トマト

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トマト(学名:Solanum lycopersicum英語: Tomato)は、南アメリカアンデス山脈高原地帯(ペルーエクアドル)原産のナス科ナス属植物。また、その果実のこと。多年生植物で、果実は食用として利用される。緑黄色野菜の一種である。日本語では唐柿とうし[1]赤茄子あかなす[2]蕃茄ばんか[3]小金瓜こがねうり珊瑚樹茄子さんごじゅなす[4]などの異称もある。

種としてのトマト

トマトは長らく独自の属(トマト属 Lycopersicon)に分類されてきたが、1990年代ごろからの様々な系統解析の結果、最近の分類ではナス属 (Solanum) に戻すようになってきている。元々リンネはトマトをナス属に含めてlycopersicum(ギリシャ語lycos '狼' + persicos '桃')という種小名を与えたが、1768年フィリップ・ミラーがトマト属を設立して付けたLycopersicon esculentumが学名として広く用いられてきた。この学名は国際藻類・菌類・植物命名規約上不適切な(種小名を変えずにLycopersicon lycopersicumとすべき)ものであったが、広く普及していたため保存名とされてきた。しかし系統解析によりトマト属に分類されてきた植物がナス属の内部に含まれることが明らかとなったため、ナス属を分割するか、トマト属を解消してナス属に戻すかの処置が必要になった。したがってリンネのやり方に戻して、学名もSolanum lycopersicumとするようになっている。

植物学において近年、トマトはナス科のモデル植物として注目されている。Micro Tom は矮性で実験室でも育成が可能な系統として利用されている。また、国際的なゲノムプロジェクトも行われ、ゲノム(約3万5千個の遺伝子の位置・構造、7億8千万の塩基配列)を解読した[5]

栽培種としてのトマト

植物的特性

日本では冬に枯死する一年生植物であるが、熱帯地方などでは多年生であり適切な環境の下では長年月にわたって生育し続け、延々と開花結実を続けることができる。1本仕立てで1年間の長期栽培を行うと、その生長量は8メートル - 10メートルにも達する。

通常の栽培品種(支柱に誘引するタイプ)では発芽後、本葉8葉から9葉目に最初の花房(第一花房)が付き、その後は3葉おきに花房を付ける性質をもつ。地這栽培用の品種では2葉おきに花房をつける品種も多い。

また、各節位からは側枝が発生する。側枝では5葉目と6葉目に花房が付き、その後は3葉おきに花房を付けるが、側枝は栽培管理上、除去される事が多い。がストレスを受けると正常な位置に花が付かない(花飛び)現象が発生するため、株が適切に生育しているかどうかを示す指針となる。

適温は昼温20 - 25 ℃、夜温10 - 20 ℃とされる。気温が30 ℃を超えた環境では花粉稔性の低下により着果障害や不良果が増加し、最低気温が5 - 10 ℃を下回ると障害を受ける。適湿度は65 - 85 %でありこれ以下では生育が劣り、これ以上では病気が発生しやすくなる。

潅水量が多すぎると果実が割れ、少ないと障害果が発生するため、高品質な果実を作るためには潅水量の細かい制御を必要とする作物である。潅水量を減らすことで高糖度な果実を生産することができるが、収量は減少する。水耕栽培では養液の浸透圧を制御する事で高糖度化を行うことができる。

含有成分

トマトにはアルカロイド配糖体トマチン)が含まれる。その含量は品種や栽培方法によって異なるが、かずさDNA研究所による測定例では、花(1100 mg/kg)、葉(975 mg/kg)、茎(896 mg/kg)、未熟果実(465 mg/kg)、熟した青い果実・グリーントマト(48 mg/kg)、完熟果実(0.4 mg/kg)という報告がされている。トマチンには幾つかの菌に対する抗菌性[6] と昆虫への忌避性[7]があるが、トマトを食害する害虫は存在する。野生種においては完熟果実においてもトマチンが相当量残留する。通常食用にされている品種の完熟果実のトマチン量はごく微量であり、人への健康被害は無視できるものと思われる。

