0044-3328|bibcode=1932ZPhy...76..421B|doi=10.1007/BF01336726}}
 
;[[イレーヌ・ジョリオ=キュリー]]と[[フレデリック・ジョリオ=キュリー]]の夫妻
 
* {{Cite journal|first=I.|last=Curie|authorlink=イレーヌ・ジョリオ=キュリー|url=http://visualiseur.bnf.fr/CadresFenetre?O=NUMM-3146&I=1416|title=Sur le rayonnement γ nucléaire excité dans le glucinium et dans le lithium par les rayons α du polonium.|journal=C. R. Acad. Sci. Paris|volume=193|pages=1412-1414|date=December 28, 1931|oclc=49235124|issn=1631-073X|ref=harv}}
 
* {{Cite journal|first=F.|last=Joliot-Curie|authorlink=フレデリック・ジョリオ=キュリー|url=http://visualiseur.bnf.fr/CadresFenetre?O=NUMM-3146&I=1419|title=Sur l'excitation des rayons γ nucléaires du borepar les particules α Énergie quantique du rayonnement γ du polonium.|journal=C. R. Acad. Sci. Paris|volume=193|pages=1415-1417|date=December 28, 1931|oclc=49235124|issn=1631-073X}}
 
* {{Cite journal|first=I.|last=Curie|first2=F.|last2=Joliot-Curie|authorlink=イレーヌ・ジョリオ=キュリー|authorlink2=フレデリック・ジョリオ=キュリー|url=http://visualiseur.bnf.fr/CadresFenetre?O=NUMM-3147&I=273|title=Émission de protons de grande vitesse par les substances hydrogénées sous l'influence des rayons γ très pénétrants.|journal=C. R. Acad. Sci. Paris|volume=194|pages=273-275|date=April 11, 1932|oclc=49235124|issn=1631-073X|ref=harv}}
 
* {{Cite journal|first=I.|last=Curie|first2=F.|last2=Joliot-Curie|authorlink=イレーヌ・ジョリオ=キュリー|authorlink2=フレデリック・ジョリオ=キュリー|url=http://visualiseur.bnf.fr/CadresFenetre?O=NUMM-3147&I=1236|title=Sur la nature du rayonnement pénétrant excité dans les noyaux légers par les particules α.|journal=C. R. Acad. Sci. Paris|volume=194|pages=1229-1232|date=April 11, 1932|oclc=49235124|issn=1631-073X}}
 
;[[ジェームズ・チャドウィック]]
 
* {{Cite journal|title=Possible Existence of a Neutron|url=http://www.chemteam.info/Chem-History/Chadwick-neutron-letter.html|first=James|last=Chadwick|authorlink=ジェームズ・チャドウィック|journal=[[ネイチャー|Nature]]|volume=129|issue=3252|page=312|date=February 27, 1932|oclc=263593080|issn=0028-0836|bibcode=1932Natur.129Q.312C|doi=10.1038/129312a0|ref={{Sfnref|Chadwick|1932a}}}}
 
* {{Cite journal|title=The Existence of a Neutron|url=http://www.chemteam.info/Chem-History/Chadwick-1932/Chadwick-neutron.html|first=J.|last=Chadwick|authorlink=ジェームズ・チャドウィック|publisher=F.R.S.|journal=[[フィロソフィカル・トランザクションズ|Proc. Roy. Soc., A]]|volume=136|issue=830|pages=692-708|date=May 10, 1932|doi=10.1098/rspa.1932.0112|ref={{Sfnref|Chadwick|1932b}}}}
 
* {{Cite journal|title=Bakerian Lecture. The Neutron|date=June 27, 1933|last1=Chadwick|first1=J.|authorlink=ジェームズ・チャドウィック|journal=[[フィロソフィカル・トランザクションズ|Proc. Roy. Soc., A]]: Mathematical, Physical and Engineering Sciences|volume=142|issue=846|page=1-25|bibcode=1933RSPSA.142....1C|doi=10.1098/rspa.1933.0152}}
 
;[[ヴェルナー・ハイゼンベルク]]
 
* {{Cite journal|last=Heisenberg|first=W.|authorlink=ヴェルナー・ハイゼンベルク|title=Über den Bau der Atomkerne. I|trans_title=原子核の構造について 1|journal=[[ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク|Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei]]|publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer-Verlag]]|volume=77|issue=1-2|pages=1–11|year=1932|month=January|oclc=884174965|issn=0044-3328|doi=10.1007/BF01342433|bibcode=1932ZPhy...77....1H|ref={{Sfnref|Heisenberg|1932a}}}}
 
