下北半島

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下北半島(しもきたはんとう)は、青森県の北東部にある半島。半島全体が下北半島国定公園となっており、本州最北端の地である大間崎や、日本三大霊場恐山などがある。

斗南藩(「北斗以南皆帝州」から命名)にちなみ「斗南半島」とも呼ばれ、半島が「(まさかり)」の形に似ているので「鉞半島」「まさかり半島」の別名もある。

地理

下北半島の位置
下北半島
下北半島の位置
ファイル:ShimokitaPenn.jpg
上空から望む下北半島。上方が東。

青森県北東部に位置する。野辺地町付近から下北丘陵が北へ向かって直線的に突き出している。その北部からは西に向かって大きな三角形の半島がさらに突きだしており、陸奥湾の東側半分(野辺地湾大湊湾)を抱き込むような形になっている。西にある津軽半島との間には平舘海峡がある。半島の北東端は下北丘陵の終端部に当たる尻屋崎、北西端は本州最北端の大間崎である。北側では、津軽海峡を挟んで北海道渡島半島と向かい合う。

「まさかりの刃」にあたる部分には、釜臥山(879m)を最高峰とする恐山山地が広がり、平地はほとんど見られない。下北丘陵との接合部には田名部低地が広がっており、半島の中心都市であるむつ市がここにある。「まさかりの柄」にあたる部分は、南北約50km、東西10-15km。半島は太平洋と陸奥湾を隔てており、北部には日本最大である猿ヶ森砂丘がある。南端の太平洋側、半島の付け根には小川原湖湖沼群(他に尾駮沼、鷹架沼、市柳沼、田面木沼、内沼、姉沼)という海跡湖や堰止湖が並んでいる。 約20万年前は本州と恐山山地と下北丘陵は海峡で隔てられていたが、海流が恐山山地を洗い、大量の土砂を運搬したため、陸地をつなぐ平野を形成し、太平洋岸の砂丘や河跡湖を形成した。また緑色凝灰岩を主とする恐山山地西部を侵食し仏ヶ浦の奇岩群を形成した[1]

下北半島にある市町村は以下の通りである。 むつ市、下北郡(風間浦村大間町佐井村東通村)、上北郡(横浜町、野辺地町、六ヶ所村)。 人口98,155人、面積1,876.82km²、人口密度52.3人/km²。(2018年4月1日、推計人口)。 なお下北地方は、むつ市田名部を中心として3つの地方に区分される。

気候

日本海式気候に属す。また、ケッペンの気候区分では大部分の地域がCfbに区分される。海に囲まれているため、同一半島内であっても地域によって気候に違いがある。

  • 西通り:陸奥湾に面している。夏は暑く、冬にが多い。
  • 北通り:津軽海峡に面している。冬に津軽海峡から吹きつける風が強く、降雪量および積雪量が少ない。
  • 東通り:津軽海峡と太平洋に面している。夏に北東から吹く季節風(やませ)の影響強い。山間部では降雪量および積雪量が多いが、沿岸部では少ない。
  • 上北郡横浜町、野辺地町:陸奥湾に面している。冬に雪が多い。
  • 上北郡六ヶ所村:太平洋に面している。東通村同様、山間部では降雪量および積雪量が多いが、沿岸部では少ない。

自然

下北半島は本州の最北端に位置し、いくつかの生物の北限地となっていることから、半島と北海道の間は分布境界線であるブラキストン線に定義されている。ニホンザル北限のニホンザル)がヒトを除く霊長類では世界で最も北に生息しているほか、ツキノワグマニホンカモシカの北限地でもあり、シュレーゲルアオガエル大間町で繁殖の北限にあたる。なお下北半島のツキノワグマ個体群は環境省のレッドデータブックで「絶滅のおそれのある地域個体群」として評価されている[2]。また、宇曽利湖ウグイ強酸性の湖水に生息する魚類として知られており、一般に魚類が生息できる酸性度の限界を越えた環境下で生息している。

下北半島には、国の天然記念物に指定されている「縫道石山・縫道石の特殊植物群落」があり、オオウラヒダイワタケキザキナナカマドコメバツガザクラ等が生育している。また下北半島の西部は、1984年(昭和59年)11月1日に、国指定下北鳥獣保護区(希少鳥獣生息地)に指定されている(面積4,946ha、うち特別保護地区1,068ha)。

交通

道路青森市などの津軽地方や、下北半島を含む南部地方三沢八戸方面とは、野辺地町または六ケ所村経由で複数接続されている。現在、下北半島縦貫道路が建設中である。

鉄道は、JR東日本大湊線が、野辺地駅青い森鉄道線と接続している。かつて半島北部を走っていた下北交通大畑線は2001年に廃止されている。鉄道空白エリアが多いうえ、大湊線は駅間が長いため、主に下北交通路線バスが運行されている。

下北半島の西端と津軽地方は、直線距離では海上経由の方が近い。このため、むつ市脇野沢・佐井村などと青森港を結ぶ旅客船(シィライン)が運航されているほか、脇野沢と津軽半島蟹田港を結ぶ「むつ湾フェリー」(冬季運休)が平舘海峡を結んでいる。

また北端の大間町からは北海道の函館まで津軽海峡フェリーが運航されている。下北半島の北部には、北海道南部の大都市である函館へ買い物や通院する住民も少なくない。

生活圏間流動

国土交通省「全国幹線旅客純流動調査」によると、下北を出発地あるいは居住地とする者の純流動は、以下のようになっている。同調査では、青森県内の各生活圏間の流動データがないが、下北と陸続きである三八上北地方県庁所在地青森市との流動が、下記の生活圏よりも多いと考えられる。

207地域生活圏(2006年3月末現在)
東北地方は白地、北海道は「」、関東地方は「」。
出発地:下北[3]
目的地 万人/年
1 盛岡 3.1
2 仙台 3.0
3 函館 2.8
4 東京23区 2.5
居住地:下北[4]
旅行先 万人/年
1 仙台 3.5
2 函館 3.3
2 東京23区 3.3
4 盛岡 2.5

観光

ファイル:FUM 7256.jpg
夏の仏ヶ浦海岸の様子

下北半島は半島全体が下北半島国定公園となっている。温泉が多く、景勝地では尻屋崎大間崎イタコで有名な霊場恐山がある。

エネルギー産業施設

下北半島にはエネルギー産業にかかわる施設がいくつもある。

脚注

  1. 地理 2016.3 Vol.61
  2. ニホンザルも「下北半島のホンドザル」として2002年発行のレッドデータブックまで「絶滅のおそれのある地域個体群」として評価されていたが、2007年版レッドリストで削除された。
  3. 207生活圏間流動データ表(年間)出発地-目的地(全交通機関、平日・休日データ利用、2005年)
  4. 207生活圏間流動データ表(年間)居住地-旅行先(全交通機関、平日・休日データ利用、2005年)

関連項目