品種

色による分類ではピンク系赤系緑系に大別される。ピンク系トマトの果実はピンク色を呈し、系トマトの果実は濃い赤やオレンジ色を呈する。

日本ではピンク系トマト(‘桃’系)が生食用として広く人気を博し、赤系トマトはもっぱら加工用とされた。しかし近年になって赤系トマトには、抗酸化作用を持つとされる成分リコピンが多量に含まれていることから、利用が見直されている。その他に白、黄、緑色、褐色、複色で縞模様のものがある。果実にはゼリー状物質が満たされているが、一部の品種ではピーマンのように中空である。他に、実が細長いイタリアントマトや、実が極めて小ぶりで凹凸の少ないミニトマトがある。葉の形は、ニンジン葉(葉の切れ込みが特に深い)やジャガイモ葉(切れ込みが少なく、浅い)の葉を付ける品種では、トマトと気づかれない事も多い。

世界では多くの品種が赤系トマトであるが、国産の品種は生食用として栽培されるものはピンク系のものが殆どであり、加工用品種、台木用品種やミニトマトに赤系のものが見られる。

世界では、8,000種を超える品種があるとされ、日本では120種を超えるトマトが品種登録されている(農林水産省2008年5月時点)[8]。これは、野菜類の登録品種数の中でも、目立って多い。一方で一代雑種のF1品種は登録されないことが多く、桃太郎などの有名な品種の登録はない。

世界には日本で流通しているピンク系トマトの桃太郎に代表される桃色、丸型のトマト以外のトマトが非常に多く、むしろ、桃色以外の品種の方が圧倒的に多い。これらの品種を栽培する愛好家が増えているようである。

本来、皮の色が黄色いため果肉と合わさって赤色に見えるのが赤系トマト、皮が透明の場合は桃色系トマトとなる。他にも、黒、緑、白、オレンジ、黄色、2色混合などのカラーバリエーションがある。

また、形も日本では見られない、プリーツと呼ばれるヒダが大きく入ったものが数多くあったり、トマトソースにするための細長い形の品種も各色揃ったりしている。これらの品種でトマトソースやジュースを作ると、何色もトマトソースを作ることが可能である。

世界のトマトの味は、日本の大玉品種のように甘さに重点を置いたものばかりではない。旨味、香り、酸味、食感、見た目を楽しませてくれる品種が数多く存在する。また、これらの品種は固定種であり、自家採種可能であり、代々種を引き継いで育種することができる。

果実の大きさによる分類では大玉トマト(200 g以上)、ミニトマト(20 - 30 g)、中玉(ミディ)トマト(前2者の中間)、に分類される。ただし、栽培方法によって果重は変化するため、品種とは関係ない分類である。もっとも、それぞれの果実の大きさに適した品種というものは存在し、例えばミニトマトに適した品種としてパキーノ地方原産のパキーノトマト(チェリートマト)も生産されている。マイクロトマトと称して流通しているのはSolanum pimpinellifoliumであり、Solanum lycopersicumLycopersicon esculentum)とは別種である。水を極力与えず高糖度化をはかると、大玉に適した品種であっても、果実が小さくなる。

小さく甘みの強いフルーツトマトとは、高糖度化をはかったトマトのことであり、品種名を示すものではない。例えばフルーツトマトの代表的なものに高知県高知市一宮(いっく)地区の徳谷トマトがある。これは一宮地区の、特に徳谷地区の塩分を含む土壌で、あえて成長を遅く、実が小ぶりになるように栽培し、糖度を高めたものを指す。つまり地域と栽培法に由来する命名であり、特定のトマトの品種を指しての命名ではない。この地区で糖度が高くなるように栽培されたトマトは、品種に関係無く全てが徳谷トマトとなる。また、塩トマトは、熊本県八代地域の干拓地など塩分の多い土壌で育成されたトマトのうち、特別に糖度が高いものを指す。品種は主に「桃太郎」であるが、特に品種が指定されている訳ではない。

生産・需要

日本

ファイル:Production Quantity & Area Harvested of Tomatoes in Japan 1973-2012.png
日本のトマトの収穫量と作付面積の推移(1973-2012年)

農林水産省の野菜生産出荷統計によれば、トマトの作付け面積は、1985年頃から減少傾向にあり、ピーク時の75 %程度にまで落ち込んでいる。これは飛躍的な増加を見せた1960年代後半以前のレベル(15,000ヘクタール以下)である。収穫量ベースでも、ピーク時の1980年代の80 %程度、700,000トン - 800,000トン程度を推移している。近年、加工用トマトとミニトマトは、作付面積、収穫量ベースでそれぞれ10 %程度を占める。また、生産量のトップは熊本県でありシェアは13.0 %(平成21年度)を占める。続いて、北海道茨城県が共に7.0 %となっている[9]

