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| − | '''トアース'''（{{lang-grc-short|'''Θόασ'''}}, {{ラテン翻字|el|Thoās}}）は、[[ギリシア神話]]の人物である。[[長母音]]を省略して'''トアス'''とも表記される。主に、
| + | {{テンプレート:20180815sk}} |
| − | * [[ディオニューソス]]の子
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| − | * [[ヒュプシピュレー]]の子
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| − | * [[タウリケー]]の王
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| − | * [[アンドライモーン]]の子
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| − | のほか数名が知られている。以下に説明する。
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| − | == ディオニューソスの子 ==
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| − | この'''トアース'''は、[[レームノス島]]の王である。[[クレータ島]]の王[[ミーノース]]の娘[[アリアドネー]]とディオニューソスの子で、[[オイノピオーン]]、[[スタピュロス]]、[[ペパレートス]]と兄弟<ref>アポロドーロス「サバス本」、摘要（E）1・9。</ref>。アリアドネーと[[テーセウス]]の子ともいわれる<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.172a。</ref>。[[ヒュプシピュレー]]、シキノスの父<ref>ロドスのアポローニオス、1巻。</ref>。
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| − | 神話によると、レームノス島の女たちは長年[[アプロディーテー]]に犠牲をささげなかったので、アプロディーテーは怒り、レームノス島の女たちの体から悪臭を臭わせた。そこで島の男たちは妻たちを避け、[[トラーキア]]から女たちをさらって来て、トラーキアの女たちばかりを愛した。このためレームノス島の女たちは怒って島の男たちを残らず皆殺しにした。しかしヒュプシピュレーだけは父トアースをかくまい、逃がしたといわれる<ref>アポロドーロス、1巻9・17。</ref>。[[ロドスのアポローニオス]]によると、トアースは櫃に入れられ、海に流された。そしてオイノイエー島の漁師によって引き上げられ、島の[[ニュムペー]]のオイノイエーとの間にシキノスをもうけた<ref>ロドスのアポローニオス、1巻620行-626行。</ref>。[[ヒュギーヌス]]によるとトアースはタウリケーの王と同一視されており、ヒュプシピュレーによって船に乗せられて脱出したが、嵐によってタウリケーに流され<ref>ヒュギーヌス、15話。</ref>、王となったという<ref>ヒュギーヌス、120話。</ref>。
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| − | [[エウリーピデース]]の散逸した[[悲劇]]『ヒュプシピュレー』によると、トアースはディオニューソスの意志で助けられ、トラーキアでヒュプシピュレーと[[イアーソーン]]の子[[エウネーオス]]とトアースに出会い、ともにレームノス島に帰った。
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| − | ===系図===
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| − | {{ミーノースの系図}}
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| − | == ヒュプシピュレーの子 ==
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| − | この'''トアース'''は、レームノス島の王トアースの娘ヒュプシピュレーとイアーソーンの子で、[[エウネーオス]]と兄弟<ref>エウリーピデース『ヒュプシピュレー』断片。</ref>。しかしエウネーオスの兄弟はネブロポノスとも<ref>アポロドーロス、1巻9・17。</ref>、[[デーイピュロス]]ともいわれる<ref>ヒュギーヌス、5話。</ref><ref>ヒュギーヌス、273話。</ref>。
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| − | エウリーピデースの散逸した悲劇『ヒュプシピュレー』によると、ヒュプシピュレーの2人の子エウネーオスとトアースはイアーソーンによって[[コルキス]]に連れて行かれ、イアーソーンの死後は[[オルペウス]]とともにトラーキアに行き、その地でエウネーオスは[[竪琴]]を、トアースは戦いについて学んだ。そしてディオニューソスに助けられた祖父のトアースに出会い、ともにレームノス島に帰った。その後、エウネーオスとトアースは母ヒュプシピュレーを探して[[ギリシア]]に渡り、[[ネメアー]]の王の[[リュクールゴス]]に仕えていたヒュプシピュレーと再会した<ref>エウリーピデース断片（「ナウク版」）、758、764など。</ref>。
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| − | == タウリケーの王 ==
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| − | この'''トアース'''は、ポリュステネースの子で<ref>[[アントーニーヌス・リーベラーリス]]、27話。</ref>、タウリケーの王である。[[ギリシア人]]を捕らえて[[アルテミス|アルテミス・タウロポロス]]の[[生贄]]にしていた。
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| − | エウリーピデースの悲劇『[[タウリケーのイーピゲネイア]]』によると、[[アウリス]]で犠牲に捧げられそうになった[[イーピゲネイア]]はアルテミスによって助けられ、タウリケーに連れて来られた。トアースはイーピゲネイアをアルテミス・タウロポロスの女神官とし、ギリシア人を生贄にするさいに浄めの儀式を執り行わせた。後にイーピゲネイアの弟[[オレステース]]とその友人[[ピュラデース]]がタウリケーにやって来たとき、トアースをだましてアルテミスの神像を持って逃げた。トアースは彼らを追おうとしたが、[[アテーナー]]が現れて諭され、考え直して追うのをやめたという<ref>エウリーピデース『タウリケーのイーピゲネイア』。</ref>。
