プラセオジム

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プラセオジム: praseodymium)は原子番号59の元素元素記号Pr希土類元素の一つ(ランタノイドにも属す)。

和名のプラセオジムとは、ドイツ語の praseodym からきている。なお、プラセオジムと呼ばれたり記述することもあるが、これは間違った呼称である。

性質

銀白色の金属で、常温、常圧で安定な結晶構造は、複六方最密充填構造(ABACスタッキング)。798 °C以上で体心立方構造が安定となる。比重は6.77、融点は935 °C沸点は3020 °C (3127 °C)。

常温下の空気中で酸化され表面は黄色の酸化物で覆われる。290 °C以上で発火し Pr6O11 の組成の酸化物を生成する。展性延性があり、熱水と徐々に反応し水素および水酸化物を生成する。には易溶で淡緑色の3価の水和イオンを生成する。

<ce>2Pr\ + 6 H^+(aq) -> Pr^{3+}(aq)\ + 3 H2</ce>
<ce>Pr^{3+}(aq)\ + 3\mathit{e}^- =\ Pr </ce> [math]\ E^\circ = -2.35 \mathrm{V}[/math]

加熱下で水素窒素と反応する。原子価は+3, 4価をとり、4価は固体(化合物)の場合のみ安定である。イオンの色は3価では緑色、4価では黄色。

プラセオジムは極低温下で特殊な磁気構造をとる。

用途

Pr6O10ガラスの着色剤(黄緑色)に使われる。また黄色顔料プラセオジムイエロージルコンに4価のプラセオジムイオンが固溶したものである。

光ファイバの増幅器で、励起光の波長制御のため添加される。

コバルトとの合金はプラセオジム磁石の材料となる。また、ネオジムとの合金はジジムといい、防眩(ぼうげん)ガラス及び防塵ガラスの材料ならびに特殊合金に用いられる[1]

歴史

オーストリアカール・アウアー・フォン・ヴェルスバッハが、もともと一つの元素と考えられていた混合物であるジジミウム: didymiumジジムDeutsch版 : Didym)からネオジムと共に1885年に発見[2]ギリシャ語でニラを意味する prason と(三価のイオンが緑色を呈することから)、ジジミウム(元は、双子を意味する didymos から命名された)を合成したのが語源[2]

プラセオジムの化合物

同位体

出典

  1. 岩波書店 岩波科学百科 1020頁
  2. 2.0 2.1 桜井弘 『元素111の新知識』 講談社1998年、265頁。ISBN 4-06-257192-7 


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