総務省2000年家計調査によれば1世帯当たりの年間購入量(重量ベース)では、トマトは生鮮野菜類中5位に位置する。これは一般消費者家庭でダイコンジャガイモキャベツタマネギに次いでトマトが多く消費されることを示唆するものである。出荷量、収穫量ベースで見ても、トマトはこれらの野菜に次いで5位を占めている(平成13年野菜生産出荷統計)。

また、家計調査によれば、野菜の主要品目が10年前と比べて軒並み減少または横ばい傾向にある中、ネギと並んで目立った増加を見せている数少ない野菜類のひとつである。

収穫量上位10都道府県(2012年)[10]

収穫量順位 都道府県 収穫量(t) 作付面積(ha)
1 熊本県 104,300 1,150
2 北海道 58,000 791
3 茨城県 48,700 892
4 愛知県 45,600 529
5 千葉県 44,400 834
6 栃木県 36,300 391
7 岐阜県 26,600 311
8 福島県 26,100 398
9 群馬県 25,500 320
10 長野県 22,700 399
全国計 722,400 12,000

冬春トマト収穫量上位10市町村(2012年)[10]

収穫量順位 市町村 所属都道府県 収穫量(t) 作付面積(ha)
1 八代市 熊本県 38,900 352
2 玉名市 熊本県 24,400 178
3 田原市 愛知県 12,800 131
4 豊橋市 愛知県 11,400 119
5 宮崎市 宮崎県 6,100 68
6 豊川市 愛知県 5,280 61
7 南島原市 長崎県 5,220 48
8 都農町 宮崎県 5,150 43
9 宇城市 熊本県 4,790 71
10 平取町 北海道 4,550 46
全国計 369,800 3,920

夏秋トマト収穫量上位10市町村(2012年)[10]

収穫量順位 市町村 所属都道府県 収穫量(t) 作付面積(ha)
1 鉾田市 茨城県 14,000 313
2 高山市 岐阜県 12,000 129
3 八代市 熊本県 10,100 106
4 平取町 北海道 7,150 62
5 竹田市 大分県 4,500 64
6 美瑛町 北海道 3,730 35
7 山都町 熊本県 3,580 61
8 行方市 茨城県 3,500 53
9 阿蘇市 熊本県 3,410 42
10 松本市 長野県 3,350 42
全国計 352,600 8,100

世界

ファイル:Production Quantity & Area Harvested of Tomatoes all of the world 1961-2012.png
世界のトマトの収穫量と作付面積の推移(1961-2012年)

世界のトマトの収穫量上位10か国(2012年)[11]

収穫量順位 収穫量(t) 作付面積(ha)
1 中華人民共和国 50,000,000 1,000,000
2 インド 17,500,000 870,000
3 アメリカ合衆国 13,206,950 150,140
4 トルコ 11,350,000 300,000
5 エジプト 8,625,219 216,395
6 イラン 6,000,000 160,000
7 イタリア 5,131,977 91,850
8 スペイン 4,007,000 48,800
9 ブラジル 3,873,985 63,859
10 メキシコ 3,433,567 96,651
世界計 161,793,834 4,803,680

日本の収穫量は26位で722,300t、作付面積は43位で12,000haである[11]

栽培の歴史

16世紀以前、メキシコアステカ族がアンデス山脈からもたらされた種からトマトを栽培し始めた。新大陸の中でもトマトを栽培植物として育てていたのは、この地域に限られる。16世紀にアステカに入ったサアグン修道士の記録から、当時から複数種類の栽培種が開発されていたと見られる[12]

ヨーロッパへは、1519年にメキシコへ上陸したエルナン・コルテスがその種を持ち帰ったのが始まりであるとされている。当時トマトは「poison apple」(リンゴ)とも呼ばれていた。なぜなら裕福な貴族達が使用していたピューター合金)食器にはが多く含まれ、トマトの酸味で漏出して鉛中毒になっていたためである[13]。鉛中毒の誤解が解けた後も、有毒植物であるベラドンナに似ていたため、であると信じる人も多く、最初は観賞用とされた[13]

しかし、イタリア貧困層で食用にしようと考える人が現れ、200年にも及ぶ開発を経て現在の形となった。これがヨーロッパへと広まり、一般的に食用となったのは18世紀のことである。

一方、北アメリカではその後もしばらくは食用としては認知されなかった。フロリダ方面に定着したスペイン系入植者やカリブ海経由で連れてこられた黒人奴隷がトマトを食べえる習慣をゆっくりと広めていった。実験精神の旺盛なトーマス・ジェファーソンは自らの農園でトマトを栽培し、ディナーに供した。1820年ニュージャージー州ロバート・ギボン・ジョンソンは、セイラムの裁判所前の階段でトマトを食べて人々に毒がないことを証明したとされるが、詳しい資料は残っていない[14]

