ロシア臨時政府
| ロシアの歴史 | |
|---|---|
 この記事はシリーズの一部です。 | |
| ヴォルガ・ブルガール (7c–13c) | |
| ハザール (7c–10c) | |
| キエフ大公国 (9c–12c) | |
| ウラジーミル・スーズダリ大公国 (12c–14c) | |
| ノヴゴロド公国 (12c–15c) | |
| タタールの軛 (13c–15c) | |
| モスクワ大公国 (1340–1547) | |
| ロシア・ツァーリ国 (1547–1721) | |
| ロシア帝国 (1721–1917) | |
| ロシア臨時政府/ロシア共和国 (1917) | |
| ロシア・ソビエト連邦社会主義共和国/ソビエト社会主義共和国連邦 (1917–1991) | |
| ロシア連邦 (1992-現在) | |
ロシア ポータル |
ロシア臨時政府（ロシアりんじせいふ、ロシア語: Временное правительство России, tr. Vremennoye pravitel'stvo Rossii）は、 1917年の二月革命後にロシアで成立した暫定政権。
Contents
沿革
1917年3月に勃発したロシア革命（二月革命）により、ロシア皇帝ニコライ2世は退位し、ロシア帝国は打倒され、代わって新政府が樹立された[1]。
臨時政府下では、ペトログラード労兵ソビエトが軍の指揮権を掌握していた[2]。そして、第一次世界大戦の継続を目指す第一次臨時政府と、講和を求めるソビエトのあいだで対立が生じ、第一次臨時政府は崩壊した[2]。
同年5月5日、自由主義者に加えて、社会革命党（エスエル）とメンシェビキを中心とする社会主義者たちが参加する第一次連立政府が成立した[3]。この政府もウクライナ自治問題をめぐって立憲民主党（カデット）の閣僚が辞任して崩壊し、社会主義者であるケレンスキーを首班とする第二次連立政府が成立した[4]。一時的にソビエトの力は弱まったものの、「コルニーロフ反乱」が起きた際には、ケレンスキーはソビエトを頼らざるを得なかった[4]。同年9月1日（グレゴリオ暦9月14日）には国号をロシア共和国（Российская республика）とすることを発表したが、元老院はこれを拒否し、法令としての告示は行われなかった[5]。
1917年10月25日（グレゴリオ暦11月7日）の十月革命により、ボリシェビキの主導するソビエトによって臨時政府は解体された[6]。脱出・逃亡したアレクサンドル・ケレンスキーを除く第三次臨時政府の閣僚たちのほとんどは逮捕・監禁されたが、その後国外追放され、もしくは脱獄・亡命した[注釈 1]。リヴォフ以下その他の閣僚経験者も大多数が亡命した。
閣僚
第一次臨時政府
出典:[7]
| 職名 | 氏名 | 所属 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| 首相 内相 |
60px | ゲオルギー・リヴォフ | 無所属 | |
| 外相 | 60px | パーヴェル・ミリュコーフ | カデット | |
| 陸海軍相 | 60px | アレクサンドル・グチコフ | オクチャブリスト | |
| 運輸相 | 60px | ニコライ・ネクラーソフ | カデット | |
| 商工相 | 60px | アレクサンドル・コノヴァーロフ | 進歩党 | |
| 蔵相 | 60px | ミハイル・テレシチェンコ | 無所属 | |
| 文相 | 60px | アレクサンドル・マヌイロフ | カデット | |
| 農相 | 60px | アンドレイ・シンガリョフ | カデット | |
| 法相 | 60px | アレクサンドル・ケレンスキー | トルドヴィキ | |
| 宗務院長 | 60px | ウラジーミル・リヴォフ | 中央派 | |
| 会計監査院長 | 60px | イワン・ゴドネフ | オクチャブリスト | |
| フィンランド担当相 | 60px | フョードル・ロジチェフ | カデット | |
第一次連立政府
四月危機後の臨時政府の閣僚は以下の通り:
出典:[8]
| 職名 | 氏名 | 所属 | 備考 | |
|---|---|---|---|---|
| 首相 内相 |
60px | ゲオルギー・リヴォフ | 無所属 | 留任 |
| 外相 | 60px | ミハイル・テレシチェンコ | 無所属 | 蔵相から転任 |
| 陸海相 | 60px | アレクサンドル・ケレンスキー | 社会革命党 | 法相から転任 |
