ラディーノ語

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ラディーノ語ladino)は、イタリアバルカン半島中東などに住む、スペインユダヤ教徒セファルディムスペイン語方言と位置づけられる言語。ユダヤ・スペイン語(judeoespañol)、ジュデズモ語(dzhudezmo)とも言われる。

1492年レコンキスタの結果グラナダが陥落し、イスラム教徒が追放されたが、イスラム教徒とキリスト教徒の仲立ち・潤滑油の役割を果たし、文明・文化の伝達役であったユダヤ教徒までもスペインから追放されることとなってしまった。この後、結果的にはスペイン経済の没落を招くことになった(同年ユダヤ教徒の末裔という説も一部にはあるクリストファー・コロンブスアメリカ大陸を再発見している)。ユダヤ教徒はイタリア、バルカン半島、北アフリカなどに逃れたが、このスペイン語は15世紀末のスペイン語の特徴を一部そのまま残すといわれ、スペイン語歴史文法の研究上貴重な資料を残す。

イディッシュ語ほどユダヤ色は強くない。

なお、アメリカのピアニストマレイ・ペライアはギリシア系セファルディムの旧家の出であり、ニューヨークに生まれ育ったにもかかわらず、最初に覚えた言語はラディーノ語だったという。

言語学的記述

形態論

現在時制および過去時制の規則動詞活用例。

現在時制
  -er
(komer: "comer")
-ir
(bivir: "vivir")
-ar
(favlar: "hablar")
yo -o : komo, bivo, favlo
tu -es : komes, bives -as : favlas
el, eya -e : kome, bive -as : favla
mozotros -emos : komemos -imos : bivimos -amos : favlamos
vos, vozotros -ésh : komésh -ísh : bivísh -ásh : favlásh
eyos, eyas -en : komen, biven -as : favlan
過去時制
  -er
(komer)
-ir
(bivir)
-ar
(favlar)
yo -í : komí, biví, favlí
tu -ites : komites, bivites -ates : favlates
el, eya -yó : kom, biv -ó : favló
mozotros -imos : komimos, bivimos, favlimos
vos, vozotros -itesh : komitesh, bivitesh -atesh : favlatesh
eyos, eyas -yeron : komyeron, bivyeron -aron : favlaron

音声的特徴

その他、ヘブライ語の発音のために独特な音素を持つ;

  • Yerušalayim(エルサレム
  • "Vos que soš padre rachmán..."(高くにおられる恵み深き父よ)

なお、現代イスラエルヘブライ語にはセファルディム式が公用語として採用された(mattzah, pl.mattzot〈マッツァー〉など。アシュケナジム式ではmattzoh, mattzos)。

脚注

関連項目

外部リンク

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