1893年当時のアメリカでは輸入の際に果物への関税がなく、野菜には関税が課せられていた。このため、トマトの輸入業者は、税金がかからないように「果物」と主張。これに対して農務省の役人は「野菜」だと言い張った。両者は一歩も譲らず、さらに果物派には植物学者も加わり、論争はエスカレート。とうとう、米国最高裁判所の判決を仰ぐことになってしまった。判決は「野菜」。裁判長は随分悩んだと思われ、判決文には「トマトはキュウリやカボチャと同じように野菜畑で育てられている野菜である。また、食事中に出されるが、デザートにはならない」と書かれていた(英語版記事[15]。なお、裁判当時の記録としてローラ・インガルス・ワイルダーの小説『大草原の小さな家』では、トマトにクリームと砂糖をかけて食べる記載がある。なお、Pocket Oxford English Dictionary(2005年版)のtomatoは’a glossy red fruit, eaten as a vegetable or in salads.’とどちらとも取れる記述になっている。

日本には江戸時代寛文年間頃に長崎へ伝わったのが最初とされる。貝原益軒の『大和本草』にはトマトについての記述があり、その頃までには伝播していたものと考えられている[16]。ただ、青臭く、また真っ赤な色が敬遠され、当時は観賞用で「唐柿」と呼ばれていた。中国では、現在も「西紅柿」(xīhóngshì)と呼んでおり、西紅柿炒鶏蛋鶏卵との炒め物)などとして料理される。日本で食用として利用されるようになったのは明治以降で[17]、さらに日本人の味覚にあった品種の育成が盛んになったのは昭和に入ってからである。

トマトは米国で最初に認可を受けた遺伝子組み換え作物である。1994年5月、FDA(連邦食品医薬品局)が承認したFlavr Savrというトマトで、長期間の保存に適した品種であった。ただし、開発費用などを回収するために通常のトマトよりも高い価格に設定されたため、商業的にはそれほどの成功を収めなかった。

食材としてのトマト

トマトは生食されるほか、サラダや焼きトマトなど、そのままを味わう料理も数多くある。手を加えた料理でよく知られているものにメキシコ料理サルサイタリア料理の各種ピザパスタソースインドカレーの一部、ヨーロッパのシチューの一部などがある。中華料理でもトマトとを合わせた炒め物(前述の西紅柿炒鶏蛋)やスープにされる。中央アジアではラグマンなどに利用されている。また、日本でトマトラーメンを出す店も増えている。

ケチャップトマトソース、ピザソースなどに用いられるためトマトの年間消費量は1億2000万トン以上と、野菜の中でも世界1位である[18][19]。また、グルタミン酸の濃度が非常に高いためうま味があること、酸味水分があること、なども理由に挙げられる。

日本や上記の国の他には韓国でピンク系トマトが多く消費される。ちなみに韓国ではトマトは果物の一種と考えられることも多く、輪切りにしたものに砂糖をまぶして食べるのがありふれた食べ方のひとつである。中国や日本においても砂糖をまぶす場合がある。

品種によって酸味、甘みの度合いがかなり異なり、また皮の硬さも異なるので、用途に適したものを選んで使うのがコツとなる。例えば、酸味が強く皮が厚いイタリアントマトは加熱した料理に向いている。仮に、生食用として売られている品種(桃太郎など)を加熱調理に利用する場合は種子周辺のゼリー質を捨てずに利用するのがポイントである(生食用トマトはゼリー質を使わないと水っぽくパスタ等に絡まない上に旨味が出ない、イタリアントマトは種子を捨ててもよい)。

美味しいトマトの見分け方としてヘタがきれいで色の良いものが薦められているが、あまり当てにならない。トマトの味は品種や産地、栽培方法、栽培農家などによって味にかなりの差が出るためである。従って、スーパーなどで実験的に一度購入して、美味しいと感じたトマトの袋やラベルを覚えて次からはそれを購入するといった方法が確実である。また、緑色がかった未熟なトマトでも数日ほど常温で追熟させる事で少しは美味しくなる。

トマトの加工食品として、トマトジューストマトケチャップトマトソーストマトピューレドライトマト(乾燥トマト)などがある。また缶詰としてホールやカットやジュースが販売されている。