| 交通相 | 60px | ニコライ・ネクラーソフ | カデット | 留任 |
| 商工相 | 60px | アレクサンドル・コノヴァーロフ | 進歩党 | 留任 |
| 蔵相 | 60px | アンドレイ・シンガリョフ | カデット | 農相から転任 |
| 文相 | 60px | アレクサンドル・マヌイロフ | カデット | 留任 |
| 農相 | 60px | ヴィクトル・チェルノフ | 社会革命党 | |
| 法相 | 60px | パーヴェル・ペレヴェルゼフ | トルドヴィキ | |
| 郵相 | 60px | イラクリー・ツェレテリ | メンシェビキ | |
| 労働相 | 60px | マトヴェイ・スコベレフ | メンシェビキ | |
| 食糧相 | 60px | アレクセイ・ペシェホーノフ | 人民社会党 | |
| 国家後見相 | 60px | ドミトリー・シャホフスコーイ | カデット | |
| 宗務院長 | 60px | ウラジーミル・リヴォフ | 中央派 | 留任 |
| 会計監査院長 | 60px | イワン・ゴドネフ | オクチャブリスト | 留任 |
,_Russian_revolutionary_(small).jpg){kind=link}
第二次連立政府
ケレンスキーの実権掌握後の閣僚は以下の通り:
出典:[1]
- 首相兼陸海軍相：アレクサンドル・ケレンスキー
- 副首相：ニコライ・ネクラーソフ
- 内相：ニコライ・アフクセンチェフ
- 外相：ミハイル・テレシチェンコ
- 蔵相：ニコライ・ネクラーソフ
- 法相：アレクサンドル・ザルドーヌイ
- 運輸相：ピョートル・ユーレネフ
- 商工相：セルゲイ・プロコヴィチ
- 文相（教育相）：セルゲイ・オルデンブルク
- 農相：ヴィクトル・チェルノフ
- 労相：マトヴェイ・スコベレフ
- 食糧相：アレクセイ・ペシェホノフ
- 国家後見相：イワン・エフレーモフ
- 郵政相：アレクセイ・ニキーチン
- 宗務院長：アントン・カルタシェフ
- 会計監査院長：フョードル・ココシキン
第三次連立政府
第三次臨時政府の閣僚は以下の通り:
出典:[1]
- 首相：アレクサンドル・ケレンスキー
- 副首相：アレクサンドル・コノヴァロフ
- 内相：アレクセイ・ニキーチン
- 外相：ミハイル・テレシチェンコ
- 陸相：アレクサンドル・ヴェルホフスキー
- 海相：ドミトリー・ヴェルジェレフスキー
- 蔵相：ミハイル・ベルナツキー
- 法相：パーヴェル・マリャントヴィチ（メンシェヴィキ）
- 運輸相：アレクサンドル・リヴェロフスキー
- 商工相：アレクサンドル・コノヴァロフ
- 文相（教育相）：セルゲイ・サラズキン
- 農相：
- 労相：クズマ・グヴォージェフ
- 食糧相：セルゲイ・プロコポーヴィチ
- 国家後見相：ニコライ・キシュキン
- 郵政相：アレクセイ・ニキーチン
- 宗務院長：アントン・カルタシェフ
- 会計監査院長：セルゲイ・スミルノフ
- 経済評議会議長：セルゲイ・トルチャコフ
脚注
注釈
- ↑ 陸軍大臣のアレクサンドル・ヴェルホフスキーのみ赤軍に参加し、後に大粛清の犠牲となる
出典
参考文献
- 池田嘉郎 『ロシア革命 破局の8か月』 岩波書店〈岩波新書〉、2017年。ISBN 9784004316374。
- 『ロシア近現代史 ピョートル大帝から現代まで』 藤本和貴夫・松原広志、ミネルヴァ書房、1999年。ISBN 9784623027477。
関連文献
- アレクサンドル・ケレンスキー. The Catastrophe: Kerensky’s Own Story of the Russian Revolution. New York: D. Appleton and Company, 1927.
- ロイ・メドヴェージェフ. The October Revolution. New York: Columbia University Press, 1979.
- ジョン・リード. 世界を揺るがした十日間. New York: Boni & Liveright, 1919.
- ニコライ・リャザノフスキー. A History of Russia (sixth edition). New York: Oxford University Press, 2000.
- レフ・トロツキー. Lessons of October. New York: Pioneer Publishers, 1937 (1924).
関連項目
- 冬宮殿 - 臨時政府所在地