ファラオ

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ファラオ(英語:Pharaoh)は、古代エジプト君主称号。しばしばと和訳される。

概要

古代エジプトの君主の称号〈君主号〉。神権皇帝。古代エジプト語の「ペル・アア」が語源である。旧約聖書では「パロ」(文語訳聖書口語訳聖書新改訳聖書)もしくは「ファラオ」(新共同訳聖書)という転写で登場。クルアーンでは「フィルアウン」として出てくる。

ペル・アアとは「大きな家」の意味であり、王宮そのものを表す言葉であったが、転じて王宮に住む者、つまり王を意味するようになった。

なお、1世紀頃のローマ帝国では「エジプトの『ファラオ』は初代の王の名前でこれを代々襲名している」という俗説があったらしく、ヨセフスはこれについて『ユダヤ古代誌』第VIII巻6章2節で「ファラオはエジプトの言葉で王や王権を意味する」、「即位前は各王は個人名がちゃんとあって即位後にファラオと呼ばれる」、「(初代王の襲名自体は珍しいことではなく)アレクサンドリアの王(プトレマイオス王朝のこと)も即位すれば初代同様プトレマイオス、ローマ皇帝も即位すればカエサルと呼ばれ元の名前では呼ばれなくなる。」と説明している[1]

セベクネフェルハトシェプストクレオパトラ7世などのわずかな例外を除き、男性である(そのクレオパトラ7世も男性ファラオとの共同統治であり、単独のファラオではない)。基本的に継承権はファラオの娘である第一王女にあり、その夫が次代のファラオとなる。しかし通常は第一王子が次代のファラオになる。そのため、第一王子の王位継承を正当化するために、王位継承者である王子は、第一王女を妻に娶った。またこれは神話に基づく面もあった(オシリスとイシスの伝説参照)。つまり単なる近親婚ではなく、女系に継承されている王位を男系に実質的に継承させるための機能を果たしていた。従って必ずしも近親相姦により子をなした訳ではなく、多くのファラオは側室を娶って子をなした(クレオパトラ7世が正式には弟と結婚していながら、カエサルアントニウスの愛人であった事も、兄弟婚が形式であった事を裏付けている)。しかしながら本当に近親相姦を行い子供を産み、王位を継承した例もある事が、近年の遺伝子研究により解明されている。

ファラオは神権により支配した。名前の一部にはホルス名、セト名といった神の名前が含まれ、ファラオの関係している神や、その神官グループとの繋がりを示す。

ファラオは公式の場では冠をかぶり、普段はネメスと呼ばれる頭巾をつけていた。ただしネメスは王族以外でも着用されていた。

肘を曲げ手首を胸に置いて腕を交叉させるのがファラオを象徴するポーズであり、通常ファラオのミイラはこの格好をしている。

現代エジプトでは、「民を虐げる圧政者」という意味で使用されることがある。例を挙げれば元大統領ホスニー・ムバーラクがファラオ(フィルアウン)と呼ばれた。一方で、サッカーエジプト代表をファラオズというニックネームで呼ぶように、肯定的なイメージで用いられる場合もある。

人種

ファラオのDNAの調査報告において、人種は公表されていない。

脚注・出典

  1. フラウィウス・ヨセフス 著、秦剛平 訳『ユダヤ古代誌3 旧約時代編[VIII][XI][XI][XI]』株式会社筑摩書房、1999年、ISBN 4-480-08533-5、P58-59。

関連項目