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| − | しかし後にオレステースと[[クリューセース]]に殺されたともいわれる<ref>ヒュギーヌス、121話。</ref>。
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| − | == アンドライモーンの子 ==
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| − | この'''トアース'''は、[[アイトーリア]]の王で、[[オイネウス]]の娘[[ゴルゲー]]とアンドライモーンの子である<ref>アポロドーロス、摘要（E）3・12。</ref>。[[ハイモーン]]の父で、[[オクシュロス]]と<ref>パウサニアス、5巻3・6。</ref>、レオントポノスの祖父<ref>アポロドーロス、摘要（E）7・40。</ref>。[[ヘーラクレース]]と[[デーイアネイラ]]の子[[ヒュロス]]とは従兄弟にあたる。
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| − | トアースは[[ヘレネー]]の求婚者の1人<ref>ヒュギーヌス、81話。</ref>、トロイア戦争におけるギリシア軍の武将の1人で、トロイア戦争のさいにアイトーリアの軍勢40隻を率いて参加した<ref>『イーリアス』2巻。アポロドーロス、摘要（E）3・13など。</ref>。一説にはテュトスの軍勢15隻ともいわれる<ref>ヒュギーヌス、97話。</ref>。また[[トロイアの木馬|木馬作戦]]にも参加した<ref>[[スミュルナのコイントス]]、12巻。</ref><ref>[[ウェルギリウス]]『[[アエネーイス]]』2巻262行。</ref>。
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| − | 戦後、トアースは無事に帰国し、一説によれば[[ネオプトレモス]]によって[[イタケー]]を追われた[[オデュッセウス]]を受け入れ、自分の娘と結婚させたといい、2人の間にレオントポノスという子供が生まれたという<ref>アポロドーロス、摘要（E）7・40。</ref>。また[[イタリア]]の[[カラブリア州|ブルッティウム]]に移住したともいわれる<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.173a。</ref>。
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| − | == その他のトアース ==
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| − | * [[コリントス]]の王[[シーシュポス]]の子の[[オルニュティオーン]]の子で、[[ポーコス]]と兄弟。ダーモポーンの父<ref>パウサニアス、2巻4・3。</ref>。
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| − | * [[イーカリオス]]と水のニュムペーの[[ペリボイア]]の子で、ダマシッポス、イメウシモス、[[アレーテース]]、ペリレオース、[[ペーネロペー]]<ref>アポロドーロス、3巻10・6。</ref>、イプティーメーと兄弟<ref>『オデュッセイア』4巻797行。</ref>。
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| − | * 一説に[[アッシリア]]の王で、娘のミュラーとの間に[[アドーニス]]をもうけた<ref>高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』p.173a。</ref>。
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| − | * ペーネロペーの求婚者の1人。ドゥーリキオンの出身<ref>アポロドーロス、摘要（E）7・27。</ref>。
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| − | == 脚注 ==
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| − | {{Reflist|2|}}
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| − | == 参考文献 ==
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| − | * [[アポロドーロス]]『ギリシア神話』[[高津春繁]]訳、[[岩波文庫]]（1953年）
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| − | * 『[[オデュッセイア]]／[[アルゴナウティカ]]』[[松平千秋]]・[[岡道男]]訳、[[講談社]]（1982年）
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| − | * 『ギリシア悲劇IV エウリピデス（下）』、[[ちくま文庫]]（1986年）
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| − | * 『ギリシア悲劇全集12 エウリーピデース断片』、[[岩波書店]]（1993年）
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| − | * ヒュギーヌス『ギリシャ神話集』松田治・青山照夫訳、[[講談社学術文庫]]（2005年）
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| − | * [[ホメロス]]『[[イリアス]]（上・下）』松平千秋訳、岩波文庫（1992年）
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| − | * 高津春繁『ギリシア・ローマ神話辞典』、岩波書店（1960年）
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| − | {{イーリアスの登場人物}}
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| − | {{DEFAULTSORT:とあす}}
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| − | [[Category:ギリシア神話の人物]]
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| − | [[Category:イーリアスの登場人物]]
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