調理

  • 皮むき法
    • 直火むき
    • 湯むき
    • 冷凍による方法

栄養

他の野菜類と同様に、トマトはビタミンCを多く含む。また、リコピン1995年がん予防の効果が指摘されて以来、注目を集めるようになったが、有効性に関しては「有効性あり」とするデータと「有効性なし」とする両方のデータがあり、科学的なデータの蓄積が必要である。

これはハーバード大学のGiovannucci らの研究チームが4万5千人以上の医療関係者を対象に6年間のコホート調査を行った結果から、様々な形態のビタミンAを含む食品の中でも、イチゴと並んでトマト関連食品3種(トマト、ピザ、トマトソース)が前立腺癌の罹患率の低さと相関しているとしたもの。その後の様々な関連研究の引き金ともなった。

京都大学大学院の河田照雄教授らの研究グループにより、トマトに含まれる13-オキソ-9,11-オクタデカジエン酸(13-oxo-ODA)に血液中の脂肪増加を抑える効果があることが発見され[20]、2012年2月10日付けの米科学誌PLoS one上で発表された[21]。研究段階である上、効果を得るには大量のトマトを食べる必要があるとされるが、日本では大きく報道されたことにより、トマトジュースが供給不足になるほどのブームが起きた[22]

日本において、トマトジュースやサプリメントなど一部のトマト製品は血中コレステロール血圧などの改善効果を謳う機能性表示食品として販売されている[23]

トマトの旬

トマトは夏の季語とされているが、冷涼で強い日差しを好み高温多湿を嫌うトマトの性質からして夏は旬の時期とは言えず、春 - 初夏と秋 - 初冬のトマトが美味とされる。夏が旬とされた理由は、日本でトマトの栽培が始まった頃は温室などの設備が不十分なために、春に種を播いて夏に収穫する作型が一般的であったためである。現在は高性能な設備が普及したこともあり、トマトの成長に適した季節に収穫できるようになっている。つまり、気温がまだ低く昼の時間が長い春と、気温が下がり始めて空気の澄んでいる秋の環境に合わせる形で育てている。

季節によっても味や食感が変わる。一般的な温室栽培を例に挙げると冬は光が少なく成長に時間がかかるため水っぽく皮が硬い、夏は成長が早すぎて味がのる前に赤くなるが皮は柔らかい。春と秋は旨味が強くなる。家庭菜園の場合は保温用のビニールをかけて秋まで栽培すると皮は硬いがメロン並みの糖度と旨味のあるトマトが得られる。

トマトを題材にした作品

楽曲(曲名または歌詞にトマトが登場するもののみ)
アニメーション
コンピュータゲーム
映画
キャラクター

その他

  • 「トマト」の語源はナワトル語ホオズキの実を意味する「tomatl」(トマトゥル)に由来する。
  • トルコ民間療法ではやけどにスライスしたトマトを塗りつけている。
  • ジャガイモの茎にトマトを接ぎ木したものは「ジャガトマ」と呼称されることがある。また細胞融合によって作られたジャガイモとトマトの雑種はポマトと呼ばれる。
  • 栄養素が豊富な事から、。
  • アメリカの法律では、大さじ2杯のトマト・ペーストが野菜とされているため、トマト・ペーストを使ったピザが「野菜」に分類されている[26][27]
  • 「プチトマト」は和製英語であり、日本でしか通じない。(プチ(petit)はフランス語に由来するが、フランス語でトマト(tomate)は女性名詞であるため形容詞petitも女性形petiteとなり、プティト・トマト(petite tomate)と呼ぶのが正しい。)英語名は「cherry tomato」。
  • ヨーロッパでは当初ポモ・ドーロ(金色のリンゴ)、ポム・ダムール(愛のリンゴ)と呼ばれた。イタリア語では現在でもその名残でポモドーロ(pomodoro)と呼ばれる[28]リトアニア語のポミドーリ(pomidori)など周辺言語への派生もある。
  • イタリア料理によく使用される印象があるが、国民一人あたりのトマト消費量第1位はギリシャ。これはギリシャ料理にトマトとオリーブオイルが大量に使用されるためである。統計年度によって差異はあるが、ギリシャ国民一人当たりの年間消費量は概ねイタリアの2倍以上にも及び、100kgを超える。