* {{Cite journal|last=Heisenberg|first=W.|authorlink=ヴェルナー・ハイゼンベルク|title=Über den Bau der Atomkerne. II|trans_title=原子核の構造について 2|journal=[[ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク|Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei]]|publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer-Verlag]]|volume=78|issue=3–4|pages=156–164|year=1932|month=March|oclc=884174965|issn=0044-3328|doi=10.1007/BF01337585|bibcode=1932ZPhy...78..156H|ref={{Sfnref|Heisenberg|1932b}}}}
 
* {{Cite journal|last=Heisenberg|first=W.|authorlink=ヴェルナー・ハイゼンベルク|title=Über den Bau der Atomkerne. III|trans_title=原子核の構造について 3|journal=[[ツァイトシュリフト・フュア・フィジーク|Zeitschrift für Physik A Hadrons and Nuclei]]|publisher=[[シュプリンガー・サイエンス・アンド・ビジネス・メディア|Springer-Verlag]]|volume=80|issue=9–10|pages=587–596|year=1933|month=September|oclc=884174965|issn=0044-3328|doi=10.1007/BF01335696|bibcode=1933ZPhy...80..587H|ref=harv}}
 
 
 
== 参考文献 ==
 
=== 書籍 ===
 
; 洋書
 
* {{cite book|first=A. Edward|last=Profio|title=Experimental Reactor Physics|url=http://www.osti.gov/scitech/biblio/4072969|edition=1st|location=[[ニューヨーク|New York]]|publisher=[[ジョン・ワイリー・アンド・サンズ|John Wiley & Sons]]|date=February 3, 1976|page=4|isbn=0-471-70095-9|ncid=BA07529299|oclc=1849155|asin=0471700959}}
 
; 和書
 
* {{cite book|和書|author=スティーブン・ワインバーグ|authorlink=スティーヴン・ワインバーグ|translator=[[本間三郎]]|title=電子と原子核の発見―20世紀物理学を築いた人々|url=http://www.nikkei-science.com/page/sci_book/06260.html|publisher=[[日経サイエンス]]社|date=1986-01-23|pages=171-178|id={{全国書誌番号|86023308}}|oclc=674589858|isbn=978-4532062606|ncid=BN00244226|asin=4532062608}}
 
* {{cite book|和書|author=エミリオ・セグレ|authorlink=エミリオ・セグレ|translator=[[久保亮五]]、矢崎裕二|title=X線からクオークまで―20世紀の物理学者たち|url=http://www.msz.co.jp/book/detail/02466.html|publisher=[[みすず書房]]|date=1982-12-24|pages=235-245|id={{全国書誌番号|83015277}}|isbn=978-4622024668|ncid=BN00625139|oclc=674354038|asin=4622024667}}
 
* {{cite book|和書|author=ノーベル財団|authorlink=ノーベル財団|editor=[[中村誠太郎]]、小沼通二編|title=ノーベル賞講演、物理学|volume=第5巻|publisher=[[講談社]]|date=1978-10|pages=141-152|isbn=978-4061263352|asin=4061263358}}
 
* {{cite book|和書|author=ジェームズ・チャドウィック|authorlink=ジェームズ・チャドウィック|translator=木村一治、玉木英彦|title=中性子の発見と研究|publisher=大日本出版|date=1950|pages=3-66|asin=B000JB7JHW}}
 
* {{cite book|和書|title=放射線・アイソトープ 講義と実習|editor=[[日本アイソトープ協会]](編)|publisher=[[丸善]]|date=1992-10|id={{全国書誌番号|93002007}}|isbn=978-4621037454|ncid=BN08081205|asin=4621037455|oclc=674781852|ref={{sfnref|日本アイソトープ協会|1992}}}}
 
* {{cite book|和書|title=原子核工学|first=Raymond L.|last=Murray|translator=杉本 朝雄|publisher=丸善|year=1955|asin=B000JB4RX6|ref={{Sfnref|Murray|杉本|1955}}}}
 
* {{cite book|和書|title=素粒子の探求|last=湯川|first=秀樹|last2=坂田|first2=昌一|last3=武谷|first3=三男|authorlink1=湯川秀樹|authorlink2=坂田昌一|authorlink3=武谷三男|date=1965-05|series=科学論・技術論双書|publisher=[[勁草書房]]|isbn=978-4326798032|asin=4326798033|ref=harv}}
 
* {{cite book|和書|title=熱力学・統計力学|last=原島|first=鮮|authorlink=原島鮮|edition=改訂版|publisher=[[培風館]]|date=1978-09|id={{全国書誌番号|78030419}}|isbn=978-4563021399|ncid=BN00073393|asin=4563021393|ref=harv}}
 
* {{cite book|和書|title=弁証法の諸問題|last=武谷|first=三男|authorlink=武谷三男|publisher=勁草書房・[[理論社]]|date=1954-11-20|asin=B000JB5HKI|ref=harv}}
 
* {{Cite book|和書|title=物理小事典|edition=第4版|date=2008|origdate=1994-04|publisher=[[三省堂]]|id={{全国書誌番号|94041161}}|oclc=675375379|ncid=BN10774805|asin=4385240167|isbn=978-4385240169|ref=jiten}}
 
* {{Cite book|和書|title=化学小事典|edition=第4版|date=2008|origdate=1993-12|publisher=三省堂|id={{全国書誌番号|95021622}}|ncid=BN10357874|oclc=674607619|asin=4385240256|isbn=978-4385240251|ref=jiten2}}
 
 
 
== 関連項目 ==
 
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* [[原子核物理学]]
 
* [[核種]]
 
* [[同位体]]
 
* [[中性子線]]
 
* [[高速中性子]]
 
* [[中性子星]]
 
* [[中性子回折法]]
 
* [[中性子捕捉療法]]
 
* [[中性子拡散方程式]]
 
* [[中性子爆弾]]
 
* [[原子]]
 
* [[陽子]]
 
* [[電子]]
 
* [[反中性子]]
 
* [[中間子]]
 
{{div col end}}
 
 
 
==外部リンク==
 
* {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Category?view=pdf&Atomic+and+nuclear|title=Fundamental Physical Constants — Atomic and Nuclear Constants|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|publisher=[[アメリカ国立標準技術研究所|NIST]]|format=PDF|ref=nist}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mn|title=CODTA Value: neutron mass|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=mn}}
 
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** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mnu|title=CODATA Value: neutron mass in u|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=mnu}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mnsme|title=CODATA Value: neutron-electron mass ratio|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=mnsme}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mnsmp|title=CODATA Value: neutron-proton mass ratio|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=mnsmp}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?mnmmp|title=CODATA Value: neutron-proton mass difference|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=mnmmp}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?ncomwl|title=CODATA Value: neutron Compton wavelength|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=ncomwl}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?ncomwlbar|title=CODATA Value: neutron Compton wavelength over 2 pi|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=ncomwlbar}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?munn|title=CODATA Value: neutron magnetic moment|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=munn}}
 
** {{Cite web|url=http://physics.nist.gov/cgi-bin/cuu/Value?munsmun|title=CODATA Value: neutron magnetic moment to nuclear magneton ratio|publisher=NIST|date=2015-06-25|accessdate=2015-06-28|ref=munsmun}}
 
* {{Cite web|url=http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_Key=16-03-03-09|title=チャドウィックによる中性子の発見|work=[[原子力]][[百科事典]] [[ATOMICA]]|publisher=[[財団法人|一般財団法人]] [[高度情報科学技術研究機構]] (RIST)|date=1998-05|accessdate=2015-08-08|ref=atomica}}
 
* [http://www.jsns.net/jp/ 日本中性子科学会]
 
* {{Kotobank|2=[[日本大百科全書]](ニッポニカ)}}
 
 
 
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2019/4/27/ (土) 17:14時点における最新版

中性子(ちゅうせいし、: : : : : neutron

原子核を構成する中性の粒子。ニュートロンともいう。質量は 939.6MeVで,陽子の質量にほぼ等しく,電子の質量の約 1840倍である。スピン 1/2のフェルミオンで,中性であるにもかかわらず大きい磁気モーメント(-1.913×μN。μN核磁子)をもつ。クォーク構造は udd。1932年ジェームズ・チャドウィックが発見した。ただちにウェルナー・カルル・ハイゼンベルクは中性子と陽子とが原子核の構成要素であると指摘して,従来の核理論の難点を解消し,核構造論の基礎を築いた。ハイゼンベルクは陽子と中性子とは,質量やそれらを結合させる核力がほぼ等しいので,核子という一つの粒子の違った荷電状態であるとみなした。この考え方は素粒子の分類に広く用いられている。中性子は電荷をもたないので核の中へ入りやすく,容易に核反応を起こすので原子核の研究に重要な役割を果たす。中性子はエネルギーによって分類されており,核分裂などの核反応で放出されるエネルギーが数百万eVのものを速い中性子,水素を含む物質中で減速された数千eVのものを遅い中性子,さらに減速されて物質中の熱運動の程度になった約 0.025eVのものを熱中性子という(中性子の減速)。速い中性子よりも遅い中性子のほうが核反応を起こしやすい。熱中性子線は,その波動性(ド・ブロイ波長〈ド・ブロイ波〉が 1Å程度)を利用して結晶や分子の構造解析や,中性子の大きい磁気モーメントを利用した磁性の研究など,広く物性研究に用いられる。中性子線はその透過性を利用して,X線やγ線と同様に,物体を透視する非破壊検査に用いられる。自由な中性子は不安定であって平均寿命 15分程度で崩壊し,電子と反電子ニュートリノを放出して陽子に転換する。この過程が原子核内で起こるのが放射性元素のβ崩壊である。



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