脚注

  1. 「トマト」武田薬品工業株式会社 京都薬用植物園): 2014年10月24日閲覧)
  2. 「赤茄子」(Goo辞書「デジタル大辞泉」): 2014年10月24日閲覧)
  3. 「蕃茄」(Goo辞書「デジタル大辞泉」): 2014年10月24日閲覧)
  4. 「珊瑚樹茄子」(Goo辞書「デジタル大辞泉」): 2014年10月24日閲覧)
  5. トマトのゲノム解読に成功 千葉のDNA研究所など(47NEWS2012年7月1日閲覧)
  6. [1]2016年2月8日 閲覧
  7. みんなのひろば 2016年2月8日 閲覧
  8. 品種登録情報農林水産省
  9. 農林水産省/トマト生産量上位について - 農林水産省 こどもページ 2014年8月3日閲覧
  10. 10.0 10.1 10.2 作物統計調査>作況調査(野菜)>確報>平成24年産野菜生産出荷統計>年次>2012年”. e-Stat. 総務省統計局. . 2014閲覧.
  11. 11.0 11.1 FAOSTAT>DOWNLOAD DATA” (英語). FAOSTAT. FAO. . 2014閲覧.
  12. ジョンソン 1999, pp. 92-93.
  13. 13.0 13.1 Why the Tomato Was Feared in Europe for More Than 200 Yearsスミソニアン博物館ウェブマガジン)
  14. ジョンソン 1999, pp. 100-101.
  15. Nix v. Hedden - 149 U.S. 304 (1893)”. Justia US Supreme Court Center. . 2012閲覧.
  16. 落合敏監修 『食べ物と健康おもしろ雑学』 p.58 梧桐書院 1991年
  17. 『天下統一めざせ!日本史クイズマスター 歴史クイズ② 安土桃山時代~現代』116頁。
  18. カルビーフードコミュニケーション 〜カルビーの食育〜、Calbee、2012年9月13日閲覧。
  19. [2]。 ※Commodities by country をクリックし、Selected area 欄で World を、Sort by で Quantity を選択。サトウキビ、とうもろこし、米、小麦、牛乳、じゃがいも、サトウダイコン、野菜(未分類)、大豆、キャッサバに続いて11位にトマトが来ることがわかる。いわゆる穀類および芋類、それに牛乳と未分類項目を除けば、トマトが首位となる。なお、単位の MTは metric ton の意で、日本語でいう「トン」のこと。
  20. トマトでメタボ改善! 脂肪燃焼の新成分を発見”. イザ! (2012年2月10日). . 2012閲覧.
  21. Potent PPARα Activator Derived from Tomato Juice, 13-oxo-9,11-Octadecadienoic Acid, Decreases Plasma and Hepatic Triglyceride in Obese Diabetic Mice”. PLOSone (2012年2月10日). . 2012-2-13閲覧.
  22. “「トマトにメタボ改善効果」で広がる品薄 販売休止も”. イザ!. (2012年2月18日). http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/business/other/546318/ . 2012閲覧. 
  23. 改めて、2つの機能性が実証されました。「血中コレステロールが気になる方に」「血圧が高めの方に」機能性表示食品「カゴメトマトジュース」(2018年3月12日閲覧)
  24. 「トマッピー」グッズ販売のご案内”. 木曽岬町役場総務政策課政策部門 (2014年4月1日). 2015年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
  25. 魔法少女トマトちゃん”. ご当地キャラカタログ (2014年4月1日). 2015年12月30日時点のオリジナルよりアーカイブ。. 2015閲覧.
  26. “Is pizza a vegetable?”ロサンゼルスタイムス 2011年11月17日
  27. アメリカで「ピザは野菜」と国家が認定 理由はトマトソース…もぐもぐニュース 2014年6月28日
  28. ジョンソン 1999, pp. 96-97.

参考文献

関連文献

  • Barndt, Deborah(2002). Tangled Routes: Women, world and globalization on the tomato trail. Lanham, MD: Rowman & Littlefield Publishers.
  • Giovannucci E, Ascherio A, Rimm EB, Stampfer MJ, Colditz GA, Willett WC (1995). Intake of carotenoids and retinol in relation to risk of prostate cancer. Journal of National Cancer Institute. v. 87, n. 23 (December 6). p.1767-76.
  • Martineau, Belinda (2001). First Fruit: The creation of the Flavr Savr tomato and the birth of genetically engineered foods. New York, McGraw-Hill.
  • Willcox, Joye K., Catignani, George L.& Lazarus, Sheryl (2003). Tomatoes and cardiovascular health. Critical Reviews in Food Science & Nutrition, v.43, n.1 (January), p.1-19.

関連項目

外部リンク